斜面の草刈りは刈払機を使うと、足元が不安定になるためかなりの重労働で、安全性にも不安があります。斜面の草刈りはやはり専用の斜面草刈機がおすすめ。ここでは斜面(法面)で使える自走式の草刈機の種類や特徴、選び方について説明します。
自走式草刈機とは
自走式草刈機とは手押し式草刈機とも呼ばれ、ハンドルに力を入れることなく前に自走して草を刈る機械です。振動があるのは刈払機と同じですが、重さを感じない分、刈払機よりも約1/2軽労化し、腰への負担もなくなり、長時間の作業を可能にします。
自走式草刈機の中でも、「斜面草刈機」は、畦畔、畔、法面などの斜面や傾斜地の草刈りを行う自動式草刈機で、法面草刈機またはスパイダーモアとも呼ばれます。
斜面草刈機の選び方
自走式の斜面用草刈り機は、さまざまなメーカーから販売されていますが、製造元はオーレックと斎藤農機製作所の2社が主流です。共立、ISEKIアグリはオーレックのOEM製品。クボタ・ゼノアは斎藤農機製作所のOEM製品になるので、製造元の2社の違いを知っておくと選びやすくなります。
オーレックの斜面草刈機の商品名は「スパイダーモア」、斜面草刈機の名前としてスパイダーモアと呼ばれることもある人気のある製品です。斎藤農機製作所製の草刈機は、クボタの「スイング式法面草刈機」が有名で種類も豊富なことから人気です。
草刈機は、排気量、刈幅、重量、ハンドルの長さなどを基準に選びましょう。
- 排気量が大きければパワーがあるため、硬い草でもどんどん切れますが重量が重くなります。
- また刈幅が大きければ、効率よく草を刈ることができますが、コンパクトタイプであれば狭い場所も刈れるというメリットもあります。
- 重量が重いと取り回しが大変だったり、トラックへの積み込みが大変です。女性や力のないシニアの方は軽量なものがよいでしょう。しかし草刈をする時には重量のあるものは安定性が増します。
- ハンドルの長さは、斜面の高さに合わせて選びましょう。
オーレックとクボタ(斎藤農機製作所)の草刈機の違いは、ハンドルの支点の位置が違います。オーレックがエンジンの後方に支点がありますが、クボタは横にあります。横にあることで、斜面の草刈り時には前方を向いて姿勢が保ちやすく、安定しやすいという方もいます。
斜面用 自走式草刈機の種類・特徴
オーレック(ORCE)製
オーレック製のスパイダーモアは3種類です。
SP301A(共立 AZ301・ISEKIアグリ SP301A)
軽量でコンパクトな斜面草刈機。重量が30kgと軽量なので力のある人であれば、一人でトラックに積み下ろしも可能です。ハンドルの長さは1,150〜1,600mmで4段階に調整することが可能です。刈幅が300㎜と狭いので畦上や側面でも使用することができます。
製品名 | SP301 |
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質量(kg) | 30 |
排気量(㏄) | 32.6 |
燃料タンク容量(L) | 1.2 |
刈刃形式 | フリーナイフ×4枚 |
刈幅(mm) | 300 |
ハンドル伸縮 | 1,150〜1,600mm |
目安市場価格(税込) | 約150,000円 |
SP431F(共立 AZ431F・ISEKIアグリ SP431F)
軽くてパワフルなミドルタイプ。上位機種と同様のフリーナイフ8枚で刈幅も430㎜あるので、効率よく草を刈り取ることができます。コンパクトサイズではやはり刈幅が足りないという方には、こちらがおすすめ。
製品名 | SP431 |
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質量(kg) | 42 |
排気量(cc) | 47.1 |
燃料タンク容量(L) | 1.2 |
刈刃形式 | フリーナイフ×8枚 |
刈幅(mm) | 430 |
ハンドル伸縮 | 1,300~1,900 mm |
目安市場価格(税込) | 約210,000円 |
SP853 (共立 AZ853・ISEKIアグリ SP853)
SP853は、79.4㏄のハイパワータイプ。刈幅も長い500㎜ですので長い法面でもどんどん草を効率的に刈り取ることができます。H4エンジン搭載しており、低燃費で早くパワフル。またエンジンに負荷がかかると振動してお知らせする「ストールお知らせ機能」が付いているので、事前にエンジントラブルを防ぐことができます。
製品名 | SP852AF |
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質量(kg) | 49.5 |
排気量(cc) | 79.4 |
燃料タンク容量(L) | 1.45 |
刈刃形式 | フリーナイフ×8枚 |
刈幅(mm) | 500 |
