畑や大きな庭はないけど、家庭菜園を初めてみたいという方には、土を使わず培養液(肥料の入った水)で育てる水耕栽培がおすすめ。
市販の水耕栽培キットを使えば、だれでも簡単に水耕栽培が始められます。市販のものでなくても、ペットボトルなどを使って簡単に、自作することもできます。
この記事では、初めて水耕栽培を始める人から、ステップアップして、より収穫量を増やしたい、おしゃれに栽培したいという方向けに、水耕栽培キットの機能や選び方やおすすめ商品などを、説明します。
水耕栽培について
水耕栽培は、土を使わない養液栽培のひとつ。養液とは肥料を含んだ水のことで水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、野菜だけでなく果物や花など、様々な植物を衛生的簡単に育てることが可能です。プロの農家だけではなく、家庭菜園・園芸でも人気の栽培方法で、最近では室内やベランダなどで簡単にできる水耕栽培キットが人気です。
土の代わりの用土(培土)として、ハイドロボールなどをつかったハイドロカルチャーも、土を使わない養液栽培の一つで、観葉植物の栽培などに人気があります。
水耕栽培で必要なもの
水と容器さえあれば、始められる水耕栽培ですが植物を大きく育てたり、野菜を収穫したい場合にはそんなものが必要になるのでしょうか。
植物を育てるには、日光、水、栄養、酸素、環境(温度)が必要です。土壌栽培の場合は、土から栄養や酸素を根から取り込むことができますが、水耕栽培ではそれを補う必要があります。
日光(日差し)
育てる植物によって、耐陰性があるものがありますが、植物にとって日光を浴びて、光合成をしないと大きく育つことができません。これは水耕栽培でも同様です。しかし一日中日が当たる必要はありません。野菜やハーブなどは、1日あたり葉菜で3時間、実ものでしたら5時間あればOK。
室内でも、窓際などで日に当てることができれば育てることができます。ただし真夏などは直射日光に当てると、水耕栽培の場合は、容器の中の水の温度が上がりすぎてしまう危険があるので、レースのカーテン越しの光で育てるのが基本です。
日の当たらないキッチンなどで育てたいという方には、日光の代わりになるLEDライトがついている水耕栽培キットがおすすめです。
酸素
土壌栽培で育てる場合は、気にする必要がないのですが、水耕栽培では酸素が重要になります。植物は、根っこから水や栄養を取るのと同時に、酸素も取り込んでいます。
水にも酸素はありますが、土と比べて少量で水にどっぷりつかっていると、酸素が足りず根の成長がとまったり、根腐れしてしまうこともあります。
栽培時には、根っこの部分を全部水につけずに、根の先端だけをつけて、根元は酸素を取り込めるようにして育てるのが基本です。これでも植物は育ちますが、エアーポンプを水にいれて育てると植物の成長はぐーんと早くなり、大きく育てることができます。
収穫量を増やしたい、実もの野菜や果物を育てたいという方には、エアーポンプ付きの水耕栽培キットがおすすめです。
水
水耕栽培はきれいな水で育てるのが大切です。水は2~3日に一度替えてきれいな水で育てます。植物が大きくなると、根からたくさん水を吸い上げるので、うっかり水がきれると水枯れしてしまいます。
水耕栽培キットには、自動給水機能がついているものもあります。出張や旅行などで家を空けたり、水やりの手間を省きたい人には、おすすめの機能です。
肥料
土壌には様々な植物の生長に欠かせない養分が含まれていますが、水自体には養分は殆どありません。このため、水耕栽培は土で栽培する以上に、適切な肥料を適量分、追肥し続けることが重要になってきます。
水耕栽培に使われる養液(培養水)は、液体肥料を水に溶かしたり、粉末の肥料を水に溶かして作ります。エアーポンプなどの循環機能がない場合は、養液はこまめに交換して水が腐らないようにして育てます。
循環機能がある水耕栽培キットなら、基本は養液が少なくなったら足して育てます。多く栽培できるものはタンク容量も大きく、水やりの手間が減ります。さらに自動給水機能やアラーム機能などがついていれば、水枯れのリスクを回避できます。
水耕栽培用の肥料の種類について
水耕栽培用の肥料は土耕栽培用の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。苗が小さいころは、パッケージの濃度より薄めて使います。
下記のページに水耕栽培用の肥料についてまとめておりますので、参考にしてください。
環境(温度)
植物に合った環境で育てることも大切です。植物によって耐寒性や耐暑性は異なりますが、野菜などは、春や秋に成長するものがほとんどです。室内でも育てられる水耕栽培は、天候や気候に影響されにくいので、適切な温度で管理しやすくなります。
タイプ別 おすすめ水耕栽培キット
それでは、タイプ別におすすめの水耕栽培キットをいくつか紹介します。水耕栽培キットはエアーポンプや、LEDライトが必要な場合は、100Vの電源が必要です。設置する場合には、電源がとれるかも確認してましょう。またポンプの音やLEDライトなどの光も、睡眠などの障害になることもありますので、そちらも考慮しましょう。
手軽に葉物野菜を育てたい
