一言で観葉植物と言っても、たくさんの種類があります。バラやチューリップ、ひまわり、朝顔など花を咲かせる植物から、パキラやユーカリ、コーヒーの木といった葉や樹の形を楽しむ植物、サボテンやアロエなどの多肉植物まで、実に多種多様です。
それぞれの植物に合った肥料のやり方をしないと、うまく花が咲かなかったり、「肥料やけ」が起こったりしてしまい、最悪枯れてしまうことになります。
観葉植物の栽培には肥料が必要
観葉植物にも肥料は必要です。但し、施す時期や頻度、量はその植物によって異なります。つまり、栽培している植物に合わせた肥料やりが必要です。
中でも肥料の三要素(窒素、リン酸、カリウム)を補給することは、とても重要です。
窒素
窒素(N)は、肥料の三要素の一つで植物の生育に最も大きく影響する要素です。光合成に必要な葉緑素、植物の体を形作るタンパク質など、植物が生長する上で重要な働きをする物質となります。窒素肥料は「葉肥(はごえ)」とも呼ばれ、生育の初期に効果的であり、茎と葉の生長に大きく影響します。
リン酸
リン酸(P)は、肥料の三要素の一つで、開花・結実を促進したり、根の伸長、発芽や花芽のつきをよくする働きがあります。そのため、リン酸肥料は「実肥(みごえ)」と呼ばれます。トマトなどの果菜類やかんきつなどの果樹類、バラなどの観葉植物には補給が必須の要素となります。
カリウム
カリウム(K、加里)は、肥料の三要素の一つで植物体内でカリウムイオンとして存在しています。カリウムイオンは葉で作られた炭水化物を根に送り、根の発育を促したり、植物を丈夫にして病気などに対する抵抗力を高める働きがあります。そのため、カリウム肥料は「根肥(ねごえ)」と呼ばれます。
観葉植物の肥料の選び方
観葉植物に与える肥料の選び方を解説します。選ぶための切り口は、いくつかあります。
植物の種類別で選ぶ
一番良いのは、その植物の種類で選ぶことでしょう。特にその植物専用の肥料などがあれば、それを使うと安心です。
農家webでは、各植物に合った肥料をまとめていますので、こちらも参考にしてください。
栽培方法別で選ぶ
栽培方法別に選ぶことも重要な観点です。観葉植物と言っても、屋内で育てるもの、屋外で育てるものがあると思います。
屋外の場合は、一般的な化学肥料・化成肥料だけではなく、有機肥料も積極的に使用することができます。オーガニックな栽培を目剤している方は、有機質の固形肥料や液体肥料も使ってみても良いでしょう。
屋内の場合は、一般的な化成肥料、もしくは観葉植物用の化成肥料を使用したほうが良いでしょう。有機質の肥料などを施すと、虫が発生したり、臭いを発したりするリスクがあります。
どちらの場合であっても栽培初心者の方は、観葉植物用の化成肥料やその植物の専用肥料を使用すると失敗するリスクを低減できます。
種類、形状で選ぶ
肥料の種類や形状で選ぶという観点もあります。
作物・植物の栽培における肥料の種類は、大きく以下のとおりに分けることができます。
液体肥料の場合は、速効性があるかわりに持続性がないため、養分がたくさん必要となる時期に、補助的に施すと良いでしょう。追肥やお礼肥として使用することをおすすめします。
固形肥料の場合は、緩効性があるものが多いため、一度施すとゆっくりと長く効いてくれます。そのため、元肥や寒肥として施すと良いでしょう。
置くだけで数ヶ月効果が持続する錠剤肥料も人気です。置き肥と呼ばれたりします。
ハイドロカルチャーのような土を使わずジェルボールやハイドロボール、ゼオライトを培土として使う場合は、元肥を施して土作りすることができませんので、主に追肥によって養分を与えていきます。追肥には固形肥料ではなく、液体肥料を用いることが主流です。
主に花を楽しむ観葉植物への肥料やり
花を楽しむ観葉植物は、適期にしっかりと肥料を施すことで、とてもきれいな花を咲かせてくれます。綺麗な花を咲かせるためには、三要素すべてが大事ですが、その中でもリン酸がとても重要となってきます。
「N-P-K=8-8-8」などバランスの取れた肥料のほか、リン酸が少し多めに含まれた肥料を使ってみるのも良いでしょう。
