みかんは、オレンジ、キンカン、レモンなどの柑橘(かんきつ)類の中でも、最も身近なもののひとつと言っても過言ではありません。みかんを果樹として栽培することも人気で、プロ農家の果樹園だけではなく、ご家庭の庭での地植え栽培も盛んに行われています。
みかんを育てている人は誰もが「美味しい果実を収穫したい」と思うはず。みかんがおいしくなる肥料やそのやり方なんてあるのでしょうか?この記事では、みかんの果実をおいしくする方法を探ります。
みかんが「おいしい」と感じる理由
みかんの果実が「おいしい」と感じる理由から探ります。一言で「みかん」と言っても、みかんの果実は下記のような個性があります。
- 大きさや外見
- 内袋(果実の中にある袋)の硬さや厚さ
- 中身の味(糖度や酸度)
- 水分含有量
品種による違いもあれば、栽培条件、栽培方法によっても差異が出ます。
「おいしい」を単純に食味と考えると、「糖度」と「酸度」、「水分含有量」が大きく影響するのではないかと考えます。
糖度が高ければ甘くなるのは当然ですが、酸度が低くなることによっても、甘みが増したように感じます。要は、糖度と酸度のバランスが「おいしい」に繋がるのです。
糖度と酸度のバランスの好みも食べる人によりますよね。
また、水分含有量が高いジューシーなものを「おいしい」とするか、水分が少し抜けてその分甘みを感じるものを「おいしい」とするかも食べる人によるかなと思います。
ご自身でみかんの木を栽培されている方は、みかんへの肥料の与え方や水やり(潅水)の管理によっても食味を向上させることができます。また、光合成を十分にできるようにして、完熟になるまで木に付けたまま育てることが重要です。
以下では、家庭菜園でみかんを育てている方に向けて、話題の「みかんがおいしくなる肥料」の紹介とおいしいみかんを育てるための肥料のやり方の基本を解説します。
「みかんがおいしくなる肥料」とは
「みかんがおいしくなる肥料」は、その名の通り、おいしいみかんを収穫するために設計されたみかん専用肥料です。同様の名前を持つ肥料はたくさんあり、種苗店や資材店がそれぞれ独自に開発しているものが多いです。
どの肥料にも共通して言えることは、化成肥料(化学肥料)成分だけではなく有機質肥料を多く配合していることです。カニ殻などの甲殻物質肥料や魚かす肥料などを含むことによって、アミノ酸やミネラル分を補えるようにしています。また、葉緑素の構成成分として重要なマグネシウムも配合することで、葉を残し光合成の能力も高まるようになっています。
下記に、2つの「みかんがおいしくなる肥料」を紹介しますので、みかんを育てている方は試してみてください。
花ひろば「みかんがおいしくなる肥料」
カニ殻や魚かす、マグネシウムなどを含んでいます。魚かすは、アミノ酸を含んでいるため、悪天候などで光合成が十分に行えない場合でも生長を維持できます。日照不足や低温時にも十分な肥料効果が期待できます。
農業屋「みかんがおいしくなる肥料」
カニ殻や魚かす、マグネシウムなどを含んでいます。味が良い、品質が良い、プロ向きの肥料として販売されています。
おいしいみかんを収穫するための考え方
おいしいみかんを収穫するためには、肥料の成分の他にも重要なことがあります。
- 肥料のやり方
- 土壌の性質、土壌改良
- 剪定
肥料のやり方
肥料は、決められた時期に定期的に適量を施すことが基本です。
その上で、特に窒素の施肥量と時期を重要視すると良いでしょう。
窒素は、5月〜7月にかけて多く吸収され、新梢や葉の生長などに使われます。その後、8月〜9月頃になると窒素の養分吸収量が低下します。このときに、窒素が過剰気味になると、果実の着色の遅延や浮皮の増加、果肉の減少、糖度の低下などの果実品質低下を招きます。
例としては、8月〜9月以降に窒素の量が多すぎると、根の生長などが誘導されて光合成で得られたタンパク質などの炭水化物の分配が地下部に偏ってしまいます。そうなると、果実に分配される炭水化物が減少し、結果的に先述した品質低下現象が起きます。
土壌の性質、土壌改良
土壌の条件によっても果実の品質に差が出ます。
例えば、れきを含む通気性、排水性などの物理性が良く、かつ養分の保持力も高い土壌では、果実の品質が良くなります。
逆に黒ボク火山灰土壌のような、腐植に富んだ通気性・排水性が低い土壌では、樹自体の生長は良好に見えますが、果実の着色不良など、果実品質が悪くなる傾向にあります。
成分の話をすると、「リン酸が果実品質に影響する」ということはよく知らえていると思いますが、通常の土壌だとリン酸欠乏(リン酸が不足すること)になることは少ないです。逆に、上記の黒ボク火山灰土壌などはリン酸が土壌に固定される力が強くなり、樹自体が吸収できるリン酸が不足しやすくなる傾向にあります。
よって、通気性・排水性の良い土壌にするための物理的な土壌改良も果実の品質向上には重要でしょう。
剪定
剪定のやり方によっても、その年、翌年以降の果実の品質が左右されます。
