水稲の除草は、除草剤での防除が主流ですが最近では、除草剤が効かない抵抗性雑草が増え、除草剤の価格も高騰してきています。また農薬を減らして作る特別栽培米は、ユーザーのニーズを受けてますます付加価値が上がり、栽培農家も増えてきています。
除草剤が効かない雑草の駆除や、減農薬の田んぼには、水田除草機が活躍します。この記事では、水田除草機の種類や製品の特徴などをわかりやすく説明します。
水田除草剤の種類・特徴
田んぼなどで使われる水田除草機は、自分の手で押して進む「手押し除草機」や、手押し除草機にエンジンが付いたエンジン式除草機、その他大型農家などで使われる「乗用除草機」などがあります。また専門の除草機の他、田植え機や刈払機などにアタッチメントをつけることで除草機として使えるものもあります。
手押し除草機
除草剤が発達する前から使われていた、条間を手で押して前に歩いて進んで使うタイプの除草機です。簡易的なものでも、軽量化され使いやすくなっています。また刈刃を2種類つけることにより株間と条間を一度に除草でいるものなどもあります。あまり広くない田んぼや、除草剤が取り残した場合の雑草の除草などに、手軽に使える除草機です。
エンジン式除草機
水田の中を手押しで前に進むのは、ある程度の力が必要です。エンジンで歩行をアシストするのがエンジン式除草機です。1条から8条まで一気に行えるものもあり、中耕と除草が一緒に行える「中耕除草機」や株間と条間を同時に行える「株間除草機」などがあります。
乗用除草機
水田の乗用除草機には、専門の乗用草刈機の他、田植え機、除草機などアタッチメントを装着して様々な水田農作業をこなすタイプ、アタッチメントのみを販売している会社もあります。価格は500万円以上のものもあります。こちらは大規模に特別栽培米を栽培している農家向けといえます。エンジン式除草機を乗れるようにした手軽なものもあります。
ロボット型水田除草機
アイガモロボ
アイガモロボは、井関農機から2023年に販売開始された「水に浮かべる自動抑草ロボット」です。今までとは全く異なる雑草対策で、水を濁らせることで太陽光を遮り、雑草に光合成をしにくくすることで雑草を抑制します。また巻き上げた土に雑草の種が埋没して発芽させない効果もあります。
電力はソーラーパネルがついているので、太陽光エネルギーで自家発電します。またGPSで設定した航路を自動で走り続けることができるので、田んぼに浮かべるだけで手間もかかりません。価格は50万円ほどで、2022年の実証実験では7割以上の農家で効果を実証しているとのことです。
ミズニゴール
ミズニゴールは、長野の農業ベンチャーが開発した、水田を走ることで水を濁らせ、雑草を抑制するロボット。リモコン型、GPS搭載の自動運転型も2023年に発売されています。
まとめ
水稲の除草剤は年々値段も上がり、抵抗性のある雑草も多くあります。有機栽培だけでなく、除草機と併用して使うことで、除草剤を減らす効果や中耕も一緒に行うことで、肥料の吸収を良くしたり土中の有害ガスを抜くこともできます。