この記事では、おすすめの水草肥料(液肥・固形肥料)とその選び方・使い方について、簡単に解説します。
おすすめの水草肥料 選び方とその使い方
水草肥料は、形状や含まれる成分によっていくつかのタイプに分かれます。それぞれの観点で、どう違うのか、どう使うのか詳しく解説します。
水草肥料の形状と選び方・使い方
水草の肥料には形状によって、液体タイプ(液肥)と固形タイプ(固形肥料)の2種類があります。それぞれ栄養の吸収方法や効果の持続期間が異なるため、メリット・デメリットを考えて使いやすい方を選びましょう。
浮き草:液体肥料がおすすめ
液体肥料は、水槽全体に栄養が行きわたりやすく、また、肥料の量を調整しやすいという特徴もあります。液肥は浮き草など水の中から主に栄養を吸収する水草におすすめの肥料です。
しかし、頻繁に添加しなければならないなどのデメリットもあります。
使い方は簡単で、定められた量を水槽に添加、投入するだけです。
根を張る水草:固形肥料がおすすめ
固形肥料は、すぐには栄養が行きわたらず即効性はありませんが、ゆっくりと栄養が溶け出すので水質が変化しにくく、頻繁に追肥する必要がない肥料です。固形肥料は、根を張る水草に適しています。
しかし、全体に栄養が行きわたらすためには固形肥料の投入場所を考えたりする必要があります。また、成分が溶け出すのに時間がかかるため、水草の生長、生育改善に時間がかかる場合があります。
使い方は簡単で、水草の根元、もしくは水槽底面に固形肥料を埋めることで栄養素を補給することができます。商品にもよりますが、効果は約2〜3ヶ月間ほど持続します。
不足しがちな栄養素が含まれた肥料を選ぶことも重要
水草を育てる上で重要な栄養素と言われているのが、カリウム・窒素・リンの3つです。これら重要な栄養素を補う肥料を使うと良いでしょう。
特にカリウムは水槽内で不足しがちなので注意が必要です。肥料で補うことをおすすめします。
また、総合栄養剤などを使って、鉄・カルシウム・マグネシウム・硫黄なども補給してあげると良いでしょう。
おすすめの水草肥料 液肥編
液体肥料(液肥)は、水槽内の水に直接添加することで利用する肥料です。すぐに水に溶けるため、すぐに効果を発揮する反面、こまめに添加する必要があります。一般に、次のような特徴があります。
- 速効性がある
- 砂利やソイルに根を張らない浮き草にも有効
- 埋め込みなどセッティングの手間がなく手軽に利用できる
代表的な液体肥料(液肥)として、以下のようなものがあります。
メネデール 水草の活力素
農業や園芸の分野ではお馴染みのメネデールの製品です。窒素やリン酸などを含まないため肥料ではなく、鉄の二価イオン(Fe++)を主成分とする活力素と位置付けられています。したがって、苔類が繁殖する心配もないので、観賞魚の水槽にも安心して使えます。特に、赤い水草の鮮やかさを保つためには、鉄の補給が有効とされています。
ジクラウォーターベニッシモ 水草用
ジクラ(zicra)が販売するジクラウォーターシリーズのひとつです。海洋性珪藻土を主成分とする栄養補助剤です。有機酸、鉄分、微量元素、ミネラル、ビタミンなどにより、白化現象の予防と改善に寄与します。同時に、水槽内のバクテリアを活性化させることで、根の張りを強くすることも期待されます。水道水に含まれる塩素(カルキ)を安全に素早く中和する効果も謳われています。
Plants Green プランツグリーン
リーフ(Leaf Corporation)が販売するスプレータイプの栄養剤です。バランスよく栄養成分が含まれているため、葉、茎、根のいずれの生育についても助ける働きがあります。水槽に数回プッシュして添加します(照明の強さや二酸化炭素の有無に応じて調整します)。ほとんどの水草に吸収されますが、ミクロソリウムやクリプト類には吸収されないことがあるとされています。250ml、500ml、1000ml(詰め替え用)といった内容量の異なる規格があります。
上手に水草を育てる栄養剤
ソネケミファが販売する水草用の栄養剤です。ボトルを数回プッシュするだけで、簡単に液剤を水槽へと添加できます。成分はカリウムと微量元素です。水草の光合成を活発にすること、新芽の育成を促進すること、根張りを良くすることなどが期待できます。なお、光合成を活発にさせるために、十分な光量や二酸化炭素(CO2)を確保するようにしましょう。
トロフィカル K+
マーフィードが販売する水草用の栄養剤です。カリウムを補給し、水草の根と草体を強くする目的で使用します。パールグラスやグロッソスティグマでの使用も想定されており、毎日添加するようにします。
おすすめの水草肥料 固形肥料編
固形肥料は、水槽内の砂利やソイルに埋め込むことで利用する肥料です。形状は、スティックであったり、粒であったり、パウダーであったりとたくさんの種類があります。一般に、次のような特徴があります。
