サツマイモは、別名「甘藷(かんしょ)」と呼ばれ、比較的栽培がしやすく、初心者でも簡単に育てることができるため人気の栽培作物です。英名ではSweet Potatoと呼ばれ、食用として世界中で栽培されています。
サツマイモは、世界中で古くから栽培されており、日本でも飢饉をしのぐ救荒作物として栽培されることが多かったようです。近年では、シラス台地が広く分布する鹿児島県が、その土地を活かした栽培で生産量1位となっています。
日本におけるサツマイモの作型は、主に春に苗を植え付けて、晩夏から秋にかけて収穫することが一般的です。サツマイモは、酷暑にもよく耐えるため、日本における暖地でも夏場に栽培することができます。また、痩せた土壌でも比較的良く育つので、昔から何かと重宝される作物です。
この記事では、肥料袋や土嚢袋(土のう袋)、培養土の袋などを使って手軽にできるサツマイモの袋栽培について、サツマイモの基礎知識を交えて栽培方法を解説します。
露地栽培など、基本的な栽培方法を知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
記事が長いため、目次を見て必要な部分から読み進めてください。
サツマイモの基礎知識
作物名 | 科目 | 原産地 | 育てやすさ | 苗の価格(円/株) | 収穫までの日(目安) | 栽培できる地域 | 作型 | 栽培方法 | 土壌酸度(pH) | 連作障害 | 萌芽適温 | 生育適温 | 日当たり | 光飽和点 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
サツマイモ | ヒルガオ科 | 中央アメリカ・南アメリカ | ★★★★★ | 20円〜100円程度 | 植え付け後、100日〜150日程度 | 全国 | 早掘り栽培 普通栽培 | 露地栽培 プランター・鉢植え栽培 | 5.5〜6.0 | 起きにくい(懸念がある場合は4年以上で輪作) | 30℃前後 | 20〜35℃ | 日なた | 25〜30klx |
原産地はメキシコなどを中心とする中央アメリカ・南アメリカとされています。酷暑にもよく耐え、栽培が容易なことから世界中で栽培されています。また、食物繊維やビタミン類など栄養素も豊富に含まれています。日本では、鹿児島などの大産地で機械化された栽培手法も確立されているだけではなく、栽培の手間がかからないことから家庭菜園や市民農園でも栽培される人気の作物です。
作型は、各地域によって異なりますが、主に春に植えて晩夏から秋にかけて収穫するのが一般的です。また、プランターや培養土(用土)の袋で育てる袋栽培などでも育てることが可能です。
サツマイモ 袋栽培のポイント
- サツマイモは、野菜作物の中でも最も高温を好む作物です。また、強い光や乾燥に対しても耐えることができます。ベランダでの栽培の場合は日当たりの良いところに栽培袋を置いてください。
- 肥料袋や培養土の袋、土嚢袋(土のう袋)でも十分に栽培することができます。
- 手軽に始めたい場合、用土は肥料が入っていない培養土、もしくは野菜用の肥料入り培養土を購入、使用してください。サツマイモは、そこまで多くの窒素肥料を必要としませんので、肥料が入っていない培養土でもリン酸、カリウムを補ってあげることでよく生長します。
- 施肥のしすぎによる窒素過多の状態となると、サツマイモはつるボケを起こします。施肥が多すぎると逆に収量が落ちますので注意しましょう。基本的に元肥(基肥)のみで問題なく育ちます。
- 土壌の物理性(主に排水性・水はけ)は大きな影響を与えます。用土の排水性が悪い場合には、赤玉土やバーミキュライトなどを混ぜ込んで排水性を高めてください。
- 植え付ける苗は、購入するか、種イモから採取するかの2つの方法があります。家庭菜園では、ウイルス病のリスクや育苗の手間から、苗を購入するのが良いでしょう。
- 植え付けは、十分に暖かくなる春から初夏にかけて行いましょう。目安は地上表面が18℃程度以上、気温が15℃以上になる頃です。九州など西日本の暖地は4月終わり頃、関東など東日本では5月から6月初めころまでに植え付けすると良いでしょう。
- サツマイモは、連作をしても障害が起きにくい作物です。しかし、長年連作をするとセンチュウ類などの集積が起こり、障害が起こる可能性も出てきます。気になるようであれば、輪作をするか、用土の入れ替えなどを実施しましょう。
サツマイモの品種
サツマイモの主要品種は、2018年時点で約60品種あるとされています。品種別の作付けシェアは、以下のような割合となっています(いも・でん粉に関する資料:農林水産省)。
