この記事では、米ぬかとヨーグルトで作るぼかし肥料について、作り方を簡単に解説します。
米ぬかとヨーグルトで肥料が作れる?
生の米ぬかをそのまま散布するというやり方をされている方もいます。但し、米ぬかの特性などをよく知った上で施肥をする必要があります。最悪、窒素飢餓(逆に肥料が不足する状況)や発酵熱による被害、カビなど腐敗の温床となることもあります。
肥料としての効果をわかりやすく、かつ安全に使用するために、「ぼかし肥料」にするという方法があります。米ぬかとヨーグルトを混ぜ合わせることで、この「ぼかし肥料」を作ることができます。
なぜヨーグルトを使うのか?
それでは、米ぬかのぼかし肥料を作るときに、ヨーグルトを組み合わせることもあるのはなぜでしょうか?その理由は、ヨーグルトに含まれる乳酸菌を利用して発酵させるためです。
ぼかし肥料とは、油かすや米ぬか、籾殻(もみ殻)、鶏糞(鶏ふん)など複数の有機質資材を配合させたものに土(土着菌)や発酵促進剤などを加えて、発酵させた肥料のことを指します。
発酵、分解するためには、微生物(放線菌や乳酸菌など)が必要となります。その微生物をヨーグルトで補うという考え方です。いわば、ヨーグルトが発酵促進剤の代わりになるということです。
米ぬかとヨーグルトで作るぼかし肥料の作り方
米ぬかとヨーグルトで作るぼかし肥料の作り方を簡単に解説します。今回は、嫌気性発酵での作り方となります。
用意するもの
原材料となる有機質資材とヨーグルトの薄め液を用意します。原材料については、下記の通りでなくてもOKです。米ぬかをベースに、相性の良いものを組み合わせてみてください。米ぬかだけで作ってみても良いでしょう。
ヨーグルトの薄め液は、下記を目安にしてください。ヨーグルトに水を加えてよく混ぜます。下記の配合も必ずうまく行くというわけではないので、時期や気候、土地に合わせて独自のレシピを作ってみると良いでしょう。
材料 | 使用量(米ぬか1kgあたり) |
---|---|
水 | 100ml〜300ml |
ヨーグルト | カレースプーン3〜5杯程度 |
ぼかし肥料を作るときには、水分量の調整が一番大事なので、まずはヨーグルトの薄め液を少なめに作って、あとから水で水分量を調整するのも良いでしょう。
作り方
作り方は、通常のぼかし肥料の作り方と同様です。
コツは、以下の2点です。
- しっかりと密閉し、可能な限り空気に触れさせないようにすることが成功のコツです。また、密閉前には可能な限り空気を抜きましょう。
- 水分量は混ぜ合わせながら加減をします。目安は混ぜ合わせた材料を強く握るとだんご状になり、軽い力で崩れるくらいが良いです。水のあげすぎには要注意です。
下記の記事を参考にしていただければと思います。
参考:米ぬかとは
米ぬかは、精米するときに玄米の表面が削られて粉状になったものを指します。精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用できます。リン酸が多く含まれ、糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
米ぬかは脂質を多く含み、有機物に含まれる炭素(C)含有率(%)と窒素(N)含有率(%)の比を表すC/N比(炭素率)が高いため、土壌中での分解が相対的に遅いので、そのまま使用するよりもぼかし肥料の原材料として使用するのが一般的かと思います。
米ぬかはコイン精米機やJAのライスセンターでもらえることもありますし、資材として販売されていることもあります。
参考:ぼかし肥料とは
ぼかし肥料とは、油かすや米ぬか、籾殻(もみ殻)、鶏糞(鶏ふん)など複数の有機質資材を配合させたものに土(土着菌)や発酵促進剤などを加えて、発酵させた肥料のことを指します。昔は有機質を土などで肥料分を薄めて肥効を「ぼかす」としていたことから、ぼかし肥料という名前がついたと言われています。
ぼかし肥料は、昔の農家では自分たちで独自で作っていましたが、化学肥料が発明されて窒素、リン酸、カリウム(加里)などの養分が手軽に補えるようになったことから、製造、使用されることも少なくなりました。しかし、近年は可能な限り化学肥料を使わない栽培方法(特別栽培や有機栽培)が人気となり、再び「ぼかし肥料」に注目が集まっています。
発酵させることにより、有機肥料(有機質肥料)に比べて植物が吸収することができるアンモニア態窒素、硝酸態窒素に無機化されるため、施してからすぐに肥料が効き始める速効性が備わっています。緩効性、遅効性という有機肥料の特長に、速効性を併せ持つことによって、より使い方の幅が広がる肥料となっています。
また、自分でぼかし肥料を作ることもできます。正直、良質なぼかし肥料を作るのは結構難しく手間のかかる作業なので、家庭菜園や園芸などで有機栽培に挑戦されたいという方は購入されることをおすすめします。