ラディッシュは栽培期間が短く、初心者でも育てやすい野菜です。ここではラディッシュにはどのような肥料をいつ与えたらよいのか、栽培方法(地植え、プランター栽培、水耕栽培)別にわかりやすく説明します。
ラディッシュに肥料は必要か
ラディッシュは20日大根とも呼ばれるように、栽培期間が短いため肥料はあまり必要ありません。
野菜を育てていた肥沃な畑などであれば、前作の肥料分が残っているため肥料がなくとも育つこともあります。しかし基本的には、種まきか苗の植え付け時に、元肥として緩効性肥料を与えて育てます。
緩効性肥料をしっかり与えていれば、収穫まで追肥は不要でしょう。生育をみて草勢が弱いようなら追肥をしましょう。
ラディッシュに適した肥料とは
ラディッシュ栽培には、窒素、リン酸、カリウムの3大栄養素が必要です。元肥にはゆっくり効果のでる緩効性肥料が適しています。3要素がバランスよく入った肥料がよいでしょう。市販の野菜用の肥料はゆっくりと効果がでる有機入りの肥料も多く、臭いも少ないので使いやすい肥料です。
生育不要で追肥をする場合には、速効性の化成肥料や液体肥料が適しています。
ラディッシュにおすすめの肥料
ここでは、ラディッシュにおすすめの肥料の特徴や製品などを紹介します。育てる場所や環境によってそれぞれにあった肥料を選びましょう。
有機肥料(有機質肥料)
ラディッシュは栽培期間が短いので、有機肥料にこだわる必要はありませんが、できれば堆肥は牛糞など土壌効果の高いものを使いましょう。有機肥料は、鶏ふんや油かす、米ぬかなどが使えます。油かすだけではリン酸とカリ分が足りないので、リン酸は過りん酸石灰や骨粉、カリは草木灰、硫酸カリなどを併用するとよいでしょう。
有機肥料は完熟のものを使い、米ぬかなどは生のものは使わず、ぼかし肥料の原料として使うのがおすすめです。ぼかし肥料や有機100%肥料などは、初心者の人でも使いやすい肥料です。
化成肥料
化成肥料を使う場合には、化成肥料8・8・8などの窒素・リン酸・カリウムが均等に入った肥料は、ほとんどの野菜に使えます。化成肥料は基本的に速効性の肥料が多く元肥や追肥にも使えます。肥料の後ろの数値は、肥料分がどれぐらい肥料が入っているかを表しています。8・8・8は肥料100gの中に肥料分が各8gづつ入っています。初心者の人には肥料成分がそれほど高くないため、肥料の施しによる失敗が少ないのでおすすめです。
畑では有機入りの化成肥料もおすすめです。
野菜の肥料
ホームセンターなどで簡単に手にはいる肥料メーカーが野菜用に作った、野菜用の肥料でも育てることができます。
プランターの元肥としては、肥料が配合されていない土を使う場合には、「マグアンプK中粒」は緩効性肥料としておすすめです。またその他ハイポネックスジャパンの「今日から野菜 野菜の肥料」や、住友化学園芸の「マイガーデンベジフル」は有機配合されており元肥や追肥にも使えます。
液体肥料
プランター栽培や、肥料不足などには液体肥料(液肥)も使うことができます。液体肥料は、「ハイポネックスの野菜の液肥」や「マイガーデン液肥」などがよいでしょう。
ラディッシュの肥料時期と与え方
ラディッシュの発芽温度は15℃~25℃。露地栽培では春まきもしくは秋まきが主流ですが、栽培期間は種まきから30日~40日前後で収穫できるため、真夏や真冬を除いてほぼ一年中栽培が可能です。
肥料は地植えでは、種まきのときに施す元肥をしっかり与えていれば、追肥は不要です。プランターは水やりなどで肥料が流れやすいので、生育を見て、植えつけから20日ほどたったら液体肥料を2週間に1度ほど追肥するとよいでしょう。水耕栽培では、土から栄養を取れないため、肥料を含んだ水(培養液)で育てます。
地植え
苗を植え付け(定植する)前に予め土壌へ施しておく肥料を「元肥(もとひ・もとごえ)」と言います。元肥は、初期生育を助ける働きがあり、肥料効果が長く続く緩効性や遅効性の肥料を施すのが一般的です。畑の元肥は土づくりと一緒に行いましょう。
元肥
元肥の方法は、全面施肥と溝施肥がありますが、ラディッシュは畑全体にまんべんなく肥料を与えることを全面施肥(全層施肥)で行います。有機肥料を使う場合は2週間前、化成肥料を使う場合は植え付けの1週間ほど前までに行います。
- 栽培するスペース(畝)を決め、土壌phの調整が必要な場合は苦土石灰1㎡あたり100gまいておきます。
