雑草や草を生えないようにするため、土面に設置する防草シート。一般的には、雑草を生えないようにするシートを、防草シートや除草シートと呼んでいます。雑草対策のために防草シートを敷きたいんだけど、雨が降って水たまりができたり、水はけが悪くなったりすると困りますよね。
ここでは、水たまりを避けるための、防草シートと透水性の関係と、数多くある防草シートの中から透水性の優れたシートの紹介をします。
防草シートに水はけはどう影響するのか?
ホームセンターに並べられている防草シートには、水はけの悪いものと水はけの良いものがあります。
防草シート(除草シート)は野外で使用するため、水にさらされ続けることで加水分解する材質は劣化も早くなります。透水性が低いと水はけが悪く、水にさらされる時間も長くなり、また雨水でぬかるみを作ってしまい、使用場所によっては非常に困った状態になってしまいます。また酸性、アルカリ性に弱い材質も、そうでない材質のものより劣化が早くなります。
このため、ポリエチレン(ビニール袋などによく使われます)よりも、透水性が高く、酸性、アルカリ性に強い材質のポリプロピレンを使用している防草シート(除草シート)が多く、そういったものは、そうでないものより単価が高くなる傾向があります。またポリプロピレン製は、切断し易くほつれにくく、施工しやすい特性も有しています。以上から、防草シートに水はけを求める方は、ポリプロピレンを材質にした防草シートを選ぶようにしましょう。
水はけのいい、おすすめの防草シート4選!
ここでは、数ある防草シートの中でも、ポリプロピレン製の、水はけに定評のあるおすすめの防草シートを紹介します。
デュポン プランテックス(ザバーン)防草シート240BB (旧名称ザバーン防草シート240G)
お知らせ:防草シートの名称変更について|旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ ホームページ
1㎡あたり価格(目安) 約400円
プランテックス防草シートは米国デュポン社が開発したポリプロピレン製の特殊不織布で、ザバーンという名は最も有名な防草シート(除草シート)の名称と言えます。ポリプロピレン製資材なので、水の浸透率(透水性)は十分で、シートの上から、液体肥料や液剤の除草剤も使用することが可能です。また、不織布のため、雑草の貫通に強く、しっかりと雑草の成長を押さえ込むことが出来、遮光率は驚きの99.7%!トップレベルの遮光性を誇ります。
ザバーン防草シート350G
1㎡あたり価格(目安) 約600円
ザバーン製品の中で最も耐久力の優れた製品で、植物の貫通抵抗力も、プランテックス防草シート240(ザバーン240)より15%アップしている、大変丈夫な防草シートです。
アストロ 防草シート 1×10m グリーン
1㎡あたり価格(目安) 約200円弱
こちらは、不織布専門店のアストロが作った防草シート(除草シート)です。ポリプロピレン製なので、透水性は高く、劣化にも強く、不織布のため、雑草の貫通に強く、しっかりと雑草の成長を押さえ込むことが出来ます。遮光率が、96.7%と、ザバーン防草シート240Gよりは劣りますが、その分単価は、10㎡あたり約2000円弱と、ザバーン防草シート240G(10㎡あたり約4000円強)よりも半額以下で購入することができます。多年生の雑草が既に生い茂ってしまった場所や、隣が雑草だらけで種子がよく飛んでくるような場所でなければ、このアストロシートでしっかり防草できます。
また、1ロールのサイズが「1×2m」「1×3m」「1×5m」「1×10m」「1×20m」の中から選ぶことができるので、必要な量だけ購入することができ、使い勝手の良さが魅力的です。
キンボシ 超強力防草シート(黒)
1㎡あたり価格(目安) 約330円
創業149年の農業、園芸会社であるキンボシが販売する、日本製の防草シート(除草シート)です。ポリプロピレン製なので、透水性は高く、劣化にも強く、不織布のため、雑草の貫通に強く、しっかりと雑草の成長を押さえ込むことが出来ます。また、驚くべきは、遮光率99.9%!耐久性、耐候性にも優れる最高レベルの防草シート(除草シート)です。
商品名 | ||||
---|---|---|---|---|
1㎡当たり単価 | 約400円 | 約600円 | 約200円弱 | 約330円 |
遮光率 | 99.7% | 99.7% | 96.7% | 99.9% |
不織布かどうか | 不織布 | 不織布 | 不織布 | 不織布 |
透水性 | ○ | ○ | ○ | ○ |
性質 | ポリプロピレン | ポリプロピレン | ポリプロピレン | ポリプロピレン |
耐久性 | ◎ | ○ | ○ | ○ |
防草シートを張る前に準備したいこと
防草シートは、雑草の成長を押さえ込むものなので、シートを張るときは、地面に雑草がない状態が望ましいです。季節で言うと、雑草が生えていない、冬が適期です。既に雑草が繁茂している状態にシートを敷く必要がある時は、必ず草取りや草刈りを行って、地面を雑草がない状態にしてください。
また、草刈りをしても、雑草が多年生雑草の場合は、根が残っているため、またすぐに生えてきます。このような場合、使用が可能であれば、草刈り後にグリホサート系(ラウンドアップ 、サンフーロン)などの除草剤を散布し、根や地下茎まで枯らしてしまうことが有効です。
