この記事では、家庭菜園で甘くておいしいスイカを収穫するための、おすすめの肥料や与え方、また栽培のポイントなどを初心者の人にもわかりやすく説明します。
甘いスイカを収穫するポイント
甘くておいしいスイカを家庭で収穫するためには、下記の6つがポイント。その中でも肥料は与える種類や与え方で、味が変わるといわれているので重要です。土づくりも肥料にも関係する重要なポイントです。
- 糖度の高い品種を選ぶ
- 良い土壌で育てる
- 肥料の種類と与え方
- 日当たりと水管理
- 摘心・摘果
- 収穫時期
土壌と肥料の関係
スイカに限らず、野菜づくりには土づくり(土壌)が大切です。水はけと通気性がよく水持ちのよい土が野菜づくりには必須です。そのためには、堆肥を土に入れてよく耕して土を団粒構造にします。つる割病の予防には苦土石灰も混ぜるとよいでしょう。
堆肥とは、鳥や豚・牛などの家畜のふんや、わらや落ち葉などの有機物を堆積して発酵させたもので、腐葉土も堆肥です。堆肥で土づくりをしっかり行い、さらに元肥を施し足りない肥料分を補います。
庭植え(地植え)の場合の堆肥の量は、土壌条件にもよりますが今まで畑として使ってた場所であれば、1㎡あたり2kgをスイカを育てるスペースに、荒地の場合は倍の4kgを全体に土を混ぜで耕します。植えつけの2週間前までには行います。有機肥料を使う場合は同時に行いましょう。
プランターなどの鉢植えで育てる場合は、野菜用の培養土を使うとよいでしょう。
スイカを甘くする肥料と与え方
スイカ肥料の与え方のポイントは、元肥は控えめに追肥はしっかり行います。
スイカはキュウリなどと比べると肥料はそれほど多く必要はありません。スイカは、つる性のため生育初期に肥料が効きすぎるとツルや葉がのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきるため、植え付けから雄花や雌花が咲くまでは肥料はあまり必要ありません、着果してからは肥料を多く必要とするため追肥を行います。
元肥には、油かすなどの有機肥料を追肥には速効性の化成肥料を使います。元肥は植え付けの2週間前までに土づくりと一緒に行っておきます。追肥は、実が鶏卵ほどの大きさになってから速効性の化成肥料を畝の肩もしくはつる先に、ところどころにばらまきます。さらに実がソフトボールぐらいになったら追肥します。
成熟期に肥料(窒素分)が残ると、糖度が落ちたり実が変形したりしますので追肥しすぎないようにしましょう。
スイカにおすすめの肥料
元肥には、有機肥料がおすすめです。スイカは元肥が多肥になると葉に栄養が行き過ぎて、よい実がつきません。有機肥料はゆっくり効果が出る緩効性肥料で、肥料やけなどのリスクも軽減します。またスイカの食味が良くなったり糖度が上がるともいわれています。
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥にはN-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥にも使えます。追肥には、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料もおすすめです。
有機肥料の細かい説明や、化成肥料のおすすめの製品、スイカ専用の肥料などは下記の記事に詳しく紹介しています。
【補足】肥料の呼び名について 元肥と追肥
用土に肥料を与えるタイミングによって、肥料の呼び名が変わります。具体的には、「元肥」と「追肥」があります。
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。
苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。花や結実の後に与える追肥をお礼肥といったり、冬に与える追肥を寒肥(かんごえ)といったりもします。また肥料を与えることを施肥といいます。
甘いスイカを育てる育て方のポイント
糖度の高いスイカを育てるには、肥料のほかにも多くの大切なポイントがあります。順に説明していきます。
品種について
スイカには多くの品種があります。大玉と小玉があり、初めて栽培する人には小玉スイカの方が簡単に栽培でき、甘さも均一になるといわれています。最近のスイカは品種改良され糖度が11度~13度ぐらいまで上がる品種も多くあります。
小玉スイカは、「紅こだま」「サマーキッズ」「ひとりじめ」などが、大玉スイカの品種であれば「祭ばやし」、初心者に育てやすくて人気の「縞王シリーズ」の中では「縞王マックスK」が糖度が高め。中玉の「サマータイム」も育てやすく味がよいので人気があります。
