春から夏にかけてあっという間に大きくなる雑草は、毎年草取りや草刈りに多くの時間を費やしているのではないでしょうか。
雑草は、その種類にあった除草剤を、適切な時期に散布することで、効果的に駆除することができます。この記事では除草剤の効果的な散布の時期について、雑草別・除草剤別にまとめています。
除草剤の種類と散布の時期
それではまず最初に、除草剤の種類別の散布時期について説明します。除草剤には大きく分けて、生長した茎葉に散布して枯らす「茎葉処理剤」と、発芽前や発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」があります。
茎葉処理剤
恐らく最初は、雑草が大きくなって目立ってきたころに除草剤を使いたいと思う方がおおいのではないでしょうか。そんな場合には「茎葉処理剤」の除草剤を使います。
茎葉処理剤は、その名のとおり茎や葉に薬液を散布することによって枯死させる除草剤です。さらに茎葉処理処理剤には、葉や茎に散布するだけで根まで枯れる「吸収移行型」と薬液がかかった部分のみ枯らす「接触型」の除草剤にわかれます。
吸収移行型
除草剤の成分に、グリホサートが含まれているものは、吸収移行型の除草剤で葉にかけるだけで根まで枯らすことができるため、スギナやドクダミなどの多年生の雑草におすすめです。
グリホサート系の除草剤の散布時期は、雑草の種類にもよりますが基本的には雑草の生育盛期(生育が一番盛んな頃)です。吸収移行性の性質上、大きくなった葉に散布することでより多くの薬液を吸収し、根まで多くの薬液を運ぶことができます。生育が未熟な時に散布すると、根まで枯らすほどの濃度の薬剤が届かない可能があります。
グリホサート系の除草剤は、ラウンドアップやサンフーロン、ネコソギなど多くの製品があり、現在の除草剤の主流です。
接触型
接触型の除草剤は、グリホサート系除草剤より効果が早くでます。とりあえず目立つ雑草をいち早く除草したい場合には、接触型の除草剤がおすすめです。
接触型の除草剤の散布時期は、生育初期、草丈が15~30cm程度までに散布すると効果が高いでしょう。葉に多くの薬剤ですので雑草が大きくなると、散布する量・手間も多くかかります。
接触型の除草剤には、成分にパラコートを含むプリグロックスや、成分にグリホシートを含むバスタやザクサなどがよく知られています。グリホシネート系の除草剤は多少の移行性はあるものの、根まで枯らす効果はないためここでは接触型除草剤としています。
土壌処理剤
成長した雑草には、茎葉処理剤を使うのが効果的ですが、除草剤には、まだ雑草が生えていない時もしくは成長初期に、土壌に散布することで雑草の繁殖を防ぐ「土壌処理剤」があります。
土壌処理剤は、土の表面に散布し雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させるます。そのため散布時期は、雑草発生前もしくは雑草生育初期です。土壌処理剤には多くの種類があります。雑草に合わせたり使う場所に合わせて選びましょう。クサノンEX剤やカダン除草王などがあります。こちらはどちらも農耕地での使用はできないため、農耕地ではカソロン粒剤などがあります。
雑草別 除草剤の散布時期
除草剤の種類による散布時期がわかったところで、除草が難しいといわれる雑草について、いくつか効果的な肥料時期を説明します。
スギナ
スギナは地下茎がやっかいな多年草雑草ですので、大きくなったスギナには、グリホサート系の除草剤がおすすめです。散布に最適な時期は4月~6月、草丈20㎝~30㎝になりスギナの背丈がそろっているときです。
スギナに土壌処理剤を散布する時期は、生長初期が適期です。スギナは生長期が春なので3月後半から4月に草丈が20㎝以下の時に散布しましょう。根茎まで枯らすことができます。
スギナはどちらか1つでは駆除できないこともある難関防除雑草です。葉茎処理剤をつかって枯らした翌年に、さらに土壌処理剤をつかって防除するのが効果的です。
芝生の雑草
芝に除草剤を使う時には、上記のようなグリホサート系の除草剤や、グリホシネート系の除草剤は使えません。なぜならこれらの除草剤は非選択性の除草剤で、薬液が芝にもかかれば、芝枯らしてしまうからです。
芝生には、芝生を枯らさずに雑草だけ枯らすことができる除草剤があります。土壌処理剤も茎葉処理剤もありますのでそちらを使って防除しましょう。
土壌処理剤は、雑草が発生する前や、まだ生え揃っていない耕耘後、または播種(定植)前後になります。散布時期は、原則3月から4月です。
茎葉処理剤は、雑草がある程度生長する時期、6月から9月です。生えている雑草に合わせて、その雑草の生育盛期に散布しましょう。
田んぼ(水稲)の雑草
田んぼ(水稲)の除草剤には、散布時期により水稲の除草剤は、その散布する時期と効果により「初期剤」「中期剤」「後期剤」「一発処理剤」に区分されます。それぞれの除草剤に使用適期があり、この適期を外すと除草の効果が十分発揮できません。必ずその適期にあった除草剤を使いましょう。
- 初期剤の散布時期は、代かき後から田植前まで、または田植同時からノビエ1.5葉期まで。
- 中期除草剤の散布時期は、初期剤を散布した後、その後に生える後発雑草に対してノビエが3~4葉期になるまで
- 後期剤の散布時期は、初期剤+中期剤もしくは、一発剤を使って防除した後に防除できなかった雑草ががあるとき。
- 一発剤は、その薬剤により多少前後しますが散布時期は、水稲移植後からノビエ1~3葉期ごろです