- 黄金千貫(コガネセンガン):21%
- 紅あずま(ベニアズマ):19%
- 高系14号:12%
- シロユタカ:10%
- 紅はるか(ベニハルカ):10%
他にも食味が良いシルクスイートや安納芋、変わり種のパープルスイートロードなどご家庭での人気が高い品種もあります。家庭菜園では、紅はるか(ベニハルカ)がネコブセンチュウや立枯病に抵抗性があり育てやすく人気です。また、本来は芋焼酎の原料となる黄金千貫(コガネセンガン)も食用として味わうことができ、かつ芋の肥大もしやすい品種なので、家庭菜園でも人気です。
サツマイモ栽培のスケジュール
生育開始適温 | 萌芽期の生育適温 | 茎葉の生育適温 | イモの肥大適温 |
---|---|---|---|
15℃ | 30℃前後 | 30℃〜35℃ | 22℃〜26℃ |
一般的な露地栽培をベースに考えたサツマイモ栽培のスケジュールです。品種によっても違いがありますので、購入する苗の情報を参考に、年間スケジュールを計画すると良いでしょう。
サツマイモは、西日本などの暖地の場合、4月下旬から早植えすることが可能です。関東でなど一般地の場合、5月から6月上旬までに植え付けを行い秋に収穫する作型が一般的です。また、種イモから採苗も可能ですが、家庭菜園や初心者にはウイルス病の蔓延や育苗の手間が発生するため、おすすめしません(種イモからの採苗・育苗方法については別途まとめたいと思います)。
暖地の場合は、早堀り栽培、普通栽培など組み合わせることで、長く収穫することができます。また、プランターや袋(培養土や肥料の袋など)で育てることができますので、ベランダ栽培にもおすすめです。
サツマイモ栽培の流れ・栽培方法
サツマイモ栽培の流れ・栽培方法は下のカレンダーのようになります(関東地域の目安です)。袋栽培の場合、畑のように大々的な土作り、畝立て、マルチ張りは必要ありませんが、袋や培養土などが必要となりますので、早めに準備しましょう。
- 植え付けの
40日以上前〜 - 植え付けの
1〜2週間前 - 5月上旬〜
6月下旬頃 - 6月下旬〜
11月頃- 追肥(必要であれば)
- つるの整理(つる返し)
- 病害虫管理
- 10月〜
11月中旬 - 収穫後片付け
種イモの準備、催芽処理、育苗
サツマイモの苗は、種イモから採取することができます。苗はいわゆる、サツマイモの小づるなのです。大規模生産地では、コスト削減や栽培の安定化のために、種イモを萌芽させて育苗をしています。しかし、小〜中規模生産地では、種苗会社等から苗を購入することが多いです。
また、家庭菜園においても種イモから育苗することは可能ですが、手間がかかるためホームセンター等で苗を購入したほうが良いでしょう。購入する苗は通常、ウイルスフリーのものですので、ウイルス病の予防にも繋がります。自家育苗と購入苗のメリット・デメリットをまとめておきます。
項目 | 自家育苗 | 購入苗 |
---|---|---|
メリット | 1苗あたりのコストが安い。 | 楽にウイルスフリーの苗が手に入る。 |
デメリット | 種イモがウイルス病などに侵されている危険性がある。 育苗に手間がかかる。 | 1苗あたりのコストが高い。 |
種イモからの採苗、育苗については水耕栽培でも可能です
袋の準備・培養土の敷き詰め
袋栽培で必要なものの準備
まず、栽培に必要なものを準備しましょう。袋栽培で一般的に使用される道具は、下記のとおりです。
名前 | 用途 |
---|---|
袋 | 作物を栽培するための容器。プランターや鉢などでも可能だが、袋の場合、省力、省スペースで栽培できる。 |
移植ゴテ | 長さ30cm程度のミニスコップ。苗を植えるときに掘る穴や土をかけたりするために使う。 |
ジョウロ | 水やりに使う。プランター栽培の場合、外部からの水(雨など)がないため、こまめに水やりが必要でありその際に重宝する。 |
園芸用ハサミ(剪定バサミ・収穫バサミなど) | 手入れ作業(剪定、整枝、摘葉、摘果、摘心など)や収穫作業に使用する。紐や資材なども切れる便利なグッズ。 |
支柱 | 上に伸びていく作物(トマトなど)の株を支えるために使用する。支柱の長さは、栽培する作物の大きさや場所によって選択すると良い。 |
紐(麻ひもやビニールひもなど) | 支柱の固定や誘引(支柱に枝をくくりつける作業)に使用する。 |
ネット | 蔓性の作物(キュウリなど)を育てるときに使用する。蔓(つる)をネットに這わせていくことで植物体を大きくしていく。 |
マルチトレイ | 培養土と堆肥・肥料を混ぜる作業や収穫など、トレイがいくつかあると便利。 |
袋栽培に使用する「袋」はどれが良いのか?
