レモンは、ミカン科ミカン属の柑橘(かんきつ)類です。黄色い果実、さわやかな香り、酸味のある果汁のイメージは誰もが知るところですが、フルーツとして収穫できるだけでなく、常緑の観葉植物としても楽しめるのをご存じですか。ガーデニング、園芸、場合によってはベランダでも栽培できる魅力的な植物なのです。
この記事では、レモンへの肥料のやり方、おすすめの肥料などをご紹介します。
レモン(レモンの木)の育て方
レモンの原産地はインドということもあり、寒い環境(耐寒)はやや苦手です。露地で植え付けられる地域は、同じ柑橘類のウンシュウミカンを植え付けられる地域より少し南、すなわち関東以南と覚えておくとよいでしょう。品種としては、耐寒性に優れるリスボン、ユーレカが適しています。栽培方法、地域、品種などによってさまざまな育て方がありますので、目安としてとらえるようにしてください。
栽培方法
レモンは地植えはもちろん、家庭菜園の場合は鉢植えでも栽培することができます。
地植え
水はけのよい土であれば育てることができます。地植えの場合、植え替えることが難しいので、日当たりの良好な場所を選んで植え付けるようにしましょう。
植え付けする苗の大きさにもよりますが、約20〜50cm程度の深さの穴を掘り、土:腐葉土:赤玉土を5:3:2位の割合で混ぜ合わせ半分ほど土を戻します。そのあと、苗を植えて残りの混ぜ合わせた土を戻します。植え付けは真夏、真冬を避けて3月〜4月頃がよいでしょう。植え付けのときには根を触らないようにしましょう。
元肥として施用する緩効性化成肥料や有機肥料(有機質肥料)がおすすめです。
鉢植え
庭土を用土として利用することができます。市販の用土を利用する場合は、赤玉土小粒7~8、腐葉土3~2の割合で配合するようにしましょう植木鉢は、できればプラスチックのプランターではなく、素焼きやテラコッタのものを選びましょう。素焼きやテラコッタの植木鉢は、通気性、吸水性、排水性に優れています。
植木鉢を使う場合は、鉢底に鉢底石を敷き、そこに用土(培土)を半分程度入れて苗を植え付けます。植え付けた苗の周りにも用土(培土)を入れて苗を安定させ、水をたっぷりと与えると根がしっかりと張ってきます。用土には、果樹用の培養土が売られていますのでそれを使えば問題ないでしょう。植え付け、植え替えは真夏、真冬を避けて3月〜4月頃がよいでしょう。植え付けや植え替えのときには根を触らないようにしましょう。
病害虫
レモンの病気としては、潰瘍病(かいよう病)が発生する場合があります。潰瘍病は、枝、葉、果、果実などに黄色い斑点が生じ、ひどい時には落葉に至る病気です。ほか、黒点病も発生します。
害虫としては、チャノホコリダニ、アブラムシ、アオムシ(アゲハもしくはアゲハチョウの幼虫)、ミカンハモグリガ(エカキムシ)、カミキリムシが発生した場合があります。農薬や殺虫剤を散布するなどして防除および駆除に努めましょう。
肥料を与える時期
レモンは柑橘類の中でも「肥料食い」といわれるほど、多くの肥料を必要とします。その理由として、白い花をつけ開花させるタイミングが四季を通じてあること、枝葉を旺盛に茂らせることが挙げられます。剪定は樹高を抑えつつ、樹冠が広がるように切り詰めることで整枝しましょう。
レモンには、肥料切れを起こさないよう、年4回は施肥をするようにしましょう。3月頃までに元肥(寒肥)として有機(有機物)肥料もしくは緩行性化成肥料を施すようにし、6月、9月、11月頃を目安に速効性または緩効性の化成肥料を追肥するとよいでしょう。
時期 | 時期 | 適している肥効タイプ | 肥料の例 | 概要 |
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元肥 | 3月頃 | 緩効性肥料・遅効性肥料 | 固形肥料 堆肥 油かす などの有機質肥料 緩効性化成肥料 | 植え付け、植え替え時、また毎春に施します。魚粉や骨粉なども有機質肥料ですが、窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれた油かす肥料を使うと良いでしょう。緩効性化成肥料も有効です。 レモンの生育適正pH(土壌酸度)は5.5〜6.5程度で弱酸性土壌を好みます。そのため、植え付け時や酸度が上がってきたときには有機石灰や苦土石灰を散布して中和します。どのくらいの量を散布するかは酸性度合いによります。市販の酸度計などを使用して測定すると良いでしょう。一般的にpH(土壌酸度)を1上げるためには、300g/1㎡程度の苦土石灰が必要です。 |
追肥 | 6月、9月、11月頃 | 緩効性肥料・速効性肥料 | 液体肥料・固形肥料 化成肥料 など | 元肥だけでは栄養が不足してくるので肥料を追加で施します。緩効性化成肥料などを中心に施しましょう。 樹勢が明らかに弱っているときは速効性の液体肥料を使ってみるのも効果的です。 |
レモンは、実を収穫してフルーツとして利用することができるため、庭木や植木としてもブルーベリーと並んで高い人気を誇ります。もしどちらを植え付けるか迷っている場合は、ぜひブルーベリーの記事もご覧ください。
肥料をあげすぎて肥料焼け?
