ラウンドアップは、日産化学株式会社が販売する、最もメジャーなグリホサート系の除草剤(液剤)です。この記事では、除草剤のラウンドアップについて使い方や、成分、製品の違いや安全性について、まとめています。
ラウンドアップの特性
除草剤のタイプ
除草剤は簡単に2パターンに分けられます。土表面に散布して雑草の発芽を抑制したり、発芽直後に枯死させる「土壌処理剤」と、すでに伸びている雑草の葉や茎に直接かけて枯らしてしまう「茎葉処理剤」です。茎葉処理剤には、薬液がかかった葉茎のみからすタイプと、葉や茎から吸収移行して根まで枯らすタイプがあります。
グリホサートが主な成分である、ラウンドアップの除草剤のタイプは「茎葉処理剤」で、グリホサート成分は吸収移行して根まで枯らす効果があります。非選択性(どんな植物にも効く)のため、農業に使用する場合など、散布の際に、作物にかからないよう注意する必要があります。
成分
ラウンドアップはグリホサート系の除草剤ですが、成分について詳しく説明します。
ラウンドアップマックスロードの成分は「グリホサートカリウム塩」で、旧ラウンドアップは、「グリホサートイソプロピルアミン塩」です。「グリホサートカリウム塩」の方が、散布後の雨に強く、雨が降っても効果が持続しやすい、また早朝の農作業で朝露が付いても、効果が減少しない特性があります。
製品一覧
ラウンドアップマックスロードは、水に薄めて使う希釈タイプと、すでに希釈されているAL剤があります。ラウンドアップマックスロードAL剤は50倍に薄めてありそのまま使える便利なシャワーボトルですが、樹木類以外の農耕地や植栽地には使えません。経済的にも原液がお得で原液でしか使えない使い方もあります。
名前 | ラウンドアップ マックスロード | ラウンドアップ マックスロードAL | ラウンドアップ マックスロードALii | ラウンドアップ マックスロードALiii |
---|---|---|---|---|
概要 | ||||
タイプ | 原液 | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) | 希釈済(50倍) |
特徴 | 希釈用。 農耕地で使え、経済的 | 基本タイプ | 基本+速効性 | 基本+速効性+持続 |
農耕地使用 | 〇 | △ (樹木類のみ〇) | △ (樹木類のみ〇) | △ (樹木類のみ〇) |
ラウンドアップの使い方について
ラウンドアップマックスロードは、通常茎葉散布して使います。ほとんどの雑草は、生長した雑草の茎葉にジョウロや、噴霧器で散布して使います。希釈して使うタイプは水で希釈して使います。ラウンドアップマックスロードAL剤はすでに希釈してあり、注ぎ口がシャワータイプになっているので、そのまま散布することができます。
原液はこのほか、雑草や木に直接薬液を注入したり、塗布して使うこともできます。詳しい使い方については、使い方の記事もありますので参考にしてください。
希釈倍率について
原液は水で薄めて使います。雑草の種類によって異なりますが、一般的な一年生の雑草には、原液10mlに1ℓの水で希釈します(希釈倍率100倍)、ドクダミやクズなどのしつこい多年生雑草には希釈倍率50倍、スギナには25倍にして散布します。AL剤はすでに50倍に薄めてありますので、大抵の雑草にはそのまま使えます。
使用薬量と希釈水量は、ラウンドアップのボトルの裏に細かい使用薬量と希釈水量が書かれていますので、それを参考にして希釈しましょう。またラウンドアップの希釈率とAL剤についての記事もありますのでそちらも参考にしてください。
ラウンドアップを使う時の注意点
雨について
旧ラウンドアップは散布後6時間以内の降雨で効果の劣る場合があるとされていましたが、最新のラウンドアップマックスロードは、旧ラウンドアップにくらべてより多くの活性成分が雑草に吸収されるようになったため、散布後1時間経てば、その後で雨が降っても大丈夫です。
また朝露にも強いため、ドラフトを防ぐためにも晴れた日の早朝にまくのがおすすめです。
犬・猫などのペットについて
除草剤は毒物をまいて、植物を枯らしているのではありません。ほとんどの除草剤は植物特有の代謝・生長システムをターゲットポイントにして攻撃して、雑草を枯らします。ラウンドアップの主成分のグリホサートも、アミノ酸の合成を阻害することで枯らしています。ラウンドアップは、植物だけに効いて人間や生態系にほとんど影響がないとして世界中に広まっていきました。