サツマイモ栽培の場合、以下の種類の袋が栽培の容器として使えるでしょう。正直な話、ビニール袋などでも育てることは可能だと思いますが、耐久性のある素材を選んだほうが無難です。また、土嚢袋(土のう袋)や麻袋は、性質上、破けやすいので二重にするなど補強しておくと良いでしょう。
使用できる袋の例 | 概要 |
---|---|
麻袋 | 作物を栽培するための容器。プランターや鉢などでも可能だが、袋の場合、省力、省スペースで栽培できる。通気性に優れている。 |
フィルム製米袋 | ポリエチレンやナイロンなどでできた米袋。厚手のため、丈夫で使いやすい。紙製のものは水に濡れて耐久性が落ちるのでおすすめしない。 |
土嚢袋(ポリエチレン他) | ポリエチレンなどの素材でできた土嚢袋。安価で品質が安定しており、丈夫で使いやすい。ただし、ポリエチレンは紫外線に弱く、劣化しやすいので注意。編み込んで作られているため、通気性は優れている。 |
不織布バッグ(不織布ポット) | 不織布を使用した栽培バッグ。通気性や排水性が良いため、様々な作物の栽培に用いられる。取っ手が付いているものもあるので便利。 |
培養土や肥料が入った袋(ポリエチレン他) | 培養土や肥料が入った袋。丈夫で使いやすい。新品で購入した培養土の入った袋は、そのまま栽培に使用できて便利。 |
1株のサツマイモを育てるためには、15L以上の用土が入る大きさの袋が良いでしょう。特に、サツマイモは地下部で塊根(イモ)を大きくしていく作物なので、25Lくらいあると栽培しやすいです。基本的には、1つの袋に1株〜2株程度の苗を植え付けて、栽培すると良いでしょう。
袋栽培の土 用土と培養土
もちろん、上記の道具を用意しただけで終わりではありません。栽培において、いちばん大事なものは土(用土)です。袋栽培では、手軽に始めるために培養土を使用することが一般的です。
サツマイモは、酸性土壌を好みます。肥料入りの培養土の場合は、特に施肥をせずにそのまま使用します。但し、サツマイモは肥料(特に窒素成分)の必要量が他の野菜と比べて少なく、窒素成分が多すぎるとつるボケを起こすので注意が必要です。培養土の窒素の含有量が気になる方は、肥料が入っていない用土とサツマイモ専用肥料を使用すると良いでしょう。
肥料が入っていない培養土でもそのまま栽培することができますが、塊根(イモ)を大きくするためにも少しの窒素とリン酸、カリウムを元肥として施すことをおすすめします。サツマイモ専用肥料は、窒素を少なめに、カリウムを多めに含んでいるので最適です。
但し、肥料のやり過ぎは禁物です。サツマイモは、窒素については共生している窒素固定細菌によって、空気中から土壌に窒素固定が促されるため、土壌中に窒素が少なくてもよく生長します。逆に多すぎると、つるボケが発生し、イモの付きが悪くなります。
培養土の敷き詰め、栽培準備
準備ができたら、培養土を敷き詰めていきましょう。培養土の敷き詰めの手順は、以下のとおりです。
- 手順1袋を用意する
まずは袋栽培に使用する袋を用意しましょう。袋の素材や製造方法によって、特性が違います。詳しくは、袋栽培に使用する「袋」はどれが良いのか?をご覧ください。
編集さん私のオススメは、新品の培養土を購入してその袋をそのまま使用する方法です!袋の購入の手間もかからないし、何より培養土の敷き詰めなどの作業も不要となります(下記手順2、3が不要)。
麻袋や土嚢袋(土のう袋)、不織布バッグは、編み込んでありますので、余分な水が流れ出ますので排水性は十分です。そのまま使用することができます。
しかし、培養土の袋などのフィルム製の袋は、風も水も通しませんので、排水性が不十分です。使用するときは、底面から高さ10cmくらいのところに30箇所くらい、先の尖ったもの(ドライバーなど)で穴を空けてください。
また、袋の口は切ったりはせず、そのまま使用します。培養土の入った袋の場合も同様に、上部の端を切って袋の口をそのままにしてください。「こんな高さにはならないので、不要では?」と思うかもしれませんが、土寄せ(増し土)のときに重宝します。
- 手順2培養土を用意する
