ドクダミ(どくだみ)は多年生で、繁殖力がとても高く地下茎から繁殖するやっかいな雑草です。
この記事では、ドクダミに効く除草剤のおすすめや効果的な散布の方法やその他の除草の方法などをまとめています。
ドクダミの特徴
除草の話をするまえに、まずドクダミの特徴をよく知っておきましょう。駆除したい雑草を知ることで効果的な除草方法がわかります。
ドクダミはドクダミ科の多年草の植物で、日陰や湿地を好みます。5月~6月に白い可愛らしい花を咲かせます。葉は独特の香りがするため苦手な人も多いですが、観賞用の品種もあります。
タネからではなく地下に這う地下茎から繁殖します。ちぎれた、一部の地下茎からでも繁殖し、他の雑草が生えなくなるくらい高い繁殖力を持っています。地下茎を伸ばして地中に根びこってしまうため、草むしりなどで引っこ抜いても、地下茎の一部は地中に残存し、またそこから繁殖するため、本質的な駆除にはなりません。
多年生のため冬には地上部が枯れますが、地下茎や根は残っているため翌年の春にはまた新しい芽をだします。
ドクダミの除草方法
草むしりをしても根が残り、草刈りなどで地上部の茎を傷つけると、新たなシュート(茎や葉)が切れた茎から発生し、逆に増えてしまいます。
ドクダミには除草剤を使う、また防草シートを利用する除草方法がおすすめです。
ドクダミに効く除草剤
除草剤は簡単には、土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」の2パターンがあります。
グリホサート系除草剤(茎葉処理剤)
茎葉処理剤の中には、薬剤がかかった地上部の葉や茎だけを枯らすものや、葉や茎に散布した液剤が地下茎や根やまで枯らし根絶やしにするものがあります。多年生で、地下茎が厄介なドクダミには、根まで枯らすグリホサート系の除草剤がおすすめです。
グリホサート系除草剤の商品についていくつか説明します。
ラウンドアップマックスロード
ラウンドアップは、日産化学株式会社が販売する、最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。現在販売されているのは、「ラウンドアップマックスロード」です。原液とすでに希釈されているタイプ(AL剤)があります。
名前 | ラウンドアップ マックスロード | ラウンドアップ マックスロードAL | ラウンドアップ マックスロードALii | ラウンドアップ マックスロードALiii |
---|---|---|---|---|
概要 | ||||
タイプ | 原液 | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) |
特徴 | 希釈用。 農耕地で使え、経済的 | 基本タイプ | 基本+速効性 | 基本+速効性+持続 |
農耕地使用 | 〇 | × | × | × |
ラウンドアップマックスロードの成分は「グリホサートカリウム塩」で、旧ラウンドアップは、「グリホサートイソプロピルアミン塩」です。「グリホサートカリウム塩」の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい、また早朝の農作業で朝露が付いても、効果が減少しない特性があります。
ラウンドアップは原液タイプは農耕地で使用できますが、希釈済みのAL剤は非農耕地用ですので間違えないようにしましょう。
サンフーロン・エイトアップ
サンフーロンやエイトアップは、初代ラウンドアップのジェネリック製品です。成分は、グリホサートイソプロピルアミン塩です。ジェネリック製品なので安価に手に入れることができます。ラウンドアップマックスロードの成分より、散布後の雨や朝露になどの影響を受けやすいですが、雨の降らない日を選んで散布すれば効果はそれほど変わりませんので、経済的にはお得です。
ネコソギシリーズ
ネコソギシリーズは、レインボー薬品が開発、販売する除草剤ブランドです。粒状タイプのネコソギトップWや、希釈タイプのネコソギクイックプロFLがドクダミにはおすすめ。効果が出るのが遅いグリホサート系の除草剤に、速効性の成分を加えた製品です。またネコソギロングシャワーV8は、すでには生えた雑草をからす「葉茎処理剤」の効果と、雑草の発芽、繁殖を抑える「土壌処理剤」の二つの要素を併せ持つタイプの除草剤です。
お酢の除草剤
除草剤は、植物の生態を阻害して枯らす効果がある毒物をまいているわけではありません。農薬登録されている除草剤は、使用上の注意を守って使えば危険なものではありません。しかしペットや小さなお子様がいる場合などはできるだけ、安全なものを使いたいというかたには、お酢で作った除草剤もあります。