公式HPには、ペットや人に対しての注意事項が載っていました。人やペットには安全使用上の注意を順守すれば、安全して使用できること。ペットがいる場合には庭に散布するときには、散布した当日は、ペットが入らないように注意し、薬液がペットに付着した場合は洗ってください。なめたりした後に様子がおかしいときは獣医師にご相談ください。
過剰に心配する必要はありませんが、散布当日は囲いなどをして犬や猫がはいらないようにすること。また、近所のかたにも一言声をかけておくとよいかと思います。
参照:ラウンドアップ公式HP
ラウンドアップとジェネリック製品について
ラウンドアップは、日本では1981年から販売が開始されました。初代のラウンドアップは1991年に特許が切れたことにより、多くのジェネリック製品が販売されるようになりました。安価なグリホサート系の除草剤は、初代ラウンドアップのコピー製品です。
初代のラウンドアップのコピー商品は、多くあります。成分が初代のラウンドアップと同じ、「グリホサートイソプロピルアミノ酸41%と界面活性剤等59%」です。しかし成分は同様でも界面活性剤(展着剤)が商品によって異なるため効果が異なる可能性もあります。
主な製品としては、サンフーロン・エイトアップ・グリホエースなどがあります。ラウンドアップマックスロードは現在3代目です。初代のラウンドアップとは成分が少し異なります。
安価なジェネリック製品とラウンドアップマックスロードの製品の比較は、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください
ラウンドアップとバスタとの違い
ホームセンターの除草剤コーナーに行くと、目につく場所に置かれている、ラウンドアップマックスロードやバスタ(バスター)といった液体除草剤。ラウンドアップ はグリホサート、バスタはグルホシネートを含有しています。
名前が似ているので同じと思われる人もいるかもしれませんが、除草の効果は異なります。両者とも除草剤のタイプとしては「茎葉処理剤」で、ある程度成長した雑草の茎葉に散布することで、雑草を枯らします。速効性が高いのはグルホシネートを含むバスタで、対してラウンドアップは遅効性です。しかしグルホシネートには吸収移行性がないため、根を枯らすことはできません。
製品名 | 主な成分 | 効果の速さ | 吸収移行性 |
---|---|---|---|
ラウンドアップ | グリホサート | 速効性 | 有(根まで枯らす) |
バスタ | グルホシネート | 遅効性 | なし(根は枯れない) |
ラウンドアップの危険性
除草剤のラウンドアップの有効成分はグリホサートです。グリホサート系の除草剤は植物だけに効果があり、人間や生態系に影響を及ぼさない除草剤として世界中で広く使われてきました。
しかし近年、このグリホサートの安全性についてさまざまな議論がされています。主には、グリホサートが恐らく発がん性物質であり、ヒトの健康を害するものであるという主張、また内分泌かく乱物質であるという主張、またヒトの母乳や尿中に蓄積して、腎臓などに障害を及ぼすと言う主張、更にはグリホサートを主成分とする除草剤に含まれる界面活性剤に予期しない毒性があるという主張です。
日本でラウンドアップ を販売している日産化学工業も、グリホサートに発がん性は無いと判断している声明を発表し、内閣府食品安全委員会も、2016年5月にグリホサートは、神経毒性、発がん性、繁殖能に対する影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められなかったと判断しています。
安全性について様々な角度から議論がなされていて、安全性の結論は発表しているものの、未だ議論が終結はしていません。これらの議論の経緯については詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
雑草別のラウンドアップの使い方
根まで枯らすラウンドアップは、ドクダミ・スギナなどの厄介な難防除雑草には茎葉散布を、竹やクズには原液を注入処理することもできます。雑草別のラウンドアップの効果と使い方については詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。