この記事では、イチジクへの上手な肥料のやり方、イチジクに適したおすすめの肥料などを網羅的に紹介します。
イチジクにおすすめの肥料一覧
イチジク栽培で利用する代表的な肥料をご紹介します。
イチジクの生育適正pH(土壌酸度)は、7.2〜7.5程度と言われています。栽培にあたっては土壌酸度を中性〜弱アルカリ性にしてあげることが重要です。肥料成分を補いつつ、苦土石灰などを利用して土壌酸度の調節もしてあげてください。pH(土壌酸度)は植物を育てる上では重要な指標なのでぜひ気にしてみてください。
初心者でも安心 イチジク専用肥料
\初心者におすすめイチジク専用肥料の解説/
イチジクの専用肥料も市販されています。イチジク栽培の特性に合った肥料成分が配合されています。初心者など栽培に自信のない方は、積極的に活用するとよいでしょう。
また、果樹用の肥料を使用することもおすすめです。ハイポネックスのマグァンプKや住友化学のマイガーデンベジフルは、果樹の栽培にもよく使用されています。花ごころにも、花木にも効果がある肥料が多く販売されています。
油かす肥料
\イチジクに油かす肥料を使えるか/
イチジク栽培では、有機肥料として油かす(油粕)肥料が利用されることが多いです。油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。
元肥のタイミングで、他の有機肥料(有機質肥料)と合わせて油かす肥料を使用すると良いでしょう。
その他有機肥料(有機質肥料)
イチジクは、元肥に多くの有機肥料(有機質肥料)を活用します。油かす肥料の他にも以下の有機肥料がよく使われます。
その他化学肥料・化成肥料
化学肥料は、緩行性化成肥料と速効性化成肥料がよく使われます。
但し、樹の状態や気候を考慮した施肥が必要です。また、硝酸態窒素やアンモニア態窒素などの無機態窒素(チッソ)は速い効果すなわち速効性があり、よく効くものの「肥料焼け」の原因となるので、利用する場合には様子を見ながらよく観察して、少しずつ与える必要があります。
また、イチジクは酸性土壌を嫌うことから、苦土石灰や熔リンを利用して酸性土壌をアルカリ性に矯正することもあります。
初心者の方は既に配合された果樹用の化成肥料と苦土石灰肥料などを使用することをおすすめします。
イチジクに適した施肥の時期・タイミング
時期(目安) | 施肥の名称 |
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12月〜2月頃 | 元肥(寒肥) |
6月〜8月頃 | 夏肥(追肥) |
9月〜10月頃 | 秋肥(礼肥) |
肥料をやる時期(施肥の時期)は、気候や土壌、品種、樹齢などの条件によって異なりますが、イチジクは一般的に「元肥(寒肥)」、「夏肥(追肥)」、「秋肥(礼肥)」の年3回を基準に施肥をします。
元肥(寒肥)とは、一般的に12月から2月までに施される肥料で、イチジクの場合は肥料の効果が長く続く性質の肥料を使うことが望ましいとされています。有機肥料(有機質肥料)や緩行性肥料が適しているでしょう。
夏肥とは、7月以降の果実の発育と枝の充実を促進するために施される肥料で、主に窒素とカリウム(加里)が重要となってきます。一度に全ての夏肥を施すというわけではなく、6月〜8月にかけて2回〜5回に分けて肥料をやると良いでしょう。
秋肥(礼肥)は、樹勢を回復させるための肥料です。翌年の生育初期の養分を蓄えさせることも重要な役目となります。夏肥のタイミングによって、秋肥をスキップする場合がありますが、基本的には礼肥として施したほうが良いでしょう。
- 11月〜2月頃休眠期
冬はイチジクの休眠期となります。休眠期の間に元肥をやることで、翌年の生育期に備えます。
イチジクは他の果樹とは異なり、結果習性という性質を持っています。そのため、肥効(肥料の効果)、特に窒素は長期間にわたって持続するものを元肥として与えると良いでしょう。有機肥料(有機質肥料)を主体にしたり、緩行性の肥料を主体とすると良いでしょう。
また、イチジクの生育適正土壌酸度(土壌pH)は、中性〜弱アルカリ性(pH 7.2〜7.5)を好む傾向があるため、カルシウム等石灰を使用して調節することも重要です。イチジクは石灰の要求量が大きいため、元肥でしっかりと施すと良いでしょう。
- 3月〜5月頃生育期(発根・発芽期)
暖かくなり始めると、イチジクの根が伸び、発芽が促進されてきます。この時期は、主にイチジクの体内に貯蔵された養分を使用して生長します。
- 6月〜8月頃生育期(新梢伸長期→果実肥大成熟期)
さらに新梢が伸び始めると、養分の土壌からの吸収が多くなってきます。また、果実もつけ始めることから、多量の養分が消費されます。
このとき、果実の発育と枝の充実のため、6月頃から窒素とカリウムを重点的に複数回に分けて肥料をやります。肥料をやるときは毎回、樹勢や樹の状態を確認して、肥料のやりすぎや不足が起きないように注意します。
