トマトは、ビタミンC、カロテン、リコピンなどを多く含み、栄養や機能性に優れた野菜です。また、イタリア料理はもちろんのこと、日本でも家庭料理によく使われる人気の作物です。
栽培の時期や期間、方法によって、栽培の管理が異なります。家庭菜園では、プランターや鉢植えなどでも育てることができ、比較的手軽に栽培できる作物です。トマトとミニトマトでは、栽培の難易度が異なり、基本的にミニトマトのほうが育てやすく、トマトのほうが難しいと言われています。しかし、管理作業をしっかり行えば、トマトでも問題なく収穫まで栽培することができます。
日本ではプロ農家がビニールハウスを使った施設栽培(ハウス栽培)で長期間栽培(長期採り)されることが多く、トマトが一年中スーパーの店頭に並びます。
「栽培」と聞くと、プランターや支柱などの道具、用土や肥料などいろいろなものを用意しなければならないというイメージがあると思います。実際、家庭菜園におけるプランター栽培や露地栽培でもたくさんの道具が必要となる場合があります。
そのような面倒さを排除して、手軽に栽培に取り組むことができるのが栽培キットです。栽培キットは、そのキットを購入すればほぼ一式の必要物品が含まれているので、すぐに栽培を開始することができます。
この記事では、トマトの基礎知識と栽培方法の簡単な解説、トマトの栽培キットおすすめ商品をご紹介します。
そもそも栽培キットとは?
栽培キットとは、栽培に必要なもの(容器や用土、肥料、種など)が一式にまとめられて販売されているものです。栽培キットの中には、その作物、その品種に最適な肥料や用土を組み合わせたものや、すべて完全オリジナルの用土、肥料を使って栽培するものまで、さまざまなものがあります。
栽培キットは、栽培方法によって大きく2つの種類に分けることができます。
- 水で育てる水耕栽培キット
- 土や固形培地で育てる栽培キット
今回は、上記2つに大きく分けて、トマトの栽培キットのおすすめ商品をご紹介します。
水で育てるトマトの水耕栽培キット
水耕栽培は、養液栽培の一種で培地に土は用いず、養液(培養液)の供給のみによって栽培する方法です。植物は、養分、水分、場合によっては酸素を培養液から吸収することで生長します。
トマトの水耕栽培キットのおすすめ商品をご紹介します。
ホームハイポニカ 303/ぷくぷく/MASUCO/Sarah/Sarah+/601 果菜ちゃん(屋外向け)
ホームハイポニカは、協和株式会社から発売されている家庭・小規模用の水耕栽培システムです。ハイポニカは、1970年に協和株式会社の創業者によって開発された画期的な水気耕栽培システムで、それを家庭用にも使用できるように改良した栽培システムがホームハイポニカシリーズです。
ホームハイポニカには、いくつか種類があり、栽培する作物や大きさ、規模によって適している栽培システムが異なります。それぞれの特徴と屋外/屋内向けかをまとめましたので参考にしてください。ホームハイポニカは、ポンプを使用して培養液を循環する方式のため100Vの電源が必要です。
品名 | ホームハイポニカ303 | ホームハイポニカ ぷくぷく2 | ホームハイポニカMASUCO(マスコ) | ホームハイポニカSarah+(サラプラス) | ホームハイポニカ601 果菜ちゃん |
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商品 | |||||
大きさ | 幅800mm×奥行665mm×高さ310mm | 縦370mm×横370mm×高さ200mm | 約幅400mm×奥行396mm×高さ263mm | 幅640mm×奥行360mm×高さ330mm | 直径467mm×高さ300mm |
重量 | 4.5kg | 2.5kg | 約5.3kg | 5.5kg | 3kg |
液肥容量 | 50L | 約9L | 約20L | 35L | 12L |
参考価格 | 34,800円(税別) | 8,250円(税別) | 17,000円(税別) | 26,500円(税別) | 16,000円(税別) |
付属品 | 果菜用マルチパネル、葉菜用マルチパネル、ハイポニカ液体肥料(1リットル)・果菜用培地(4セット)・葉菜用培地(300個)・鉢カバー(2個)・栽培鉢(2個)・計量カップ・取扱説明書・栽培のしおり | ハイポニカ液体肥料(250ml)、培地(10個)、穴カバー(4個)育苗プラグ(5個)、ペットボトルキャップ(1個)、エアポンプ(1個)、 ※ペットボトルは付属していません。 | ハイポニカ液体肥料(500ml)・果菜鉢・鉢カバー・支柱枠・うき・仕切り板・果菜/葉菜プレート・給液カバー・液肥タンク・栽培槽・液肥槽・循環ポンプ・チューブ・水位調節管・空気混入器・果菜、葉菜用スポンジ | 果菜用マルチパネル、葉菜用マルチパネル、ハイポニカ液体肥料(1リットル)・果菜用培地(4セット)・葉菜用培地(120個)・栽培鉢(1個)・栽培鉢カバー・計量カップ・取扱説明書・栽培のしおり | ハイポニカ液体肥料(500ml)・果菜用培地(4セット)・栽培鉢(1個)・支柱支持枠(2個)・取扱説明書・栽培のしおり |
屋内向き/屋外向き | 屋外向き | 屋外向き | 屋外向き | 屋外向き | 屋外向き |
2021年5月時点の情報です。掲載情報から変更されている可能性もありますのであらかじめご了承ください。
上記は、果菜類の栽培に対応したホームハイポニカシリーズです。定植用のマルチパネル(果菜用マルチパネル)や栽培鉢も付属しているため、すぐに栽培を始めることができます。
ご家庭で手軽にたくさんの実を収穫したい場合は、「ホームハイポニカ601果菜ちゃん」がおすすめです。12Lという小容量でありながら、支柱立てがしやすくなっており、茎をうまく誘引していくとたくさんの実を付けることができるでしょう。