バラの肥料
バラには、ミニバラ、つるバラの一種であるモッコウバラやフロリバンダ(ハイブリッドティローズとポリアンサローズの交配種・四季咲き中輪種)のアンティークなど様々な品種がありますが、基本的な肥料・施肥の考え方は同じです。ただし、品種によっては過剰な養分を嫌うものもありますので、それぞれの品種の育て方などを参考にしてください。
紫陽花(アジサイ)の肥料
基本的な肥料のやり方は、冬に、春から夏にかけてアジサイの花をしっかりと咲かせるために「寒肥」を、花が咲いた(開花)直後に与える翌年の花芽を育てるために追肥(お礼肥)を施肥します。
その他は、明らかに葉っぱや茎の成長が弱っているときには、速効性のある追肥を少量施肥して、様子を見るようにしましょう。
その他の花を咲かせる観葉植物の肥料
その他にもたくさんの花を咲かせる観葉植物があります。農家webでは、それぞれに適した肥料のやり方をまとめていますので、是非覗いてみてください。
\農家web内で検索!/
主に葉や樹の形を楽しむ観葉植物への肥料やり
葉の色や形、樹形を楽しむ観葉植物もあります。そのような植物にも基本的には施肥をしてやる必要があります。特に鉢植えなど限られた場所、用土で育てているものは、養分が不足しやすいため、補ってやる必要があります。
パキラ
パキラに使用する肥料は、植物を栽培するという点で、野菜や果樹などの栽培に使うものと基本的には同じで問題ありません。パキラだから特別な肥料を使うということはありません。プランターや植木鉢などの鉢植え栽培で使用できるものであれば問題なく使用することができます。
色々あって複雑ですが、最初は以下のように考えると良いでしょう。
- 葉や茎活力を与えたいときは窒素(チッソ)、カリウム多めの肥料を使ってみましょう。
- 花を咲かせたい、実の成長を促したいというときは、リン酸多めの肥料を施しましょう。
その特徴的な樹形が人気のパキラですが、実は花を咲かせることができます。
コーヒーの木
コーヒーの木も、パキラと同様に施肥すると良いでしょう。下記の記事にて、詳しく解説しています。
その他の葉や樹の形を楽しむ観葉植物の肥料
他にも葉や樹形を楽しむ観葉植物があります。農家webでは、それぞれに適した肥料のやり方をまとめていますので、是非覗いてみてください。
\農家web内で検索!/
多肉植物への肥料やり
「多肉植物に肥料は不要」と聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?おそらく、砂漠などの乾燥した土地でも育っていることから、「水や肥料は要らない」とイメージされやすいのだと思います。
結論としては、多肉植物に対しても、肥料は施したほうが良いです(もちろん水も)。但し、その頻度や量は、他の植物に比べるとかなり少なくなります。適期に適量の施肥をすることを心がけましょう。もちろん水やりも同様です。
サボテン
多肉植物は春秋型、夏型、冬型の3タイプに別れ、それぞれ生育期と休眠期が異なります。サボテンは、「夏型」に該当します。
サボテンは夏型なので、3月〜9月の生育期は肥料が必要です。どの肥料を使うかで頻度は変わりますが、 以下に目安を記載します。
- 液体肥料の場合は、ラベルなどに記載されている希釈率から更に2倍程度に薄めて、月1〜3回のペースで施肥します。
- 固形肥料の場合は、ラベルなどに記載されている使用目安量の半分程度の量を、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度施肥します(頻度は使う肥料のラベルの説明に合わせると良いでしょう)。
アロエ
アロエは、5月〜9月を目処に肥料を定期的に施すと良いでしょう。冬は休眠期に入るため、施肥は不要となります。
\農家web内で検索!/
観葉植物におすすめの肥料
観葉植物におすすめな肥料は、たくさんあります。まずは観葉植物用やその植物専用の肥料を探してみるのが良いでしょう。
下記4点は、人気もありおすすめの肥料となります。
ハイポネックス マグァンプK