肥料は、多ければ多いほどよいというわけではありません。土中肥料の濃度が高くなりすぎると、根が吸水できなくなり、植物に障害が発生したり枯れてしまったりすることがあります。これが「肥料焼け」です。成長が楽しみで、ついつい肥料を多くあげたくなってしまうかもしれませんが、一般に肥料をあげすぎると、かえって植物が弱ることがあり、樹や枝葉に障害が生じることもあります。肥料は過多にならないよう注意しなくてはいけません。また、苗(苗木)は成木に比べ弱いので、特に苗(苗木)の段階では施肥量を減らす工夫が必要です。
おすすめのレモン(レモンの木)の肥料
レモンを育てる際におすすめの肥料をご紹介します。
レモンにおすすめの有機肥料、有機配合肥料
レモンにおすすめの有機肥料としては、油かす、鶏ふん、米ぬかなどがあります。元肥として植え付け時や毎春使用しても良いでしょう。油かすは窒素成分を多く含んでいるので施用する際には施用量に気をつけましょう。また、鶏ふん、米ぬかはリン酸などの豊富に含まれていますが、窒素成分が不足する可能性もあるので、その場合には緩効性化成肥料と併用してみましょう。
油かす(油粕)
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。
鶏糞
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。特に、植物の実や花に栄養を与えたい時に使われるリン酸が豊富です。同じ堆肥として牛ふんが比較されることがありますが、成分が異なるとともに、牛ふんは土壌改良の目的でも利用される点が異なります。
米ぬか
米ぬかは、精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用するものです。リン酸が多く含まれている、緩効性のリン酸肥料です。糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
米ぬかは使い方に注意が必要で、主にはぼかし肥料の材料となるものです。米ぬかに興味ある方は是非下記で使い方を確認してみてください。
レモンにおすすめの化成肥料
ハイポネックス(Hyponex)
ハイポネックスジャパンが製造販売する「錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」という肥料もあります。追肥に利用する錠剤タイプで、置くだけでOKという簡便な肥料です。窒素:リン酸:カリ=8:10:9で配合されているほか、マグネシウム、マンガン、ホウ素、カルシウムも加えられています。
また、ハイポネックスには「ハイポネックス原液」などの液体肥料シリーズもあり、樹勢が弱っているときに与えると良いでしょう。さらにハイポネックスにはマグァンプなど固形肥料のシリーズも販売されています。適している肥料を選択して、使ってみましょう。
マイガーデンベジフル
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、粒状の様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができる肥料です。栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得していることや、土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしていることや、肥料成分は樹脂コーディングされていて、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶出する量が調節され、効き目が持続するのが本製品の特長です(リリースコントロールテクノロジー)。
追肥として、「マイガーデンベジフル」が有効です。また、「マイガーデン液体肥料」や「花工場原液」、「ベジフル液肥」は速効性の液体肥料なので、樹勢が弱り始めたときに薄めの濃度で与えてあげると良いでしょう。使用方法は各商品のラベルの指示に従ってください。
地植えにおすすめ!打ち込み型肥料グリーンパイル
ちょっと変わった肥料に打ち込み型のグリーンパイルがあります。グリーンパイルは樹木に理想的なバランスで必要な栄養:N(窒素)-P(リン酸)-K(カリウム)を配合した樹木(植木・庭木)専用の打ち込み型肥料です。棒状なので打ち込むだけで施肥が簡単にできます。地植えの樹木におすすめの肥料です。
レモン(レモンの木)の肥料を購入
ホームセンターなど店舗で購入する
上記で紹介した肥料は、コメリなどのホームセンターでも販売されています。また、ダイソーなどの100円均一でも販売されていることがありますが、取り扱いのない店舗も多いようなので注意が必要です。
通販で購入する
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。今ではAmazonや楽天市場など様々なECサイトで農業・園芸用品が取り扱われています。店舗よりも安く購入できる場合も多いですので、一度のぞいてみましょう。
レモンの品種について
レモンの品種は4~5品種,さらに各系統を合わせると25~30系統にもなります。樹勢,とげの数,四季咲き性,耐寒性(寒い時期に強い),果実の品質、たくさん実るかどうかなど、それぞれ異なった特性をもっています。ここでは代表的なレモンの品種を紹介します。
リスボン
原産地はポルトガルであり,樹勢がさかんで大木になります。耐寒性が強いのが特長で、たくさん実がなります。日本での主要品種で,最近ではとげの少ないフロストニューセラーリスボン、また他には、フロストリスボン,モンローリスボン,リモネイラ8Aリスボン,ブライオアリスボンなどがあります。
ユーレカ
カリフォルニア州ロスアンゼルスでイタリアから導入した種子のなかから選抜された品種です。結果期は早くたくさん実がなります。形は丸く、四季咲き性が強いことから施設栽培で広まっている品種です。
ビラフランカ
原産はシチリアで,大正時代に日本に伝わりました。樹勢は強く,耐寒性もすぐれ,とげも少ない優れた品種です。結果期はやや遅いのですが、年の結実のムラが少なく、ユーレカのように丸い形をしています。
まとめ
レモンを丈夫に生長させるために、レモンに合う肥料を適切な時期、量を与えることが非常に大事です。当記事を参考に毎年安定したレモンの果実を収穫できるよう栽培してみてください。