- 9月〜10月頃成熟期
収穫が終わり始めたら、秋肥を施していきます。秋肥は葉の機能を高めて、樹勢を回復させることにあります。そうすることで、樹の体内に翌年の初期生育に必要な養分を蓄えさせることができます。
イチジクへの肥料のやり方詳細
庭植え(地植え)の場合
庭植え・地植えのイチジクの肥料のやり方の基本は、根が広がっている範囲に施すことです。「根の広がる範囲なんて掘り返してみないとわからない」と思われるかもしれませんが、一般的な樹木は基本的に「葉の広がっている範囲が根の広がっている範囲」と言えます。葉の広がっている範囲を確認して、その下の土にまんべんなく散布すると良いでしょう。
施肥するときには、株元にドーナッツ状に散布します。少し広げることと軽く土に混ぜ込むことを意識するとよいでしょう。
「施肥量はどのくらいが良いの?」とよく聞かれますが、品種や樹齢、樹・土壌の状態、剪定の強さによって異なるのでなかなか的確なアドバイスはできません。また、水田から転換した畑では植え付け後、1年〜2年は肥効が十分で、施肥が不要となることも多いです。
以下に、奈良県の「イチジクづくりのポイント」で記載されていた施肥量を掲載します。以下で記載されている肥料成分の他に、土壌酸度(pH)を考慮して苦土石灰を100kg/10aを基準に施します。完熟堆肥などを使って土壌改良することも求められます。
年間施肥量の合計から、元肥50〜70%、夏肥25〜50%、秋肥0〜12%程度の割合で配分し、肥料をやります。
樹齢 | 成分 | 年間施肥量合計(kg/10a) |
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2年 | N P K | 4 2 2 |
3年 | N P K | 6 5 5 |
4年 | N P K | 10 10 10 |
成木 | N P K | 16 14 16 |
肥料には、ラベルの裏に大まかな施肥基準が載っている場合もありますので、参考にすると良いでしょう。
鉢植えの場合
鉢植えのイチジクにも同様に施肥が必要です。鉢植えのイチジクに施肥する場合は、株元(根元)を囲むように肥料を施します。
施肥量は、品種や樹齢、樹の状態、プランター・鉢の大きさなどによって異なります。庭植えの場合の施肥量よりも少なめを意識して肥料をやるといいでしょう。
肥料には、ラベルの裏に大まかな施肥基準が載っている場合もありますので、参考にすると良いでしょう。
肥料をあげすぎて肥料焼け?
肥料は、多ければ多いほどよいというわけではありません。土中肥料の濃度が高くなりすぎると、根が吸水できなくなり、植物に障害が発生したり枯れてしまったりすることがあります。これが「肥料焼け」です。
成長が楽しみで、ついつい肥料を多くあげたくなってしまうかもしれませんが、一般に肥料をあげすぎると、かえって植物が弱ることがあり、樹や枝葉に障害が生じることもあります。肥料は過多にならないよう注意しなくてはいけません。また、苗(苗木)は成木に比べ弱いので、特に苗(苗木)の段階では施肥量を減らす工夫が必要です。
イチジク(いちじく)の肥料の購入場所
イチジクの肥料は、ホームセンター、100均、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。
各購入場所・購入方法のメリット・デメリットをまとめました。購入方法選びの参考にしてください。
購入方法 | ホームセンター | 100均 | インターネット |
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メリット |
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デメリット |
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ホームセンターでイチジクの肥料を購入する
ホームセンターで肥料は購入できるのでしょうか?結論から話すと、コメリやカインズ(CAINZ)、コーナンなどは、園芸向けの商品を多数取り扱っており、肥料も購入することができます。一般的なホームセンターであれば、在庫切れなどがない限り販売されているので安心して購入できます。
カインズ、コーナンなどは、一般的なガーデニング用品から少しマニアックな専用肥料まで幅広く取り扱いがあります。また、ブランド独自のオリジナル商品のラインナップもあり、豊富な種類から肥料を選択して購入することができます。
特にコメリは、農家向けの商材も多数取り扱っているため、専用肥料の取り扱いも多いです。農家も使っている肥料かもしれないと考えると、安心感が増しますね。
100均でイチジクの肥料を購入する
