サツマイモは、別名「甘藷(かんしょ)」と呼ばれ、比較的栽培がしやすく、初心者でも簡単に育てることができるため人気の栽培作物です。英名ではSweet Potatoと呼ばれ、食用として世界中で栽培されています。
家庭菜園やベランダでの袋栽培、プランター栽培で、サツマイモの栽培を始めた方もいると思いますが、その肥料のやり方で問題ありませんか?実は、サツマイモには他の野菜とは異なる特性があるため、よく市販されている野菜用の肥料よりも、サツマイモ専用肥料のほうがイモ付き、イモの肥大が良くなります。
この記事では、サツマイモ専用肥料について、その特徴とおすすめ商品、肥料のやり方について解説します。
サツマイモ専用肥料とは
そもそも、サツマイモ専用肥料とはどのようなものなのでしょうか。他の肥料との違いなどについて解説します。
サツマイモ専用肥料と他の肥料との違い
サツマイモ専用肥料と他の肥料との違いは、主に下記の2点です。
実際に、サツマイモ専用肥料と他の普通化成肥料の商品のラベル(保証成分表)を見比べて見ると違いが歴然です。
一般的な普通化成肥料は、N-P-K=8-8-8とバランス良く窒素、リン酸、カリ(カリウム)が入っていますが、サツマイモ専用肥料は窒素少なめ、カリ(カリウム)多めに入っていることがわかります。
なぜサツマイモ栽培に専用肥料が適しているのか
まず、サツマイモの養分吸収特性(土壌中の栄養分をどのように吸収するのか)について確認してみましょう。
上記に記載の通り、サツマイモは窒素固定細菌が共生し、空気中から窒素固定が促されるため、窒素成分の施肥の必要量は少なくて問題がないのです。逆に多すぎると、つるボケ(つるが伸びすぎてしまう)や実付き・塊根(イモ)の肥大が悪くなります。
カリウムは、塊根(イモ)の肥大に寄与しますので、多めに施肥することが必要です。イモの肥大が進むということは、重量が重くなるということですので、結果的に多収となります。
上記のサツマイモの養分吸収特性を踏まえると、サツマイモ専用肥料がサツマイモ栽培に適した肥料成分となっていることがわかると思います。
サツマイモ専用肥料、ジャガイモなど他の作物にも使える?
結論から言うと、使うことができます。ジャガイモもサツマイモ同様に、塊茎(イモ)の肥大にはカリウムが重要となってきます。ただし、ジャガイモの場合は栽培初期の栄養生長期〜根茎形成期に窒素が多く必要となってきますので、注意してください。
また、サツマイモ用の肥料は、マメ類も同様に使用できるものが多いです。商品名にも「イモ類・マメ類専用肥料」と記載されたりします。これは、マメ類も同様に窒素固定細菌が共生し、窒素の施肥必要量が少なくて済むからです。そのため、イモ・マメ類はまとめて専用肥料として販売されていることが多いのです。
サツマイモ肥料のおすすめ商品
アミノール化学研究所 サツマイモ専用肥料
アミノール化学研究所のサツマイモ専用肥料は、園芸用のサツマイモ専用肥料で最も一般的な商品です。サツマイモの栽培に無くてはならない草木灰(天然カリ)を主成分に、有機質の緩効性チッソ、濃縮天然リン酸等が豊富に配合されています。また、微量要素である苦土(マグネシウム)も含まれています。
サツマイモの養分吸収特性を考えた他に類のないサツマイモ専用肥料で、ツルボケを防ぎ、玉太りの良い美味しいサツマイモ作りに最高の肥料です。
大和 いも専用肥料
窒素分を抑えた、イモ類専用肥料です。土にやさしい有機質肥料と肥料効果の高い化成肥料を配合してますので家庭菜園の初心者にも最適です。元肥、追肥の両方で使えます。
同様に窒素肥料をあまり必要としないマメ類にも使用することができます。メロン・スイカなどツル性のフルーツ・野菜にも使用でき、多収穫につながる肥料です。
いも・豆専用肥料
いも・豆類が美味しく育つように配合された高級有機入り肥料です。窒素の含有量の割合が低めの配合となっており、つるボケを防止し、塊根(イモ)を大きく生長させます。
サツマイモだけではなく、ジャガイモやエンドウマメ、大豆類にも使用することができます。
いも・まめ専用有機化成300
N-P-K=3-10-10 の割合で配合された有機化成肥料です。他のものと同様に窒素成分を少なめ、カリウムを多めに配合されているので、イモが大きく育ちやすいです。
ペットボトル入り肥料 サツマイモ・サトイモの肥料
N-P-K=6-8-12 の割合で配合された肥料です。有機原料を配合した国産のまきやすい粒状の肥料で、ペットボトルに入っているため保管もしやすい肥料です。
場所をとらないので、ベランダや軒先でサツマイモ栽培するときに玄関に置いておくこともできます。
ジェー・アルコ サトウキビのちから水 0-8-5
サトウキビのちから水シリーズのN-P-K=0-8-5タイプの液肥です。窒素成分をほぼ含まず、リン酸、カリウムを多く含んでいるので、発根の促進や塊根(イモ)の肥大に効果が期待できます。
適用作物は幅広く、果菜類から葉菜類、根菜類、果樹、花木まで使用することができます。リンとカリが多く含まれているため、特に実のなる植物に活力を与えてくれます。
サツマイモについては、もともと窒素が多い土壌や塊根肥大期の追肥として使用すると良いでしょう。
プロ農家は大量に購入できる業務用を
プロ農家は、圃場も大きく大量の肥料を使用すると思います。上記で紹介した肥料は主に園芸用となっているため、大量に使用する場合にはJAやメーカーから大袋の肥料を購入すると良いでしょう。
サツマイモ栽培の肥料は、先述している通り、窒素成分少なめ、カリウム成分多めとなっているので、配合割合を確認して購入すると良いでしょう。また、ご自身で高度化成肥料とPK化成肥料(リン・カリ肥料)を組み合わせて、施肥をすることも可能です。
サツマイモの肥料のやり方
サツマイモの肥料のやり方について、解説します。土作り、植え付けから収穫までのサツマイモ栽培の流れについては、下記の記事で紹介していますので合わせてご覧ください。
元肥のやり方
元肥は必要であれば施します。植え付け前の土作りのときに施肥をします。
特に窒素成分を少なめに施すのが良いでしょう。先述した、サツマイモ専用肥料を使用すると、失敗するリスクが減ります。堆肥や草木灰を元肥として、使用しても良いでしょう。
施肥量は、使用する肥料のラベルの記載を確認してください。
追肥のやり方
追肥も必要であれば実施します。基本的には、元肥をしっかりと施していれば、収穫まで無施肥でも問題は出ないと思います。ただし、塊根肥大期にPK肥料などを施したりしても良いでしょう。このとき、よほどの生育不良でない限りは、窒素肥料はほとんど散布しません。
施肥量は、使用する肥料のラベルの記載を確認してください。
気をつけるポイント
サツマイモの肥料のやり方について、気をつけるポイントをまとめましたので、参考にしながら施肥をしてください。
- つるボケ抑止のため、窒素肥料は控えめにする
- 塊根(イモ)を大きくしたい場合は、カリウム成分が多めの肥料を使用する
- サツマイモ専用肥料はあらかじめ、窒素成分少なめ、カリウム成分多めに配合されているので栽培初心者にはおすすめ