ほうれんそうは「青菜の王様」とも呼ばれ、栽培期間も短く栽培も比較的簡単なことから家庭菜園でも人気があります。除草は栽培の上で重要です。ここではほうれん草の栽培につかえるおすすめの除草剤や、効果的な使い方についてわかりやすく説明します。
ほうれん草栽培にはどんな除草剤がよいのか
ほうれん草の除草剤は収穫頃に散布できる除草剤は少なく、非選択性の除草剤を使うとほうれん草に薬害が出やすく手間がかかります。栽培期間も短いので、ほうれん草には雑草の発芽を止めて生えさせない「土壌処理剤」で、雑草が生えさせないことが大切です。種まきと同時に、土壌処理剤を散布することで収穫まで雑草の繁殖を防ぐことができます。
ほうれん草は、寒冷地が原産のため寒さには強いですが、25℃以上の暑さには耐えられないため、夏を外して栽培する春まき栽培か、秋まき栽培で育てることができます。春まき栽培は特に、収穫時に雑草が生えやすく、病害虫の発生も多くなります。
除草剤には、大きく分けて雑草が発芽する前や生育初期に土に散布して、雑草の発芽を阻害したり枯死させたりする「土壌処理剤」と、成長してきた雑草の葉や茎に散布する「茎葉処理剤」があります。すでにほうれん草を植える畑に雑草が生えてしまっている場合には、茎葉処理剤をつかって除草しましょう。
土壌処理剤とは
土壌処理剤は、粒状や乳剤などがありますが、土壌に直接散布します。土に吸収された薬剤は、土壌に1cmほどの処理層を作って、雑草の種子の発芽成長を妨げる発芽抑制効果があります。作物の種は処理層より深く植えつけられるため、作物の生育は阻害せず雑草だけを枯死させます。その効果は除草剤にもよりますが45日~60日程度続きます。
ほうれん草栽培におすすめの土壌処理剤
アージラン液剤
有効成分 アシュラム 37.00%
アージラン液剤は、芝生の選択制茎葉処理剤としても使われますが、ほうれん草には土壌処理剤として使います。一年生、多年生雑草を問わず、広範囲の雑草に効き、多年生雑草の地下茎まで枯死させる優れものです。ほうれん草には、播種後から発芽前までに全面土壌散布して使います。雑草の発芽前に散布しましょう。25℃以上の高温期に使うと薬害が生じる可能性があるため温度にも注意が必要です。
ラッソー乳剤
有効成分 アラクロール 43.00%
ラッソー乳剤は、イネ科の一年生雑草(メヒシバ・イヌビエ・ハコベ・イヌビユなど)の抑制によく効く畑作用土壌処理除草剤です。ほうれん草には、は種後出芽前に全面土壌散布して使います。雑草の発生前に散布しないと効果がありません。砂質土壌では薬害が生じる可能性があるので使用はできません。タデ科、アカザ科などの広葉雑草には効果が劣るため、イネ科雑草が生える場所におすすめです。
クロロIPC
有効成分 IPC 45.8%
クロロIPCは、気温の低い時期に効果を発揮する土壌処理除草剤です。気温が20℃以下の時期に、冬の畑に多いズメノテッポウやスズメノカタビラ等のイネ科雑草、ハコベ、ノミノフスマ、タネツケバナ、ミチヤナギ、タデ類等の抑制によく効きます。ほうれん草栽培には、は種直後に全面散布して使います。秋まき栽培におすすめの土壌処理剤です。
土壌処理剤の使い方
土壌処理剤は、播種直後(種まき後すぐに)全面に土壌散布します。ラベルに決められた薬量を守って散布します。乳剤は希釈して使います。
- 雑草発生前に散布すること。すでに生えている雑草には効果がありません
- 播種後は、しっかり覆土をして鎮圧し水やりをした後、表面が乾いたら除草剤を散布します。
- ほうれん草の芽が出た後は薬害が生じるため、発芽前に散布しましょう。
- 噴霧器(散布機)を使って散布しましょう。ジョウロでの全面散布は薬量を超える可能性があります。
