赤色や黄色の小さな実をつけるラズベリーは、病害虫にもつよく育てやすい果樹で、庭植えだけでなく鉢植えでも甘酸っぱい果実を収穫することができます。
花も実もかわいらしいラズベリーですが肥料はいつ、どのように与えたらよいのでしょうか。ここではラズベリーの肥料の与え方の基本と、おすすめの肥料についてわかりやすく説明します。
ラズベリーの基礎知識
肥料の話をするまえに、ラズベリーについて知っておきましょう。植物の栽培をするうえで、その植物の特徴を知っておくことは大切です。自生地や生育期などを知ればその植物がどのような環境で育てると、枯れずに元気に育つのかわかってきます。
学名 | Rubus idaeus,Rubus occidentalis |
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属名 | バラ科キイチゴ属 |
原産地 | 北アメリカ、ヨーロッパ |
樹高・草丈 | 1~1.5m |
耐寒性等 | 耐寒性:強い 耐暑性:強い |
花言葉 | 愛情」「謙遜」「羨望」「深い後悔」 |
ラズベリーはバラ科の落葉樹で、キイチゴとも呼ばれ日本にも多くの品種が自生しています。春に花を咲かせ6月~7月に収穫する一季なり性の品種の他、夏に花を咲かせ10月~11月にも収穫できる二季なり性の品種もあります。
暑さ寒さにも強く、一株でも結実するので初心者の人にも育てやすい果樹です。地植えや鉢植えで育てることができますが、涼しい気候を好むため、暖地では鉢植えのほうが育てやすいでしょう。果実は赤、黒、紫、黄色があります。果実は生で食べるほかジャムなどにしても食べられます。
ラズベリーに肥料を与える時期とやり方
それではラズベリーの肥料の与え方について、地植えと鉢植えの基本的なやり方について説明します。
地植え
植え付け(元肥)
植え付けは暖地では11月~12月、寒冷地では3月頃が適期です。植えつけ時には、腐葉土や牛ふんなどの堆肥と一緒に有機肥料を元肥として施します。
- 幅40㎝、深さ30cm程度の植穴を掘ります。
- 堆肥を庭土を3:7の割合で混ぜ、さらに緩効性肥料を混ぜます。
- 2の土を植穴に2/3ほど埋め戻し、苗を入れ残りの土で植えつけます。
寒肥
寒肥とは、冬の休眠期の庭木や果樹に与える肥料で、12月下旬~2月頃に行います。元肥(もとひ・もとごえ)ともいわれることもあります。樹木が目を覚ます前に寒肥を与えることにより、元気な新芽がでてきます。
1年のうちで最も大切な肥料で、寒肥がしっかり施肥できれば追肥が不要なこともあります。またこの時期に有機肥料を施すと、有機質の肥料は冬の間に分解され、春の芽吹きのころにゆっくりと効果を発揮します。肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施し、春先の成長に備えて、土に栄養分を与えるとともに、土壌改良の効果も期待できます。緩効性肥料とは別に、11月~12月に堆肥などを2年に1度与えるとよいでしょう。
肥料は、枝先から下の部分を円状に溝を掘り、肥料をそこに蒔いて土を混ぜます。
追肥
ラズベリーは、植えつけ時の元肥や2月の寒肥でしっかり肥料を与えていれば不要です。しかし土壌や天候などにより肥料が不足することもあるため、苗の様子をみて葉が黄色くなっている、樹勢が弱いときには速効性の化成肥料や液肥を施すとよいでしょう。
鉢植え
鉢植えの場合は、肥料は植え付け時の元肥の他に、追肥をして育てます。鉢植えは庭植えに比べ水やりなどで肥料が流れやすいため追肥をして育てます。植えつけの土は、元肥入りの果樹用の培養土が便利です。自分で配合する場合は、元肥として緩効性肥料を施しましょう。
追肥は、5月と9月頃に緩効性肥料を施しましょう。鉢植えなら置き肥も便利です。植え替えしない場合は、2月下旬~3月にも緩効性肥料を与えましょう。
ラズベリーにおすすめの肥料
南天(ナンテン)には元肥、追肥ともゆっくり効果のでる「緩効性肥料」がおすすめです。地植えでは、有機質肥料や堆肥などを使うと、土壌微生物の活性が高まり、排出性・保水性・通気性のよい土壌を作ることができるので、冬に施肥する寒肥には有機肥料がおすすめです。
有機肥料
庭植えの元肥や寒肥には土壌改良効果もある有機肥料がおすすめです。有機肥料には油粕、米ぬか、鶏糞などがありますが、未発酵の肥料は、根にあたると肥料やけするリスクや臭いも発生するため、家庭では、発酵油かす肥料などが便利です。
油かす肥料は、窒素分が多いくリンやカリが少ないものがあるので、骨粉や魚粉などが配合されている肥料を使いましょう。
果樹の肥料
果樹用の肥料は、花や実がたくさんつくように配合された肥料で、ラズベリーにも使えます。果実の味が良くなる有機配合肥料が多く、元肥や追肥にも使える肥料なので初心者の人にも使いやすい肥料です。また鉢植えには、「ハイポネックス 錠剤肥料 かんきつ・果樹用」は、鉢に置くだけで水やり時に肥料が溶け出すので、追肥に便利な肥料です。
ハイポネックス マグァンプK
ベランダなどで育てる場合、有機肥料は臭いが気になるという人には、ハイポネックスの元肥の定番肥料の粒状肥料のマグァンプKがおすすめ。「チッソ・リンサン・カリ」植物の生育に必要な三要素は勿論、マグネシウムやアンモニウムなどの二次要素・微量要素もしっかりと配合されていています。植えつけ時の元肥には大粒がおすすめです。
液体肥料
液体肥料は、鉢植えの追肥として水やり代わりに与えたり、葉色が薄くなってきた場合などに速効性のある肥料としておすすめです。液体肥料はベジフル液肥や花工場などが使えます
肥料の基礎知識
そもそも肥料ってなに?
