ドクダミの特性
ドクダミは多年草で、ちぎれた、一部の地下茎からでも繁殖し、他の雑草が生えなくなるくらい高い繁殖力を持っています。地下茎を伸ばして地中に根びこってしまうため、引っこ抜いても、地下茎の一部は地中に残存し、またそこから繁殖するため、本質的な駆除にはなりません。
ドクダミにおすすめの除草剤(葉茎処理剤)
ドクダミをしっかり駆除しようとすると、やはり除草剤の使用が欠かせません。重曹では効かないと思ってください。
除草剤は簡単には、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
ここでは、既に生えているドクダミの駆除なので、「茎葉処理剤」がベストです。
「茎葉処理剤」でも様々な種類があり、地上部の葉を中心に速効性があり枯らすもの(グルホシネート系など)から、地下部の根や地下茎まで全てを枯らし、根絶やしにするもの(グリホサート系)があります。
ドクダミは地下茎が厄介で、地下部をしっかりと枯らすことが重要なので、地下部の根や地下茎まで効果が効いて全てを枯らす、グリホサート系の葉茎処理剤がおすすめです。ここではグリホサート系除草剤を中心に、代表的な除草剤をいくつか紹介します。
ラウンドアップマックスロード(日産化学(株))
最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。成分は、グリホサートカリウム塩で、グリホサートイソプロピルアミン塩のラウンドアップ やサンフーロンなどよりも、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい特性があります。
ラウンドアップ は、原液を希釈して薄めて使うタイプから、そのまま使えるシャワータイプのALシリーズなど、様々なシリーズがあり、用途に合わせて経済的に使用できます。
サンフーロン(大成農材(株))
サンフーロンは、ラウンドアップのジェネリック品で、成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩です。
ジェネリック製品なので安価に手に入れることができ、効果は、グリホサートイソプロピルアミン塩の他の製品と変わりません。このため経済的です。
その他グリホサート 系では、ネコソギロングシャワーやネコソギクイックプロといったネコソギ シリーズやアースカマライズ、カダンのザッソージエースなどもおすすめです。グリホサート系は農薬登録されているものも多く、農耕地で使用可能なものも多いです。
グリホサート系除草剤については、下記で詳しく説明、紹介していますので、是非参考にしてください。
また、芝生の上で、芝生を枯らさず、ドクダミを枯らしたい場合は、下記がおすすめです。
グリーンアージラン液剤 (石原バイオサイエンス(株))
成分 アシュラム
アージランは日本芝(高麗芝(コウライシバ)、野芝など)で使える葉茎処理剤で、芝の生育にとって有害なメヒシバやスズメノカタビラ(生育中)を防除することができ、生育中の広葉雑草にも高い効果:特にキク科雑草(ヒメジョオン、アレチノギクなど)に有効です。
他、シバニードシャワーなどもあります。
芝生や田んぼの近くでドクダミを駆除したい場合は、下記記事を参考ください。
ドクダミにおすすめの除草剤(土壌処理剤)
土壌処理剤は、まだ雑草が生えてきていない、また草丈が低い時期に散布し、地面に膜を張って、新しく生えてくる雑草を抑えるものになります。まさにドクタミの防除に最適なもので、駆除した後の春先などにしっかり撒けば、ドクダミが新しく生えてくることを長期間防ぐことができます。ここでは、代表的なおすすめの土壌処理剤をご紹介します。
クサノンEX粒剤 (住友化学園芸(株))
ターバシル・フルミオキサジン、2種類の有効成分で、スギナ・ススキ・ヤブガラシ、シロツメクサなど各種雑草の葉や茎だけでなく根までスッキリ枯らすことができる微粒の土壌処理剤です。低温時にも使え、植栽地を除く樹木等の周辺地に撒くことを想定した薬剤です。
カダン除草王(フマキラー(株))
カダン除草王の成分カルブチレートは、非ホルモン型吸収移行性の尿素系の微粒(粒状)除草剤であり、雑草・草の光合成阻害により除草します。
カダン除草王は、細粒の非選択制除草剤で、メヒシバ、オヒシバ、スズメノカタビラ、ブタクサ、ツユクサ、カヤツリグサ、コニシキソウ、ハコベ、エノコログサ、カラスノエンドウなど一年生雑草といわれる一般的な雑草から、セイタカアワダチソウ、ヨモギ、スギナ、カタバミ、オオイヌノフグリ、オオバコといった多年生広葉雑草、ススキ、チガヤといった多年生イネ科雑草、ササ類など枯れにくい雑草まで、根っこまで枯らすことができます。効果は最大約6ヵ月間と長期間持続することも特徴です。
非選択性で全ての植物、庭木に影響を与えるため、植物、庭木を植えている、植える予定の花壇やまた畑、水田といった農地ではなく、道路や空き地等で撒けることを想定した商品です。
ネコソギパワー粒剤 (ネコソギトップW) (レインボー薬品(株))
アミカルバゾン、ブロマシルを成分とし、粒のまま地面にパラパラ撒くタイプの粒状の除草剤で、除草効果が約5~9ヶ月間という非常に長期間持続するのが特徴です。1~2週間で枯れ始め、30日前後でほとんど枯らすことができ、成分が土壌に一定期間とどまるので、新しい雑草の発生を予防できます。
除草剤の効果を高める方法
展着剤の活用
展着剤は薬液の濡れ性、付着性、拡展性、懸垂性などを強化し、薬液を均一に付着させる効果を持っています。除草剤用の展着剤では、サーファクタントWK、サーファクタント30、クサリノー、バスファテンが有名です。
商品名 | サーファクタントWK、30 | クサリノー |
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概要 | ||
タイプ | アジュバント (除草剤) | アジュバント (除草剤) |
補足 | クチクラワックスを溶解して表皮細胞中へ農薬を浸透させる。 グリホサート系、グルホシネート系除草剤だけでなく、芝生に使うMCPPなどの選択制除草剤の効果も高める。また、土壌処理型除草剤の葉面吸収も促進させる等、かなりの種類の除草剤で使用可能。 | ジクワット、パラコート、プログリックスLなどのカチオン型茎葉処理剤に適合し、効果を高める (アルソープ30も同様の効果) |
製造、販売元 | 丸和バイオケミカル | 日本農薬 |
除草剤用の展着剤の特長や使い方は、下記に詳しく解説していますので、是非ご参考ください。
尿素の活用
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。
効果的なノズルの活用
最近では、ラウンドアップを販売している日産化学株式会社から、従来よりも少量の除草剤で効果を維持して散布できる「ラウンドノズルULV5」というノズルや、同様の形状の「セフティ3 除草用 ラウンドノズル25」が開発されました。
こちらはわずか5Lの水量で10a散布することができるノズルで、圧倒的な小水量で散布を行うことができ、少ない散布量で済むため、作業時間の大幅な短縮になる優れものです。
こちらの商品は使用したい噴霧機に合うものを選ぶ必要があります。詳しくは下記を参考にしてください。
ラウンドノズルULV5 バッテリー・人力用 噴霧機メーカー別 推奨機種一覧表
その他
ドクダミ(どくだみ)は、毒下しの効果が高いことから、「毒を矯める(おさえる)」→ 毒矯み(ドクダミ)と呼ばれるようになったと言われているくらい、昔から優秀な薬草として、ゲンノショウコ、センブリと共に日本の三大民間薬の一つに数えられていて、欧米でも東洋のハーブとして人気があります。また、葉を乾燥させたどくだみ茶も有名で、ドクダミの葉や茎を乾燥させたものは「十薬(じゅうやく)」という生薬としても知られています。