除草剤は専用ノズルを使うことで、狙った雑草だけに散布することができやすく、作物への薬害へのリスクを減らすことができます。
この記事では、除草剤のノズルについて、その種類や選び方についてまとめています。
除草剤のノズルは除草剤専用を使うべき?
除草剤専用のノズルは、薬液の粒が大きくドラフト(飛散)しにくくできています。殺菌剤や殺虫剤のノズルでも工夫すれば散布することはできますが、できれば除草剤用のノズルを使った方がよいでしょう。
殺菌剤や殺虫剤に散布するときのノズルと除草剤用のノズルはどのように違うのでしょうか。通常殺菌剤や殺虫剤に散布する場合のノズルは、薬液が細かい霧状に噴出し、作物を被うように散布される「霧アリノズル」です。対して除草剤用のノズルは、噴射するときに空気を吸い込んで霧状になるのを防ぎ、風による飛散を防ぐことができるノズルです。噴霧する薬液の粒状が大きく、狙ったものに散布でき、ドリフトしにくいのが特徴です。別名「泡ノズル」とも呼ばれます。
また専用ノズルを使うことで、茎葉処理剤の散布の水量を大幅に減らす「少量散布」が可能となる除草剤もあるため、除草剤散布を省力化させることもできます。
除草剤専用ノズルの選び方
ノズルには上記のような種類による特性があります。除草剤の場合、他の作物や隣地にドリフトすることは、特に避けなくてななりません。このため、選ぶノズルは狙ったところにかけることができる「霧なしノズル(通称:泡ノズル)」が一般的になります。
人力用、動力用、バッテリー用があり、1口タイプから一度の多くの薬液を散布できる2.4.6口などもあります。それぞれの圧力に合わせたノズルになっているので自分の持っている噴霧器(散布機)にあったノズルを購入しましょう。
また除草剤の種類によって、効果的なノズルもあります。それぞれの除草剤にあったノズルについては、詳しい記事がありますので参考にしてください。
商品別のノズルってその除草剤しか使えないの?
ラウンドアップ、バスタ、ザクサなどには専用のノズルがあります。その製品専用に作られたノズルですが、他の除草剤には使えないのでしょうか。
ラウンドアップなどの吸収移行性のあるグリホサート系除草剤、バスタ・ザクサなどのグリホシネート系の接触型の除草剤では、散布の量が違います。接触型の方が雑草に多く接触させる必要性があるため、散布量が多く専用ノズルも、薬液の噴出量がラウンドアップ用に比べ多いのが特徴です。
基本的には、ラウンドアップ用のラウンドノズルは、グリホサート系の除草剤には使うことが可能です。またバスタとザクサの専用ノズルはほとんどかわらないため、どちらの薬剤を使えます。
ラウンドノズルは少量散布用に作られていますので、グリホサート系の除草剤でも少量散布の適用がないものには使えません。また最近販売されたラウンドノズルULV5は、少量散布よりさらに水量を減らした超少量散布が可能ですが、こちらはラウンドアップマックスロードにしか適用がないため現在は、ラウンドアップマックスロード専用です。
ノズルを使った少量散布
ノズルを使うと少量散布が可能と上記で述べてきましたが、少量散布についてもう少し詳しく説明します。
少量散布とは、少量散布専用のノズルを使い、散布水量を大幅に減らして散布する方法のことで、希釈倍率を高濃度で散布することができます。使う薬液の量は減らせませんが、水を減らすことができるので希釈の手間や、重い水を何度も背負って散布する必要もありません。
例えばラウンドアップだと、通常10aあたり、100ℓ~150ℓ散布するところ少量散布だと25ℓ~50ℓ散布すればよく、ラウンドアップULV5を使えばさらに少量の5ℓの散布で効果は変わりません。
どの除草剤でも使えるわけではなく、以前はグリホサート系の除草剤にのみ適用があったのですが、グリホシネート系のバスタにも少量散布が可能となりました。少量散布の適用がない除草剤に少量散布するのは登録違反になりますので気をつけましょう。
噴霧器(散布機)について
夏に茂る雑草。除草剤を散布するのに霧吹きやジョウロで散布できる広さには限界があります。こんな時に役立つのが除草剤噴霧器。噴霧器を使うと、広範囲に楽に散布することができるのはもちろん、均一に散布できるというメリットもあります。噴霧器は散布機とも呼ばれます。
噴霧器(散布機)には、手動型、電気、エンジン、また肩掛けのものもあれば背負式のものもあります。基本的には、「手動<電気<エンジン」の順にパワーは大きくなり、除草剤を入れるタンクも大きくなります。このため、使いたい場所の広さをまず確認して、それに合うパワー、タンクのサイズから選ぶことが重要です。噴霧器や除草ノズルなどをつかって効率よく防除しましょう。
噴霧器(散布機)については、詳しくまとめていますので噴霧器に興味のある方は、こちらも参考にしてください。
噴霧器(散布機)のノズル
ノズルとは「薬液を散布するための筒状の装置」で、噴霧器は、ノズルを装着して液剤の農薬を散布します。ノズルには様々な種類があり、農薬の特性によってうまく使い分けることが重要です。
ノズルの種類 | 特徴 | 適する農薬のタイプ |
霧なしノズル | 噴射するときに空気を吸い込んで霧状になるのを防ぎ、風による飛散を防ぐことができるノズルです。噴霧する薬液の粒状が大きく、狙ったものに散布でき、ドリフトしにくいのが特徴です。別名「泡ノズル」とも呼ばれます。 | 除草剤 |
広角ノズル | いくつかの穴が空いているノズルで、噴射する薬液が衝突して、薬液の粒状が細かく、扇状に噴出されます。少ない薬液で幅広い範囲を散布できる特徴があります。 | 殺虫剤 殺菌剤 |
リング状ノズル | リングに何個かのノズルがついたタイプで、立体状に薬液が散布される特徴があります。 | 果樹園での 殺虫剤 殺菌剤 |
鉄砲型ノズル | 遠くに薬液を飛ばすことができるノズルで、穴が一つのものから複数のもののタイプがあります。畦畔から水田に薬液を飛ばしたい時、立木、高木に散布する場合などに使用されます。 | 水田、果樹園での 殺虫剤 殺菌剤 |