斜面、傾斜地に雑草が生えると、足場も悪く、草刈りも大変な作業になってしまいます。ここでは、斜面に生える雑草をどうやって抑えていくのか、斜面雑草対策について、除草と防草シートを中心に徹底解説します。
斜面雑草対策 ①草刈り機、刈り払い機での除草
既に斜面、傾斜地に雑草が繁茂している場合は、まず草を刈り取る、抜き取る必要があります。範囲が狭い場合は、手や鎌(カマ)、その他除草道具を使用して草刈りし、範囲が広い場合は草刈り機、刈り払い機を利用するのがおすすめです。
草刈り機を斜面で使用する場合のポイントは、ループハンドルかツーグリップのハンドルを選択することです。
草刈り機(刈払い機)のハンドルは主に、ループハンドルと両手ハンドル(Uハンドル)がありますが、両手ハンドルは両手で並行に握る分、地面に並行させての使用にベストで、斜面には向きません。ループハンドルは両手を縦に草刈り機を持つため、畦畔などの斜面に対して草刈機に角度をつけて使用する場合に向きます。
そして、斜面などの傾斜地で草刈りを行う際は、とにかく、姿勢が前屈みにならない範囲までで行ってください。前屈みは転倒する危険性が格段に増します。全てを上から刈ろうとすると、刈払機を回転しながら滑り落ちて大事故になります。
具体的には、全てを上から刈るのではなく、排水溝に降りて、下半分を刈り、後で上部を上から刈るようにしてください。
そして、動作範囲をできるだけ少なくすることを心がけましょう。刈払機を振らないこと、右→左、90度程度の範囲内までを意識してください。また、斜面の畦畔などは滑りやすいです。ふんばることが出来るスパイク付きの長靴がおすすめです。
また草刈り機は、コードで電気を供給するタイプと、バッテリーに充電してコードレスで使えるタイプ、ガソリンを動力とするエンジンタイプのものがあります。広範囲をパワフルに刈る場合はエンジンタイプを、範囲が限定されている場合や、その他ガソリンを使う機械を使用していない場合は、使い勝手の良い電動タイプを選ぶといいでしょう。おすすめの草刈り機(刈払い機)を下記にご紹介します。
また、斜面刈り用の自走式草刈機を使用するのも安全に作業するにはおすすめです。オーレックやクボタなどの斜面刈り用含め、自走式草刈機については、下記をご参考ください。
②除草剤による除草
草刈り機や鎌(カマ)で草刈りで刈った雑草は一旦枯れるのですが、多年生雑草の場合は、根が残っているため、またすぐに生えてきます。このような場合、使用が可能であれば、草刈り後に グリホサート系(ラウンドアップ 、サンフーロン) などの 除草剤 を散布し、土中の根や地下茎まで枯らしてしまうことが有効です。
雑草の根や地下茎が残ったままだとすぐに雑草が生えようとし、チガヤやハマスゲ、竹、笹、セイタカアワダチソウなどの突抜け性の強い多年生の雑草は尚更、 ドクダミ 、 スギナ 、ナズナなど非常に強い雑草が生えている場合は、 除草剤 を使用して、根や地下茎まで除草できるとベストです。
除草については、下記に全ての情報をまとめています。
③防草シートを敷く
斜面の雑草を除草した後は、その後に雑草が生えてくることを防ぐために、防草シートを敷くのがベストです。では、どんな防草シートを選べばいいのでしょうか?
