除草剤には希釈して使う液体タイプと、そのままばら撒いて使う顆粒タイプの粒剤があります。この記事では粒剤(顆粒タイプ)の除草剤について、効果的な散布方法や商品、雑草ごとの使い方などをまとめています。
液剤と粒剤(顆粒タイプ)の違い
除草剤には、液体タイプと顆粒タイプ(粒剤)があります。液体タイプはほとんどがある程度成長した雑草の葉や茎に散布して、雑草を枯らす「茎葉処理剤」です。顆粒タイプ(粒剤)の除草剤は、「土壌処理剤」と呼ばれ雑草が生える前や、生育初期に土にばら撒くことで雑草の発芽を抑制したり、生育初期の雑草を枯死させる効果があります。
液体の除草剤は、大きくなった雑草に薬液をかけることで枯れますが、顆粒タイプのものは、雑草を生えるのを防ぐ除草剤です。
粒剤(顆粒)撒き方
顆粒タイプは、土壌に散布する「土壌処理剤」がほとんどです。土壌処理剤は、ムラなく均等に、まんべんなく散布することが大切です。
散布量は、雑草の種類や除草剤によって異なりますが、1㎡あたり5g~40g程度です。散布範囲が狭ければ手袋をして手で撒くことも可能です。女性の手で1握り30g程度、男性ですと40g~50g程度になりますが、散布しすぎないように計量して使いましょう。除草剤によっては、計量できる簡易的な散布機がついていることもありますし、容器のまま散布できるものもあります。
丁寧に散布すると、散布の途中で1㎡当たりの使用を超えてしまうことがあります。全体の散布量を計測してから、ジグザグに散布するのがおすすめです。方法は、最初は縦撒きをし、翌日に横撒きするとムラなく均等に散布しやすくなります。同日に行うと、せっかく土壌に撒いた除草剤を踏んでしまい、ムラが出てしまうので、縦撒き、横巻きはどちらから散布しても構いませんが日をずらすと効果的です。
散布のタイミング
土壌処理タイプの除草剤は、雑草の生える前、もしくは雑草の生育初期に散布するのがおすすめです。大抵の雑草は春に芽を出しますので春に雑草が大きくなる前(草丈20㎝以下)に散布しましょう。
また秋に散布すると、秋から発芽する雑草を防ぐとともに、翌年の雑草を減らす効果も期待できます。
雨との関係
顆粒タイプの粒剤は、散布後の雨は多少であれば効果は変わらないでしょう。大雨が降ると薬剤が流れ出て、枯らしたくない植物や作物を枯らしてしまうことがありますので、周りに畑などがある場合には特に注意が必要です。
また畑などで使う選択制の除草剤も雨が降ることにより処理膜ができる前に、土に深く薬剤が浸透してしまい、作物に薬害が出る可能性があります。いづれの場合も大雨の前には散布しないようにしましょう。
散布は雨上がりがおすすめです。粒剤(顆粒)は、土に薬剤が吸収されることにより効果を発揮するため、土が乾燥していると薬剤が飛散(ドラフト)するリスクもあります。水分があることで薬剤が土に吸収されやすく、また水と一緒に薬剤が雑草の根から吸収されます。乾燥している場合には、水をまいてから除草剤を散布するのがおすすめです。
粒剤(顆粒)のおすすめ
粒剤(顆粒)の除草剤は多くの種類があります。農耕地に使えるもの、家庭用のもの、芝生に使える除草剤については、ランキング形式の記事がありますのでそちらも参考にしてください。
ここでは、ホームセンターなどでよく見かけるネコソギシリーズと除草王について簡単に説明します。
ネコソギシリーズ
ネコソギシリーズは、レインボー薬品が開発、販売する除草剤ブランドでホームセンターなどでもよく見かけます。顆粒タイプの除草剤は家庭用の除草剤で、農耕地には使えません。ネコソギWクイックは粒剤ですが、茎葉処理剤で葉や茎に直接散布して雑草を枯死させます。
商品名 | ネコソギトップW | ネコソギエースV | ネコソギWクイック微粒剤 |
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概要 | |||
有効成分 | 土壌処理剤 | 土壌処理剤 | 茎葉処理剤 |
除草王 オールキラー粒剤
カダン除草王シリーズは、フマキラーが製造元、販売元の除草剤ブランドで、粒状タイプは「オールキラー粒剤」があります。オールキラー粒剤は土壌処理剤で非選択性の除草剤です。家庭用のため農耕地などでは使用できません。
雑草別の使い方
竹の除草剤顆粒(粒剤)の使い方
竹の除草剤は、グリホサート系の除草剤を竹の節にドリルなどで穴を開け、薬剤の原液を注入して使います。しかし放置竹林などは1本づつ除草剤を竹に注入するのは手間がかかります。生長した竹に効果がある粒剤の除草剤があります。土にばら撒くだけで竹が枯れるので、大きな範囲で竹を除草するには便利な除草剤です。
使い方や製品については詳しい記事がありますので、そちらを参考にしてください。
スギナの除草剤顆粒(粒剤)の使い方
スギナは、多年生の植物で、非常に広く深く地下茎を張り、一部の地下茎からでもどんどん生長する高い繁殖力を持つ、難防除雑草の代表格です。
スギナは、草刈りをすると胞子が飛び散ってしまうため除草剤で駆除するのがおすすめです。何年もスギナが生えている場所には、スギナが大きくなった成長期に、液体のグリホサート系の茎葉処理剤を散布したあと、春に粒剤の土壌処理剤で発芽するのを抑えるのがおすすめです。
除草剤の安全性について
除草剤は、多くの種類があります。雑草が枯れるぐらいだから危険なのではと思う方もいるかもしれませんが、除草剤は毒物をまいて、植物を枯らしているのではありません。ほとんどの除草剤は植物特有の代謝・生長システムをターゲットポイントにして攻撃して、雑草を枯らします。
除草剤の雑草を枯らす仕組みは、主に、光合成を阻害して枯らすもの、植物ホルモンを撹乱させて生長を阻害するもの、植物固有のアミノ酸の生合成を阻害して枯らすものがあります。
除草剤の安全性という観点では、農薬登録番号がある商品は、農薬取締法による審査を受け、合格している証になります。つまり、その効力、安全性、毒性、残留性などに関する試験成績を提出して審査を受け、行政庁(農林水産大臣)の承諾を取得していると言え、使用方法を守って使う限りは、安全性が担保されているものと言えます。
なので、安全性を気にする場合は、その商品に農薬登録番号があるかどうかをまず確認し、使用方法をきちんと守るようにしましょう。
またそれでもペットや小さなお子様がいる家庭で不安という方には、お酢や植物成分由来の除草剤もあります。