トマトやキュウリ、ナスなどの果実から、ジャガイモやサツマイモなどの根塊、根茎まで、野菜と呼ばれる作物には様々な種類があります。
それぞれの植物に合った肥料のやり方をしないと、うまく生長しなかったり、満足のいく果実が収穫できなかったりします。
野菜の栽培には肥料が必要
野菜の栽培には、基本的に肥料が必要です。但し、施す時期や頻度、量はその植物によって異なります。つまり、栽培している作物に合わせた肥料やりが必要です。
中でも肥料の三要素(窒素、リン酸、カリウム)を補給することは、とても重要です。
窒素
窒素(N)は、肥料の三要素の一つで植物の生育に最も大きく影響する要素です。光合成に必要な葉緑素、植物の体を形作るタンパク質など、植物が生長する上で重要な働きをする物質となります。窒素肥料は「葉肥(はごえ)」とも呼ばれ、生育の初期に効果的であり、茎と葉の生長に大きく影響します。
リン酸
リン酸(P)は、肥料の三要素の一つで、開花・結実を促進したり、根の伸長、発芽や花芽のつきをよくする働きがあります。そのため、リン酸肥料は「実肥(みごえ)」と呼ばれます。トマトなどの果菜類やかんきつなどの果樹類、バラなどの観葉植物には補給が必須の要素となります。
カリウム
カリウム(K、加里)は、肥料の三要素の一つで植物体内でカリウムイオンとして存在しています。カリウムイオンは葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促したり、植物を丈夫にして病気などに対する抵抗力を高める働きがあります。そのため、カリウム肥料は「根肥(ねごえ)」と呼ばれます。
その他の中量要素、微量要素
三要素以外の重要な要素として、中量要素、微量要素があります。特に野菜の栽培は、果実の収穫までの期間が長く、他の植物に比べて消費されるため、これらの栄養素の補給も重要です。
中量要素
窒素、リン酸、カリウムの三要素以外の中量要素として、カルシウム(Ca)、硫黄(S)、マグネシウム(Mg)があります。
要素名 | 主な役割 |
---|---|
カルシウム(石灰・Ca) | 葉や実の組織を作る(細胞膜の生成と強化)、根の生育促進 |
硫黄(S) | 酸化・還元・生長の調整などの植物の生理作用や葉緑素(葉にある光合成を担う葉緑体に含まれる)の生成に関与 |
マグネシウム(苦土・Mg) | 葉緑素の構成元素、リン酸の吸収と移動 |
また、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)も中量要素ですが、主に水や大気から吸収される要素です。
微量要素
微量要素には、ホウ素(B)、塩素(Cl)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)があります。三要素や多量要素と比較すると、必要な量は多くありませんが、欠乏すると様々な生理障害が発生します。
要素名 | 主な役割 |
---|---|
ホウ素(B) | 細胞壁の生成、カルシウムの吸収と転流 |
塩素(Cl) | 光合成(光合成の明反応) |
マンガン(Mn) | 葉緑素の生成、光合成、ビタミンCの合成 |
鉄(Fe) | 葉緑素の生成、鉄酵素酸化還元 |
亜鉛(Zn) | 酵素の構成元素、生体内の酸化還元、オーキシンの代謝、タンパク質の合成 |
銅(Cu) | 光合成や呼吸に関与する酵素の構成元素 |
モリブデン(Mo) | 硝酸還元酵素(硝酸をタンパク質にする過程で利用される)、根粒菌の窒素固定 |
ニッケル(Ni) | 尿素をアンモニアに分解する酵素の構成元素、植物体内で尿素を再利用 |
野菜の肥料の選び方
野菜に与える肥料の選び方を解説します。選ぶための切り口は、いくつかあります。
作物別で選ぶ
一番良いのは、栽培している作物別に肥料を選ぶことでしょう。特にその作物専用の肥料などがあれば、それを使うと安心です。
農家webでは、各作物に合った肥料をまとめていますので、こちらも参考にしてください。
栽培方法別で選ぶ
栽培方法別に選ぶことも重要な観点です。野菜の栽培も、土耕栽培、水耕栽培、養液栽培など様々な方法があります。
畑での一般的な土耕栽培の場合は、土作りの際に有機質肥料や緩効性の化成肥料を散布します。追肥として、作物の状況を見ながら、化成肥料や液体肥料などを散布し、収穫まで植物を生長させます。