おすすめしたい防草シート
ホームセンターの園芸コーナーに行くと、防草シートはたくさんありますが、効果は様々です。敷設して長く効果を持続させたい場合は、是非、防草シートの質に拘ってみて下さい。防草シート(除草シート)は、第一に光を遮光することで、植物に光合成を行えないように抑制します。この結果、植物は炭水化物を生成できなくなり、生長しなくなります。このため、どれだけ光を遮ることができるか、遮光率のレベルが極めて重要です。また、シートの中でも、不織布の材質のシートの方がそうでないものより、遥かに貫通を防ぎやすく、また高密度で厚みと強度があるほうが、当然防御力は増します。
防草シート(除草シート)は野外で使用するため、日光による劣化のほかに、水にさらされ続けることで加水分解する材質は劣化も早く、透水性が低いと水はけが悪く、雨水でぬかるみを作ってしまいます。また酸性、アルカリ性に弱い材質も、そうでない材質のものより長持ちしません。このため、ポリエチレン(ビニール袋などによく使われます)よりも、透水性が高く、酸性、アルカリ性に強い材質のポリプロピレンを使用しているものがおすすめです。
またポリプロピレン製は、切断、裁断しやすく、ほつれにくいため、縁石や花壇、樹木を植える場所、壁際の周りなどを、ハサミ、カッターで切ってカットしやすく、敷ける範囲も広がります。
まとめると、「遮光率」「不織布かどうか」「透水性」「耐久力」の4つの要素が防草シートにとって大きな要素になります。下記の防草シートは、上記全ての要素を満たしている丈夫なおすすめのシートです。
商品名 | ||||
---|---|---|---|---|
1㎡(平方メートル) 当たり単価 | 約400円 | 約600円 | 約200円弱 | 約330円 |
遮光率 | 99.7% | 99.7% | 96.7% | 99.9% |
不織布かどうか | 不織布 | 不織布 | 不織布 | 不織布 |
透水性 | ○ | ○ | ○ | ○ |
性質 | ポリプロピレン | ポリプロピレン | ポリプロピレン | ポリプロピレン |
耐久性 | ◎ | ○ | ○ | ○ |
(面積ごとにたくさんの種類があります)
防草シートの敷き方
①踏み固め
もしその場所が、水平でもともと地盤が緩い場合は、踏み固めや重石を使って地面を固めて、できるだけ表面を平らに整地してならしてください。透水性が高い防草シートを使っても、豪雨で水たまり、ぬかるみが出来る可能性はあるので、それを避けるためにも大事な作業になります。また、プロの造園業者は整地の際に端に傾斜、勾配を付けて、雨水を透すようにデザインしたりします。
②敷設 (施工)
いよいよ、防草シートを広げて敷いていきます。ポイントは2点です。
作業をするときは、ピン等を使い、土をならす作業があるので、軍手を身に付けるようにしましょう。縁石や花壇、壁際がある時は、シートにカッターやハサミで切込みを入れて、加工していきます。苗を植える際のマルチングに穴を開けるために切るのと同じ要領です。シートを短く切り分けるよりも、長めにとって、丁寧に設置していきましょう。
③敷設後
敷設後は、定期的に、シートが捲れていないかどうか、破れたり破損したりしていないか確認し、固定ピンを増やしたり、補修する事が重要です。また、周りに耕作放棄地や空き地が多い場合は、雑草の種子が飛来し、防草シートの周辺に突き抜け力の強い多年草(例えば、チガヤ、ハマスゲ、メヒシバ)が生えてくる可能性があります。防草シートの周辺に生えてきている場合は、根や地下茎が防草シートの下に張り巡る可能性があるため、早めに抜いたり、除草剤で除草することをおすすめします。
防草シートの上に砂利を敷くと、よりおすすめです!
市販されている防草シートは、最大手のプランテックス(旧名称 ザバーン )はじめ、全ての防草シートは、むき出しで使用していると、紫外線で徐々に劣化していきます。そもそも安価な防草シートは、日光に露出(曝露)して数年も放置できるように作られていません。また、非常に性能が高いザバーンのような防草シートでも、むき出しで使用すると、最もグレードが高いザバーン350Gで、約10〜15年の耐用年数になります。後々後悔しないためにも、斜面の防草シートを下地にして、人工芝などを敷いて紫外線を防ぐことが重要になってきます。
紫外線を防ぐことが出来ると、高機能な防草シートだと、半永久的に雑草の繁茂を防ぐことができますし、景観も良くなりますので、是非下の記事を参照ください。
③その他 グラウンドカバー
除草後、防草シートを張って、人工の芝を敷くことの他に、芝生やヒメイワダレソウを植えたりするなど、自生するグランドカバープランツ(地面、地表を覆うために植栽する植物)、低木を植え付け覆うことで緑化し、景観を美しく保つ方法があります。この場合は、植栽シートをうまく活用したり、グランドカバーの手入れが必要になってきます。植栽シートと芝、ヒメイワダレソウなどのカバープランツの組み合わせは非常に美しいので、チャレンジする価値があります。
まとめ
斜面の草むしり、草取り、草刈り、特に刈払機を使用しての草刈りはとにかく滑りやすく、危険性が増しますので、安全に農作業を行うようにしてください。
また防草シートの他に、防草砂という製品もあり、その中でも固まることで物理的に下から雑草を生えてこないようにする「固まる防草砂」という硬いものもあります。「固まる防草砂」はセメントが混ぜられたもので、コンクリートに近しく、主にアスファルトの代わりに駐車場、通路などで使われます。その土地を固めてしまっても大丈夫な場合は、こちらもご検討ください。