多年生植物のクレソンは、日本では水辺で水面で横たわるように浮いて成長しているため、水耕栽培に向いている植物です。ここでは、種まきやスーパーで買ってきたクレソンを使った水挿しから始める水耕栽培の始め方から、収穫までの育て方について説明します。
クレソンの水耕栽培について
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
水辺に生えて育っていることから、水生植物と間違われることもあるほど、水を好み生育が旺盛なため水耕栽培に向いています。スーパーなどで販売されているサラダクレソンなどは、根元にスポンジがついていることからもわかるように水耕栽培で栽培されています。
クレソンの水耕栽培は、播種(種まき)と、挿し木で始められます。クレソンは発芽率は高いですが、種から育てると収穫まで2.5ヵ月ほどかかることから、家庭などではさし木で増やすのが一番簡単です。野菜売り場で売られているクレソンから簡単に発根します。
挿し木から始める水耕栽培
クレソンは、カットした茎をそのまま水に入れておくだけでも発芽します。今回はそのままペットボトルでの水耕栽培へ移行できる手順について、説明します。
準備するもの
- クレソンの茎(スーパーで買った茎や、成長した茎を先端から10cmほどにカットしたもの)
- スポンジ(キッチン用スポンジで可。メラニンスポンジは不可)
- ペットボトル
- 水耕栽培の肥料
- ハサミ、カッターなど
水耕栽培の手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、3㎝~4㎝程度に四角にカットし、中央に切り目をいれます。
- 手順3スポンジにクレソンをセットする
スポンジに切り目をいれた部分に、クレソンの茎をセットします。スポンジにはさむ部分に葉がある場合は取り除いておきましょう。
- 手順4ペットボトルにセットして発根を待つ
切り取ったペットボトルを切り取った上部をさかさまにし、飲み口の部分に、手順3で作ったスポンジを押し込んで固定します。切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、上部のペットボトルをセットします。
日の当たる明るい場所で管理しましょう。ただし暑さには強くないので直射日光が当たると温度が上がりすぎることがありますので、温度には気をつけましょう。
- 手順5肥料を与える
根がでてきたら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん横に這うように成長します。ペットボトルだけだと倒れる危険があります。背の低い陶器のコップなどの中にいれておくと、藻も防げて転倒を防ぐことができます。
- 手順6収穫する
葉がある程度大きくなってきたら、収穫しましょう。カットした部分からまた成長して収穫ができます。培養液を使って育てましょう。
編集さんクレソンは花が咲くと質が落ちます。花芽がついたら取り除きましょう。
花が開花してしまったら、すべて収穫しましょう。そのままでも育てることはできますが、挿し木で育てた方が、早く収穫することができます。
タネまきから始める水耕栽培
クレソンスプラウトを栽培したい場合や、一度に大量に収穫したい人は種まきから始めましょう。クレソンスプラウトには、ガーデンクレス(コショウソウ)の種を選びましょう。
種まきの時期
クレソンの発芽適温は、18℃~22℃。タネまきの時期は、春まきが4月~5月、秋まきが9月~10月が適期です。室内で発芽温度が保てるのであれば、この時期以外でも発芽させることもできます。
クレソンの生育温度は、15℃~20℃と、暑さには強くありません。秋まきのほうが温度管理が容易です。
準備するもの
- クレソンの種
- スポンジ(キッチン用のスポンジでOK 。メラニンスポンジは不可。やわらかめがおすすめ)
- 水
- ラップもしくはティッシュペーパー
- 竹串(爪楊枝でも可)
- 500mlのペットボトル
- 水耕栽培用の肥料
- カッターもしくはハサミ
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を3~4粒差し込みます。クレソンの種は好光性種子なので、あまり深く押し込まないようにします。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。5日~10日程度で発芽します。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
本葉が2~3枚出てきたら、成長していない苗があれば間引きしておきます。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。クレソンは水を好むので水切れには注意が必要です。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
横に這うように成長するので、背の低い陶器のコップなどもおすすめです。
- 手順7収穫する
