梅雨の頃になると、ピンクや青色の美しい花を咲かせてくれる紫陽花(アジサイ)は、日本だけでなく世界中で愛されている花木です。庭木や鉢植えとしても人気が高い草花で、日本だけでなく世界中で栽培されています。
アジサイは、土壌の酸性度や施す肥料によって花色が変わってきます。この記事では赤いアジサイを咲かせるための肥料や、土壌の作り方について初心者の人にもわかりやすく説明します。
アジサイの花色と酸度について
鉢植えで買ってきた苗木を庭に植え付けしたら、花色が変わったという話はよく聞かれます。アジサイには品種により本来の色がありますが、土の酸度によって花の色が変わるのが特徴です。
土壌が酸性であれば青色に、アルカリ性であればピンクから紅色になります。日本の土壌は一般的に酸性のため日本原産のアジサイは青色系が多く、ヨーロッパで品種改良されたアジサイは赤色系統が多いのは、ヨーロッパの土が弱アルカリ性であることが理由といえます。
白花は、土壌がかわっても花色は変わりません。アナベルのように咲き始めは淡い緑色から咲き進むうちに花色が白色にかわるのはその品種によるものです。まれに花の咲き終わりにピンク色にかわったり青色にかわるのは土壌の影響によるものです。
ピンク色・赤花を咲かせるには
アジサイの花に含まれているアントシアニンという色素はもともと赤色です。ここに土壌のアルミニウムが溶けて結合し、花色が青くなります。酸性の土壌ではアルミニウムが水に溶けだしやすくアルカリ性の土壌では水が溶けにくいため、赤色になります。
アルカリ性の土壌で育てる
鉢植えなどで植え替え時に使う用土は、中性から弱アルカリ性の土を使います。市販の赤アジサイの培養土も販売されています。自分で配合する場合は、赤玉土小粒4・腐葉土4・バーミキュライト2の配合土を使います。
肥料を選ぶ
アジサイの花色が変わるのは、土壌のアルミニウムが水に溶けるからですが、肥料にリン酸が多く含まれているとアルミニウムが溶け出しにくくなります。
よって赤いアジサイを育てるには、リン酸の多い肥料を使います。アジサイには有機肥料の油かすを使いますが、骨粉や魚粉などが含まれている発酵油かすを使います。市販の赤アジサイ用の肥料や、苦土石灰も使うことができます。
発酵油かす
緩効性の有機肥料として、骨粉や魚粉を混ぜた発酵油かすの固形肥料です。チッソ、リン酸、カリウムがバランス良く含まれていますし、それらの肥料成分がゆっくりと溶け出すため、根に優しく肥効が続きます。元肥にも追肥(寒肥)にも使えます。
JOYアグリス 赤アジサイの肥料
株式会社JOYアグリスから販売されている赤アジサイ専用の肥料です。有機成分を主体としたアルカリ性のアジサイ肥料です。チッソ(N):リン酸(P):カリ(K)=3:4:6で配合されています。価格は600gで300円程度です。
アミノール化学研究所 赤花アジサイ専用肥料
赤花アジサイを、赤色あざやかに咲かせるためのアルカリ性のアジサイ専用肥料です。チッソ(N):リン酸(P):カリ(K):苦土=5:12:5:8で配合されています。一箱400gで700円程度です。
東商 赤アジサイの肥料
赤アジサイが好むアルカリ性に調整済のアジサイ専用肥料です。チッソ(N):リン酸(P):カリ(K)=4:6:2で配合されています。複合ミネラル配合で、丈夫に育ちます。価格は一袋500g、500円程度です。
苦土石灰
また、土を変えない場合には、苦土石灰を使う方法もあります。苦土石灰はドロマイトという岩石が原料のアルカリ分を多く含む石灰資材です。過剰に与えると根を傷めるので気をつけましょう。鉢植えは、開花する前の4月に1度、一握り株元与えます。庭植えの場合は、3月下旬と開花前の5月に株元に1株あたり一握り施します。
アジサイの肥料時期
肥料時期
基本的な肥料のやり方は、冬(12月下旬から2月上旬)に、「寒肥」を、花が咲いた直後に「追肥(お礼肥)」を与えます。
寒肥は、春から夏にかけてアジサイの花をしっかりと咲かせるために、追肥は、花が咲いた(開花)直後に与える翌年の花芽を育てるために施肥します。
その他は、明らかに葉っぱや茎の成長が弱っているときには、速効性のある肥料を少量追肥して、様子を見るようにしましょう。
その他 赤いアジサイを咲かせるためのポイント

品種を知る
日本の土壌は、もともと酸性です。庭植え(地植え)の場合は、苦土石灰や消火灰を土に混ぜ込んでアルカリ性にしても、雨などで流れ酸性に戻ってしまうこともあります。
地植えより、鉢植えの方がコントロールしやすいといえます。また品種でもともとの色が赤色のアジサイのほうが鮮やかに発色します。西洋アジサイの、レッドビューティー・ホットレッド・ピンクアナベルなどは人気があります。アジサイは品種が多いので園芸店などでお店の人に聞いてみるのもよいでしょう。
土壌検査
土壌酸度(ph)は、土壌 pH 6.0~6.5を目安にしましょう。土壌酸度計や土壌酸度測定液などを使うと、土の酸度が簡単に図ることができます。定期的に検査することで、土壌の状態を知ることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ここまで赤色やピンク色のアジサイを咲かせるための肥料や土壌について、説明してきました。品種によっては花色が変わらないもしくは、効果がでにくいものもあります。
購入してきたときより、色が薄くなってしまったなどというときにも専用肥料は役に立ちます。かわいらしいピンク色や鮮やかな赤色のアジサイは梅雨の庭先を明るくしてくれます。ぜひ花壇やベランダなどで美しい花をさかせてみてください。