培養土を用意します。すでに肥料入りの培養土を購入の場合は、特に実施することはありません。どうしても培養土に堆肥を混ぜたい場合には、培養土2〜3:堆肥1の割合で配合させてみてください。
用土からご自身で培養土を配合する場合には、赤玉土4:堆肥3:腐葉土2:バーミキュライト1くらいの割合で作ってみてください。
肥料入りの培養土の場合、元肥は必要ありません。含まれていない場合、もしくは自作した場合は、元肥を混ぜ込んでおきましょう。用土10Lあたりの目安量を下記に記載しておきます。肥料がなじむように、可能であれば、植え付けの1〜2週間前には終わらせておいてください。
肥料(全種類施用) 施用目安量(用土10Lあたり) 緩効性化成肥料 20g程度 サツマイモ専用の肥料は、つるボケの防止と塊根(イモ)の肥大促進のために、窒素成分が少なめ、カリウム成分が多めに配合されています。一般的なN-P-K:8-8-8の緩効性化成肥料でも育ちますが、窒素が低く、カリウムが多めに含まれた肥料も探してみてください。
- 手順3培養土を入れる
袋に培養土を敷き詰めます。このとき、赤玉土があれば鉢底石の上に2cm程度敷き詰めてから、培養土を入れると排水性が高まります。
土を入れる量は、1株あたり15L以上です。入れ終わったら、余分な袋の口を折り曲げて完成です。
苗の準備・植え付け
苗の準備
圃場やプランターの準備と並行して、苗(挿し穂)の準備を行っていきます。先述したとおり、大規模生産地などでは種イモから採苗・育苗をしますが、小規模生産・家庭菜園の場合、育苗に手間がかかってしまうため、苗の購入をおすすめします。
苗(挿し穂)は、ホームセンターや種苗会社から購入することができます。10本など束になった状態で購入し、1本ずつ植え付けていきます。最近では、インターネット通販で苗(挿し穂)を購入することもでき、入手がしやすくなったと思います。
「苗を入手したけど、すぐに植え付けすることができない」といった場合には、蒸れを防ぐため、苗を箱から取り出して、薄暗い場所に立てて置いて、その上からビニールを被せてください。一週間程度であれば、ダメージを少なくすることができるでしょう。早春など朝晩が冷える時期は、極端に寒くなる場所での保管は避けてください。
葉が黄ばんだり、落ちてしまったりした苗は生長が悪くなるため、できるだけ使用しないほうが良いです。
植え付け
袋、苗の準備が終わったら、いよいよ植え付け(定植)となります。
苗の植え付け方は、様々な種類があり、どれも一長一短があります。袋栽培では、一番オーソドックスな斜め植えが良いと思います。一つ一つのイモの大きさとイモの付ける数のバランスが取れる植え方です。
たくさんイモを付けたい場合には、船底植えもありますが、イモが十分に大きくならないことが多いです。
植え付け時期によっても、植え付けた方を変えると良いでしょう。例えば、5月頃までは収穫までの日数を確保できるので斜め植え、遅くなり6月頃〜7月上旬頃に植え付けする場合は垂直植えが良いでしょう。
以下に、植え付け方の種類をまとめておきますので、参考にしてください。
植え付け終わったら、植え付け部分にしっかりと土をかけて、苗が安定するようにしましょう。植え付けが終わったら、たっぷりと水をやります。
また、植え付け後は苗が土壌に根を張るまでしおれる場合があります。そこまで気にする必要はありませんが、暑く乾燥が続く日は潅水をしてあげることで根の活着を促進することができます。約1週間経つと、根が活着し、しおれも抑えられると思います。
サツマイモ栽培の管理作業(手入れ作業)
植え付けが終わったら、手入れ作業が始まりますが、サツマイモの場合は他の野菜と比べると、手のかからない作物ですので、常に作業があるわけではありません。状況を見ながら、適宜作業を実施していただければと思います。
手入れ作業は、大きく3つあります。
- 追肥(必要な場合)
- つるの整理(つる返し)
- 除草・病害虫管理
追肥(必要な場合)
先述しているとおり、サツマイモは他の作物と比べて肥料を必要としません。よって、基本的に追肥の必要はありません。もし、つるの伸びが悪かったり、葉色が淡く薄い状況だったりする場合は、軽く緩効性化成肥料を散布してください。イモの肥大のために、カリウム成分が多めの肥料を散布するのがおすすめです。