葉がある程度大きくなってきたら、収穫しましょう。カットした部分からまた成長して新芽がでてきます。培養液を使って育てましょう。
花芽がついたら、すぐ取り除きましょう。花が咲いてしまったら全部収穫して、また挿し木から栽培するのが、おすすめです。
ハイドロボールを使った水耕栽培の手順
少量であればペットボトルを使った水耕栽培がおすすめですが、ハイドロボールを使えばもっと手軽に、たくさんのクレソンを栽培することができます。
用意するもの
- スポンジで発芽させたクレソンの苗 or 水挿しで発根させたクレソンの苗
- ハイドロボール小(事前に水洗いしておいたもの)
- スプラウト栽培容器(水切りザルなどでも代用可)
- 水耕栽培用肥料
手順
- スプラウト用の容器の上部に、ハイドロボールを入れ平らにならします。
- クレソンの苗を、株間10cmほどをとって植えつけます。(スポンジで発芽させたものはスポンジのまま)
- 苗が倒れないようハイドロボールでささえます。
- ハイドロボールの上から水やりをします。
- 根が下の容器にでてくるようになったら、下の水を取り替えながら育てます。
- 水耕栽培用の肥料は、10日1度与えて育てましょう。
クレソンスプラウト(クレススプラウト)の育て方
発芽したての野菜の新芽をスプラウトと呼び、栄養価が高いのでカイワレ大根だけでなく、ブロッコリースプラウトや、ルッコラスプラウトなど種類も増えています。クレソンもクレススプラウトとして、流通しています。わさびのようなピリッとした辛みが特徴です。
スプラウトを育てる場合には、品種は「ガーデンクレス(コショウソウ)」の種を使います。
準備するもの
- ガーデンクレスの種
- スポンジ(キッチンスポンジでOK/キッチンペーパーでも代用可)
- スポンジが入るぐらいのタッパー
- 霧吹きがあると便利
手順
- タッパーに水をいれ、スポンジに水を吸わせます
- ガーデンクレスの種を、種が重ならないようにスポンジにばら撒きます
- 温度が20℃~25℃の暗い場所に置いて、種が乾かないように朝晩、霧吹きで水を上げます。
- 発芽してきたら水を1日に1度は交換しながら育てます
- 草丈が5㎝程度になったら、日に当てて緑化させて育てます。草丈が10㎝ほどになったら収穫できます。
クレソンの水耕栽培の育て方
クレソンの基礎知識
クレソンはフランス語で、和名はオランダガラシ、英名はウォータークレスと呼ばれています。カラシとつく名のとおり、葉に少し辛味があり、サラダやお肉のつけ合わせなどによく使われます。
繁殖力が高く、湿地や水辺などで自生しており、在来種生物を駆逐する危険な要注意外来生物にも指定されているほどです。水を好むので水耕栽培に向いており、茎を水に挿しておくだけで発根します。生育適温が15℃~20℃で、冷涼な気温を好みます。
学名 | Nasturtium officinale |
属名 | アブラナ科オランダガラシ属 |
原産地 | ヨーロッパ |
樹高 | 20~90cm |
耐寒性等 | 耐寒性 普通 耐暑性 普通 |
花言葉 | 「不屈の力」「安定」「忍耐力」 |
置き場所、日当たり
クレソンは悪条件の場所でもたくましく育ちますが、日が当たり、湿気の多い場所を好みます。半日陰でも育ちますが、長期間日陰に置くと、株が軟弱になったり、ヒョロヒョロと徒長することもあります。明るい場所もしくは真夏以外は、カーテン越しの光が当たる場所で管理しましょう。真夏の窓際は高温になりやすく、また直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けた方がよいでしょう。
暑さと乾燥に弱く、冷涼な環境を好みます。夏は温度が上がりすぎないように気をつけましょう。冬にも収穫するのであれば、8℃以下にならない環境で育てましょう
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
また水を好むので、成長時には多くの水を吸収します。水切れには注意が必要です。
肥料
収穫を楽しむクレソン栽培は、土から栄養がとれないため水耕栽培専用の肥料を使って育てます。水の交換のときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料などがあります。
まとめ
水に浸けておくだけで、緑色の新芽が成長して10日ほどで収穫できてしまうほど、生命力が強いクレソン。栄養価も高いスーパーフードです。肉料理のつけ合わせだけでなく、スープに入れたり、サラダ、てんぷら、しゃびしゃぶにしても食べてもおいしいので、ぜひ水耕栽培でどんどん収穫をしてみましょう。
水耕栽培は、ハーブの他リーフレタスなどの葉物野菜や、ハイドロカルチャーの観葉植物の栽培も人気があります。土を使わないので虫もつきにくく、室内で育てられるので忙しい人にも始めやすい栽培方法です。容器やタネなどは100均などでもそろえることができますし、専用の水耕栽培セットなどもあり手軽に始めることができます。
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