プロ農家で使用されるハウスによる施設栽培では、追肥として培養液を用いた養液土耕栽培も選択肢としてあります。培養液は、液体肥料や水に溶けやすい固形肥料を溶かして作り、それをさらに薄めて植物に与えます。
農家webでは、各作物、栽培方法において、元肥、追肥のやり方をまとめていますので検索してみることをおすすめします。
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栽培初心者の方は、野菜用の化成肥料やその作物の専用肥料を使用すると失敗するリスクを低減できます。
種類、形状で選ぶ
肥料の種類や形状で選ぶという観点もあります。
作物・植物の栽培における肥料の種類は、大きく以下のとおりに分けることができます。
液体肥料の場合は、速効性があるかわりに持続性がないため、養分がたくさん必要となる時期に、補助的に施すと良いでしょう。追肥や葉面散布剤として使用することをおすすめします。
固形肥料の場合は、緩効性があるものが多いため、一度施すとゆっくりと長く効いてくれます。そのため、元肥、追肥どちらでも使用することができます。
肥料だけではなく、有機質を使った土作りも大事です。堆肥や有機質を使って、より良い土壌づくりを心がけましょう。
野菜の作物別に肥料を探す
果菜類の野菜への肥料やり
果菜類は、主にその果実、種実を収穫し食す野菜です。美味しい果実を収穫するためには、適期で施肥をすることが重要です。基本的には、三要素すべてが必要となりますが、その中でも実肥と呼ばれるリン酸が重要です。
また、綺麗な果実を収穫するためには、カルシウムなどの中量要素やマグネシウムなどの微量要素も重要となってきます。
「N-P-K=11-11-11」などバランスの取れた肥料のほか、その作物専用の肥料を施してみると良いでしょう。
その他にも果菜類の野菜はたくさんあります。農家webでは、それぞれに適した肥料のやり方をまとめていますので、是非覗いてみてください。
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葉茎菜類・葉菜類の野菜への肥料やり
葉茎菜類・葉菜類は、主にその葉や茎などを食する野菜です。大きく立派なものを収穫するためには、適期で施肥をすることが重要です。基本的には、三要素すべてが必要となりますが、その中でも葉肥と呼ばれる窒素が重要です。
「N-P-K=10-8-8」など葉茎菜類・葉菜類用にバランスの取れた肥料のほか、その作物専用の肥料を施してみると良いでしょう。葉菜類は、果菜類ほど肥料を必要せず、ホウレンソウなどは栽培期間も短いことから、有機肥料での栽培も比較的容易に行なえます。
その他にも果菜類の野菜はたくさんあります。農家webでは、それぞれに適した肥料のやり方をまとめていますので、是非覗いてみてください。
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根菜類の野菜への肥料やり
根菜類は、主にその塊茎や塊根などを食する野菜です。大きなものを収穫するためには、適期で施肥をすることが重要です。基本的には、三要素すべてが必要となりますが、その中でも根肥と呼ばれるカリウムが重要です。
「N-P-K=7-10-11」など根菜類用にバランスの取れた肥料のほか、その作物専用の肥料を施してみると良いでしょう。
その他にも果菜類の野菜はたくさんあります。農家webでは、それぞれに適した肥料のやり方をまとめていますので、是非覗いてみてください。
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野菜におすすめの肥料
野菜におすすめな肥料は、たくさんあります。まずは野菜栽培用やその作物専用の肥料を探してみるのが良いでしょう。
下記は家庭菜園用として人気もあり、おすすめの肥料となります。
ハイポネックス マグァンプK
ハイポネックスジャパンが販売する元肥用の定番の粒状肥料です。「チッソ・リンサン・カリ」植物の生育に必要な三要素は勿論、マグネシウムやアンモニウムなどの二次要素・微量要素もしっかりと配合されていて、元肥に申し分ありません。土にしっかり混ぜて、大粒で約2年、中粒で約1年、生長効果が持続します。マグァンプK 小粒は追肥に有効です。