雑草の根や地下茎が残ったままですと、すぐに雑草が生えようとし、雑草がチガヤやハマスゲ、竹等は突抜け性の強い多年生の雑草、またドクダミ、スギナなど非常に強い雑草の時も、隙間やほつれから繁殖するリスクは高まります。チガヤ、ハマスゲなどが生えている場合は、防草シートを張る前に必ず、根や地下茎まで除草をするようにしてください。また、除草後、土壌を平らにし、傾斜、勾配を少し付けて水を透すようにしておけるとベストです。
(補足) 砂利などと組み合わせることで、耐久性は大きくアップ
実は、市販されている防草シートは、最大手のプランテックス(旧名称 ザバーン)はじめ、全て、防草シートの上に玉砂利や砕石、バークチップ・ウッドチップや人工の芝生を置いて見えないようにして使用することを前提にしています。
このため、一般的な防草シートは日光に露出(曝露)して数年も敷けて放置できるように作られていません。非常に耐久性があるザバーン240Gで、曝露使用だと耐用年数は7〜12年、最高の耐久性を持つザバーン350Gで、10〜15年なのです。
インターネットの記事などで、曝露してそのままの使用もOKと書かれていたりしますが、そもそも曝露して使用することを前提としていないので、曝露使用での耐用年数はあてにしない方が賢明です。そのままその情報を鵜呑みにしてむき出しで使用すると、紫外線で思った以上に早く劣化します。空き地などの整地されていない場所、畦(畔)のような通路(畦道)など、曝露して使用する場合は、場所を限定するのが賢明です。
ここで、防草シートに合わせて、砂利やバークチップや人工芝を上にセットする組み合わせをおすすめします。防草シートの上に更にかぶせることで、紫外線による劣化を防ぐことができ、ザバーンクラスのものだと、耐用年数は半永久的になります。また長持ちさせることで、一年あたりの防草や除草にかける費用を大幅に減らすことができます。是非、砂利や人工芝との組み合わせを検討してみてください。
砂利や砕石、人工芝は下記から購入可能です。
(補足) 透水性以外に、防草シートに求められること
「厚さ」と「密度」
防草シートはそれぞれ厚さと密度が異なります。例えば、ザバーンは、350G、240G、136,128,68と5種類がありますが、下記の表のように、厚さと坪量(g/㎡)の密度などが異なります。
商品名 | ザバーン350G | ザバーン240G (プランテックス240BB) | ザバーン136 | ザバーン128 | プランテックス68 |
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概要 | |||||
坪量(g/㎡) | 350 | 240 | 136 | 128 | 68 |
厚さ(mm) | 0.8 | 0.64 | 0.4 | 0.4 | 0.27 |
お知らせ:防草シートの名称変更について|旭・デュポン フラッシュスパン プロダクツ ホームページ
厚みがあり高密度だと、引張強度や引張伸度、引裂強度は高まり、耐久性は増します。また、地面から生えてくる雑草の突き抜けなども物理的に抑え易くなり、耐用年数は高まります。
「不織布かどうか」
雑草はシートの縦横の織目の隙間を驚くべき力で貫通し、シートは破れます。特に、チガヤやハマスゲ、セイタカアワダチソウ、竹、笹などは突抜け性の強い多年生の雑草で、またスギナなども大変力が強い雑草が多数存在します。このため、防草シートは突き抜ける雑草をしっかり防ぐ「対貫通力」が求められます。
化学繊維のシートの中でも、不織布の材質のシートの方がそうでないものより、遥かに貫通を防ぎます。しかし、不織布は不織布ではないものより、材質、工数がかかり、作るコストが高くなってしまいます。つまり、不織布にすると、防草シート価格が上がってしまいます。
材質
また、防草シート(除草シート)は野外で使用するため、日光による劣化のほかに、水にさらされ続けることで加水分解する材質は劣化も早く、透水性が低いと水はけが悪く、雨水でぬかるみを作ってしまいます。また酸性、アルカリ性に弱い材質も、そうでない材質のものより劣化が早くなります。このため、ポリエチレン(ビニール袋などによく使われます)よりも、透水性が高く、酸性、アルカリ性に強い材質のポリプロピレンを使用している防草シート(除草シート)が多く、そういったものは、そうでないものより単価が高くなる傾向があります。またポリプロピレン製は、切断し易くほつれにくく、施工しやすい特性も有しています。
防草シートを敷く時に、あると便利なツール
防草シート(除草シート)同士に隙間ができると、その隙間から雑草は繁殖します。このため、隙間を作ることなく、しっかり地面にシートを固定し、敷き詰める必要があります。
防草シート(除草シート)の上に砂利や砕石を置くことで重しとなりますが、今日の強風や激しい雨などを考えると、それでけでは十分ではありません。下記のような、シートを固定するための、マルチングにも使えるピンや、シートとシートをしっかり接着、粘着する養生テープの利用することで、隙間に雑草が生えてくることを防ぎ、耐用年数を伸ばすことができます。
まとめ
植物の光合成を疎外して、成長させなくする防草シート。造園ではほんとよく使われますし、本当にたくさんの種類があります。
しかし、防草シートを敷いたために、水はけが悪くなって水たまりができて、そこから蚊が発生するようになったりしたら、元も子もありません。こういったデメリットをなくすためにも、こちらで紹介した水はけのいい防草シートを利用して、その心配を解消していただければ幸いです。