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多肉植物

多肉植物・月兎耳(うさぎの耳) 育て方・増やし方

月兎耳 多肉植物

多肉植物の月兎耳(うさぎの耳)を紹介するとともに、管理方法や水やりなどの育て方の基本から、植え替え・ふやし方など枯らさないで育てる方法をを初心者の方でもわかるように説明します。

多肉植物 月兎耳(つきとじ)の栽培について

月兎耳(ツキトジ)は、別名うさぎの耳とも呼ばれ、ウサギの耳のように細長い葉に、茶色の斑が入ります。葉や茎が白いうぶ毛で覆われているため、全体が白く見えるカランコエ属の一種です。

多肉植物は、春秋型、夏型、冬型の3つのタイプに分かれます。月兎耳の生育タイプは「夏型」です。夏型は夏に盛んに生育するタイプで、多くは生育適温が20〜30°Cの範囲にあり、春と秋はゆっくり生育し、冬は休眠します。このため、春と秋は、水やり、肥料を少な目にする必要があります。

園芸分類多肉植物・観葉植物
学名 Kalanchoe tomentosa
属名 ベンケイソウ科カランコエ属
原産地マダガスカル
草丈・樹高5㎝~30㎝
耐寒性等耐寒性 やや弱い 耐暑性 普通
花言葉「幸福を告げる」、「たくさんの小さな思い出」、「あなたを守る」

月兎耳(つきとじ)の育て方の基本

置き場所

多肉植物は日当たりの良い風通しのよいところが大好きです。基本は冬以外はベランダや庭などの屋外で管理します。室内で育てる場合もなるべく窓辺など日の当たる場所で管理しましょう。日照不足になると、ひょろひょろと葉や茎が伸びる徒長をおこします。

真夏の直射日光に当てると葉焼けをおこすことがありますので、半日陰または遮光シートなどで遮光をしてあげます。また外に置くときは、夏は特にコンクリートの上に直接置くと熱が鉢に伝わって高温になるので、棚など一段高いところにおくのがおすすめです。

月兎耳は多湿が苦手ですので、夏越しが重要です。梅雨以降は長雨に当たらない軒下など、風通しの良い場所でそだてましょう。株が密集しているようなら梅雨前に、茎や脇芽をきって風通しをよくするとよいでしょう。切った茎は挿し木として増やすことができます。

休眠期から生育期に屋外の日当たりに出す場合は、徐々にならしてください。窓辺で日に当ててから日中の日向に置くなどをしないと、葉焼けの原因ともなります。

月兎耳は耐寒性はあまり強くありません。鉢植えの場合は冬は、温度が5℃を下回るようになったら、朝晩は室内で管理しましょう。窓際に置いておくと夜間冷え込んで室内でも温度が5℃以下になることもあります。夜間は窓辺から移動させるなど、室内でも5℃以下にならないように気をつけてください。

水やり

多肉植物は、生育期には、水をたっぷりジョウロで与え、休眠期には乾燥気味に育てるため葉水で与えます。水の与えすぎは多肉植物は根腐れの原因になるので気をつけましょう。

月兎耳の生育期の水やりは表面の土が乾いてからさらに3~5日たってから与えます。鉢の底から水が流れでるまでしっかり与えましょう。

休眠期の葉水は、葉ではなく土に水をかけるようにします。水の量は半日で鉢が乾く程度の水の量が目安です。

月兎耳の季節ごとの栽培スケジュール

月兎耳の栽培 年間スケジュール
  • 冬の休眠期から覚めた3月は気温が高い昼間は外にだし、夜間5℃以下になるようなら室内で管理します。4月~6月は生育が旺盛の時ですので、屋外の日向で管理します。

    水やりは、休眠期から生育期に入りますので4月頃から鉢の土が完全に乾いたら、鉢底から水がでるまで与えます。

  • 7月から9月は、真夏の直射日光は苦手ですので、葉焼けしないよう半日陰になる軒下などで管理しましょう。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。

    生長が少し鈍ります。月兎耳は暑さには強いですが、日本では多湿は苦手です。水やりは10日に1度霧吹きで株全体に水を与える「葉水」で与えます。時間は日中に水やりをすると株が蒸れる恐れがあるので、夕方に株を少し冷やしてあげます。