- 長期間効果が持続する
- 砂利やソイルに根を張る水草にも有効
- 無機だけでなく有機物由来の肥料もある
代表的な固形肥料として、以下のようなものがあります。
水生植物の肥料
花ごころが販売する専用肥料です。農家にとっては見慣れた肥料成分の保証票があり、N(チッソ)-P(リン酸)-K(カリウム)=6-4-3となっています。良質な天然腐植に肥料成分を吸着させ、粒状化させています。元肥としても追肥としても利用できます。ホテイアオイをはじめとする土を使わない浮遊性植物には利用できない点、金魚や熱帯魚の飼育環境では利用できない点に注意してください。
テトラ イニシャルスティック
スペクトラムブランズジャパンが販売する底砂用添加剤です。水槽セット時の底砂に混ぜることで、鉄やマンガンをはじめとする水草に必要な栄養素を長期間供給します。葉から吸収させる速効性の「テトラ フローラプライド」、根から吸収させる速効性の「テトラ クリプト」との併用も推奨されています。
OKOSHI
神畑養魚(カミハタ)が販売する底床に埋め込むタイプの水草専用肥料です。カリウムを多めに、微量元素もバランスよく配合しています。微量元素としては、鉄、銅、亜鉛、マンガン、モリブデン、ホウ素が含まれています。肥料の1粒1粒を有機樹脂でコーティングしているため、成分がゆっくりと溶出します。
グランパワー
エフィッシュ(efish)が販売する固形栄養素です。米ぬかなどの有機物が原料となっており、チッソ、リン酸、カリウムに加え、アミノ酸、ミネラル、ビタミンを含んでいます。底土内に数粒ずつ埋めた後、微生物やバクテリアに分解させることで、水草が利用できる成分へと変化します。微生物やバクテリアが活性化するので、水質を浄化する働きもあるとされています。
丈夫な水草を育てる 水草栄養ブロック
ジェックス(GEX)が販売する国産天然原料100%の錠剤型栄養素です。カリウム、マグネシウム、ミネラル、ビタミンなどを水草へと供給します。ピンセットを使って、水草の根元へと埋め込みます。栄養供給のほか、根腐れ予防や有用バクテリアの活性化などの効果もあります。
水草のための肥料を購入するには
ホームセンターなど店舗で購入する
上記で紹介した肥料は、ホームセンターでも販売されています。また、ダイソーなどの100円均一でも販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。
水草とは?
水草とは、水中で生活する植物のことです。オオカナダモのように植物体すべてを水中に沈めているもの、睡蓮(スイレン)のように葉や花を水面に浮かべるものなど様々なタイプがあります。
水草は藻類を含めた表現をされることもあり、少し曖昧な含みをもった言葉となっています。植物に藻類は含まれないのですが、たとえば植物であるオオカナダモを大カナダ藻と表記することもあるように、一見した区別は難しい部分もあります。
近年では、アクアリウムやテラリウムも人気があり、水草をインテリア的に見かけることも増えました。アクアリウムやテラリウムでは、水槽に砂利などを敷くことで底土とし、その上に流木などをレイアウトおよび設置します。そこに水棲の生物として、水草、魚、あるいはエビやザリガニなどの甲殻類を加えます。ガーデニングのように植物を育てる魅力、犬や猫とは異なりますがペットを飼う魅力の両方を兼ね備えています。
水草に肥料は必要?園芸用肥料は使える?
自然界の水草においては、巡り巡って肥料あるいは栄養分が供給されるようになっています。しかし、アクアリウム、テラリウム、ビオトープのような閉鎖された空間では、肥料あるいは栄養分は植物や動物(メダカや熱帯魚など)の生体に固定されてしまいます。したがって、定期的に水草に肥料を与えなくてはいけません。
水草に肥料を与えること、つまり施肥においては、とくにカリウムの供給が重要です。肥料の三大要素が、チッソ、リン酸、カリウムであることはよく知られています。そのうち、チッソとリン酸は、動物(メダカや熱帯魚など)の餌としてアクアリウム、テラリウム、ビオトープのような閉鎖された空間に供給されます。一方で、カリウムの供給は限られるため、これを補うためにカリウムを肥料として添加する必要があります。カリウムが不足すると、水草は元気に成長することができません。
水草の肥料には、基本的に専用の水草肥料を利用します。しかし、園芸用肥料も、水草の肥料として利用できます。一方で、園芸用肥料は、水中に供給するには濃度が濃いため、過剰供給になりがちという問題があります。初心者には必ずしもおすすめできませんが、上級者の中にはハイポネックスなどの一般的な園芸用肥料を愛用している人もいます。