日当たりの良い場所で育てることができるなら、「ゼンポー 水畑」がおすすめ。LEDライトはありませんが、本体にエアーポンプ、スポンジがついていて、空のペットボトルを使って自動給水も可能な栽培キットです。
簡易的なセットですが、お値段も4,000円程度、コンパクトなミニサイズなら3,000円程度。ポンプがついているので、早くたくさんの収穫が見込めます。エアーポンプが少しうるさいとの口コミがありますが、水耕栽培キットの入門としては、コスパが良いと人気の製品です。
この他初心者におすすめの水耕栽培キットについては、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
おしゃれなオールインワンタイプ
日の当たらないキッチンなどで、ハーブや野菜を育てたい。部屋に置くならインテリア性も重視したい。という方には、「iDOOの水耕栽培キット」がおすすめ。
iDOO(イドー)は、2015年にアメリカ西海岸のカリフォルニアにて創立された総合ヘルスケアブランドRENPHO(レンフォ)のサブブランド名です。iDOOの水耕栽培キットは8株から20株まで育てられるものまでありますが、おすすめは8株と12株タイプ。
LEDライト付きで、スマート水耕栽培キットでオート運転機能が搭載されています。野菜モード/花&果物モードを切り替えることにより、適切な光を選んで照射時間も調整します。内蔵ポンプが自動で水やりを行い、自動水循環システムで根に酸素を送ります。空気量を増やすことで、根腐れを防ぎ植物の成長を促進させることができます。
インテリア性もあるので、野菜をまるで観葉植物のようにも育てることができます。
iDOOの水耕栽培キットについては、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
トマトやキュウリなどの実もの野菜を育てたい
レタスやハーブなどの葉もの野菜は、特別な水耕栽培キットを使わなくても、スポンジや容器だけでも育ちます。しかしトマトやキュウリなどの実がなる野菜は、ポンプを使った循環機能がついていたり、支柱を立てたりする必要があります。
実もの野菜を育てるには、ホームハイポニカシリーズがおすすめ。「ホームハイポニカぷくぷくⅡ」「ホームハイポニカ601 果菜ちゃん」「ホームハイポニカMASUCO(マスコ)」がおすすめ。LEDライトはついていないので、日の当たる場所で育てるか別にLEDライトが必要です。
ハイポニカとは、1970年、協和株式会社の創業者・野澤重雄により開発された水耕栽培システムで、常に水の中に「流れ」を生み、根に接している酸素や肥料を常に入れ替わることで生育速度を速めます。ここからハイポニカ液体肥料も生まれています。
ホームハイポニカシリーズは、家庭で水耕栽培したい人向けにつくられた水耕栽培キットです。果菜ちゃんは、トマトの形をした容器が特徴的な、実もの専用の栽培キットです。ぷくぷくⅡは、初心者向けの簡易セット、MASUCO(マスコ)は容量が20ℓと大容量で、本格的な2層構造の水耕栽培キット、こちらは実ものだけでなく、葉菜も栽培可能です。
ハイポニカの液肥や、水耕栽培キットについてはこちらにも詳しい記事があります。
早くたくさん収穫したい
まるでプランターなどでたくさんの野菜を育てるように、多くの野菜を収穫したいのであれば、「ホームハイポニカPLAABO(プラーボ)」がおすすめ。LEDライトはついていないので、日の当たる場所で育てるか別にLEDライトが必要です。
PLAABO(プラーボ)は、2段スタンド式の葉菜用のホームハイポニカです。下段には15Lもの液肥槽があり、上段の栽培槽に「循環ポンプ」で「栽培槽」に液肥水を送り込み、循環して空気を送り続けます。これにより生育が早く病気に強い植物を栽培することができます。
25株植え付けできるので、種類の違う野菜やハーブなどの葉物野菜をたくさん育てたい人におすすめです。
おしゃれに飾りたい
インテリア重視の栽培セットもあります。
照明メーカーのオリンピア照明のAkarina(アカリーナ)シリーズは、居心地の良い光で育てたいとの思いから白色のLEDライトをつかっています。関節照明のかわりに使うなど、簡単な葉物や観葉植物を育てるのによいでしょう。
BOTANIUM(ボタニアム)の水耕栽培キットは、ハイドロボールを使った自動散水式プランター。USB接続のコンセント付で、ハーブなどを観葉植物のように育てることができます。
水耕栽培キットの自作方法
まずは、水耕栽培を始めてみたいという方には、ペットボトルや、スポンジなどで栽培することも可能です。また100均にも水耕栽培キットは販売されています。
まずは、簡単な水耕栽培でハーブなどを育ててみると、日当たりや、水やりの手間、成長速度などがわかるので、何が必要かわかるので、まずはここから始めてみるのもおすすめです。
簡単な水耕栽培キットの作成方法では、基本のペットボトルとスポンジを使った水耕栽培キットや、ベビーリーフやリーフレタスなどの栽培に使える、ハイドロボールとスポンジを使った水耕栽培キットなどの自作方法を紹介しています。
100均でも、観葉植物を育てる水耕栽培キットや、豆苗などのスプラウトを育てるキットもあります。