肥料の定義は肥料取締法で決まっています。肥料は土壌に科学的変化をもたらし、植物が健全に育つように土地に施されるものを言います。つまり、農作物(植物)の健全な生育に欠かせない栄養を与えるものです。
農作物(植物)が育つためには窒素やリン酸、カリウムの三大要素のほか、微量要素などが必要です。大雑把にはなりますが、窒素(N)は葉肥(はごえ)、リン酸(P)は実肥(みごえ)、カリ(K)は根肥(ねごえ)と呼ばれています。肥料の箱や袋などに記載されているN-P-Kの表示はこれらを指しています。
植物は土に根を張り、それらの養分を吸い上げて成長しています。そのため、土壌中の栄養分は植物が吸い上げることにより、どんどん乏しくなっていきます。それを補うために土壌に肥料を施すことを「施肥」と言います。
肥料を与えるタイミング 元肥と追肥
用土に肥料を与えるタイミングによって、肥料の呼び名が変わります。具体的には、「元肥」と「追肥」があります。
植物の苗や苗木を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。
異なる呼び方として「基肥(きひ)」「原肥(げんぴ)」などと呼ばれる場合もあります。
苗の植え付け後(定植後)、作物が生長していくときに、土壌の肥料切れが起こらないように追加で施す肥料を「追肥(ついひ・おいごえ)」と言います。追肥を施す時期が遅れたりすると、植物の生育期に葉の色が薄くなったり、花が小さくなったりして最悪の場合、枯れてしまいます。特に窒素、カリウムは消費されるのが早いので適切な時期に追肥が必要です。
肥料の種類
作物・植物の栽培における肥料の種類は、大きく以下のとおりに分けることができます。
肥料はその物質の有機、無機によって、「有機肥料(有機質肥料)」「化学肥料(≒無機質肥料、化成肥料は化学肥料に属します)」の2つに分けることができ、形状によって、「固形肥料」と「液体肥料(液肥)」があります。
「化学肥料」とは、化学的に合成しあるいは天然産の原料を化学的に加工して作った肥料です。「有機肥料(有機質肥料)」とは、「油粕や米ぬか、腐葉土など植物性の有機物」「鶏糞(鶏ふん)、牛糞(牛ふん)、馬糞や魚粉、骨粉などの動物性の有機物」を原料にして作られたものです。堆肥も、家畜の糞や落ち葉などの有機物を微生物によって分解・発酵したもので、有機肥料となります。有機肥料は、用土(培土)を養分を補うだけではなく、物理性の改善(ふかふかにする)にも役立ちます。
大きな植木鉢で用土を使う場合は、植え付け時や植え替え時に緩効性の化学肥料や臭いの少ない有機肥料を元肥として十分に施し、その後生育を見ながら液体もしくは固形の化成肥料を追肥として施していくと良いでしょう。
防ぎたい!肥料にまつわるトラブルあれこれ
実つきが悪いのは肥料のせい?
ラズベリーの実つきが悪いのは肥料のせいとは限りません。ラズベリーはそれほど肥料を必要としないので、多く上げすぎると肥料やけなどを起こすこともあります。
ラズベリーは梅雨の時期に実がなるため、雨の影響を受けやすくなります。花の時期に雨が降ると、花が落ちたり受粉がうまくいかないこともあります。梅雨時期には雨除け対策をするとよいでしょう。また日照不足や根詰まり、剪定を間違えると実つきが悪くなることもあります。株の様子をみて判断しましょう。
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
まとめ
ラズベリーの果実は、生のものは傷みやすくスーパーなどではあまり見かけません。ラズベリーはジャムなどにもされますが、甘酸っぱい生の果実を食べれるのは自分で育てた人の特権です。品種も多く、果実の味もさまざまなのでぜひお気に入りの品種を見つけて、ラズベリーを育ててみましょう。果実だけでなく、花も可愛らしいので観葉植物としても楽しめますよ。
農家webには、このほかにも観葉植物や花、野菜などの肥料の与え方の記事が多くあります。
検索から育てたい植物を探すこともできますよ。