サッカー場などの競技場から公園、ご家庭の庭まで、芝生はさまざまなところに植えられています。芝生の緑色は、心安らぐ空間を与えてくれます。
ご家庭の庭で芝生を栽培している方は、「管理が面倒になってきた」「芝生の管理が辛くてやめたい」と思ったことがあるのではないでしょうか?
この記事では、芝生との付き合い方(向き合い方)、もし芝生をやめるということになったときの対処方法をご紹介します。
本当に芝生をやめたいですか?楽な芝生との付き合い方
最初は楽しかった芝生の管理も時が経つにつれて、管理作業が苦痛になってくることもあると思います。ましてや芝生の状態があまり良くない場合は余計に辛くなるものです。
でも、少し立ち止まって考えてみてください。芝生のことが嫌いでしょうか?芝生の管理が嫌いでしょうか?芝生の管理作業が原因で芝生をやめたいと思っているのであれば、付き合い方を少し変えてみませんか?
芝生の管理作業はもちろんこまめにやることが必要ですし、そのほうが良い芝生を維持しやすいということもあります。しかし、自分の家の庭の場合、ゴルフ場のような綺麗さは要らないでしょう。何事もほどほどが重要です。心に余裕ができたとき、手が空いたときに少しずつ始めてみませんか?下記に私なりのネガティブな要素に対する考え方を挙げておきます。
ネガティブ | 考え方 |
---|---|
手で芝刈りが大変… | 芝刈り機を買いましょう。今だと安いもので1万円以内で変えるものもあります。 |
手動芝刈り機でも芝刈りが大変… | エンジン式または電動式の芝刈り機を買いましょう。数万円で購入できます。 |
雑草抜きが疲れる… | 広範囲に雑草が生える場合は芝生用の除草剤を使いましょう。 |
芝生の一部が枯れてしまった… | 複数の原因が考えられますが、一部であれば張り替えをするだけでも良いでしょう。 |
完璧主義で疲れてしまった… | そこまで綺麗にする必要があるか、もう一度考え直してみましょう。年に数回専門の業者を呼んで整えてもらうのも良いでしょう。 |
芝以外のものを育ててみたい… | 一部の芝を剥がして花壇を作って栽培するのはいかがでしょうか。 |
芝生をやめたい理由は?やめる前にできる対処方法
「芝生をやめたい」と思うときには理由があるはずです。もちろん、体調などによってやむを得ず管理ができなくなる場合もありますが、考え方や道具を使うことによって解決できる場合もあります。
やめたい理由別にやめる前に考えられる対処方法を紹介しますので参考にしてください。
定期的に必要な芝刈りが面倒になった
芝生栽培には必ず定期的な芝刈りが必要となってきます。本来であれば、生育期には月1回以上、生育盛期には月2回〜4回程度芝刈りが必要となります。
狭い面積で月1回程度であれば芝刈りハサミでも刈り取ることはできるかもしれませんが、基本的には手動芝刈り機を用意して芝刈りをすることをおすすめします。
正直、手動芝刈り機でも面積によっては芝刈りが苦痛になってきます。そのようなときには電動式もしくはエンジン式の芝刈り機を購入しましょう。最初は痛い出費と感じてしまうかもしれませんが、それに見合うくらいの楽さを手に入れることができるはずです。
芝生の高さが伸びづらく草丈が低い品種に張り替えるというのも一つの手です。いまは、芝生の品種改良も進み芝生の高さが伸びづらい品種も市販で手に入れられるようになっています。代表的なものとして高麗芝(コウライシバ)の改良品種であるTM9(ティーエムナイン)が有名です。
芝の管理全般が面倒、もしくはできなくなった
芝の管理、手入れ作業は、芝刈りだけではありません。芝張り、芝の張り替え、水やり、施肥、サッチング(サッチ取り)、エアレーション、目土入れなど、さまざまな作業が発生します。
すべてを正確にこなすというのは正直なところかなり大変です。先述したとおり、どこまで手をかけて綺麗にやるかをもう一度考えてみてください。作業によっては、数年やらなくても芝生自体は問題なく生長する場合もあります。「それでも大変だなぁ…」と感じる方は、芝生を剥がして砂利を入れたり、人工芝に張り替えたりするのも一つの手でしょう。