- 1から2週間~3週間たったら、堆肥(牛糞など)1㎡あたり1kgを畝全体にまきます。
- クワで堆肥を土にすきこむようによく混ぜます
- さらに有機肥料や緩効性の化成肥料を1㎡あたり春まきは100g、秋まきは150gを畝全体に撒いて、クワでよく混ぜます。
- 4から7日~10日ほどたってから、種をまきます。
土づくり
元肥は、土づくりと一緒に行いましょう。ラディッシュ栽培に適した土壌ph5.5〜6.5です。日本の土壌は雨や肥料などにより酸性に傾いていることが多いので、酸性に傾いている土壌は石灰などを使い酸度調整をする必要があります。
土の酸度が高いようなら、苦土石灰で調整します。土壌酸度は、市販の土壌酸度計や土壌酸度測定液をつかって図ります。家庭菜園をする人は一つもっているとよいでしょう。
堆肥には、動物の糞をつかった牛糞、馬糞、豚糞、鶏糞、植物性のバーク堆肥、腐葉土などがあります。土壌の改良には牛糞、馬糞、パーク堆肥、腐葉土などがよいでしょう。鶏糞は肥料分が多くふくまれていますが、土壌改良効果は少ないです。鶏糞は肥料としてつかうのがおすすめです。
未発酵のものはガスなどがでて作物に影響を及ぼすことがあるので、完熟堆肥を使うのが安心です。未発酵のものをつかうときは植え付けの1か月前ほどに施しておくとよいでしょう。
プランター・鉢植え
ラディッシュのプランター栽培では、肥料は元肥と追肥を行います。元肥とは植え付け時に施す肥料で、プランターなどでは、元肥入りの野菜の培養土などが便利です。肥料がはいっていない土や、自分で配合した場合は、マグアンプKや野菜の肥料などの緩効性肥料を土に混ぜて使います。
栽培期間が短く、用土の乾燥に弱いラディッシュには液体肥料がおすすめ。液体肥料は野菜用のものを使うとよいでしょう。液体肥料を使う場合は、2回目の間引きの後、2週間に1度水やり代わりに与えます。
プランターの種まきの方法や間引きのタイミングなどは、こちらの記事を参考にしてください。
水耕栽培
ラディッシュは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する水耕栽培でも育てることができます。タネまきから始める場合は、根がでるまでは肥料は使いません。発芽から1〜2週間程度経ったら、肥料を薄く溶かして培養液で育て始め、その後は培養液を継ぎ足しながら育てます。
水耕栽培用の肥料は普通の肥料とは異なり、カリ成分が高めに設定されていたり、二次要素(多量要素)や微量要素も含まれているなど、普通の肥料とは組成が異なります。水耕栽培は根が直接栄養素を吸い上げる形になりますので、培養液の組成や状態がとても重要となります。必ず水耕栽培用の肥料を使用しましょう。
ラディッシュの水耕栽培や肥料についてはこちらで詳しく説明しています。
その他 ラディッシュの肥料で気をつけるポイント
育てる時期で変わる肥料の量
ラディッシュはの作型は、「春まき栽培」「秋まき栽培」が地植えでは一般的ですが、育てる時期によって肥料の量は変わります。
ラディッシュは高温期に成長が早まって肥料を多く吸収しやすくなります。この頃にチッソを与えすぎると、葉が大きくなりすぎて、根が成長しなくなったり、空洞病や、軟腐病などの病気にもかかりやすくなります。秋まき栽培を基準とすると、春まき栽培の場合は肥料を少なめに7割程度で大丈夫でしょう。
肥料は絶対混ぜないで!
よくある失敗として、いろいろな肥料を混ぜて高い栄養素の肥料を作り与えようとしてしまうことが挙げられます。肥料を混ぜると化学反応を起こし、植物自体に被害が出るだけでなく、有害物質・ガスが発生したりと、大きな事故につながる危険性があります。くれぐれも、肥料同士を原液で混ぜることはしないでください。
まとめ
ラディッシュは、見た目もかわいらしくサラダの彩りだけでなく、浅漬けもおいしい野菜です。収穫が遅れるとすが入ることもあるので早めに収穫しましょう。肥料の塊などがあると、形がゆがんでしまったり裂根などの原因にもなるので、よく耕しましょう。また裂根は株間が狭くても起こるので、早めの間引きをしましょう。
プランターや土をつかわない水耕栽培でも簡単に育てられるラディッシュ。小さな場所でも栽培できるので畑の隙間でも育てられます。ぜひかわいらしいラディッシュを育ててみましょう。
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