  • 涼しくなる9月頃からは、水やりも春と同様に、鉢底から水がでるまで与えます。しかしここから冬の休眠期に向かうので、生育期より頻度を減らします。

  • 休眠期です。最低気温が5℃を下回るようになったら室内の、日当たりの良い場所で管理します。暖房の風が当たらない場所に置きます。夜間は、窓際に置いたままにしておくと、温度が急激に下がるため5℃以下にならない場所に置きます。

    水やりは断水もしくは「葉水」を月に1度~2回ぐらいの頻度で行い株全体を湿らせます。気温が上がる暖かい午前中に行いましょう。

肥料

多肉植物の月兎耳には、元肥は植え付け、植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行うことで生長を早めることができます。追肥は4月~9月の生育期は肥料が必要です。

  • 液体肥料(液肥)の場合は、ラベルなどに記載されている希釈率から更に2倍程度に薄めて、月1〜3回のペースで施肥します。
  • 固形肥料の場合は、ラベルなどに記載されている使用目安量の半分程度の量を、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度施肥します(頻度は使う肥料のラベルの説明に合わせると良いでしょう)。

休眠期は絶対に肥料をやらないようにしてください。肥料やけを起こし、枯れる原因になります。

多肉植物の肥料についての記事もありますので、肥料について興味のある方は読んでみてください。

枯れ茎の整理

月兎耳の開花時期は、冬で白い花を咲かせます。しかし株が充実しないと咲きません。花が終わったら、枯れた花茎や、枯れた下葉は取り除いて整理しましょう。

剪定

月兎月は、摘心(ピンチ)をすることで子株が吹きやすくなります。群生させたい、子株で増やしたいときには、茎先を切る摘心(ピンチ)をしましょう。また徒長したり、生長して株の姿が崩れた場合は、伸びた部分の茎を切る、切り戻しをします。切った茎の下から新しい芽がでてきます。

時期は生長期の3月~6月頃に行います。切った茎は挿し穂として、増やすこともできます。

病害虫

夏の高温多湿の時期に、 軟腐病・灰色カビ病等にかかりやすくなります。害虫(アブラムシカイガラムシ)の排せつ物につく菌によって引き起こされるすす病などにかかることもあります。予防としては、風通しの良い場所で育てる、また梅雨まえに、枯れたり色が変わっている下葉を取り除いておくのも効果があります。

カイガラムシ・ハダニ・アブラムシ・アザミウマ、ネジラミなどの害虫が発生する恐れがあります。また梅雨にはナメクジヨトウムシなどが発生する場合もあります。それぞれの害虫によって対応は異なりますが、見つけたら早めに歯ブラシなどでこそげとるか、水流で取り除いてあげましょう。殺虫剤なども有効です。

月兎耳(つきとじ)の増やし方

多肉植物は株分け、さし芽、葉ざし、根ざし、挿し木、胴切り、種まき(実生)でふやします。月兎耳は、葉挿しと挿し木、株分けで増やします。適期は生育期の始め3月から6月頃がよいでしょう。

挿し木(挿し芽)で増やす場合

徒長した茎や、仕立て直しをしてカットした茎などを挿し穂にして挿し木で増やすことができます。

  1. 消毒済みのハサミで、親株から茎を切り取り挿し穂にします。脇芽をつかってもよいでしょう。さし木しやすいように、下葉は葉が密集して茎が見えない時は、先に葉を手やピンセットなどで外してから、切り取ります。切り取った葉は、葉挿しに使うことができます。
  2. 1週間ほど明るい日陰で、切り口を乾燥させる
  3. 乾いた新しい用土に挿して植え替えます。そのまま育てる場合は、挿し穂の空間を密集させないようにしましょう。水やりは1週間ほどたってから与えます。