また、トマトは大きな実をたくさんつけるために根を多く張る必要があります。そのため、たくさんの実を収穫したい場合は、ハイエンドタイプの「ホームハイポニカ303」がおすすめです。栽培容器の液肥用量が50Lと大容量でトマトでも大きく生長させることができます。水耕栽培に必要なエアポンプ、液体肥料も付属しているので、届いたらすぐに栽培を始めることができるのも魅力です。また、果菜類だけではなく葉菜類の栽培もできますので、一年中水耕栽培を楽しむことができます。
うまくできると、この動画のようにたくさんの果実を収穫することができますよ。
ハイポニカについて、肥料などの記事もまとめています。培養液づくりの参考にしてください。
上記のほかにも、トマトの水耕栽培キットはたくさんあります。また、水耕栽培システムを自作することも可能です。詳しい水耕栽培キットの紹介、水耕栽培システムの自作方法、栽培方法について知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
土や固形培地で育てるトマトの栽培キット
栽培キットは、先述したような水耕栽培のものだけではありません。専用の培土や固形の培地を使った栽培キットもあります。土での栽培を体験してみたいけど、培土やプランターの準備が面倒という方におすすめです。
大玉トマトは少量培地での栽培が難しいため、苗とセットで販売されている栽培キット(栽培セット)はほぼありません。果菜類用の栽培セットを購入して、苗を別で購入することがほとんどのようです。今回は、中玉の栽培キットと果菜類用の栽培キット(栽培セット)のおすすめ商品をご紹介します。
品名 | トマト 栽培セット | 菜園プランター 角深55型 園芸を始めるスタートセット | プランター深55型 野菜の培養土・鉢底石・肥料セット | 日光種苗 安心栽培キット |
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商品 | ||||
苗/種が付属しているか | 苗が付属 | 苗・種ともに付属なし、別途購入必要 | 苗・種ともに付属なし、別途購入必要 | 苗・種ともに付属なし、別途購入必要 |
栽培容器は付属しているか | 付属の培養土の袋で栽培 | 付属のプランターで栽培 | 付属のプランターで栽培 | 付属のプランターで栽培 |
土/その他固形培地 | 付属の培養土 | 付属の培養土 | 付属の培養土 | 付属の培養土 |
届いたらすぐに栽培を始められるか | 始められる | 苗・種の購入が必要 | 苗・種の購入が必要 | 苗・種の購入が必要 |
付属品一覧 | そのまま育てるトマトの土(15L)・トマトの支柱1セット・ミニ~中玉のトマト苗(品種はおまかせ) | プランター深55型・野菜の培養土・鉢底石・肥料 | 角深55型プランター2台・花ちゃん培養土25L×2・鉢底石5L×1・野菜肥料500g×1・0.8x3.0m園芸ネット1個 | 貯水機能付き栽培プランター・追肥用肥料 60g入・培養土 25L |
屋内向き/屋外向き | 屋外向き | 屋外向き | 屋外向き | 屋外向き |
2021年5月時点の情報です。掲載情報から変更されている可能性もありますのであらかじめご了承ください。
トマトよりももっと簡単にできるミニトマトの栽培
ミニトマト(プチトマト)の栽培は、トマト(大玉トマト、中玉トマト)よりも手軽でもっと簡単に行うことができます。「トマトの栽培をしてみたいけど、もっと手軽に栽培を楽しみたい」という方は、ミニトマトの栽培をおすすめします。
ミニトマトであれば、ベランダ栽培やプランター栽培のセットが多く販売されていますので、ご自身に合った栽培キットを見つけることができるはずです。
栽培キットを使ったトマトの栽培方法
まずは、トマトの植物としての特性や基本的な栽培知識をおさらいしましょう。下の記事にトマトと栽培方法の基礎知識(家庭菜園の土耕栽培をベースにしています)をまとめていますので、参考にしてください。
栽培キットを使った栽培においても、摘葉(葉の摘み取り)、摘芯(摘心)、誘引、わき芽かき、人工受粉(人工授粉)作業、摘果(不要な果実の摘み取り)、病害虫管理なども同様の方法で問題ありません。
但し、栽培キットに取扱説明書や栽培方法の手引きがあれば、それらに記載されている栽培方法を基準にしてください。なぜなら、栽培キットはメーカーや販売店などが実際に栽培を行ったうえで取扱説明書や栽培方法の手引きを作成しているはずなので、その栽培キットに一番合った栽培方法が記載されている可能性が高いからです。逆に、取扱説明書や栽培方法の手引きがない場合は、普通栽培を基準に栽培を進めると良いと思います。
また、ベランダなど屋外での栽培においては、病害虫にも注意しましょう。特に、ワタアブラムシやなどのアブラムシ類、チャノホコリダニやハダニなどのハダニ類、アザミウマ類など、害虫には注意が必要です。
トマトの栽培キットにおけるポイント・注意点
トマトの基本的な栽培ポイントに追加して、栽培キットを使用する場合のポイントと注意点を下記にまとめましたので意識してみてください。
- 栽培キットは、製品ごとに含まれている内容物(付属品)が異なりますのでセット内容を良く確認してから購入しましょう。また、苗・種が含まれていない場合は、ホームセンターやインターネット通販で別途購入しましょう。
- 水耕栽培は、水が命です。水を切らしたり、水質が悪くならないように定期的に培養液のチェックをしてください。
- トマトは、日当たりの良い場所を好みます。屋外、屋内に関わらず日中帯は日当たりの良い場所に置くようにしましょう。