肥料焼けも起こしにくく、元肥としてとても扱いやすい肥料です。また、春の緩効性の追肥としても土面に撒いて使用できます。観葉植物の元肥して使用する場合は、中粒がおすすめです。
また、追肥としては肥効が約2ヶ月続く、マグァンプK 小粒がおすすめです。
花ごころ グリーンそだちEX IBのチカラ
花ごころの「IBのチカラ グリーンそだちEX」は、花にも野菜にも使用できる肥料です。N-P-K=10-10-10であり、バランス良く配合されています。花ごころは、バラや花に効く肥料を中心に様々な商品を販売しています。
IBとは、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)を配合した肥料のことで、とてもゆっくり溶け、流れ出るため植物の根に優しく、肥料成分が無駄なく吸収される特性があります。
本製品は無臭で、花付きをよくするリンサン成分など、3つの成分をバランスよく配合した肥料です。観葉植物は勿論ながら、ほとんどの植物にお使いいただけます。
ハイポネックス原液
液体肥料(液肥)国内トップシェアを誇るハイポネックスの定番液体肥料です。ハイポネックス原液は、「三大要素(窒素、リン酸、 カリ)」の他、マグネシウムやカルシウムなどの「二次要素(多量要素)」、さらに鉄をはじめとした「微量要素」を含む15種類の栄養素を最適のバランスで配合された液体肥料(液肥)で、水で薄めて使います。
他のハイポネックス商品もガーデニング初心者にとって扱いやすいので、興味ある方は下記も是非一読ください(アブラムシやヨトウムシなどの病害虫の予防・駆除という農薬的要素も入っている肥料や、芝生など作物に特化した肥料、希釈しないでそのままの濃度で使える肥料もあります)。
マイガーデン
園芸用の肥料として人気のシリーズに住友化学園芸の「マイガーデン」があります。下の記事にマイガーデンについて詳しく解説していますので適している肥料があったら試してみてください。
バイオゴールド
天然有機100%のバイオゴールドというシリーズの肥料も野菜栽培向けに大変人気です。下の記事にバイオゴールドについて、購入方法や使い方を書いていますので一度ご覧ください。
万田酵素の肥料
根強い人気がある商品として万田発酵の「万田アミノアルファプラス」という液体肥料があります。万田酵素は皆さん聞き覚えのある商品名だと思いますが、「万田アミノアルファプラス」はその万田酵素を開発する過程で培ったノウハウを活かして製造されたものになります。果実類、根菜類、穀類、海藻類など数十種類の植物性原材料を使用した液体肥料で、生育の促進、増収・品質向上に繋がるそうです。
活力剤を補助的に使うのもおすすめ
植物の栄養剤として肥料の他に「活力剤」と呼ばれる製品があります。活力剤は、植物の活性を高める目的で使われ「窒素(チッソ)・リン酸(リンサン)・カリウム(加里)」の三要素以外の養分やアミノ酸、フルボ酸などの有機酸が含まれています。
活力剤は、単体で施用するのではなく、あくまで肥料にプラスして施用するものです。肥料はしっかりと適期に施しつつ、植物が弱ってきたり、より綺麗に花を咲かせたい、葉緑素(光合成に影響があります)を増やして葉を青くイキイキさせたいときに有効です。
種類としては液体やアンプルのものがあります。
リキダス
リキダスは、3種類の有効成分コリン、フルボ酸、アミノ酸を配合し、3つの相乗効果で植物本来が持っている力を引き出し、元気な植物を育てる活力液です。また、カルシウムをはじめ、不足しがちな各種ミネラル(鉄・銅・亜鉛・モリブデンなど)が、植物に活力を与え、美しい花を咲かせると共に、葉面散布液としても使用できるおすすめの活力液です。
土壌に挿してそのまま使えるアンプルタイプのものもあります。
植物活力素 メネデール
植物の生長に欠かせない鉄を、根から吸収されやすいイオンの形で含む植物活力素で、発根を促し、元気な植物に育てます。肥料でも農薬でもないので気軽に使用できます。
HB-101
HB-101は、スギ・ヒノキ・マツ・オオバコのエキスを抽出精製し、混合した天然植物活力液で下記3つの驚きの効果があります。
- 植物の活力化
- バランスの良い土壌づくり
- 植物の免疫活性・防虫効果
減農薬栽培、有機栽培に最適で、野菜や果物、お米やお茶などがよりみずみずしく、おいしく収穫することができます。味だけではなく、実や葉の色ツヤや形もよくなります。