ハンドル伸縮 | 1,400~2,000㎜ |
目安市場価格(税込) | 約270,000円 |
斎藤農機製作所(サイトー)製
斎藤農機製作所製は、スイング式法面草刈機の種類は豊富です。エンジン式以外にも電動式もあります。
SGC-E300 (クボタ しずかる GC-E300)
自走草刈機としてはめずらしい電動式。電動式なので排気ガスも出ず、低騒音・低振動。住宅街でも周りを気にせず草刈りをすることができます。
電動式の利点は音だけでなく、操作が簡単なこと。草刈機の使用が初めての人でもスイッチ一つで、モーターが始動します。またしずかるは、グリップを握るだけで走行を開始し、速度ボリュームを回すだけでスピード調整も可能です。1回の充電で約60分ほど作業できるので、ある程度除草したい範囲が決まっていて静かな自走草刈機を探している方にはぴったりの製品です。
製品名 | SP852AF |
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質量(kg) | 34.8 |
パワー | 36V |
燃料タンク容量(L) | – |
刈刃形式 | フリーナイフ×4枚 |
刈幅(mm) | 300 |
ハンドル伸縮 | 1500㎜ |
目安市場価格(税込) | 約240,000円 |
SGC-S301(クボタ カルモ GCK-330D・ゼノア ZGC300D-EZ)
SGC-S301(カルモ)は、コンパクトで軽量な自走式草刈機。質量は26g と軽量なエンジン式の斜面草刈機です。機体がコンパクトなので、狭いあぜの上面や側面も刈ることができます。パワーは25.4㏄ですが、軽量であれば持ち運びも便利で、取り回しやすさが魅力です。女性や初心者の方でも使いやすい草刈機です。電源式とパワー・機能は同じですがエンジン式のため価格が抑えられています。
ゼノアが誇る環境に優しく低燃費の「ストラト・チャージドエンジン」を搭載しています。
製品名 | SGC-S301 |
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質量(kg) | 26 |
排気量(cc) | 25.4 |
燃料タンク容量(L) | 1.0 |
刈刃形式 | フリーナイフ×4枚 |
刈幅(mm) | 300 |
ハンドル伸縮 | 1500㎜ |
目安市場価格(税込) | 約152,000円 |
SGC-402A/SGC-S50A(クボタ カルマックス GC-K402EX・GC-K502EX(H))
SGC-402A/SGC-S50Aは、クボタではカルマックスシリーズとして販売されている高機能な自走式草刈機。排気量は同じ47.5㏄で刈幅が異なります。
排気量が47.1mlとパワーがあるため、高密度の草地でも効率よく刈り取ることができます。ハンドルは、無段階伸縮ハンドルなので自由にハンドルの長さを変えられます。クボタには長尺ハンドルモデル(GC-K502H)があり、ハンドル最伸3,000mmと高い畔にも対応できます。その他蓄力式リコイルのためエンジン始動も楽で、耐久性も高い製品です。プロの農家の方にもおすすめの製品です。
製品名 | GC-K402EX | GC-K502EX |
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質量(kg) | 47 | 54 |
排気量(cc) | 47.1 | 47.1 |
燃料タンク容量(L) | 1.2 | 1.2 |
刈刃形式 | フリー刃4枚 | フリー刃4枚 |
刈幅(mm) | 400 | 500 |
ハンドル伸縮 | 1500㎜~2000㎜ | 1600㎜~2100㎜ |
メーカー希望価格(税込) | 246,240円 | 267,840円 |
SGCM500 (クボタ GC-M500)
サイト―製の斜面草刈機の中で一番のハイスペックモデル。70.7㏄の高出力エンジンで、効率よく刈り取ることができます。カルマックスよりさらに高機能で、作業状況に応じたエンジンの回転数の切換えが手元のスイッチで簡単にできる「マスターモード」を採用。さらにエンジンの始動はデコンプ式リコイルで楽々始動。静音マフラーを搭載しているのでエンジン音の騒音を抑えています。広範囲の法面を刈るプロの方におすすめの製品です。
製品名 | SGCM500 |
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質量(kg) | 60 |
排気量(cc) | 70.7 |
燃料タンク容量(L) | 1.9 |
刈刃形式 | フリーナイフ×4枚 |
刈幅(mm) | 500 |
ハンドル伸縮 | 1750㎜~2400㎜ |
目安市場価格(税込) | 約330,000円 |