ほうれん草は「青菜の王様」とも呼ばれ、栽培期間も短く栽培も比較的簡単なことから、家庭菜園では畑だけでなくプランターでも育てることができます。
ではほうれん草を育てるのに肥料はどんな肥料を、どのように与えたらよいのでしょうか。この記事では、ほうれん草の栽培の肥料の与え方についてまとめています。
ほうれん草の栽培時期と肥料について
ほうれん草は、西アジアの寒冷地が原産のため寒さには強いですが、25℃以上の暑さには耐えられないため、夏を外して栽培する春まき栽培か、秋まき栽培が家庭菜園ではおすすめです。特に秋まき栽培のほうが病害虫の被害も少なく、甘くおいしくつくることができます。寒冷地では夏まき栽培や暖地では冬まき栽培をすることもできます。それぞれの時期にあった品種を選ぶことが重要です。
栽培期間の短いほうれん草の栽培では、肥料は元肥のみで追肥は不要です。施肥量は、春まき栽培で10haあたり、窒素11㎏、リン酸12kg、カリウム11gが目安です(参照:埼玉県主要農作物施肥基準pdf)
施肥量は、土壌や環境にもよりますが、秋冬まき栽培は、気温が低いため生育がゆっくりになるため栽培期間が長くなり、肥料効果も発現しにくいため、肥料は少し多めにするとよいでしょう。
ほうれん草の肥料の与え方
ほうれん草は、栽培期間が短いため肥料は元肥だけで、追肥は行いません。冬まきの場合やプランター栽培の場合は、本葉が3枚~4枚のころに間引き後に、少量追肥してもよいでしょう。
地植えの場合
畑などの地植えの場合は、土づくりが大切です。また酸性土に弱いのでその対応も必要です。堆肥と石灰を一緒にまくと堆肥に含まれている窒素がアンモニアとして逃げてしまうので、1週間ほどあけましょう。また石灰をまいてからphの数値に変化がでるまで1週間から10日ほどかかるので、種まきはそれから行うとよいでしょう。
- 牛糞などの堆肥を、1㎡あたり1kg程度をまいてよく施します。
- 堆肥を撒いてから1週間ほどたってから、苦土石灰を1㎡あたり150gと元肥としてぼかし肥料や化成肥料を施肥し、土とよく混ぜて耕してから畝を立てます。
- 2から10日ほどたってから、種をまきます。
鉢植え・プランター
鉢植えや、プランターなどで育てる場合は、市販の元肥入りの野菜の培養土などが便利です。自分で配合する場合は、赤玉土6.5腐葉土2.5、バーミキュライト1の配合します。そこに苦土石灰を用土1ℓ当たり3gほど混ぜます。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、化成肥料や有機配合肥料を施します。
プランター栽培の場合は、水やりなどで肥料分が流れ出てしまうので、生育をみて、本葉が3枚~4枚のころに液肥や化成肥料を1度追肥します。
ほうれん草におすすめの肥料
葉菜類のほうれん草には、元肥ですべての肥料分を与えるため、3要素(窒素・リン酸・カリウム)がバランスよく含まれているものが便利です。
畑など地植えでは、有機肥料で育てたい人は、鶏糞や油粕なども使うことができます。しかし単体で使うと肥料分が不足する場合もありますので、市販のぼかし肥料や、有機肥料100%配合肥料などを使うと便利です。
家庭菜園をされている方は、化成肥料N-P-K=8-8-8などはほとんどの野菜の栽培に使えるので便利です。プランターなどで栽培する場合は、肥料メーカーから販売されているほうれん草用の肥料や、野菜の肥料や液肥などもよいでしょう。
詳しい商品などの説明は、詳しい記事がありますので参考にしてください。
ほうれん草の肥料の過不足について
肥料は、与えれば与えるほどよく育つというわけではありません。特にほうれん草は、生育の後半に窒素が効きすぎると、シュウ酸や硝酸塩といった成分がふえ、えぐみや渋みがでて味に影響がでます。緑色が濃い場合は肥料が多すぎる可能性もあります。
またほうれん草は育てていると葉が黄色く変色したり、生長が遅い場合は肥料が不足している場合もあります。ただしほうれん草は、病気や害虫などによっても葉が黄色くなることもありますので、病害虫にかかっていないか確認してから、追肥をするとよいでしょう。
その他 ほうれん草栽培で気をつけたいポイント
栽培環境
生育適温が15℃~20℃で、冷涼な環境を好みます。耐寒性は強く高温が苦手です。夜間に12℃~15℃ぐらいになると栄養分が多く貯蓄されておいしいほうれん草ができます。秋まきの方がおいしくできるのはこれが理由です。
キャベツや水菜などのアブラナ科の野菜に比べると、日当たりがなくても育ちますが、密植すると葉っぱ影になるので、密植には気をつけてください。
春まき栽培は、花茎がのびる「とう立ち」がおきやすくなります。とう立ちすると、株が大きくならず味も落ちます。とう立ちは13時間以上、光にあたるとおきやすくベランダなどでは外の光でも影響しますので、注意が必要です。春まき品種はとう立ちしにくい品種を選び、夜間の照明にも気をつけましょう。
タネまき
ほうれん草の根は、直根性のため直播が基本です。種は果皮が固く発芽しにくいです。発芽適温は15℃~20℃ですが寒くても発芽はしますが、高温だと発芽しにくいため夏まきの場合は、芽出しをおこなってからタネをまきます。
やり方はガーゼにタネをくるんで、1晩つけて低温にし、ガーゼを開いて涼しいところに広げて、芽が出たのを確認してからまきます。
覆土は通常では1㎝、夏まきは2㎝ほどと厚めにし、種が流れ出ないように灌水(水やり)を十分に行いましょう。
間引き
ほうれん草の間引きは基本的には2回行います。1回目は双葉がそろったら株間が2~3㎝程度になるように、元気な株を残して間引きします。2回目は本葉が2~3枚になったら、株間が4~5㎝程度になるように間引きします。間引いた葉はベビーリーフとしてサラダで食べられます。
この時期までに、病害虫にかかると収穫が難しくなるので、防虫ネットや寒冷紗などをかけておくとよいでしょう。冬まきなどは、2回目の間引きのあとに少量の追肥をする場合もあります。
病害虫
ほうれん草に多い病害は、立枯病やべと病です。立枯病は、温度が17℃以上になり畑の排水などが悪いとかかりやすくなります。本葉が2~3枚に生長するまでに、葉がしおれたりします。べと病は、秋から冬にかけてかかりやすく、葉の表面に斑点がでて、葉全体が灰黄色になって枯死します。
対策としては、まずは立枯病やべと病の耐病性のある品種を選ぶこと。水はけのよい環境をつくりましょう。ポリマルチでカバーするのも有効です。
ほうれん草は、アブラムシ、ヨトウムシ、シロオビノメイガ、などの害虫が付きやすくなります。これらは食害により葉に穴を開けたり、株を弱らせたりします。またアブラムシはウイルスを媒介するため、病気を発生させるので見つけたらすぐに駆除しましょう。防虫ネットも有効です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまでほうれん草に肥料の与え方を中心に、ほうれん草の栽培について説明してきました。
ほうれん草は、栄養価が高く家庭でそだてれば、草丈が20㎝ほどになればいつでも収穫でき、必要なときに少しずづ収穫することもできます。栄養価は、販売されているものより高くなるのも家庭栽培の魅力です。栽培期間も短いので、他の野菜の栽培の間に育てることもできるので、ぜひおいしいほうれん草をご家庭で栽培してみてください。