独特のぬめりが特徴の里芋は、秋の味覚として芋煮やにっころがしなどで人気があります。サトイモ科の植物は、観葉植物としても人気があります。ここでは、里芋の皮を少し厚く切った部分をつかった、里芋の水耕栽培（水栽培）の手順や育て方についてわかりやすく説明します。
里芋の水耕栽培について
水耕栽培とは、土を使わず培養液（肥料分を含んだ水）で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
水耕栽培ではさまざまな野菜や植物を育てることができますが、スーパーなどで買ってきた野菜の捨てる部分を使って、再収穫する再生栽培（リボベジ）も人気があります。
里芋の再生栽培は、里芋の皮の部分を水に浸けておくだけで数日で芽がでて、葉っぱが生えてきます。里芋はハート形の大きな葉が特徴で、観葉植物としても楽しめます。そのまま水耕栽培やハイドロカルチャーで育てることができます。観葉植物としても人気のポトスやモンステラ、クワズイモもサトイモ科の植物で、サトイモ科の植物は丈夫で育てやすいので、初心者の人にもおすすめの観葉植物の一つです。
イモの部分を収穫したい場合は、土に植え替える必要があります。通常は種イモと呼ばれるイモを植え付けて収穫しますが、うまく育てれば皮からも里芋を収穫できることもあります。
里芋の皮をつかった水耕栽培の始め方
それでは、さっそく里芋の水栽培を始めましょう。里芋の皮から、観葉植物を再生栽培します。発根した後に土に植え替えればうまくいけばイモを収穫できることもあります。特に頭とお尻の部分は芽がでやすく、芽がすでにでてしまった里芋をつかってもよいでしょう
用意するもの
- 里芋
- 容器（浅めの小皿やペットボトルをカットしたものでもOK）
- 水道水
手順
- 里芋は、皮の部分を少し厚めに切ります。
- 切り口を下にして、容器に置きます。
- 容器に水を入れます。水位は、切り口が少し浸かる程度です。
- 数日で芽が生えてきます。そのまま水耕栽培で育てるか、大きく育てたいのであれば土に植えかえます。
里芋の水耕栽培への植え替え
それでは、土のかわりの培土を使わず水と肥料だけで育てる、水耕栽培から説明します。皮を水につけて発根させて、新芽がでてくるようになったら肥料を与えて育てます。
準備するもの
- 発根したサトイモの苗
- 容器（透明なガラスのほうが、水量も調整しやすい）
- 根腐れ防止剤（ミリオンA・ゼオライトなど）
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。根は酸素が必要です。根茎が全部つかると根腐れが起きやすいので、3分の2ほどの水位にしましょう。
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤と使わない場合は2～3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土（培土）として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
水耕栽培用の根がしっかり張ってきたら、ハイドロカルチャーでの植え付けして栽培するのもおすすめです。
準備するもの
- 発根した里芋の苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢（透明な容器であれば水位がわかりやすくなります）
- 土入れ（小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可）
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- 里芋の苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の１程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位（OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もあります。ハイドロカルチャ―の用土などにに興味のあるかたはお読みください。
里芋の水耕栽培での育て方
置き場所、日当たり
里芋は高温多湿を好みます。水に浸けた後は、日当たりの良い暖かい場所に置いておきます。平均気温が15℃以下になると、芽がでずに腐ることがあるのでなるべく暖かい場所で管理するとよいでしょう。
発根、発芽した後は直射日光に当てると葉焼けや水温が上がりすぎる危険もあります。真夏は直射日光を避けた明るい日陰、夏以外は、カーテン越しの光が当たる窓際で管理しましょう。耐陰性もある程度はありますが、日に当てないと、徒長したり姿が乱れることがあります。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の２が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
多湿を好むので、葉水は年間を通して与えましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから２日～３日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の5分の1程度まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin（水切れ）まで下がってから2～３日ほど待ってから水をopt（適正水位）まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、霧吹きで水を上げる葉水で行います。多湿を好むので、葉水は年間を通して与えましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
里芋の水耕栽培は、肥料はそれほどなくとも育ちます。しかし水耕栽培は土から栄養が取れないため肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水栽培の肥料は、液体肥料（液肥）を薄めて使います。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。（あくまで目安）。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
野菜などの水耕栽培にもよく使われるのは、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。ハイドロカルチャーには、肥料ではないですが、根腐れを防止し栄養剤としての効果がある「イオン交換樹脂栄養剤」や、薄めず使える活力剤なども使えます。
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まとめ
再生栽培（リボベジ）は、豆苗が有名ですが、その他にも大根や人参、三つ葉、小松菜、クレソン、バジルなどは再収穫が楽しめます。観葉植物としては、さつまいもやアボカド、パイナップルも捨てる部分から育てることができます。
最近は100均などでも手軽に観葉植物が手に入るようなりましたが、普段捨ててしまう部分を使って育てることもできる水耕栽培やリボベジは、もっと手軽で植物が育っている様子は楽しく、お子さんと一緒に始めてみるのもおすすめですよ。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。リボベジだけでなく、観葉植物、多肉植物や花を楽しむ球根、野菜やハーブなどさまざまな植物を育てることができます。
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