日本に発生するアザミウマの種類
日本の畑地に出る、ウイルスを媒介するアザミウマは主に以下の5種類です。



アザミウマに効く農薬一覧表
アザミウマを適用病害虫とする農薬はかなりの種類がありますが、アザミウマの種類によって、効く効かないはまちまちです。代表的のものをアザミウマの種類別に分類すると、以下のようになります。(あくまで、参考的な情報です)
IRACコード | グループ名 | ネギアザミウマ | ミナミキイロアザミウマ | ミカンキイロアザミウマ | ヒラズハナアザミウマ | チャノキイロアザミウマ |
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1B | 有機リン系 | スミチオン ダイアジノン | スプラサイド | オルトラン トクチオン | オルトラン トクチオン スプラサイド | オルトラン スミチオン スプラサイド ダイアノジン |
4A | ネオニコチノイド系 | モスピラン アドマイヤー ダントツ スタークル | モスピラン アドマイヤー ダントツ スタークル | モスピラン | モスピラン | モスピラン アドマイヤー |
4C | スルホキシイミン系 | トランスフォーム | ||||
5 | スピノシン系 (マクロライド系) | ディアナSC | ディアナSC | ディアナSC | ディアナSC | ディアナSC |
6 | アベルメクチン系 ミルベマイシン系 (マクロライド系) | アファーム | アファーム | アファーム アニキ | アニキ | |
9B | ピリジン アゾメチン誘 導体 | コルト | コルト | |||
30 | メタジアミド系 | グレーシア | グレーシア |
※農薬を使用する際にはラベルをよく読み、用法・用量を守ってお使いください。
RACコードとは、農薬を作用機構(農薬の効き方)ごとに分類して番号と記号を振ったコードになります。
例えば殺虫剤なら有機リン系は[1B]、ネオニコチノイド系は[4A]など、すべての農薬にRACコードが設定されています。
同じRACコードの農薬を繰り返し使うと害虫や病原菌に抵抗性がついてしまうのを、RACコードが違うコードの農薬を交互に使うことで防ぐことができます。「系統」とも呼ばれますが、RACコードの方が、より厳密に分類されています。
殺虫剤は、IRAC(アイラック)コード、殺菌剤にはFRAC(エフラック)コード、除草剤にはHRAC(エイチラック)コードになっています。
殺虫剤はアザミウマ類だけでなく、カイガラムシ類やハダニ類、アブラムシ類、ヨトウムシ、コナジラミ、コガネムシ、ハスモンヨトウ、ネキリムシ、ヨコバイ、ハモグリバエ、ハマキムシ、イラガ、カメムシ、ウンカ、メイガ、ハムシ、ケムシ、テントウムシダマシ、ナメクジ、シンクイムシなど幅広い殺虫スペクトラムを持つものも多いので、うまく活用しましょう。
上記の農薬は水で溶かして薄めて使用する液剤や水溶性の粉剤、粒状、粒タイプです。希釈方法等については下記をご参考ください。
抵抗性アザミウマの対処法
抵抗性アザミウマとは、農薬の種類、活用が増えることで、たまたま耐性があって生き残った特定の農薬が効かない性質のアザミウマが、世代を重ねて集団化したものです。
アザミウマは繁殖力が高く、また発育スピードが速く、短期間で世代を繰り返すため、ほかの害虫より抵抗性の発達スピードが速い害虫です。
殺虫剤を散布しても、翌日集団でアザミウマが生息している場合は、抵抗性を疑ってよいでしょう。
このような場合は、お使いの農薬のRACコードを確認して、タイプの異なる殺虫剤のローテーション散布を心がけること、さらには生物的、物理的、耕種的防除法を取り入れたIPM防除体系を組んで、統合的に実践することが重要です。
農地を取り巻く環境や病害虫の対象種の個体群動態を考慮しつつ、「生物的防除」「化学的防除」「耕種的防除」「物理的防除」を組み合わせることで、病害虫の発生を経済被害を生じるレベル以下に抑えることをいいます。
- 「生物的防除」 病害虫の天敵を導入し、病害虫密度を下げる防除法
- 「化学的防除」 化学薬剤を使用して行う防除法
- 「耕種的防除」 栽培法,品種、圃場の環境条件等を整え、病害虫の発生を減らす防除法
- 「物理的防除」 防虫ネット、粘着トラップ、光熱等を利用して病害虫を制御する防除法
(IPM・・・Integrated Pest Management)
また、新規殺虫剤として、アザミウマに特効性があるとして注目されている「ファインセーブフロアブル」という農薬があります。こちらは、有機リン系やネオニコチノイド系などの系統とは別で、抵抗性ネギアザミウマにも効果が確認されているので、取り入れてみるのもいいと思います。
生物農薬
生物農薬とは、「農薬の目的に使われる生物を使い、病害を防除する農薬」のことを言います。
その生物とは主に、昆虫、線虫、微生物で、害虫(例えばアブラムシやアザミウマ、コナジラミ、ハダニなど)を捕食する、天敵に当たる昆虫や、昆虫に寄生するもの、センチュウ、また病原菌にあたる生物になります。
天敵導入による防除は、名前でこそ「生物農薬」と呼ばれますが、化学農薬ではなく、有機JASでも勿論使用可能です。
アザミウマ対策に使えるおすすめの生物農薬は、以下のようなものがあります。
生物農薬は、在来種以外の天敵昆虫を使用することが多く、本来の生態系に影響を与える恐れがある為、閉鎖系の圃場以外では使用、散布し難いものがあるなどの注意点もあります。
その他、生物農薬については下記に詳しく、具体的な製品も紹介していますので、ご参考ください。
無農薬でアザミウマを駆除する方法
アザミウマは、アブラムシと同様、キラキラ光るものが苦手だったり、逆に黄色いものが好きだったりといった習性があります。この習性を利用することで、アザミウマを忌避、誘引し、防除することができます。
また、最近では赤い防虫ネットでハウスを覆うことで、アザミウマの発生を防いだり、ハウス内の雑草をしっかり除草することで、発生を減らすことができます。
無農薬でアザミウマを駆除する、物理的防除、耕種的防除について詳しく知りたい方は、下記を参考にしてみてください。