酢の酸の効果で、散布した茎葉すぐに枯らす効果が高い除草剤です。食酢をそのまま散布しても枯らすことができます。しかし、地下茎や根まで枯らすことはできません。除草剤と異なり、年間に散布できる回数に限りがないので、成長してきたら散布するを繰り返すことで生育を抑えることには効果があるでしょう。
その他、ドクダミにおすすめ商品については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
効果的な散布の方法
散布の仕方
商品にもよりますが、散布後の雨に影響をうけやすいため散布後、雨の降らない日を選びましょう。ラウンドアップロードは降雨の後1時間で大丈夫ですが、サンフーロンやエイトアップは降雨後6時間は雨の降らない日を選びましょう。
また粉末タイプは、乾燥していると風などでドラフトしてしまうこともあります。降雨の後や朝露の後に散布するとよいでしょう。
製品によって使い方はことなりますので、ラベルや使用上の注意をよく読んで製品に合った使い方をしましょう。
展着剤・尿素で効果UP
尿素は代表的なチッソ肥料ですが、農薬に少量を混ぜ込ませると、農薬の効果を高めると言われています。理由は、尿素が植物の葉の表面のワックス層やクチクラ層の細胞をゆるめ、農薬を浸達しやすくするためと言われています。混ぜ込ませる量は、希釈した除草剤20Lに一掴み程度の少量が目安です。
尿素を入れることで、除草剤に速効性が出て枯れ始めが迅速になり、また希釈濃度を薄くしてもしっかり効果が出るので、効果にムラが出にくくなります。結果、使用する除草剤の原液量が減るため減農薬となり、コストも少なくなります。大量の除草剤を撒く必要がある農家の方には、おすすめの方法と言えます。
展着剤は薬液の濡れ性、付着性、拡展性、懸垂性などを強化し、薬液を均一に付着させる効果を持っています。除草剤用の展着剤では、サーファクタントWK、サーファクタント30、クサリノー、バスファテンが有名です。
ドクダミだけ除草するには
ドクダミだけ除草できる除草剤は、残念ながらありません。ドクダミだけ枯らしたい場合には、上記のグリホサート系の除草剤やお酢の除草剤などを、ドクダミだけに散布することです。
芝生で除草したい場合は、芝に薬液がかかっても芝だけ枯れない、選択制の除草剤が便利です。製品としては成分がアシュラムの「グリーンアラジン液剤」や成分が2,4PAジメチルアミン塩の「2,4-D「石原」アミン塩(24d)」などがあります。
その他の除草方法
重曹
その他重曹なども、重曹も食酢と同様に、特定農薬として認められていますが、除草効果は食酢より劣ります。
重曹の主成分であるナトリウムは、多量に吸収されると植物に害を及ぼす(細胞壊死の進行、また気孔からの水分蒸発を促進させて雑草を枯死させる)ので、ある程度の除草、雑草抑制効果があります。しかしながらそれは、雑草が傷つけられた茎、葉から多量に浸透、吸収した場合で、通常の散布では雑草そのものを完全に枯らす程の威力はありません。
土壌処理剤
土壌処理剤は、まだ雑草が生えてきていない、また草丈が低い時期に散布し、地面に膜を張って、新しく生えてくる雑草を抑えるものになります。まさにドクタミの防除に最適なもので、駆除した後の春先などにしっかり撒けば、ドクダミが新しく生えてくることを長期間防ぐことができます。ここでは、代表的なおすすめの土壌処理剤をご紹介します。
クサノンEX粒剤 (住友化学園芸(株))
ターバシル・フルミオキサジン、2種類の有効成分で、各種雑草の葉や茎だけでなく根までスッキリ枯らすことができる微粒の土壌処理剤です。低温時にも使え、植栽地を除く樹木等の周辺地に撒くことを想定した薬剤です。
カダン除草王(フマキラー(株))
カダン除草王の成分カルブチレートは、非ホルモン型吸収移行性の尿素系の微粒(粒状)除草剤であり、雑草・草の光合成阻害により除草します。
カダン除草王は、細粒の非選択制除草剤で、一年生雑草といわれる一般的な雑草から、スギナやドクダミなどの多年生広葉雑草、ススキ、チガヤといった多年生イネ科雑草、ササ類など枯れにくい雑草まで、根っこまで枯らすことができます。効果は最大約6ヵ月間と長期間持続することも特徴です。
非選択性で全ての植物、庭木に影響を与えるため、植物、庭木を植えている、植える予定の花壇やまた畑、水田といった農地ではなく、道路や空き地等で撒けることを想定した商品です。
苦土石灰での防除
ドクダミは酸性の土壌を好むため、苦土石灰などを土壌に撒くことで土壌をアルカリ性にし、ドクダミが生長しにくい状態にする方法もあります。
この方法は、土壌をアルカリ性にすることが可能であれば、有効な防除の方法だと言えますが、野菜の栽培などはPH6.5程度の弱酸性の土壌が好ましいことが多いため(当然作物によって好ましいPHは異なります)、その場所をどのように(農耕やガーデニングなど)活用しようとしているかで、苦土石灰を撒くかどうか判断するのが良いでしょう。