ビアホップは薄緑色のぷっくりした葉っぱが、垂れ下がる茎に房状に密につく多肉植物です。ここではビアポップの管理方法や水やりなどの育て方の基本から、増やし方、植え替えの方法についてわかりやすく説明します。
多肉植物 ビアホップの栽培について
ビアホップは別名新玉つづり(しんたまつづり)やビアーポップ、ビアポップとも呼ばれるセダム属の多肉植物です。薄緑色のぷっくりした葉っぱが、垂れ下がる茎に房状に密につきます。
多肉植物は、春秋型、夏型、冬型の3つのタイプに分かれます。ビアホップの生育タイプは「春秋型」です。春秋型は、 春と秋に盛んに生育するタイプです。10〜25°Cの範囲で生育が旺盛になります。夏は暑さのせいで生育が悪く、根腐れや蒸れを避けるために、休眠させる必要があり、冬は寒さのために自然に休眠します。
モリモリ生長するので、ハンギングバスケットなどでもおすすめです。また耐寒性・耐暑性とも弱くはないので丈夫で育てやすい品種で初心者の人にもおすすめです。また開花時期は春でピンク色の花が咲きます。肥料を与えず、過酷な環境に置くと黄色く紅葉することもあります。
園芸分類 | 多肉植物・観葉植物 |
学名 | Sedum burrito |
属名 | ベンケイソウ科セダム属 |
原産地 | 中米 |
草丈・樹高 | 5㎝~20㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 普通 耐暑性 普通 |
花言葉 | 「私を想ってください」、「星のかがやき」、「静寂」 |
ビアホップの育て方
置き場所
多肉植物は日当たりの良い風通しのよいところが大好きです。基本は冬以外はベランダや庭などの屋外で管理します。室内で育てる場合もなるべく窓辺など日の当たる場所で管理しましょう。日照不足になると、ひょろひょろと葉や茎が伸びる徒長をおこします。
しかし真夏の直射日光に当てると葉焼けをおこすことがありますので、半日陰または遮光シートなどで遮光をしてあげます。また外に置くときは、夏は特にコンクリートの上に直接置くと熱が鉢に伝わって高温になるので、棚など一段高いところにおくのがおすすめです。
ビアホップは多湿を嫌います。梅雨以降は雨ざらしにせず、風通しの良い場所でそだてましょう。株が密集しているようなら春に、仕立て直しをして密集している部分の茎を切り取ります。切った茎は挿し木として増やすことができます。
休眠期から生育期に屋外の日当たりに出す場合は、徐々にならしてください。窓辺で日に当ててから日中の日向に置くなどをしないと、葉焼けの原因ともなります。
ビアホップは葉に水を溜めているので、冬凍ると枯れてしまいます。できれば冬は、温度が5℃を下回るようになったら、朝晩は室内で管理しましょう。霜や雨に濡れない環境で冬越しをします。
水やり
多肉植物は、生育期には、水をたっぷりジョウロで与え、休眠期には乾燥気味に育てるため葉水で与えます。水の与えすぎは多肉植物は根腐れの原因になるので気をつけましょう。
ビアホップの水やりは表面の土が乾いてからさらに3~5日たってから与えます。鉢から水が出るまで与えましょう。
休眠期は断水気味に育てます。葉水で水やりをしましょう。夏は気温が下がる夕方に冬は、気温の上がる午前中に水やりをしましょう。休眠期は根が水を吸わないので多く水やりをすると根腐れの原因ともなるので気をつけましょう。
ビアポップ栽培 季節ごとのスケジュール
- 春
冬の休眠期から覚めた3月は気温が高い昼間は外にだし、一週間ほどかけて日当たりの良い屋外で管理しましょう。4月~6月は生育が旺盛の時ですので、屋外の日向で管理します。
水やりは、休眠期から生育期に入りますので鉢の土が完全に乾いたら、鉢底から水がでるまで与えます。
- 夏夏越し
7月から9月は、真夏の直射日光は苦手ですので、葉焼けしないよう半日陰になる軒下などで管理しましょう。日本の夏は多湿ですので、風通しの良い場所で株を蒸らさないように注意します。
水やりは6月下旬からは月に1~2回霧吹きで、水を与える「葉水」で与えます。葉水といっても、多肉植物は鉢土に水を上げます。時間は日中に水やりをすると株が蒸れる恐れがあるので、夕方に株を少し冷やしてあげます。
- 秋
気温が下がる9月下旬~10月までは、春と同様に屋外の日向で管理します。水やりも春と同様に、鉢底から水がでるまで与えます。
- 冬冬越し
休眠期です。最低気温が5℃を下回るようになったら室内の、日当たりの良い場所で管理します。暖房の風が当たらない場所に置きます。暖かな昼間は、屋外で日に当ててあげるとより元気に育ちます。
水やりは「葉水」を月に1度~2回ぐらいの頻度で行い株全体を湿らせます。気温が上がる暖かい午前中に行いましょう。
肥料
多肉植物のビアホップには、元肥は植え付け、植え替え時に行います。 植木鉢などで栽培する場合は、元肥をしっかりと施し、適期に追肥を行うことで生長を早めることができます。追肥は3月〜5月・9月~10月の生育期に肥料を与えると、生育が良くなります。
- 液体肥料(液肥)の場合は、ラベルなどに記載されている希釈率から更に2倍程度に薄めて、月1〜3回のペースで施肥します。
- 固形肥料の場合は、ラベルなどに記載されている使用目安量の半分程度の量を、1ヶ月〜2ヶ月に1回程度施肥します(頻度は使う肥料のラベルの説明に合わせると良いでしょう)。