- 使い方は除草剤によって異なります。しっかりラベルを読んで使いましょう。
ほうれん草栽培におすすめの茎葉処理剤
ほうれん草栽培には土壌処理剤がおすすめですが、すでに生えている雑草には茎葉処理剤をつかって除草しましょう。ほうれん草栽培に使えるおすすめの茎葉処理剤を紹介します。
ナブ乳剤
有効成分 セトキシジム 20.00%
ナブ乳剤は、畑作のイネ科雑草に使われる選択制の茎葉処理剤です。ほうれん草には直接かかっても影響がないため、雑草への茎葉処理だけでなく、薬液がかかることを気にせず全面散布することが可能です。浸透移行性に優れているので、葉や茎に散布するだけで根まで枯らすことができます。
イネ科以外の広葉雑草やカヤツリグサ科には効果がないため、それらの雑草が生えている場所にはこれ以外の除草剤と組み合わせて使う必要があります。
グルホシネート系除草剤
有効成分にグルホシネートを含む除草剤は、非選択性の接触型の茎葉処理剤です。ほうれん草には収穫7日前まで使うことができます。
イネ科、広葉、一年生、多年生を問わず、ほとんどの雑草に効果を発揮します。1~3日で効果が発現し、5 ~ 20 日で完全な効果がでる強力除草剤ですが、吸収移行型ではないため、地下部 、つまり根までは枯死せん。非選択のため、畑地、圃場での散布の際に、農作物にかからないよう注意が必要になります。代表的な製品として、バスタ液剤とザクサ液剤があります。
商品名 | バスタ液剤 | ザクサ液剤 |
---|---|---|
概要 | ||
販売元 | BASFジャパン(株) | 明治製菓ファルマ(株) |
有効成分 | グルホシネート | グルホシネートPナトリウム塩 |
農耕地使用 | ○ | ○ |
グリホサート系除草剤
有効成分にグリホサートを含む除草剤は、非選択性の茎葉処理剤です。イネ科、広葉の一年生雑草、多年生雑草、ササ類、雑灌木などほぼすべての草種に有効で、枯らす効果があります。性質は遅効性で効果の発現に3 ~7日、そして完全 な効果に10日~2カ月ほどを要します。
グリホサート系の除草剤は、葉や茎に薬液をかけるだけで根まで枯らす効果があるので、ほうれん草の栽培中ではなく、耕起前までに大きくなってしまった雑草に散布して使います。畑で使えるグリホサート系の除草剤は下記のものなどがあります。散布可能時期はそれぞれの除草剤のラベルを確認してつかってください。
商品名 | ラウンドアップマックスロード | サンフーロン | タッチダウンiQ | サンダーボルト007 |
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概要 | ||||
販売元 | 日産化学(株) | 大成農材(株) | シンジェンタジャパン(株) | 日本農薬(株) |
有効成分 | グリホサートカリウム塩 | グリホサートイソプロピルアミン塩 | グリホサートカリウム塩 | グリホサート ピラフルフェンエチル |
農耕地使用 | ○ | ○ | ○ | ○ |
サンフーロンはラウンドアップ のジェネリック商品になります。
カダン除草王シリーズ ビネガーキラー
有効成分 醸造酢10%
除草剤の使用が不安な人には、100%食品成分の醸造酢をつかった除草剤で、野菜や花壇にも使えるビネガーキラーがおすすめです。すでに希釈済みですので、そのまま枯らしたい雑草に散布するだけ。お子様やペットなどがいる家庭菜園などでも安心して使えます。非選択性の除草剤ですので、作物にかからないように注意して使いましょう。
その他ほうれん草に適用がある除草剤
この他、ほうれん草に適用がある除草剤は、農家web 農薬検索サービスからも探せます。