料理に使えるキッチンハーブは、使いたいときに少量収穫して使えることから、土を使わず育てる水耕栽培が人気です。
ここでは、種やさし木から始めるハーブの水耕栽培の始め方や育て方などを、わかりやすく説明します。また農家Webにはハーブの品種ごとの水耕栽培が豊富にあります。育てたいハーブの名前から、水耕栽培の記事を探すこともできます。
水耕栽培で人気のハーブ
水耕栽培で育てている方に人気のハーブは、やはりキッチンハーブと呼ばれる料理に使えるハーブです。料理に使えるハーブは、香草とも呼ばれ魚や肉の臭みを消したり、独特の香りで家庭での料理をワンランク上げてくれます。しかし、スーパーなどで買うと意外と値段もしますし、少しだけ使って、あとは枯らせてしまうなんてこともあるので、乾燥したもので代用されているという方もいるのではないでしょうか。
キッチンハーブは、水耕栽培と相性がよく室内で、1株から清潔に育てることができます。また栽培が容易なものも多く、タネからはもちろんスーパーで買ってきた茎からも、栽培することができるものもあります。人気のあるハーブとその特徴を説明します。
バジル
バジルは、甘くスパイシーな香りを持つハーブ。チーズやトマト料理と相性がよく、日本人にもなじみのあるキッチンハーブの代表格です。バジルは種から育てるのも難しくはありませんが、さし木でも水に挿すだけで、簡単に増やすことができます。スーパーで売ってるバジルでも発根します。
筆者も昔はホームセンターなどで苗を買って育てていましたが、最近は初夏になるとスーパーで買ってきたバジルを水挿しして、ペットボトルで育てています。簡単でたくさん収穫できるのでおすすめです。
バジルの水挿しから始める水耕栽培や、100均でそろえたもので、種から始めるコンテンツがあります。
大葉(しそ)
夏にそうめんや冷ややっこなどに活躍する大葉(しそ)。せっかくお店で買ってきても、次に使う時には、冷蔵庫の中で萎れてた…なんて経験あるのではないでしょうか。生育が旺盛な大葉(しそ)は水耕栽培初心者でも簡単に栽培できます。
大葉(しそ)の水耕栽培は、播種(タネまき)、挿し穂、苗から始められます。種は、ダイソーなどの100均などでも手軽に買えるのでたくさん作りたい人には種がおすすめです。生育温度が保てれば、種から育てて、その後はその育った苗から挿し穂で増やし、1年中栽培することもできます。
ミント
ミントは、さわやかな香りが特徴で料理やお菓子、ハーブティー、アロマなどにも広く使われています。丈夫で半日陰でも育てられるので、水耕栽培(水栽培)でも育てやすい植物で、挿し木で増やす時にも、土を使わず水挿しで行うことができます。
ミントにはいくつか種類がありますが、スーパーなどで買ってきたミントを挿し木でふやせば、同じ種類のミントを楽しめます。耐暑性や耐寒性も強いので、栽培も簡単です。室内であれば一年中楽しむことができるハーブです。
イタリアンパセリ
イタリアンパセリは、料理の添え物などに使われるパセリの仲間ですが、パセリのように葉が縮れてカールしておらず、平坦な葉をしておりパクチーと似た見た目をしています。一般的なパセリより香りが強く、味はくせがないので料理の風味つけなどによく使われます。
イタリアンパセリは栽培が簡単で、日当たりを好みますが直射日光が苦手なので、室内で育てる水耕栽培に向いている植物です。種からも育てられますが、収穫まで時間がかかるので苗から育てるのがおすすめです。
ローズマリー
ローズマリーは、独特なさわやかな強い香りがある常緑性低木。肉や魚料理や薬用にも使われるハーブです。スーパーなどで売られている食用のローズマリーを使って、水挿しで発根させることもできます。
葉物のバジルや大葉などに比べて、水耕栽培で育てるには少し難易度が高いハーブです。工夫次第である程度の大きさまでは育てることができますが、大株にするなら土に植え替えるのがおすすめ。土に植え替えるとほったらかしておいても、どんどん成長します。
ハーブ名から水耕栽培のコンテンツを探す
その他の水耕栽培のコンテンツ
ハーブの他にも、収穫して楽しめるレタスやニンニクなどの野菜の他に、ポトスやパキラなどの観葉植物、サボテンやエケベリア、ハオルチアなどの多肉植物、ヒヤシンスやチューリップなどの球根の水耕栽培の記事もあります。
水耕栽培について
水耕栽培の基本情報
水耕栽培は、土を使わず「水で栽培をする方法」を指します。水耕、水栽培などとも呼ばれます。水耕栽培は、観葉植物だけでなく、野菜や果物などのさまざまな植物を衛生的に育てることができます。
プロの農家だけでなく、家庭園芸や家庭菜園でも人気の方法で、室内やベランダで収穫野菜を楽しんだり、栽培キットなども販売されています。
ハイドロカルチャーも土を使わず「水で栽培をする方法」の一つです。土の代わりにハイドロボールなどの無菌の培土を使い、育てます。水だけで育てるより、植物を固定することができ、空気の層があるため根が育ちやすいという特徴があります。ハーブや野菜の種を直接ハイドロボールに蒔いて育てる方法もあります。
水耕栽培のメリット
家庭で観葉植物を水耕栽培で育てるメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
水耕栽培のデメリット
水耕栽培で、観葉植物を育てるデメリットもあります。観葉植物を大きく育てたい場合には、水耕栽培は向いていません。しかし室内で育てる場合には、それがメリットになることもあります。
- 根腐れしやすい
- 土壌栽培より、生育が遅い
