ここではにんにく栽培の肥料について、肥料時期やおすすめの肥料、与え方について説明するとともに、肥料上げすぎや肥料不足などの症状についてもわかりやすく説明します。
にんにく栽培の肥料の与え方のポイント
にんにくは栽培期間が長いため、植えつけ時に元肥をし追肥を1~2回追肥をして育てます。マルチ栽培の場合は、通常より肥料の流亡がすくないため追肥は、生育が悪いときのみ行います。
暖地と寒冷地では、追肥の時期がかわるため地域にあった時期に追肥をしましょう。
にんにく肥料の成分量は、品種や育てる場所によってことなりますが、目安としては、1mあたりトータル、窒素(N)20g、リン酸(P)35g、カリ(K)20g程度です。とリン酸が多いのが特徴です。ネギ類のにんにくは、リン酸の肥料効果が高いと、根の伸長や玉の肥大が高まるため元肥でリン酸を多めに与えるとよいでしょう。
ニンニク専用の肥料や追肥のいらない一発肥料なども販売されているので活用しましょう。
にんにく栽培におすすめの肥料
ニンニク栽培では、元肥には緩効性肥料を使います。水はけのよい肥沃の畑を好むため地植えでは、有機肥料を使うとよいでしょう。有機肥料の中でも、リン酸の多い米ぬかを使った肥料がおすすめです。
追肥には、速効性の化成肥料がおすすめです。ニンニク専用の肥料も多く販売されています。有機配合肥料や一発肥料と呼ばれる追肥の不要な肥料もあります。
ベランダなどでプランター栽培する場合は、有機肥料は臭いや虫が心配なので化成肥料を使うとよいでしょう。肥料不足のときには液体肥料も有効です。
ニンニクに使えるおすすめの肥料や専用肥料については、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
にんにく栽培 肥料の与え方
肥料の時期
暖地でのにんにく栽培の肥料時期は、12月中旬と休眠明けの2月中旬から3月。
寒冷地などの雪の多い地域では、3月下旬~4月上旬と5月上旬の実が大きくなる時期が適期です。
地植え
元肥は種球(りん片)をまく2週間前までに、土づくりと一緒に行っておきます。土を30㎝ほど深く耕して、堆肥と緩効性肥料をいれて掘り起こした土とよく混ぜておきます。
追肥は、株元に肥料をまいて土を被せ、軽く土寄せしておきましょう。追肥のころは乾燥に注意が必要ですので、水やりがわりに液体肥料(液肥)をつかってもよいでしょう。
土壌と肥料について
ニンニクに限らず、野菜を畑で育てるには土づくりがとても大切です。ニンニクには、ユリ科の作物を栽培した連作はさけ、水はけのよい肥沃の畑が適しているので、水はけの悪い畑は高畝にして、排水をよくすることが大切です。
適正土壌pHは、5.5~6.5で酸性土壌を嫌いますので、酸度調整が必要な場合は、苦土石灰などの石灰資材を植え付けの4週間前ほどに施しておきましょう。初めて畑として使う場合は、ネギ類はリン酸をよく吸収するため、熔成りん肥(ようりん)を使って酸度調整してもよいでしょう。
また未熟堆肥は、根を傷める原因となりますので大量に使わず完熟のものを使うとよいでしょう。
鉢植え・プランター
鉢植えやプランターでは元肥入りの野菜の培養土が便利です。
追肥は粒状の化成肥料をばらまくか、固形肥料を置き肥します。液体肥料を水やり代わりにあたえてもよいでしょう。
地植えの全面施肥の方法や、プランターでの植え付けの方法については詳しい記事があるのでこちらも参考にしてください。
肥料の上げすぎに注意
家庭菜園などでは、堆肥の肥料分や、元々の畑の肥料分などを計測するのは難しいので、施肥量にとらわれて大量に肥料を与えすぎると障害が起きる可能性もあります。特に窒素の与えすぎには注意が必要です。
にんにくは肥料をあげすぎると、葉に栄養が行き過ぎて葉が二重になったり、最悪の場合葉が黄色くなって枯れてしまうこともあります。その他奇形球や球が大きくならないなどの障害もおきます。
肥料分は窒素を基準にして与え、堆肥などの肥料分も考慮して少なめに与えるのがポイントです。もし生育の途中で不足しているようなら、追肥して育てることができます。しかし肥料は与えすぎると、肥やけなどを起こし、最悪の場合枯れてしまうことにもなります。肥料は適量与えることが大切です。肥料のパッケージをよくよみ、施肥量を守ってください。
葉が黄色くなるのは一般的には肥料不足のサインです。しかし肥料過多だったり病害中の可能性もあり、間違えやすい症状もあります。肥料不足かなと思ったら、こちらの記事を参考にしてください。
葉にんにくの肥料について
上記では、球(茎)にんにくの栽培の肥料について説明してきましたが、最近は葉の部分を食する、「葉にんにく」も人気があります。葉にんにく専用の品種もありますが、球にんにくに、向かない小さなりん片をつかって、やや密林気味に育てるとよいでしょう。プランター栽培にも向いています。
肥料は、元肥は球にんにくより少なめに与えます。基本的に生育期間が短いため追肥は不要です。葉の色が全体に薄くなってきた場合は追肥を与えます。プランターなどでは、肥料が流れ出やすいので、3㎝ほど葉が伸びたら水やりがわりに液体肥料を与えるとよいでしょう。
にんにくの栽培で気をつけたいポイント
にんにくの植え付け時期
にんにくは、基本的に秋に植え付け(定植)を実施し、翌年の夏前に収穫をします。植えつけ時期は、根の量や、球の肥大に大きな影響を与えます。秋と一口にいっても寒冷地と暖地では異なりますので注意しましょう。
寒冷地では、平均気温が15℃以上の9月下旬が適期です。暖地では9月下旬から10月中旬に植えつけましょう。植え付けが遅くなると、球の肥大に影響がでるのでそれまでに畑の準備をしておきます。
球を大きくするポイント
- 自分に合った品種を選び、大きな種球を選ぶ
- 適期に植えつける
- 土壌は細かく耕し、適正土壌酸度(pH)にする
- 休眠期から明けた春からは水切れに注意し、こまめに水やりをする。
- 花茎は30㎝ほどになったら、早めに摘み取る。(茎にんにくとして食べることができます)
球割れ防止対策
- 追肥が遅れないようにし、特に窒素の多肥に注意
- 収穫間際には水やりを控える
病害虫
にんにくは、比較的病気や害虫に被害は少ないですが、越冬後暖かくなると病害虫の被害が出ることがあります。病気は、窒素が多いと発生しやすい「さび病」や、高温多湿により「葉枯れ病」「春腐れ病」などにかかりやすくなります。また連作により「黒腐菌核病」にかかりやすく、「イモグサレセンチュウ」が寄生したりします。
害虫は、ネギコガやネギアザミウマ、ヨウトウムシなどの被害をうけることがあります。対応としては、見つけたらすぐに駆除する。また殺虫剤や殺菌剤も有効です。また前作で被害が出ている場合は土壌消毒なども必要です。
にんにくの栽培方法について
にんにくは、地植えだけでなくプランター栽培でも育てることができます。
最近ではニンニクを水耕栽培して、スプラウトニンニクや葉にんにく、茎ニンニクを収穫する方が増えています。水耕栽培では肥料も不要です。
それぞれの栽培方法については、詳しい記事もありますので栽培についてはこちらも参考にしてください