裸苗で売られているサンスベリアは、水だけで育てる水耕栽培でも育てることができます。ここでは100均で購入したサンスベリアを使った水栽培の始め方や育て方、葉挿し、ハイドロカルチャーへの植え替えについてわかりやすく説明します。
サンスベリアの水栽培の手順
ここでは、100均で購入してきた裸苗を使った水栽培の手順を説明します。鉢植えのサンセベリアの苗を買った場合は、苗を土から出し土を落として、水洗いし根を根元から2㎝ほど残して切り取ります。そのまま2~3日乾燥させてから始めます。
水栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。植え替え時期と同じ、5月下旬~8月下旬までが適期です。葉挿しも同時期に行いましょう。最近の日本の夏は気温がかなり高くなります。できれば生育期初期の5月下旬から6月、梅雨前に行うのがおすすめです。
準備するもの
- サンスベリアの裸苗
- 透明なガラスの器(空き瓶やグラス・ペットボトルなどでもOK。ある程度の高さがあるもの)
手順
- サンスベリアの裸苗の地下茎の根元に枯れた葉などがあれば、取り除きます。
- 容器に水(水道水・雨水)を入れます。地下茎が水に浸かるようにします。
- 発芽するまで2~3日に1回。夏はなるべく毎日水を交換します。
- 2週間程度は明るい日陰で室内で管理しましょう。2~3週間程度で新しい根が生えてきます。
- 根が生えたら、水量は根が半分から3分の2浸かる程度で育てます。根も酸素が必要です。根元3㎝は空気にあたるようにします。ハイドロカルチャーにも植え替え可能です。
根が生えたら根が全体につかないようにしましょう。
葉挿し(水挿し)
サンスベリアを増やすには、苗より発芽の時間はかかりますが葉挿しで増やすことができます。生育旺盛なサンスベリアを剪定した時の葉を使って増やしましょう。もちろん水だけでなく土にそのまま挿しても増やせます。水挿しは発根の様子がわかりやすいのが特徴です。
しかし斑入りのトラノオなどは、葉挿しをすると斑が消えてしまいますので、斑を残したい場合は、株分けをして、子株から増やす方法がおすすめです。
用意するもの
- サンスベリアの苗(土でそだてているものでも水耕栽培のものでもOK)
- 透明な容器(ガラス瓶やペットボトル・コップなど)
- 水(水道水・雨水)
発根促進剤について
生命力の強いサンスベリアは、生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます
手順
- 元気な葉を根元から切り取ります。
- 葉を10㎝ほどに切り分けます。切った葉の上下が大切ですので、しるしをつけておきましょう。
- 日陰で3~5日切り口を乾かします。(病原菌の発生を防ぎます)
- 切った葉を生えていた葉を上にして、容器に水を入れます。
- 室内の明るい日陰で管理します。早ければ2週間程度で発根します。
- 水は毎日変えましょう。
- 根が生えて子株ができます。子株ができたら元の葉から取り除いて植え替えます。そのまま水栽培で育てたり土やハイドロカルチャ―でも育てられます。水栽培で育てる場合は水量は根の半分から3分の2浸かる程度にします。
ハイドロカルチャーへの植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボールという丸い発泡煉石を使用したり、ゼオライトを使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります
ハイドロカルチャーでの植え替え方法の手順を説明します。ここでは水栽培で発根させたサンスベリアの苗を使います。土で育てた苗を、土を洗い流した苗でも植えつけることはできますが、水栽培で発根させた苗のほうが、植え替えの成功率は高くなります。
準備するもの
- 水栽培用に発根したサンスベリアの苗
- ハイドロボールなどの人工石
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- ハサミ
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろや、ピンセットなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- サンスベリアの苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の6分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ハイドロカルチャーでの多肉植物の育て方の詳しい記事もありますのでハイドロカルチャ―に興味のあるかたはお読みください
サンスベリアの水栽培での育て方
サンスベリアの特徴
植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると枯れずに育つのかわかってきます。
多肉植物はその生育期によって、春秋型・夏型・冬型を区分けされておりサンスベリアは、春から夏に生育する「夏型」です。原産地が熱帯アフリカや南アフリカのため、耐寒性は弱く耐暑性には強いですが多湿は苦手。