つるの整理(つる返し)
サツマイモは放置しておくと、どんどんつるが伸びます。つるが伸びてくると、他の作物に巻き付いたり、地面に根を張ったりするので、適宜つるの整理(つる返し)をしてあげると良いでしょう。
つる返しは、3つのステップで行います。
- 不定根が土壌に根張している場合は、持ち上げて土から剥がす。
- 不定根が出ているつるを適当に切る(切り戻し)。
- 切り戻したつるの先を株元のほうへ返す(つる返し)。
サツマイモの不定根は、各節のところにあります。
ベランダ栽培の場合は周りに土がないので、枯れるまでつるを伸ばし続けていても問題ありません。
病害虫管理
病害虫と聞くと少し怖いですよね。しかし、病害虫に対して適切に処理することでまん延を防ぐこともできます。「サツマイモ栽培の生理障害・病害虫管理」に主な生理障害、病害虫の対策方法をまとめました。症状などと照らし合わせながら、適切な対策を行いましょう。また早めの防除が成長のカギとなりますので、植物の観察は怠らないようにしましょう。
サツマイモの収穫作業
10月〜11月ころになってくると、地下部の塊根(イモ)も大きく育ち、収穫することができます。基本的な収穫方法は、以下の手順で行います。
- 地上部のつる(茎葉部分)を株元から刈り取ります。
- スコップを土壌深くまで入れて掘り返すか、株の根元を持って引き抜きます。イモの表皮を傷つけないようにゆっくり掘り起こしましょう。袋栽培の場合は、つるの部分を切らずにそのまま根本から引っ張っても良いでしょう。
サツマイモの貯蔵方法
収穫したサツマイモを美味しくいただくためには、貯蔵方法を知っておくことも重要です。短期〜中期貯蔵と長期貯蔵では、貯蔵方法が違いますのでそれぞれについて解説します。
サツマイモの短期〜中期貯蔵方法
- 収穫したサツマイモは、水洗いせずに土付きのままにします。
- サツマイモを新聞紙で包みます。
- 風通しの良い暗い場所で貯蔵します。温度13℃〜15℃、湿度90〜95%程度の場所で貯蔵するのが理想です。サツマイモは、10℃以下で低温障害を受けるので、冷蔵庫での保存はおすすめできません。
- 環境によりますが1ヶ月〜3ヶ月程度は保存できます。
サツマイモの長期保存方法、キュアリング
- 基本的な貯蔵方法は、上記の短期〜中期貯蔵方法と同じですが、その保存の前にキュアリング処理を行うことでさらに腐りにくくします。2ヶ月以上経ってから出荷する場合や食すまで3ヶ月程度おきたい場合に有効です。
- キュアリングは、温度30℃程度、湿度90%以上を保てる場所を用意し、4日間処理をすることを指します。
- 農家の場合は、ビニールハウスや収穫カゴで環境を作ります。簡単にできる方法としては、ビニールハウス内にサツマイモのコンテナを格納し、その上からビニールシートをかけて温度・湿度を上げる方法があります。
- サツマイモの収穫時期は、晩秋に近いため気温が上がりづらくなってきます。温度管理には気をつけましょう。
- キュアリングが終わったら、温度13℃〜15℃、湿度90〜95%程度の場所で貯蔵します。
サツマイモ栽培の生理障害・病害虫管理
サツマイモを栽培していると、いろいろなトラブルが発生します。しかし、適切な対処方法を知っていれば慌てる必要はありません。代表的な生理障害と病害虫への対処方法を説明していますので参考にしてください。
コガネムシ類の幼虫は、土中に潜伏してイモの食害を及ぼし、品質を著しく低下させる害虫として知られています。また、この他にもネズミやイノシシなど動物による食害も頻繁に起こります。
主な害虫
主な病気
- 帯状粗皮病
- 斑紋モザイク病
- 立枯病
- つる割病
- 白紋羽病
- 紫紋羽病
- 白腐病
- 黒斑病
- 黒あざ病
- 軟腐病
- 褐色乾腐病
- 青かび病
- 皮脈症状
- 皮目症状
- 裂開病(裂開症状)
- 心腐病(内部褐変症状)
- うどんこ病
主な生理障害
- 寒害
- 空洞イモ
- つるボケ
- 遠成り
- 裂開