昨今、女性でも働きやすい女性が環境を整備するための支援が厚くなっています。
国や地方自治体は、女性農業者の定着、農業人口の向上させるため、女性農業者の育児と農作業のサポート活動等、女性が働きやすい環境の整備や、地域を牽引する女性リーダーの育成、女性農業者のグループ活動支援のための事業を実施しています。
この記事では、女性が働きやすい農業へ変革するための補助金を紹介します。
※この記事は2023年11月時点の情報です。補助金の内容等の変更や公募が終了している可能性もあるため、必ず各公募の公式ページをご確認ください。
女性農業者への支援策の概要・基本
女性農業者への支援策として、国や各地方自治体は、下記のような支援策を策定し、女性の方が少しでも農業に安心して取り組んでもらえるよう推進しています。
- 女性農業者の育児支援
- 農作業サポート活動
- 女性が働きやすい職場づくり
- 女性リーダーの育成
- 女性農業者のグループ活動支援
これらの支援を通じて、女性農業者の人口を増やすとともに、安定的・持続的な営農ができる環境を整備しています。以下、国・地方自治体が公募する女性農業者への支援策について、詳しく解説します。
育児や家庭のことは、男女関係ない問題ではありますが、事実として女性の負担が大きいと思われます。また、農業現場の環境は、トイレの問題なども含めて、まだまだいろいろなことが整備されていない状況です。
国が公募する女性農業者への補助金
国(農林水産省)では、農業の発展、地域経済の活性化のため、生活者の視点や多彩な能力を持つ女性農業者の活躍を推進しています。
農林水産省は主に2つの女性農業者への補助金を公募しています。
女性が変える未来の農業推進事業(令和5年度当初予算)
(1)女性活躍に向けた全国事業
全国共通の研修コンテンツの作成や地域をリードする女性農業者の活躍事例の普及等の取組を支援します。
こちらは女性農業者に直接届くものではありませんが、民間事業者が研修コンテンツを作成したり、女性農業者の活躍事例を普及するために利用されます
(2)地域における女性活躍推進事業
各都道府県において、地域の女性活躍の実情に応じ、女性農業者の育児と農作業のサポート活動等、女性が働きやすい環境の整備や、地域を牽引する女性リーダーの育成等、社会参画の推進に向けた取組を支援します。
各都道府県において、具体的な支援策が策定され、女性農業者のもとへ届くようになっています。
新規就農者確保緊急対策のうち女性の就農環境改善支援事業(令和4年度補正予算)
新規就農者確保緊急対策のうち女性の就農環境改善支援事業は、下記2つの事業があります。
- 女性が働きやすい環境整備
- 補助率:定額
- 上限金額:300万円
- 地域の女性農業者グループの活動等支援
- 補助率:定額
- 上限金額:50万円
それぞれ民間事業者(令和4年度は株式会社マイファーム)を通じて、公募されました(2023年11月現在、公募は終了しています)。
対象経費は、下記のとおりで幅広く活用できるようになっています。
- 消耗品費
- 旅費
- 謝金
- 技能者給
- 賃金
- 役務費
- 委託費
- 専門員等設置費
- 備品費
- 会議費
- 印刷製本費
- 通信運搬費
- 使用料及び賃借料
- その他
(1)女性が働きやすい環境整備
女性が働きやすい環境の整備に向けた簡易な改修やリース等による、男女別トイレ、更衣室、託児スペース等の確保を支援します。
下記、対象となる具体例です(出典:令和4年度 女性の就農環境改善支援事業 公募要領)。
- 託児スペースの確保
- 男女別トイレの確保
- 更衣室の確保
- 休憩スペースの確保
- 高さが調整できる作業台、アシストスーツ等の確保
- その他女性活躍に資するとマイファームが認める施設等の確保
特に、男女別トイレの設置や更衣室の設置、託児スペースの確保等は重要な要素となっています。女性従業員に気持ちよく働いてもらうためには、職場の環境づくりから進めていく必要があるので、ぜひ活用して環境改善に取り組みましょう。
(2)地域の女性農業者グループの活動等支援
女性農業者の居場所となる女性グループの立ち上げ、グループ活動の開始又は発展や女性農業者グループ等の先進的な取組事例等の発信を支援します。
下記、対象となる具体例です(出典:令和4年度 女性の就農環境改善支援事業 公募要領)。
- 女性農業者等のグループの立ち上げのための取組
- グループ活動の開始に向けた組織設計等の研修会の開催、講師派遣
- 事業開始に向けた登記作成の支援
- グループ活動の周知によるメンバーの募集
- 協業者の探索、協業者との打ち合わせ、勉強会
- 女性グループ活動の開始、発展に向けた取組
- 6次化に向けた先進事例の調査
- 商品の新規開発に向けた試作品の開発費用
- 活動が活発な他地域女性農業者グループ活動の調査、視察
- 地域の関係団体との連携、地域交流に係る取り組み
- 専門家による商品開発、販路手法、加工技術等の指導
地方自治体が公募する女性農業者への補助金
先述したとおり、農林水産省の補助金も都道府県を介して公募されています。また、各地方自治体が独自で策定、公募している事業もあります。いくつか紹介します。
農業者出産・育児期支援事業:東京都
農業者等が出産・育児等により就業困難になる、あるいは働き続けながら子の養育を行う場合など、農業経営体として労働力不足になり、一時的にでも事業規模を縮小せざるを得なくなります。
このため、東京都では農業経営体の安定的な農業生産を維持するため、代替人材の確保に必要な経費の一部を助成することで、農業者が安心して 出産・育児できる環境を整備しています。
代替人材の雇用等に係る経費を補助率2分の1以内、上限金額100万円で助成します。
女性農業者グループ活動支援事業:香川県
若手女性農業者グループが実施する地域活動や研修、情報発信活動を支援し、ネットワーク化を進めるとともに、定着と経営発展を図る事業です。
活動促進支援に3分の2以内(上限5万円)、新規設立支援に10分の10(上限10万円)の助成があります。
坂井市小さな農業応援事業費補助金:福井県坂井市
小規模農家、女性グループ、集落営農組織等が行う地域特産物の導入、体験農園の開業、加工品の開発等の新たなチャレンジを支援し、地域特産物の生産振興を図ることを目的として交付しています。
補助金以外の女性農業者への支援策
女性農業者への支援は、補助金の交付以外にもあります。例えば、下記のような支援策が用意されています。
- 下記事業について、採択の際に、⼥性が主体の取組を⾏っている場合に配分ポイントを加算
- 経営継承・発展等⽀援事業のうち経営継承・発展⽀援事業
- 新規就農者育成総合対策
- 農地利⽤効率化等⽀援交付⾦
- 農⼭漁村振興交付⾦
- 下記事業について、取組を実施する場合に、⼥性の活躍推進に資する要件を設定
- 新規就農者育成総合対策:⼥性が働きやすい環境づくりのため、男⼥別トイレ及びシャワーの設置等を選択制の要件の1つとして設定
- ⽇本型直接⽀払のうち多⾯的機能⽀払交付⾦:加算措置の要件に、活動組織の役員に⼥性が2名以上参画し⼀定の条件を満たす場合を設定
これらのポイント加算や要件設定も活かしながら、経営計画や補助金申請を行っていくと良いでしょう。
林業についても、女性活躍のための支援策が用意されています。例えば、森林・⼭村多⾯的機能発揮対策交付⾦においては、事業の活動内容を審査する地域協議会に⼥性が参画することを要件化されています。
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