- 日に当てると、藻が生えて容器やハイドロボールが汚れやすい
- 土から植え替えるときに、うまく根づかず枯れてしまうこともある
- ハイドロボールなどの資材が土にくらべ高額
種まきから始める水耕栽培の基本
準備するもの
- ハーブの種
- スポンジ(キッチン用のスポンジでOK 。メラニンスポンジは不可。やわらかめがおすすめ)
- 水
- ラップもしくはティッシュペーパー
- 竹串(爪楊枝でも可)
- 500mlのペットボトル
- 水耕栽培用の肥料
- カッターもしくはハサミ
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは、外しておきます。
- 手順2スポンジの準備
スポンジを、2㎝~3㎝程度に四角にカットし、十字に切り込みを入れます。
- 手順3種まき
飲み口を逆さにしたペットボトルに、スポンジをセットします
スポンジに水を十分含ませて、切込みに竹串などを使って、種を3~4粒差し込みます。
- 手順4ペットボトルにセットして発芽を待つ
切り取ったペットボトルの下部に水をいれ、手順3でスポンジをセットしたペットボトルをセットします。上からラップをして、爪楊枝で数か所穴を空けます。
直射日光のあたらない、暖かい場所で管理します。スポンジが乾かないように、水を足して発芽を待ちましょう。ハーブの種類によりますが、5日~15日程度で発芽します。
- 手順5育苗
発芽したら、すぐに明るい日の当たる窓際などへ場所へ移しましょう。根が伸びてきたら、ペットボトルの水の量を減らし、根の半分程度が水に浸るようにします。水は毎日取り換えます。
本葉が2~3枚出てきたら、元気な苗を残して間引きしましょう。
- 手順6肥料を与える
ペットボトルの飲み口の部分から根がでるぐらいに成長したら、肥料を与えて育てます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液(肥料をいれた水)は3日1度は交換しましょう。
編集さん光があたるとペットボトルには、藻が発生しやすくなります。アルミホイルやペットボトルカバーなどでカバーしましょう。根が伸びやすくなる効果もあります。
- 手順7収穫する
葉がある程度大きくなってきたら、収穫しましょう。
水挿し(挿し木)から始めるハーブの水耕栽培
挿し木は、剪定した枝や茎をつかって発根させる方法です。コップなどに水とメネデール(発根促進剤)を入れておくだけでも、発芽します。
キッチンスポンジとペットボトルを使った方法を説明します。この方法ですと根が出た後もそのまま水耕栽培に移行することができます。
準備するもの
- 剪定したハーブの枝や茎
(節は2~3節残して、10㎝ほどにカットしたもの、下葉は取り除いておきます) - ペットボトル
- スポンジ(キッチン用のスポンジ・やわらかめ)
- メネデール(発根促進剤)
- カッター・ハサミ
水挿しの手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を飲み口から7センチ程度のところをカッターやハサミなどで切り取ります。
上部を逆さにして下部にセットして使います。
- 手順2スポンジに枝や茎をセットする
スポンジを3㎝角に切り、中央に十字の切り目をカッターでいれ、水を吸わせます。十字に切ったスポンジの間にハーブのの枝や茎を入れます。
- 手順3ペットボトルに設置
ペットボトルの下の部分に水をいれ、手順2で作った苗とスポンジを上部にセットします。口の部分から水を吸い込みます。
- 手順4水の交換
明るい日陰に置いて、2~3日に1度水を換えましょう。スポンジが乾かないようにします。水替えはメネデール100倍液を使います。ペットボトルの下の部分が汚れていたら、洗って清潔にしておきます。
- 手順5発根後
根がスポンジの下からでてきたら水の量を変えます。根の半分が根につかるぐらいにして根の上部は空気が当たるようにして育てましょう。
この後は、水耕栽培用の肥料を使つかって育てましょう
ハーブの水耕栽培の育て方
栽培場所
ハーブによって半日陰を好むものや耐陰性の強い植物もありますが、植物は基本的に日当たりの良い、風通しの良い場所を場所を好みます。室内の場合は窓際などで栽培しましょう。夏は窓際に置くと昼間水の温度が上がりすぎるので気をつけます。3時間ほど明るい場所で管理できればハーブは育てることはできます。
ヒョロヒョロと枝が伸びる徒長が起きたら日光不足です、短時間でもベランダなど日の当たる場所に昼間置いてあげるなど工夫してください。
日に当たると藻が発生したりするため、培養液での栽培が始まったら、アルミホイルなどで容器を包み、できるだけ光に当たらないようにしましょう。ゼオライトなどを底に入れておくと、水を浄化し雑菌の繁殖を防ぐ効果があります。
肥料
土から栄養をとれない水耕栽培では、水耕栽培用の肥料を使い育てます。家庭で使える水耕栽培用の肥料として有名なものは「ハイポニックス微粉」や「ハイポニカ液体肥料」です。
発根後、苗が安定してきたら少しずつ肥料を溶かして培養液で栽培していきます。濃度は、使用する肥料によって異なりますので、肥料のラベルをよく読んで適合する濃度に薄めると良いでしょう。まだ、苗が小さいときにはそのさらに半分程度の濃度で栽培すると安心です。
培養液の取り替えは、少なくとも3日に1回程度は行うようにしてください。環境によっては、培養液が悪くなりやすい場合もあるので水の濁り具合などもよく観察してください。