ダイソーやCanDoなど100均(100円ショップ)でも、イチジクに合う肥料を購入することができます。しかし、ホームセンターと違って「イチジク専用の肥料」が販売されていることは稀です。100均で購入する場合は、一般的な化成肥料や果樹・花木用の肥料を購入して代用すると良いでしょう。
インターネットショッピングでイチジクの肥料を購入する
AmazonやYahoo、楽天市場などでも肥料を購入することができます。ホームセンターと同様、品揃えも豊富のため、「イチジクの専用肥料」も簡単に見つけることができます。
店舗で実物をみて購入することも良いことですが、「その店舗での取り扱いがない」ことや「そもそもその商品がホームセンターなどの小売店で販売されていない」ことも多いです。時間とお金を節約するため、積極的に通販(インターネットショッピング)を利用しましょう。事前に在庫状況を確認できる点もメリットです。
イチジク(いちじく)の基礎知識
イチジクは、落葉性のクワ科イチジク属の植物で、学名はFicus caricaと言います。野菜などと異なり樹木なので多年生ですが、耐寒性がやや弱く、関東より北の露地では越冬できないとされています。
イチジクは漢字で「無花果」と書く通り、果実の中に花をもつため、外から花を見ることができません(単為結果により、受粉することなく果実ができます)。品種にもよりますが、長いものでは6月下旬から10月中旬くらいの秋まで収穫できる点も特徴です。
日照時間が長い方が好ましいので、日陰ではなく日当たりのよいところをイチジクの置き場として設定しましょう。樹高は1m〜5m程度になりますが、鉢植えでの栽培の場合は剪定をしっかりと行えば、そこまでの樹高にはなりません。
学名 | Ficus carica |
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属名 | クワ科イチジク属 |
原産地 | アラビア南部、南西アジア |
樹高・草丈 | 1.5〜5m |
耐寒性等 | 耐寒性はやや弱く、温暖湿潤な土地で育ちやすい |
イチジク(いちじく)の育て方 概要
イチジクの栽培スケジュールを簡単にまとめました。
- 苗木の選択苗木の選択のポイント
- 耐寒性や耐病性など品種によって性質が違うのでよく選びましょう。
- 植え付け植え付けのポイント
- 12月〜3月頃の休眠期が適しています。
- 苗木は深植えしないようにしましょう。
- 植え付けのときに元肥を施します。
- 剪定・切り戻し剪定・切り戻しのポイント
- イチジクの実がよく実るかどうかは剪定次第です。剪定はしっかりやりましょう。
- 剪定の適期は休眠期の12月〜3月頃です。
- 1年目のときは主技(主軸)を2本程度残して、先端部分から30cm程度選定すると良いです。
- 開花・収穫開花・収穫のポイント
- イチジクの花は、外からは見えません。「花のう」と言われる袋状の実の中に花があるイメージです。
- 果実の先端が割れてきたときが収穫の適期です。
- イチジクの増やし方イチジクの増やし方のポイント
- 増やすときは「挿し木」という方法で増やします。
11月以降の休眠しているタイミングで、剪定します。花芽のついた枝を剪定しないように注意しながら、伸長した枝を切るようにします。
病害虫(病気と害虫)にも比較的強いのですが、疫病、カミキリムシ、センチュウの被害が多く、ひどい場合には枯れることもあります。カミキリムシの成虫が枝をかじるほか、幼虫は幹の中を食い荒らすので注意が必要です。
育て方は、次の2つに大別することができます。
鉢植えでの栽培
イチジクは、鉢植えでも育てることができます。植木鉢は、できればプラスチックのプランターではなく、素焼きやテラコッタのものを選びましょう。素焼きやテラコッタの植木鉢は、通気性、吸水性、排水性に優れています。
用土は、赤玉と腐葉土を7:3くらいの割合で配合して利用するとよいでしょう。鹿沼土を赤玉土と腐葉土に足して、それぞれ3割程混ぜても良いです。ある程度の保水性を持ちつつも、水はけのよい培土にすることが重要です。
混ぜ合わせることが面倒な場合には、果樹向けの培養土を使うと基本的には問題ないです。果樹向けの培養土(用土)は、腐葉土や赤玉、鹿沼土、ピートモス、くん炭等が含まれており、ご自分で土の配合などを考えなくてもそのまま使用することができます。
地植えでの栽培
イチジクは、水はけのよい土壌であれば強健に成長します。したがって、あまり土は選びませんが、新たに用意するときには鉢植えの場合と同じく、用土は、赤玉と腐葉土を7:3くらいの割合で配合して利用するとよいでしょう。鹿沼土を赤玉土と腐葉土に足して、それぞれ3割程混ぜても良いです。ある程度の保水性を持ちつつも、水はけのよい培土にすることが重要です。
混ぜ合わせることが面倒な場合には、鉢植えと同様に果樹向けの培養土を使うと基本的には問題ないです。果樹向けの培養土(用土)は、腐葉土や赤玉、鹿沼土、ピートモス、くん炭等が含まれており、ご自分で土の配合などを考えなくてもそのまま使用することができます。