栽培日数の短いほうれん草の栽培は、肥料を生育初期にしっかり与えることが大切です。この記事では、ほうれん草の栽培におすすめの肥料を紹介するとともに、与え方のポイントなどをわかりやすく説明します。
ほうれん草におすすめの肥料
葉菜類のほうれん草には、3要素(窒素・リン酸・カリウム)がバランスよく含まれているものが便利です。
有機肥料
有機肥料は未成熟のものを使う時は、作物に影響が出る可能性がありますので早めに施用しましょう。また臭いや虫がつく場合もあるので、プランターなどでベランダで育てる場合は、化成肥料や有機配合肥料などがおすすめです。
鶏ふん
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。堆肥としても使われますが、土壌改良効果はあまりないので肥料として使うのが一般的です。乾燥鶏糞は未発酵なので、元肥として使う場合にはタネまきの1か月前に土と混ぜておきましょう。発酵鶏糞でも腐熟が不十分な場合もあるので、2週間前までには施しましょう。
鶏糞には、石灰(カルシウム)が多く含まれています。他の肥料と同量に石灰をまくと、アルカリ性に傾きすぎる可能性があるため注意が必要です。
油かす(油粕)
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。元肥として使う場合には、リン酸は骨粉、カリウムは草木灰などを補充します。
ぼかし肥料
ぼかし肥料とは、米ぬかや油粕などの有機物が含まれた有機肥料を土やもみがらなどと混ぜて、微生物の力を借りて一次発酵させた肥料です。散布する前に微生物の力で分解させておくことによって、未発酵の有機肥料よりも効き目が表れるのが早まります(速効性肥料に近づきます)。また、一次発酵で分解されていない有機物はそのまま残りますので施肥後にそれらが分解されて肥効が長続きします。有機質肥料であり、土壌の物理性や生物性の改良にも繋がります。
有機100%配合肥料
肥料成分のバランスがよくなるよう配合された肥料です。製品によって異なるのでパッケージをよく読んで使いましょう。基本的には元肥、追肥にも使えるものが多くあります。
化成肥料
固形肥料
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥にはN-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などは、ほとんどの野菜に使えるので便利です。
ほうれん草専用肥料
ほうれん草専用の肥料は、ほうれん草に必要な成分が既に含まれており施肥量などもパッケージに書かれているので、初心者の方にもおすすめです。「サンアンドホープ ネギ・レタス・ほうれん草の肥料」「大和 白菜・キャベツ・ホウレンソウの肥料」などがあります。
ハイポネックスジャパン いろいろな野菜用粒状肥料
ハイポネックスから販売されているアミノ酸入りの肥料です。有機と化成(肥効機関の異なる4種類)の組合せで、すぐに効き始め安定した効果が約1〜2ヶ月間持続します。アミノ酸も含まれているので、根張りがよくなったり品質が向上します。元肥・追肥どちらでも使用することができるので、家庭菜園やプランター栽培などでも気軽に使用することができる肥料です。
マイガーデン 花・野菜用肥料
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、粒状の様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができる肥料です。ほうれん草には、「マイガーデン花・野菜用」を使うことができます。肥料成分が樹脂コーティングされていて、生育に合わせて溶け出し根が肥料にあたっても、肥料焼けしないので安心して使うことができます。
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。液体肥料を使う場合は、本葉が5~6枚になり1本立ちしたら、2週間に1度水やり代わりに与えます。住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがほうれん草に使えます。
ほうれん草の肥料の与え方
ほうれん草は、寒冷地が原産のため寒さには強いですが、25℃以上の暑さには耐えられないため、夏を外して栽培する春まき栽培か、秋まき栽培で育てることができます。
ほうれん草は、栽培期間が短いため肥料は元肥だけで、追肥は行いません。冬まきの場合やプランター栽培の場合は、本葉が3枚~4枚のころに間引き後に、少量追肥してもよいでしょう。
地植えの場合
畑などの地植えの場合は、土づくりが大切です。また酸性土に弱いのでその対応も必要です。堆肥と石灰を一緒にまくと堆肥に含まれている窒素がアンモニアとして逃げてしまうので、1週間ほどあけましょう。また石灰をまいてからphの数値に変化がでるまで1週間から10日ほどかかるので、種まきはそれから行うとよいでしょう。
- 牛糞などの堆肥を、1㎡あたり1kg程度をまいてよく施します。
- 堆肥を撒いてから1週間ほどたってから、苦土石灰を1㎡あたり150gと元肥として緩効性肥料を施肥し、土とよく混ぜて耕してから畝を立てます。
- 2から10日ほどたってから、種をまきます。
鉢植え・プランター
鉢植えや、プランターなどで育てる場合は、市販の元肥入りの野菜の培養土などが便利です。自分で配合する場合は、赤玉土6.5腐葉土2.5、バーミキュライト1の配合します。そこに苦土石灰を用土1ℓ当たり3gほど混ぜます。自分で配合した場合や、元肥が入っていない場合は、緩効性肥料を施します。
プランター栽培の場合は、水やりなどで肥料分が流れ出てしまうので、生育をみて、本葉が3枚~4枚のころに液肥を1度追肥します。
ほうれん草の肥料の過不足について
肥料は、与えれば与えるほどよく育つというわけではありません。特にほうれん草は、生育の後半に窒素が効きすぎると、シュウ酸や硝酸塩といった成分がふえ、えぐみや渋みがでて味に影響がでます。緑色が濃い場合は肥料が多すぎる可能性もあります。
またほうれん草は育てていると葉が黄色く変色したり、生長が遅い場合は肥料が不足している場合もあります。ただしほうれん草は、病気や害虫などによっても葉が黄色くなることもありますので、病害虫にかかっていないか確認してから、追肥をするとよいでしょう。