この記事では有機肥料でバラを育ててみたい方に、有機肥料の基本情報やおすすめの肥料、与え方のポイントなどをわかりやすく説明します。
バラ栽培に有機肥料がおすすめな理由
バラには有機肥料がよいといいますが、それはなぜでしょうか。
有機肥料とは、油粕や米ぬかなどの「植物性の有機物」、鶏糞や魚粉、骨粉などの「動物性の有機物」を使って作られている肥料を指します。有機肥料には、肥料の3要素(チッソ・リン酸・カリウム)以外にも、植物の生育に大切な微量要素も補充されています。
有機肥料や堆肥は土壌を改良する効果があり、特に地植えでは長い間化成肥料のみをつかっていると、土壌の環境が悪くなり土が固くなったり、肥料以外の微量要素が不足することもあるため、有機肥料を使うとよいとされています。
有機肥料は土壌を改良する効果ががありますが、未熟なものを使うとガスなどが発生し植物が傷んでしまうリスクもあります。化成肥料は与えたい肥料分を、素早く与えることができる手軽な肥料ですが土壌を改良する効果はありません。どちらがよくてどちらが悪いということではありません。両方の特性を踏まえ、上手に使うことが重要です。
おすすめの有機肥料・有機入り肥料
有機肥料には、油かすや米ぬか、鶏ふんなどがあり、カ二殻もバラでは使われることがあります、バラ用の肥料にも有機100%肥料や、有機入りの肥料が販売されています。有機肥料は肥料分の調整など初心者の人には難易度が少し高いため、そちらから始めてみるのもよいでしょう。
有機100%肥料
バラの用の肥料にも有機100%の肥料が販売されています。ハイポネックスジャパンの「バラの天然有機100%肥料」や花ごごろ「濃いバラの肥料」、有機肥料として実績のあるバイオゴールドにはバラ専用に配合された「バイオゴールドセレクション薔薇」の肥料などがあります。
商品名 | ハイポネックス バラの天然有機100%肥料 | 花ごごろ 特選有機 濃いバラの肥料 | バイオゴールド セレクション薔薇 |
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概要 | |||
肥料成分 | N-P-K=4-4.5-1.5 | N-P-K=5-5-3 | N-P-K=3.3-4.5-4 |
固形/液体 | 固形 | 固形 | 固形 |
特徴 | 土壌中の有用微生物に活性効果のある天然有機100%肥料。 | ニームを配合したバラの肥料。 有機由来原料100%配合で微生物によりゆっくりと分解され効く。 | 根元にパラパラまくだけで株がしっかり育ち、バラ本来の力を最大限に引きす天然有機肥料100%肥料。 |
有機化成肥料
有機化成肥料とは、化成肥料に油かすや魚かすなどの有機質を配合した肥料のことを指します。化成肥料を含んだ有機配合肥料を分かりやすく「有機化成肥料」と名付けているのだと思います。有機化成肥料は、化成肥料の速効性と有機質肥料の緩効性、遅効性を両方兼ね備えており、肥料成分も有機肥料にくらべ多く配合されています。
有機入りの化成肥料は、バラ用の肥料で多く販売されています。
油かす
有機肥料として人気の油かす肥料も、バラの肥料に使うことができます。油かすは、チッソが多く含まれており、リン酸とカリ分も多少含まれています。醗酵油かすなどは、製品によって肥料成分が変わります。リン酸やカリ分が足りない場合には、リン酸肥料やカリ肥料で補う必要があります。
油かすは、ぼかし肥料の材料ともなり液肥もつくることができます。天然の肥料ですので、上記のようなバラ専用に作られた肥料とは使い方も異なります。油かす肥料の使い方などは、詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
カニ殻
カニ殻(カニガラ)肥料とは、蟹の甲羅などの殻を粉砕し、肥料として用いるものです。と表記されることもあります。その他の甲殻(エビの殻であるエビガラなど)が含まれているものもあります。カニガラには、チッソ(窒素)、リンサン(リン酸)がそれぞれ3%程度含まれているほか、マグネシウムなども含まれています。
カニ殻は、有機物を分解する放線菌などをふやすことができるので、土壌改良としても肥料としても使うことができます。元肥として使うとよいでしょう。
バラの肥料をやる時期とやり方
肥料のやる時期は大きく3つあります。ここで説明するのは、一般的なバラ栽培ですので、栽培する土地や品種によっても変わりますので、注意してください。
- 元肥:植え付け、植え替えの時期(新苗の場合4〜5月、大苗の場合10〜3月)
- 追肥:生育期(3月〜9月に適宜)
- 寒肥:毎年の冬(1月〜2月)
元肥
元肥は、庭などに地植えする場合は土を横幅・深さともに40㎝~60㎝ほど掘ります。地植えの場合は、水はけがよく肥沃のよい土が必要です。土壌改良が必要な場合は牛糞などの完熟堆肥と有機肥料か有機入り化成肥料を土と混ぜて植えつけます。
ポット苗を植え替える場合は、根が肥料焼けしやすいので土に混ぜず、植え付けしてから2週間ほどしてから根から離して鉢の縁に置いて軽く土を被せます。用土に元肥入りのバラの培養土などを使った場合は肥料は与えません。
堆肥や有機肥料は、完熟しているものを使うとよいでしょう。未熟なものは微生物の働きにより分解(発酵)される過程で発生するガス(アンモニアガスや亜硝酸ガス)に芽や根がさらされ、枯れることがあります。
追肥
追肥は、株元から30㎝~40㎝のところに円を描くように10㎝ほど土を掘り起こします。そこに有機肥料か有機入り肥料を施して、土を戻して軽く耕します。鉢植えの場合は、根から離して鉢の縁に置いて軽く土を被せます。置くだけでよい肥料もあります。
寒肥
庭植えの場合は冬の休眠中に寒肥を行います。寒肥の時期は1月~2月です。株元から30㎝~40㎝のところに円を描くように10㎝ほど土を掘り起こします。そこに完熟堆肥と有機肥料・有機入り肥料を施肥し、土を戻して軽く耕します。
株元から30㎝、深さ30㎝ほどの穴を株の周りに3か所ほど掘れるようでしたら、完熟していない堆肥も使えます。堆肥と有機肥料・有機入り化成肥料を入れて肥料をいれ、底の土とよく混ぜます。掘り出した土を被せます。
鉢植えの場合は、寒肥は必要ありません。