強剪定をしてしまうと、新梢の伸びが強くなり、着花が悪くなります。そのため、収量が減ることが予期されます。さらに、果実品質も低下する可能性が出てきます。
みかんの剪定も、樹の状態を見ながら適正に実施することが重要です。
みかんに使えるその他の肥料
\みかんにおすすめの肥料まとめ/
みかん専用の肥料
みかんなど柑橘類(かんきつ類)専用の肥料として、販売されている商品も多々あります。「みかんがおいしくなる肥料」として販売されていたり、「みかんが甘くなる資材」として販売されていますので、初心者の方はそのような商品を使用することで、栽培が楽になるでしょう。
油かす肥料
結論としては、「みかんの肥料として油かす肥料は適している」といえます。特に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)は、元肥として施すとゆっくり長く肥料の効果を効かせることができます(緩効性肥料)。
みかんの養分吸収(土壌などからの養分の吸い上げ)の特性としては、主に下記のことが言えます。
- 新芽の発芽など初期生育のときは、大部分が前年までに体内に吸収された栄養を使用して生長する。
- 葉や枝が充実してくる5月頃から窒素(N)をよく吸収する。そして6月頃〜7月頃に吸収のピークを迎え、その後も一定量吸収される。
- カリウム(K)も窒素同様、春頃から良く吸収される。
油かす肥料は、窒素が多く含まれています。そして、肥効(肥料の効果)も長い緩効性肥料です。みかんの施肥(肥料やり)の考え方として、夏の生育期の追肥(夏肥)によって補うことも重要ですが、元肥に油かす肥料などの有機肥料(有機質肥料)を多く使うことによって、肥効を持続させることも重要です。油かす肥料は、その代表的な資材と言えるでしょう。
\みかんに油かす肥料を使う/
米ぬか肥料
みかんには、米ぬかの肥料が使えると聞いたことがある方も多いと思います。
結論としては、「みかんの肥料として米ぬかは使える」ということです。ただし、使い方に注意が必要です。
\みかんに米ぬか肥料を使うときの注意点など/
鶏糞肥料
結論としては、「みかんに鶏糞(鶏ふん)は使えるが、鶏糞の特性をよく理解しておく必要がある」ということです。
鶏糞肥料は、窒素(N)、リン酸(P)、カリウム(K)が豊富に含まれており、かつ牛糞(牛ふん)や豚糞(豚ぷん)よりも速効性のある肥料として知られています。また、比較的安価であることから、栽培のコストを下げたいというニーズにも合致する資材です。
しかし、みかんなどの柑橘類(かんきつ類)に施用すると、果実の品質が下がるということも言われています。これにはいくつか理由がありますが、鶏糞の特性を知っておくことで果実の品質劣化を防ぎながら、肥料のコストを下げることができます。
鶏糞を施用しても、適正量であれば果実品質に及ぼす影響は小さいと言われています。ただし、鶏糞を夏肥としても施用した場合は,果皮色が悪くなったり、クエン酸含量が高くなったりしたという報告があることから、施肥時期としては春肥もしくは秋肥が適しているのではないかと考えられます。
\みかんに鶏糞肥料を使うことへの考え方/
化学肥料(緩行性化成肥料・速効性化成肥料)
化学肥料には、緩行性化成肥料と速効性化成肥料がよく使われます。
但し、樹の状態や気候を考慮した施肥が必要です。また、硝酸態窒素やアンモニア態窒素などの無機態窒素(チッソ)は速い効果すなわち速効性があり、よく効くものの「肥料焼け」の原因となるので、利用する場合には様子を見ながらよく観察して、少しずつ与える必要があります。
そのため、初心者の方は既に配合された果樹用の化成肥料、もしくはみかん・かんきつ類専用肥料を使用することをおすすめします。
有機質肥料を配合した、有機配合肥料もおすすめです。
甘いみかんを収穫するためには?
「みかんを甘くする肥料はありませんか?」と聞かれることがあります。結論から言うと、「みかんを甘くする肥料」として販売されている肥料はありません。肥料の種類ややり方だけではなく環境や栽培方法によって大きく差が出ます。
基本的には、みかんなどかんきつ類に適した肥料を適した時期に適量施すことが重要です。そのうえで、甘みなどの食味向上に繋がるような資材を試してみましょう。
\みかんを甘くする肥料の詳細/
みかんの肥料の購入場所
みかんの肥料は、ホームセンター、100均、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。
各購入場所・購入方法のメリット・デメリットをまとめました。購入方法選びの参考にしてください。
購入方法 | ホームセンター | 100均 | インターネット |
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メリット |
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デメリット |
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