甘くて大きなスイカを育てるには肥料が大切です。しかし肥料を与えたにもかかわらず、育ちが悪かったり実が大きくならない場合には、肥料が不足している可能性があります。この記事では、スイカの肥料不足の症状や対処法などをわかりやすく説明します。
スイカの肥料不足の症状
草勢が弱い
スイカの肥料不足の判断は、草勢で判断します。草勢(そうせい)とは、植物の株の成長の勢いのこと。
スイカは植え付けから花が咲くまでは肥料を多く必要とせず、元肥は少なめに与え、草やつるが生長しすぎてつるぼけになるのを防ぎます。しかし、花が咲いた時に草勢が弱すぎると、果実を大きくする力が足りずに大きなスイカを収穫することができません。
雌花が咲いた当日の朝、人工受粉(交配)をする前に草勢を確認しましょう。理想的な草勢は、雌花の位置からツルの先端までの長さが40㎝~50㎝、つるの先端が軽く持ち上がっている。葉と葉の間が15㎝程度です。
先端までの長さが40㎝以下で、つるが寝ている、葉と葉の間が短い場合は、草勢が足りない肥料不足の状況です。逆に先端までの長さが50㎝以上あり、つるが大きく上に持ち上がっている、葉と葉の間が15㎝以上あるならば、肥料過多の状況です。
実が大きくならない
スイカは、着果のときに肥料を多く必要とします。実がある程度大きくなってから成長しない場合には、肥料が不足している可能性もあります。しかし実が大きくならないのは、肥料不足だけでなく日照不足・水やり・摘心摘果不足・病気などの理由もあります。追肥を忘れていないのであれば他の原因の可能性もあります。
肥料不足の対処法
草勢が弱い場合には、速効性のある液体肥料(液肥)や化成肥料を使って早めに草勢を回復させましょう。液体肥料を使う場合は規定量に薄めた肥料を与えます。化成肥料を使う場合は畝の肩もしくはつる先に、ところどころに蒔き、水やりをしましょう。
追肥におすすめの化成肥料
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
スイカ専用肥料
スイカ専用の肥料も初心者の人にはおすすめです。元肥にも追肥にも使えます。有機入り肥料の「花ごごろ スイカ・メロンの肥料」や 「アミノール化学 すいか・メロン専用肥料」「グリーンメール メロン・ゴーヤ・スイカの肥料」などがあります。
その他 固形の化成肥料
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥にはN-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥にも使えます。追肥には、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料もおすすめです。
その他のスイカのトラブル
病害虫
病気
スイカは、うどんこ病、疫病、炭疽病(たんそびょう)、つる枯病、つる割病などの病気にかかりやすいです。葉に斑点がでたり、茶色く枯れたりしてきたら病気を疑いましょう。
対策としては梅雨に高温多湿によるカビの被害が多いので、土壌の水はけを良くしたり、風通しがよく日当たりの良い場所で育てましょう。水はねを防ぐ敷き藁やマルチングなども有効です。早期発見が大切です。また発生してしまったら殺菌剤の使用も効果的です。
害虫
スイカの葉が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。スイカはアブラムシ、ハダニ、ウリハムシ、ミナミキイロアザミウマなどの害虫がつきやすいです。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
日照不足
スイカは、乾燥につよく強い日差しを必要とします。元気がないつるや茎がが細くひょろひょとしているときは日照不足の可能性もあります。
日照不足になると、つるや茎がひょろひょろと伸びる徒長がおきたり、実のつきが悪くなる、大きくならないなどさまざまな問題がおきます。ベランダなどで育ててる場合も、日当たりの良い場所で管理しましょう。
肥料のあげすぎ
スイカは、肥料不足より肥料過多に注意が必要です。肥料をあげすぎるとつるボケをおこし、実がつきにくくなります。草勢が強すぎた場合には、交配後に孫づるを、5節上ぐらいまで整枝しましょう。追肥も少なめにします。
【補足】スイカの肥料の与え方
肥料時期や与え方
スイカ肥料の与え方のポイントは、元肥は控えめに追肥はしっかり行います。
スイカはキュウリなどと比べると肥料はそれほど多く必要はありません。スイカは、つる性のため生育初期に肥料が効きすぎるとツルや葉がのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきるため、植え付けから雄花や雌花が咲くまでは肥料はあまり必要ありません、実がついてからは肥料を多く必要とするため追肥を行います。
元肥は、土を幅40㎝ほど掘り起こして、底に堆肥と有機肥料などの緩効性肥料を入れその上に掘り起こした土をいれておく、鞍築を苗の植え付け15日前までに行っておきましょう。追肥は、実が鶏卵ほどの大きさになってから速効性の化成肥料を畝の肩もしくはつる先に、ところどころにばらまきます。3週間後にもう一度同様に追肥しましょう。
土壌と肥料について
スイカに限らず、野菜づくりには土づくりが大切です。水はけと通気性がよく水持ちのよい土が野菜づくりには必須です。そのためには、堆肥を土に入れてよく耕して土を団粒構造にします。つる割病の予防には苦土石灰も混ぜるとよいでしょう。
堆肥とは、鳥や豚・牛などの家畜のふんや、わらや落ち葉などの有機物を堆積して発酵させたもので、腐葉土も堆肥です。堆肥で土づくりをしっかり行い、さらに元肥を施し足りない肥料分を補います。
有機肥料もおすすめ
元肥には有機肥料はゆっくり効果がでるため、肥料やりの失敗がおきにくいので家庭菜園にはおすすめです。油かすや鶏ふん、米ぬかなどを使うことができます。また牛ふんは堆肥として土壌改良にもおすすめです。