タッチダウンiQとは?
タッチダウンiQは、シンジェンタ ジャパン(株)が販売する、最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)の一つです。
タッチダウンの成分は「グリホサートカリウム塩」で、「グリホサートイソプロピルアミン塩」と比べて「グリホサートカリウム塩」の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすく、また早朝の農作業で朝露が付いても、効果が減少しない特性があります。
またタッチダウンの界面活性剤は、拡展タイプと浸透タイプが絶妙なバランスでブレンドされていて、広さと浸透がバランス良く作用し、効果が促進されるようになっています。
また除草剤タッチダウンiQは、原液を希釈して薄めて使うタイプなので、経済的に使用できます。
また、タッチダウンiQは、ラウンドアップやサンフーロン、エイトアップと同様、畑作や果樹園などの畑、農耕地で使用することができます。その他のグリホサート系除草剤は、農耕地で使用できないものもあるので、使用の際は必ず確認するようにしましょう。
タッチダウンiQの使い方
主な使い方
タッチダウンiQは、液剤の除草剤原液なので、希釈して薄めて使用します。使用薬量と希釈水量は、ラベルの裏に細かい使用薬量と希釈水量が書かれていますので、ぜひご参考にしてください。
タッチダウンiQは、基本的な雑草には、原液5mlに1Lの希釈水量、つまり、「200倍」の希釈率を目安にし、0.25〜1Lを100㎡に散布します。
ただし、スギナなど、特に強雑草と呼ばれる雑草のような多年生雑草(翌年も生える雑草)に場合は、希釈率を200倍から、100倍〜50倍とうすめる濃度を上げた方が効果がでるので、濃度を高めることをおすすめしています。どの雑草に対して使用するかで、うすめる濃度を変えていきましょう。
また、竹や木などは、ドリルで穴を開けて、原液を流し込むのが効果的です。この場合、目安としては、竹一本に対して原液10mlです。また、雑草によって、早春、盛夏、晩秋の時期に散布すればいいのか変わってきます。
尿素を混ぜると(尿素混用)除草剤の効果が高まります
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。
グリホサートとは何か? その効果は?
除草剤の成分として使われる「グリホサート 」とは、主にグリホサートイソプロピルアミン塩、グリホサートカリウム塩のことを指し、アミノ酸である“グリシン”と“リン酸”の誘導体です。
グリホサートは、植物体内での5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸の合成を阻害し、植物固有のアミノ酸を含むタンパク質や代謝産物の合成をできないようにします。この結果、植物を枯らしてしまいます。
このような、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して、枯らしてしまうタイプの代表的な薬剤は、グリホサート 系の他に、スルホニルウレア系(ベンスルフロンメチル、イマゾフルフロン、ピラゾスルフロンメチルなど多数)、非選択性接触型のアミノ酸系(グルホシネート、ビアラホスなど)があります。
グリホサートは、イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木、イシクラゲなどほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は遅効性で効果の発現に3 ~ 7日、そして完全な効果に10日~ 2カ月ほどを要します。
グリホサートの大きな特徴としては、(茎葉)吸収移行型のため、葉だけでなく、接触した植物の地下茎(スギナなど)、根も含めて全体を枯らす効果があります。このため、水稲が残る水田や根を残したい田んぼの畔や傾斜地には向きません。非選択性(どんな植物にも効く)のため、農業に使用する場合など、散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | エイトアップ | ネコソギロングシャワーV8 | アースカマイラズ | カダン 除草剤 ザッソージエース | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 | アイリスオーヤマ 除草剤 速効除草剤 | 早く効いて根まで枯らす除草剤 |
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概要 | ||||||||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | (有)チャレンジサービス | レインボー薬品(株) | アース製薬(株) | フマキラー(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) | アイリスオーヤマ | トムソンコーポレーション(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサート イソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル | グリホサートカリウム塩 + MCPA | グリホサート イソプロピルアミン塩 + MCPA |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ | ほぼ✖️ | ○ | ○ | ✖️ | ✖️ |
グリホサートの安全性について
グリホサートが危険であるという具体的な主張の内容
近年、グリホサートの安全性、薬害について、様々なシーンで議論がなされています。主には、グリホサートが恐らく発がん性物質であり、ヒトの健康を害するものであるという主張、また内分泌かく乱物質であるという主張、またヒトの母乳や尿中に蓄積して、腎臓などに障害を及ぼすと言う主張、更にはグリホサートを主成分とする除草剤に含まれる界面活性剤に予期しない毒性があるという主張です。
グリホサートが発がん性物質という主張について
2015 年、IARC (国際がん研究機関)はグリホサートを検証する委員会を開催し、既発表の論文を部分的に検証したIARC(国際がん研究機関)は、グリホサートを「クラス 2A」すなわち「ヒトに対して恐らく発がん性がある」に分類しました。(IARC, 2015)
これに加え、学校の校庭整備の業務で使用したラウンドアップが要因で、悪性リンパ腫を発症した、と主張した末期がん患者との裁判で、アメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ市の陪審は2018年8月10日、ラウンドアップ 販売会社のモンサントに、損害賠償金2億8,900万ドル(約320億円)の支払いを命じました。
しかしながら、本件は、モンサントを買収したバイエルが、ラウンドアップ の責任、不正行為は認めることはないまま、和解を成立させています。
現在では、アメリカ合衆国、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、欧州連合(EU)では、それぞれ「ヒトの発がんリスクの可能性は低い」「ヒトにおけるグリホサートばく露及び発がんとの関連に確証的なエビデンスはない」「グリホサートはヒトに発がんリスクをもたらさない」と結論づけていますし、米環境保護庁(EPA)は、除草剤に用いられているグリホサートに「発がんのおそれがある」と表示することを禁止するガイダンスを発布しています。
また、日本でラウンドアップ を販売している日産化学工業も、グリホサートに発がん性は無いと判断している声明を発表し、内閣府食品安全委員会も、発がん性・遺伝毒性は認められなかったと結論を出しています。
他のリスクの主張について
他のリスクの主張についても、米環境保護庁(EPA)は、グリホサートは内分泌かく乱物質ではない、また、検知可能な量のグリホサートが残留していても健康上の懸念とならないこと、母乳には蓄積しないこと、ヒトの腎臓などに障害を及ぼさないことを述べています。
また、グリホサート 系除草剤に含まれている界面活性剤については、グリホサートを含む除草剤及びこれに含まれる界面活性剤について、生態毒性のリスク評価を実施し、水生生息地以外の野生生物に重大なリスクとならないとの結論を出しています。(モンサント 2016年7月)
さらに、メーカーのHPで、土に落ちたラウンドアップの成分は、処理後1時間以内のごく短時間で、土中の土の粒子に吸着し、その後微生物により自然物に分解され、約3~21日で半減、やがて消失すると記載されています。