カメムシは農作物に甚大な被害を与える害虫です。無農薬での防除には、除草、木酢液等の散布、防虫ネット、フェロモントラップなどが効果的で、早期発見と防除が重要です。方法について詳しく解説します。
カメムシを無農薬で防除する方法
カメムシ駆除には主に農薬が使われますが、農薬を使わないで駆除する方法もあります。直接捕る方法もありますが、匂いも強烈なので、下記を参考に、取り入れてみてください。
除草
カメムシは雑草に身を隠すため、雑草が多いと、カメムシの発生を助長してしまいます。また、イネ科雑草(特にスズメノカタビラなど)を好んで寄生植物にします。このため、圃場をしっかり除草することは重要です。
除草については、以下のコンテンツが参考になります。
カメムシが大好きなイネ科雑草を減らすために、シソ科の多年草であるミント系を植えて、イネ科雑草を駆逐させ、減らす方法をとっている方もいらっしゃるようです。
木酢液を散布する
カメムシは木酢液を嫌うため、木酢液は忌避剤に使用できます。100倍程度に薄めて、スプレーで作物の周りに散布するのが効果的です。(ハッカ液やタバスコを薄めたものも忌避剤として使えるという意見もあります)
ニンニク・唐辛子液
ニンニクとトウガラシをボトルの4分の1くらい入れ、焼酎を流し込んで満タンにし、一年漬け込んでおきます。その液を、木酢や米酢と1:1で混ぜて、500倍に薄めます。この液体を噴霧器などで作物に散布すると、カメムシを忌避するとして、実行している農家の方がいらっしゃいます。
防虫ネット,忌避灯(黄色蛍光灯),袋かけ(二重袋)
水稲ではなく、果樹園などの場合に限られますが、4mm程度の防虫ネットや、黄色の蛍光灯、また物理的に果実の袋かけは有効な防除手段になります。
アイガモを利用
アイガモはクログワイ、コナギ、ノビエを含む雑草や、ウンカ、イネクロカメムシといった害虫を食べてくれるので、生物的防除になります。
フェロモン剤によるトラップ
有名な防除方法で、集合フェロモン剤を誘引源としたトラップがあります。これは該当する害虫の雄雌の成虫(場合によっては幼虫)を引き寄せる集合フェロモンを出して、ボックス等の中に誘引し、捕獲するものです。
防除する際のポイント
早期発見、早期防除
カメムシに限らないですが、病害虫は早期発見し、早期に防除することに尽きます。侵入を発見したら、すぐに防除方法をとることが大事です。
早期防除にはやはり農薬は有効です。カメムシに使える作物別のおすすめ農薬をまとめているので参考にしてみてください。
IPMについて
近年では、特定の農薬に抵抗性を持った害虫も多く発生し、農薬の効率的な使用のため、農薬のRACコードを確認して、タイプの異なる殺虫剤のローテーション散布を心がけること、また、農薬の使用量を減少させるために、生物的、物理的、耕種的防除法を取り入れたIPM防除体系を組んで、統合的に実践することが重要になってきています。
そもそも、カメムシはどういう害虫?
カメムシとは?
カメムシは、カメムシ目のカメムシ亜目に属します。頭は先端が尖った三角形の形状、体は五角形に近しい形状が特徴です。非常にたくさんの種類があり、四角いミドリカメムシから細長いクモヘリカメムシなど、形は様々です。
日本では、カメムシを「クサムシ」「ヘコキムシ」「ヘッピリ」「クサンボ」「ジャコ」などと呼んでいる地方もあります。
カメムシの特徴として、敵の攻撃などを避けるため、腹面から悪臭の分泌液を飛ばします。この匂いが強烈なため、カメムシは忌み嫌われています。
ほとんどのカメムシは、落ち葉の中、樹上などで成虫で越冬し、春になって活動を開始します。その後夏になるにつけ、ヤシャブシ、ヒノキ、スギなどに移り、幼虫が増殖し、8月に新成虫が活動するようになります。大量発生した年は、ヒノキ、スギから果樹など他の木にやってくる数が増え、農作物に被害を及ぼします。
どうしてカメムシは害虫なのか?
カメムシの中で、茎葉、果実から汁を吸うタイプがいます。これらが吸汁すると、吸汁された果実は、形が萎縮、変形し、落果したり、最悪腐敗してしまい、果樹、葉菜類、花き問わず、多大な被害が出てしまいます。
カメムシの中でも、特に果樹に甚大な被害を与えるのは、チャバネアオカメムシ、ツヤアオカメムシ、クサギカメムシです。そして、稲に被害をもたらすのは、アオクサカメ、クロカメムシ、ミナミアオカメムシ、またナスに被害を出すホオズキカメムシなど様々なカメムシがいます。