スイカは種まきだけで育てるだけでく、苗も販売されています。苗から育てる場合は、接ぎ木苗を購入しましょう。接ぎ木苗は病気に予防のためユウガオやカボチャなど病気に強い苗に接ぎ木をして販売されているもので初心者の人にもおすすめです。
日当たりと水管理
スイカは日の当たらない場所では、甘いスイカは育てることができません。乾燥につよく強い光を好みます。よく日の当たる風通しのよい場所で育てましょう。
水の管理は、甘い実をつけるためにはとても重要です。庭植えの場合は気象状況に影響しますが、実が完熟する時期(収穫の10日前)から水やりを減らし乾燥気味に育てることで、実が甘くなります。
摘心・摘果
摘心
親づる(最初に成長した茎)が伸びてきたら、親づるの生長をとめ実のつく子づるを伸ばすために、親づるの芽を取る摘心を行います。
摘心は、親づるに葉が5枚~6枚ほどついたら、親づるの先端の芽を手でか消毒したハサミで除去します。子づるが勢いよく育ってきたら元気のよい、3つるを残して後の子づるは摘み取ります。左右に誘導してつるが混みあわないようにします。
摘果
人工受粉をして、成功するものもあれば失敗して実がつかないものもあります。成功してたくさんの実がついたとしても、全部育てると実に栄養がいかず小さくておいしくない実になってしまうため、摘果を行いましょう。目安は、大玉の場合は1株に2~3果、小玉は1本のつるに1果までです。
授粉後10日ほどたってから、追肥をするタイミングで形が整った大きな実を残しあとは、取り除きましょう。
収穫のタイミング
意外と難しいのがスイカの収穫のタイミングです。大きさだけでは完熟したかどうかわかりません。一番重要なことは、人工授粉の日を記入したラベルをつけておくことです。収穫時期は大玉で50日後、小玉で約35日といわれていますが、品種によって異なるため苗や種に書かれた日付に従いましょう。
積算温度(毎日の気温の平均を足した温度)が大玉スイカで1000℃、小玉で850~900℃で完熟するといわれるので、そちらを目安にする方法もあります。果実が叩くとポンポンとした音がなる、巻きひげの色が茶色く枯れてくるなどの目安もありますが、見た目では難しいので総合的に判断しましょう。
その他 スイカ栽培について
人工授粉
スイカを確実に着果させたいなら、人工授粉が必要です。雌花が咲いたら人工受粉をしましょう。まず先に雄花が咲き始めます。子づるが育つと、雌花が咲きます。雌花と雄花の違いは、蕾の下がふくらんでいるかいないか。蕾の下がふくらんでいるほうが雌花です。
授粉は朝8時~9時に行いましょう。雄花を摘みとり花弁を取り除きます。雄しべ(葯)を当日咲いた雌花の柱頭に軽くなすりつけましょう。交配日をラベルに書いておきましょう。
病害虫
病気
スイカは、うどんこ病、疫病、炭疽病(たんそびょう)、つる枯病、つる割病などの病気にかかりやすいです。葉に斑点がでたり、茶色く枯れたりしてきたら病気を疑いましょう。
対策としては梅雨に高温多湿によるカビの被害が多いので、土壌の水はけを良くしたり、風通しがよく日当たりの良い場所で育てましょう。水はねを防ぐ敷き藁やマルチングなども有効です。早期発見が大切です。また発生してしまったら殺菌剤の使用も効果的です。
害虫
スイカの葉が食害を受けたり、色が変色している場合は害虫の可能性もあります。スイカはアブラムシ、ハダニ、ウリハムシ、ミナミキイロアザミウマなどの害虫がつきやすいです。これらの虫が発生した時は、粘着テープで除去する、また殺虫剤などの薬剤で駆除、防虫する方法があります。どちらにせよ、早く対応するに越したことはないので、発見した時はすぐに駆除し、防除を心掛けるようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまで家庭で甘いスイカを収穫するための肥料や、栽培方法について説明してきました。その他見た目にこだわるのであれば玉なおしもありますが、こちらは見た目には影響しますが、あまり味には影響しないといわれています。
連作が難しいスイカですが、プランターで育てれば毎年スイカを収穫することもできます。手をかけて育てたスイカを食べる喜びは格別です。ぜひスイカの栽培に挑戦してみてください。
スイカの栽培に関する記事
スイカを育てていて、肥料を与えたにもかかわらず、育ちが悪かったり元気がなかった場合には肥料不足だったのかと不安になりますよね。スイカの肥料不足の症状や対処法などの記事もあるので参考にしてください。
スイカは地植えの他、小玉スイカであれば水耕栽培やプランターでも栽培が可能です。