多肉植物の肥料についての記事もありますので、肥料について興味のある方は読んでみてください。
仕立て直し(切り戻し)
ビアホップは成長すると株がモコモコといっぱいになったり、徒長して茎が伸びてしまった時は剪定して仕立て直しをしましょう。春に密集している茎を整理すると、夏の蒸れの対策にもなります。切った茎や葉は、葉挿しや茎挿しにして増やすこともできます。
病害虫
夏の高温多湿の時期に、 軟腐病・灰色カビ病等にかかりやすくなります。害虫(アブラムシ、カイガラムシ)の排せつ物につく菌によって引き起こされるすす病などにかかることもあります。予防としては、風通しの良い場所で育てる、また梅雨まえに、枯れたり色が変わっている下葉を取り除いておくのも効果があります。
カイガラムシ・ハダニ・アブラムシ・アザミウマ、ネジラミ、ワタムシなどの害虫が発生する恐れがあります。また梅雨にはナメクジや夜盗虫(ヨトウムシ)が発生することもあります。それぞれの害虫によって対応は異なりますが、見つけたら早めに歯ブラシなどでこそげとるか、水流で取り除いてあげましょう。殺虫剤なども有効です。
ビアポップのふやし方
多肉植物は株分け、さし芽、葉ざし、根ざし、挿し木、胴切り、種まき(実生)でふやします。ビアホップは、葉挿しと挿し木で増やします。適期はいずれも3月から6月、または9月から10月です。
挿し木(挿し芽)での増やし方
徒長した茎や、仕立て直しをしてカットした茎などを挿し穂にして挿し木で増やすことができます。
- 消毒済みのハサミで、親株から茎を切り取り下の葉は手で落とします。
- 1週間ほど明るい日陰で、切り口を乾燥させます。
- 乾いた新しい用土に挿して植え替えます。そのまま育てる場合は、挿し穂の空間を密集させないようにしましょう。水やりは1週間ほどたってから与えます。
葉挿しでの増やし方
葉ざしでも増やすことができます。ビアホップの葉はとても小さく触るとぽろぽろと取れてしまいますが、この葉一枚一枚からは葉挿しで増やせるので、どんどん増えます。
- 消毒したハサミで、茎節を切ります。植え替えや、夏前の仕立て直し時などで整理した茎節を使ってもいいです。手で触ると簡単に葉がぽろぽろと取れます。
- 摘みとった葉は、切り口を1週間ほど乾かします。
- 乾いた新しい用土にそのまま種まきのようにばらばらと重ならないように置きます。
- 水やりは3日後ぐらいに霧吹きで与えます。新芽が生長したら、切り口を乾燥させてから新しい鉢に植え替えます。
ビアポップの植え替え
購入した鉢がビニールポットであったり、自分の好みの鉢に代えたいときには、植え替えをします。また生育に合わせて、1~2年に一度は植え替えが必要です。ビアホップは根詰まりを防ぐため、できれば1年に一度植え替えをしましょう。
植え替え時期
時期は、生育期ならいつでも行えますが、ビアホップは3月~5月が適期です。購入した時期が生育期以外で、植え替えを行いたい場合は、根を崩さず用土だけ追加して新しい鉢に植え替える鉢増し(手順2~3を行わない)をしましょう。植え替える用土は必ず新しい乾いた土を使いましょう。
植え替えの手順
- 植え替えの多肉植物は、数日間水を控え、土が乾いた状態のときに鉢から外します。
- 根っこをほぐすように古い土を落とします。
- 根を根元から3㎝ほど残してカットします。傷んだり腐った根は根元から切ります。
- 新しい鉢を用意して、底に鉢底ネットをいれます。
- 鉢の底に鉢底石を入れ、その上に緩効性粒上肥料を加えます。(なくても可。鉢底石を入れることで根腐れ防止になります)
- 苗を押さえながら、培養土いれて植え込みます。最後に割り箸などでつついて、根の周りに土が入るようにします。最後に鉢をトントンと叩いて隙間を入れて完成です。
- 水やりは植え付け後、7日~10日後に行います。その間は明るい日陰に置いておきましょう。
植え替えの用土
一般の観葉植物では、鉢植えの場合は、赤玉土と鹿沼土を基本用土として、ピートモス、バーミキュライト、パーライトやココヤシチップといった改良用の土を基本用土にプラスして使います。
しかし、多肉植物は乾燥に耐えるため休眠を伴うものが多く、休眠中の多肉植物は、根もほとんど給水しないので、根腐れを防ぐために鉢土を完全に乾燥させる必要があります。ビアホップは乾燥した地域が原産地ですので一番重要なことは、通気性(水はけ)がよいこと、それとある程度の保水性があるものがよいでしょう。鹿沼土4・軽石2.5・腐葉土2.5・くん炭1などの配合がよいでしょう。セダムは他の多肉植物より保水性のあるものがよいでしょう。
市販の多肉用の培養土も便利です。多肉植物の配合はどれが正解ということはありません。多肉植物の土についての記事もありますので、興味のある方はお読みください。
多肉植物はは水耕栽培や、土を用いず、ハイドロボールやゼオライトなどの保水性、吸水性のある培地を使ったハイドロカルチャーでも育てることができます。ハイドロカルチャーで育てる場合は、土からの植え替えとは多少異なり、土の根を終わらせて水で育てる根を発根してから植え替える必要があります。
多肉植物のハイドロカルチャーでの育て方に興味がある人は、こちらをお読みください。
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