ハイポネックスジャパンが販売する元肥用の定番の粒状肥料です。「チッソ・リンサン・カリ」植物の生育に必要な三要素は勿論、マグネシウムやアンモニウムなどの二次要素・微量要素もしっかりと配合されていて、元肥に申し分ありません。土にしっかり混ぜて、大粒で約2年、中粒で約1年、生長効果が持続します。マグァンプK 小粒は追肥に有効です。
肥料焼けも起こしにくく、元肥としてとても扱いやすい肥料です。また、春の緩効性の追肥としても土面に撒いて使用できます。観葉植物の元肥して使用する場合は、中粒がおすすめです。
また、追肥としては肥効が約2ヶ月続く、マグァンプK 小粒がおすすめです。
花ごころ グリーンそだちEX IBのチカラ
花ごころの「IBのチカラ グリーンそだちEX」は、花にも野菜にも使用できる肥料です。N-P-K=10-10-10であり、バランス良く配合されています。花ごころは、バラや花に効く肥料を中心に様々な商品を販売しています。
IBとは、イソブチルアルデヒド縮合尿素(IBDU)を配合した肥料のことで、とてもゆっくり溶け、流れ出るため植物の根に優しく、肥料成分が無駄なく吸収される特性があります。
本製品は無臭で、花付きをよくするリンサン成分など、3つの成分をバランスよく配合した肥料です。観葉植物は勿論ながら、ほとんどの植物にお使いいただけます。
ハイポネックス原液
液体肥料(液肥)国内トップシェアを誇るハイポネックスの定番液体肥料です。ハイポネックス原液は、「三大要素(窒素、リン酸、 カリ)」の他、マグネシウムやカルシウムなどの「二次要素(多量要素)」、さらに鉄をはじめとした「微量要素」を含む15種類の栄養素を最適のバランスで配合された液体肥料(液肥)で、水で薄めて使います。
他のハイポネックス商品もガーデニング初心者にとって扱いやすいので、興味ある方は下記も是非一読ください(アブラムシやヨトウムシなどの病害虫の予防・駆除という農薬的要素も入っている肥料や、芝生など作物に特化した肥料、希釈しないでそのままの濃度で使える肥料もあります)。
ハイポネックス キュート ハイドロカルチャー・水栽培用
液体肥料国内トップシェアを誇るハイポネックス ジャパンのハイドロカルチャー用活力剤です。ハイポネックス 原液と異なり、水で希釈する必要はなく株元へそのまま使用できます。その他のハイポネックス原液をはじめとする液体肥料も使用することができます。また、微粉ハイポネックスも希釈したり、溶かしたりする面倒さはありますが、もちろんハイドロカルチャーに使用可能です。肥料の種類や使い方を守れば、様々な観葉植物が丈夫に育ちます。 その他のハイポネックス商品に興味ある方は、下の記事も覗いてみてください。
ハイドロカルチャーには、他にもおすすめの肥料があります!
観葉植物には栄養剤(活力剤)もおすすめ
植物の栄養剤として肥料の他に「活力剤」と呼ばれる製品があります。活力剤は、植物の活性を高める目的で使われ「窒素(チッソ)・リン酸(リンサン)・カリウム(加里)」の三要素以外の養分やアミノ酸、フルボ酸などの有機酸が含まれています。
活力剤は、単体で施用するのではなく、あくまで肥料にプラスして施用するものです。肥料はしっかりと適期に施しつつ、植物が弱ってきたり、より綺麗に花を咲かせたい、葉緑素(光合成に影響があります)を増やして葉を青くイキイキさせたいときに有効です。
種類としては液体やアンプルのものがあります。
リキダス
リキダスは、3種類の有効成分コリン、フルボ酸、アミノ酸を配合し、3つの相乗効果で植物本来が持っている力を引き出し、元気な植物を育てる活力液です。また、カルシウムをはじめ、不足しがちな各種ミネラル(鉄・銅・亜鉛・モリブデンなど)が、植物に活力を与え、美しい花を咲かせると共に、葉面散布液としても使用できるおすすめの活力液です。
土壌に挿してそのまま使えるアンプルタイプのものもあります。
植物活力素 メネデール
植物の生長に欠かせない鉄を、根から吸収されやすいイオンの形で含む植物活力素で、発根を促し、元気な植物に育てます。肥料でも農薬でもないので気軽に使用できます。