吸肥力が高いカボチャの肥料はどのような肥料をいつ与えればよいのでしょうか。この記事ではカボチャの肥料について、肥料時期やおすすめの肥料、与え方についてわかりやすく説明します。
カボチャ栽培での肥料の与え方のポイント
カボチャ肥料の与え方のポイントは、元肥は控えめに施し、実がついてから追肥をしっかり行うことです。
カボチャは、つる性のため生育初期に肥料が効きすぎると、ツルや葉がのびすぎて花や実がつきにくくなる「つるボケ」がおきやすくなります。
またカボチャは吸肥力が強いので、元肥は控えめにして実がついてからの追肥で実を大きく育てます。
カボチャの肥料の与え方
肥料時期
カボチャは春に種をまいて夏に収穫します。
肥料の時期は、苗の植えつけ2週間前までに元肥を施し、追肥は一番果がこぶし大になった時と、そこから2週間ほどたって2番果か3番果がついたころの2回行います。
元肥(苗の植え付け)
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。
カボチャの元肥は、畑などの地植えでは、植え付けの2週間ほどまで施肥しておきます。
土を直径40㎝、深さ30㎝ほど掘り起こして、底に堆肥と緩効性肥料をいれ、その上に掘り起こした土をいれ高さ10㎝~20㎝ほどにして、鞍築(くらつき)をつくっておきます。株間は70㎝ほどとるとよいでしょう。
プランターで育てる場合は、元肥入りの野菜の培養土を使うのが便利です。
追肥
追肥は、2回行います。
1回目は、一番最初についた一番果がこぶし大ほどの大きさになってから、2回目は2~3番果が着果してから行います。速効性の化成肥料を畝の肩もしくはつる先に、ところどころにばらまきます。
土壌と肥料について
かぼちゃに限らず、野菜づくりには土づくりが大切です。水はけと通気性がよく水持ちのよい土が野菜づくりには必須です。そのためには、堆肥を土に入れてよく耕して土を団粒構造にします。
堆肥とは、鳥や豚・牛などの家畜のふんや、わらや落ち葉などの有機物を堆積して発酵させたもので、腐葉土も堆肥です。堆肥で土づくりをしっかり行い、さらに元肥を施し足りない肥料分を補います。堆肥はやせ地などでは土壌改良効果の高い牛糞堆肥や馬糞堆肥がおすすめです。
土壌酸度が高い場合には、元肥のさらに1週間前に、苦土石灰などで酸度調整しておきます。カボチャの適正pHは、6.0~6.5です
肥料が効きすぎると
元肥の量が多かったり、前作の肥料が残っていたりすると肥料が効きすぎて、ツルや茎葉がのびすぎる「つるぼけ」がおきます。またカボチャは先に雄花が咲いてから株が充実してくると、雌花咲きます。
肥料を与えすぎていると、雄花がなかなか咲かないという現象も起きるので注意しましょう。受粉は通常ハチが自然に行いますが、確実に受粉させるなら人工交配させます。
カボチャにおすすめの肥料
有機肥料
元肥には、有機肥料がおすすめです。カボチャは元肥が多肥になると葉に栄養が行き過ぎて、よい実がつきません。有機肥料はゆっくり効果が出る緩効性肥料で、肥料やけなどのリスクも軽減します。しかし有機肥料は未熟なものは、分解にともなってアンモニアガスが発生し、植物の生育障害を引き起こすことがあるため使い方には注意が必要です。
米ぬか
米ぬかは、精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用するものです。リン酸が多く含まれている、緩効性のリン酸肥料です。糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
米ぬかは、精米するときに玄米の表面が削られて粉状になったものを指します。コイン精米機やJAのライスセンターでもらえることもありますし、資材として販売されていることもあります。そのまま肥料として使うこともできますが、ぼかし肥料の原材料として使用するのが一般的かと思います。
油かす(油粕)
油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。肥料分は製品によってことなりますが、リン酸やカリウムが不足する場合もあるため他のリン酸肥料・カリウム肥料が必要な場合もあります。
鶏ふん
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。同じ堆肥として牛ふんが比較されることがありますが、成分が異なるとともに、牛ふんは土壌改良の目的でも利用される点が異なります。
鶏ふんは堆肥として使うこともあります。堆肥として鶏ふんを使った場合は、牛糞を使った場合の同量の化成肥料を元肥として施肥すると肥料の上げすぎになるので注意しましょう。
有機100%肥料
有機肥料は、肥料成分などの調整や使い方が難しそうと思われるかたには、市販の有機100%の野菜の肥料やぼかし肥料もおすすめです。
主に、窒素は葉や茎、リン酸は花や果実(実)、カリウムは根の生長をサポートします。
化成肥料
固形肥料
元肥には有機肥料がおすすめですが、プランターなどでベランダで育てる人には臭いや虫が気になる人もいるでしょう。その場合は化成肥料を使いましょう。また実がついた後の追肥にはすぐ効く化成肥料がおすすめです。
化成肥料は、不足している栄養素を補うために行うため、土によって与える肥料は異なりますが、家庭菜園などでは、元肥にはN-P-K=8-8-8など窒素とリン酸・カリウムが同量含まれている肥料などがよいでしょう。追肥にも使えます。追肥には、NK化成肥料など窒素とカリのみを含む肥料もおすすめです。
野菜用の肥料
化成肥料は速効性の肥料がほとんどですが、肥料メーカーから販売されている野菜用の肥料は、ゆっくり効く緩効性の肥料分とすぐ効く肥料が配合されているため、使いやすい肥料です。ホームセンターなどでも手軽に手にいれることができます。ハイポネックスジャパンの「「Plantia」花と野菜と果実の肥料」や「マイガーデンベジフル」などがあります。
液体肥料
肥料不足の場合やプランター栽培には追肥として液体肥料をつかってもよいでしょう。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。住友化学園芸の「マイガーデン液体肥料」やハイポネックスジャパンの「野菜の液肥」などがあります。
かぼちゃの栽培について
タネまき(育苗)
カボチャは、タネまきから植えつけまでの育苗期間は約1か月ほど。畑などに地植えもできますが、ポットにタネをまいて育てるのがおすすめ。カボチャの発芽適温は25℃~28℃、適期は4月から5月初旬ごろです。
肥料は市販の種まき用土をつかえば、不要です。
ポットに市販の種まき用培土をいれ、タネを2~3粒まきます。双葉から本葉1枚ごろに間引きして一番よい苗を残して1本にします。本葉が3枚から4枚になれば植え付けの時期です。
カボチャのプランター栽培
カボチャは畑だけでなくプランター栽培も可能です。育苗についても詳しく説明していますので栽培については、こちらも参考にしてください。