多湿が苦手なのに、水栽培で育てられるのはどうしてでしょうか。実は多肉植物の枯らす原因は水やりの失敗による根腐れが一番多い原因。水栽培は水の交換は必要ですが水やりは不要。さらにサンスベリアは日光が大好きな反面、耐陰性ももっているので室内で育てる水栽培には向いています。
学名 | Sansevieria |
属名 | キジカクシ科(クサスギカズラ科) / チトセラン属(サンセベリア属) |
原産地 | 熱帯アフリカ、南アフリカ、 マダガスカル、南アジアなど |
樹高 | 品種による 5㎝~100㎝ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「永久」「不滅」 |
置き場所、日当たり
もともとサンスベリアは日光が大好きです。室内のできるだけ日当たりの良い場所に置きましょう。だだし水栽培の場合、直射日光は葉焼けや容器内の水温が高くなりすぎる危険があるため、避けます。サンスベリアは耐寒性は強くありません。特に冬場は昼間は日差しの当たる窓辺に置いたままにしておくと、夜は気温が下がり寒くなります。置き場は温度が5℃以下にならない場所で管理すれば冬越しは可能です。
サンスベリアは耐陰性もありますが、日当たりのよくない洗面所や寝室などに置く場合は、1週間ごとに日当たりのよい場所へ入れ替えるなど、ローテーションさせてるとよいでしょう。植物用のLED照明も効果的です。
水の量と交換時期
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
ハイドロカルチャーの水やり
多肉植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てるます。ハイドロボールなどは外から乾いているようでも鉢の中側は湿っていることも多いです秋。生育期である春から夏は、鉢の中が乾いてから3日~5日ほど待ってから与えましょう。
水は鉢の6分の1まで、容器にもよりますが鉢底1cm程度で大丈夫です。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから3~5日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。秋から水やりの回数を減らし、休眠期の冬は、月に1~2回、霧吹きで水を上げる葉水で行います。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
水位計は、ハイドロカルチャーの水やりは意外と難しいので、水位計があると安心です
肥料
サンスベリアの水栽培は、肥料がなくても育ちます。肥料を使うと生育が早くなったり、葉が大きく広がります。水栽培の肥料は、液体肥料(液肥)を薄めて使います。春から秋まで月に2回ほど液体肥料を与えます。水の交換のときか、ハイドロカルチャーの場合は水やりのときに水代わりに規定量より薄めて使います。肥料を使うと藻が発生しやすいので、水草用の肥料もおすすめです。
水栽培やハイドロカルチャーに使える液肥は、ハイポネックスやハイポニカ液体肥料や水草用メネデールなどがあります。
水栽培(水耕栽培)のメリット
水耕栽培は、家庭菜園でも農家でも行われる栽培方法ですが、家庭で水耕栽培をするメリットはいくつもあります。
- 室内でも気軽に栽培できる
- 身近にある手軽なもので栽培ができる
- 土作りが不要である
- 無農薬・減農薬栽培がしやすい(虫がつきにくい)
- 水やりの手間を少なくできる
- 小さなスペースでも栽培できる
- 植物の生長が早くなるとともに、質が安定しやすい
- 見た目をおしゃれにすることで、インテリアとして楽しむことができる
しかし水だけでは土に比べて養分が足りないため、植物を大きく育てることには不向きです。また日光が必要な植物にはLEDライトなど初期投資がかかることもあります。
水耕栽培のコンテンツ
水栽培は、土や病気の心配もすくない初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。
多肉植物の他にも、観葉植物や花を楽しむ球根、育てて収穫できる野菜やハーブも水耕栽培で育てることができます。100均などで購入した苗やタネを使って、簡単に育てることができます。興味のある方は下記の記事も参考にしてください。育てたい品種や野菜・ハーブ名から育て方がわかります。
まとめ
観葉植物として人気のサンスベリアは品種も多くあります。代表的な品種は、トラノオと呼ばれるサンスベリア・ローレンティーです。丈夫で耐陰性もあることから水栽培に向いています。品種によっては、サンスベリア・キリンドリカなどは耐陰性が他の品種によって強くないので、環境により品種をえらんでください。
サンスベリアは空気清浄効果がある植物で、ホルムアルデヒドやアンモニア・トリクロロエチレン、キシレンなど人にとって有害な物質を吸収し分解する働きがあるといわれています。また風水でも人気。テレワークなどで家にいることが増えた今、緑が家にあると目を休める効果にもなりますし、心も元気にしてくれます。
水栽培は、土や病気の心配もすくない初心者の方でも思いついたら、水とペットボトル・空き瓶などの器があればすぐ始められる栽培方法です。ハーブなどは収穫も楽しめます。ぜひお気に入りのサンスベリアを見つけたら水栽培に挑戦してみてください。