栄養価の高いカボチャは、生育も早く、種からでも比較的簡単に育てられるので、初めての家庭菜園にもおすすめです。
かぼちゃは肥料の与え方が大切です。この記事ではカボチャの肥料時期・種類・やり方などを中心に栽培のポイントをまとめています。
カボチャの肥料時期
カボチャの栽培時期は、春にタネをまいて夏に収穫します。カボチャは、ハロウィーンのイメージや冬至に食することから、旬が秋や冬と思われている人もいるかもしれませんが、夏野菜です。
肥料は苗の植えつけ時に、元肥を施し、追肥は2回一番果がこぶし大になった時と、そこから2週間ほどたって2番果か3番果がついたころに追肥します。
カボチャの肥料の与え方
カボチャの肥料の与え方のポイントは、元肥を少なめに施し追肥で調整すること。カボチャは、つる性のため生育初期に肥料が効きすぎると、ツルや茎葉がのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきやすくなります。カボチャは吸肥力が強いので、元肥は控えめにして実がついてからの追肥で実を大きく育てます。
タネまき(育苗)
カボチャは、タネまきから植えつけまでの育苗期間は約1か月ほど。畑などに地植えもできますが、ポットにタネをまいて育てるのがおすすめ。カボチャの発芽適温は25℃~28℃、適期は4月から5月初旬ごろです。
ポットに市販の種まき用培土をいれ、タネを2~3粒まきます。双葉から本葉1枚ごろに間引きして一番よい苗を残して1本にします。本葉が3枚から4枚になれば植え付けの時期です。肥料は市販の種まき用土をつかえば、不要です。
苗の植えつけ(元肥)
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。
カボチャの元肥は、畑などの地植えでは、植え付けの2週間ほどまで施肥しておきます。土を直径40㎝、深さ30㎝ほど掘り起こして、底に堆肥1kgと一握りの緩効性肥料をいれ、その上に掘り起こした土をいれ高さ10㎝~20㎝ほどにして、鞍築(くらつき)をつくっておきます。株間は70㎝ほどとるとよいでしょう。
土壌酸度が高い場合には、元肥のさらに1週間前に、苦土石灰などで酸度調整しておきます。カボチャの適正pHは、6.0~6.5です。
土壌と肥料について
かぼちゃに限らず、野菜づくりには土づくりが大切です。水はけと通気性がよく水持ちのよい土が野菜づくりには必須です。そのためには、堆肥を土に入れてよく耕して土を団粒構造にします。
堆肥とは、鳥や豚・牛などの家畜のふんや、わらや落ち葉などの有機物を堆積して発酵させたもので、腐葉土も堆肥です。堆肥で土づくりをしっかり行い、さらに元肥を施し足りない肥料分を補います。
追肥
追肥は、2回。1回目は、一番最初についた一番果がこぶし大ほどの大きさになってから、2回目は2~3番果が着果してから行います。速効性の化成肥料20g~30g程度を畝の肩もしくはつる先に、ところどころにばらまきます。有機肥料を使う場合は、土を軽くかけておきましょう。
カボチャの肥料の種類とおすすめ
元肥には、有機肥料もおすすめです。有機肥料には油かすや、鶏ふん、米ぬかなどがあります。これらの有機物をつかったぼかし肥料もおすすめです。カボチャは元肥が多肥になると葉に栄養が行き過ぎて、よい実がつきません。有機肥料はゆっくり効果が出る緩効性肥料で、肥料やけなどのリスクも軽減します。
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。化成肥料にはゆっくり効果のでる緩効性肥料とすぐ効く速効性の効果を持った野菜の肥料などもおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥には化成肥料8-8-8などの窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥にも使えます。追肥には、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料もおすすめです。
有機肥料の細かい説明や、化成肥料のおすすめの製品、野菜の肥料などは下記の記事に詳しく紹介しています。
その他 カボチャ栽培のポイント
整枝・摘心
カボチャは、親づるから子づるが伸びて生長します。品種によりおすすめの仕立て方法がかわります。西洋かぼちゃは、親づるに実が良くため、親づると子づる1本~2本を残して後は切り取ります。日本カボチャは、親づるが本葉4~5枚の頃に、5~6節で摘心し、子づるを2~3本残して後は切り取ります。着果までは、出てくる子づるは切り取りましょう。着果したら子づる、孫づるとも放任してかまいません。
受粉
受粉はハチなどの虫が自然に行いますが、確実に受粉させたいのであれば人工受粉させます。ツルが伸びると、先に雌花が咲きます。雌花と雄花の違いは、蕾の下がふくらんでいるかいないか。蕾の下がふくらんでいるほうが雌花です。ただし、最初に子づるについた雄花は、うまく育たないため人工授粉させず摘みとりましょう。2番目以降に咲いた10節~15節ほどについた雌花に授粉させます。
授粉は朝8時~9時に行いましょう。雄花を摘みとり花弁を取り除きます。雄しべ(葯)を当日咲いた雌花の柱頭に軽くなすりつけましょう。
病害虫
病気
カボチャは、うどんこ病、疫病、炭疽病(たんそびょう)、つる枯病、つる割病などの病気にかかりやすいです。葉に斑点がでたり、茶色く枯れたりしてきたら病気を疑いましょう。
対策としては梅雨に高温多湿によるカビの被害が多いので、土壌の水はけを良くしたり、風通しがよく日当たりの良い場所で育てましょう。水はねを防ぐ敷き藁やマルチングなども有効です。早期発見が大切です。また発生してしまったら殺菌剤の使用も効果的です。
害虫
カボチャの葉が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。カボチャはアブラムシ、ハダニ、ウリハムシ、ハモグリバエなどの害虫がつきやすいです。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。