葉挿しで増やす場合

月兎耳は、根が出るのに少し時間がかかりますが、葉を使って、葉ざしでも増やすことができます。

  1. 茎の下葉の方から、指やピンセットで付け根から葉を摘みとります。植え替え時などに鉢から外してからとると取りやすいです。
  2. 摘みとった葉は、切り口を1週間ほど乾かします。
  3. 乾いた新しい用土に等間隔に根を軽く挿しこみます。横にすると乾いた土でも倒れにくくなります。土の上に置いて根がでてから土に挿しこむ方法もあります。
  4. 水やりは3日後ぐらいに霧吹きで与えます。新芽が生長したら、切り口を乾燥させてから新しい鉢に植え替えます。

株分けで増やす場合

月兎耳は、子株は吹きにくい品種ですが、変異個体の「野うさぎ」は子株が吹いて群生しやすくいので、その子株を使って株分けで増やすこともできます。また月兎耳はピンチすると子株が吹きやすいです。ピンチした茎は、挿し穂にして挿し木で増やすこともできます。

  1. 株は土が乾いた状態で鉢から抜いて、傷んだ下葉はを取り除き、弱った根や土を落とします。
  2. カッターなどで、根を傷めないように子株を切り取ります。
  3. 切り取った子株は1週間ほど乾燥させます。
  4. 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
  5. 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。
  6. 苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
  7. 水やりは植え付け後、2日~3日後に行います。

月兎耳(つきとじ)の植え替え

購入した鉢がビニールポットであったり、自分の好みの鉢に代えたいときには、植え替えをします。また生育に合わせて、1~2年に一度は植え替えが必要です。

植え替え時期

時期は、生育期ならいつでも行えますが、蒸れが苦手な月兎耳は梅雨時から真夏は避けた方がよいでしょう。3月~5月が最適です。9月でもよいでしょう。購入した時期が生育期以外で、植え替えを行いたい場合は、根を崩さず用土だけ追加して新しい鉢に植え替える鉢増し(手順2~3を行わない)をしましょう。植え替える用土は必ず新しい乾いた土を使いましょう。

植え替えの手順

  1. 植え替えの多肉植物は、数日間水を控え、土が乾いた状態のときに鉢から外します。
  2. 根っこをほぐすように古い土を落とします。
  3. 根を根元から3㎝ほど残してカットします。傷んだり腐った根は根元から切ります。
  4. 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
  5. 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。(なくても可。鉢底石を入れることで根腐れ防止になります)
  6. 苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
  7. 水やりは植え付け後、7日~10日後に行います。その間は明るい日陰に置いておきましょう。

用土

一般の観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。

しかし、多肉植物は休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。月兎耳は乾燥した地域が原産地ですので一番重要なことは、通気性(水はけ)がよいこと、それとある程度の保水性があるものがよいでしょう。赤玉土4・軽石4・腐葉土1・くん炭1などの配合がよいでしょう。

市販の多肉用の培養土も便利です。多肉植物の配合はどれが正解ということはありません。鉢や育つ環境によって対応します。また多肉植物の根腐れ防止には、ゼオライトを土に混ぜるのも有効です。多肉植物の土やゼオライトについての記事もありますので、興味のある方はお読みください。

多肉植物はは水耕栽培や、土を用いず、ハイドロボールやゼオライトなどの保水性、吸水性のある培地を使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。ハイドロカルチャーで育てる場合は、土からの植え替えとは多少異なり、土の根を終わらせて水で育てる根を発根してから植え替える必要があります。

多肉植物のハイドロカルチャーでの育て方に興味がある人は、こちらをお読みください。

まとめ

月兎耳はふわふわとした、かわいい葉をもち、増やし方も豊富なので、多肉植物をふやす練習をするにもよい丈夫な品種です。寄せ植えをするときには、蒸れが苦手な品種なのであまりギュギュと詰め込むと傷む可能性があるので気をつけましょう。

月兎耳は変異種が多くあり、トメントーサ種としては他に「野うさぎ」「黒兎耳」「ゴールデンラビット」「ジャイアントラビット」などがあります。サボテンにも、ウチワサボテンでバニーカクタスと呼ばれる品種もあります。ぜひうさぎの耳のようなかわいらしい多肉植物を、園芸店やホームセンターなどでみかけたら、育ててみてください。

執筆者・監修者情報
執筆者・監修者

農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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