ちなみに生育盛期(夏場)に毎日発生するような水やり作業は手間もかかりますし、旅行に行きづらくなったりもするので自動化することをおすすめします。いまは自動潅水のための装置が安く手に入るので、ご自宅の庭でも簡単に設置、施工ができます。
雑草がたくさん発生した
雑草を抜いても抜いても生えてきて、「もうやめたい…」と思われた方も多いのではないでしょうか?芝生に生える雑草は厄介なものも多く適切な対処をしないと骨折り損のくたびれ儲けとなってしまいます。
一番ラクに除草する方法は、芝生用の除草剤(芝生に適用のある除草剤)を使用することです。正直なところ手で抜いても、地中に根塊や根茎が残っているかぎり雑草は蘇り生い茂ります。除草剤を使うことによって、雑草を根絶するほうが遥かにラクで効果が出やすいです。
除草剤と聞くと危険なイメージがあるかと思いますが、用法・用量を守れば芝生にも人体にも影響を与えるリスクが少ないです。
病害虫がたくさん発生した
芝生を栽培していると、さまざまな病気、害虫が発生するリスクがあります。たしかに病気や害虫が多発すると嫌な気持ちになりますが対処方法はあります。
一番ラクで効果が出やすい方法としては、殺虫剤、殺菌剤を散布することです。芝生には下記のような病気、害虫が発生しますが、適合した農薬を散布することで対処できます。
また、芝生に使われる芝草は比較的強い植物なので、病気の場合は水やりをしっかりやるだけでも回復する場合もあります。気長に対処することも重要です。
芝生が枯れ始めた
芝生が茶色く枯れ始めることもあるでしょう。見た目も悪くなりますし、気分も落ち込みます。ですが、枯れる原因は「管理ができていないから」だけではありません。時期的なものやただ単に一時的な水不足によって枯れることもあります。
芝生の管理を諦める前にやれることをやってみるのも一つの手です。
他の植物を植えたい
芝生のほかに植物を植えたいという気持ちが出てくることもあるでしょう。そのようなときには、すべての芝生を剥がしてしまうのではなく、一部を剥がしてレンガなどで花壇を作り、そこで花などの植物を育てるのも一つの手です。
また球根植物は、芝が休眠期に入る冬に地上部を咲かせるものが多いので、芝生との相性はバッチリです。
芝生をやめるときの選択肢とその選び方
それでも芝生をやめたいという方、芝生をやめるときにはまず2つの選択肢があります。
時間や労力、費用などを考えて適切な方法を選んでください。以下に簡単な比較表を掲載しますので、参考にしてください。
項目 | 業者に頼む場合 | 自分でやる場合 |
---|---|---|
時間 | 比較的早く終わる。施主は基本、打ち合わせなどの時間のみかかる。 | 全て自分でやるので時間がかかる。 |
労力 | 施主自身はかからない。レンガや砂利、コンクリートの購入なども全て含まれているのでその運搬などの労力もかからない。 | 全て自分でやるのでかなり大変。 |
費用 | 専門店や園芸店(プロ)に頼むことになるので高い。 | 全て自分でやれば材料費、ゴミ処理費用以外はかからない。 |
綺麗さ | 専門店や園芸店(プロ)の仕事なので綺麗。 | どこまで時間と費用、労力をかけられるかに寄るものが大きい。 |
また、芝をやめたあとの土地をどうするかについても複数の選択肢があります。例えば、別の植物(グランドカバープランツ)や人工芝を敷く、土間コンクリート、砂利・レンガを敷き詰めるなど施工方法もさまざまです。芝生をやめるときには、次のことも考えながら実施すると良いでしょう。下記に代表的な施工例を掲載しておきますので、参考にしてください。
施工方法 | DIY難易度 | 費用(目安) |
---|---|---|
人工芝を張る | 難しい | 高い |
砂利敷き | 普通 | 普通 |
レンガ敷き | 普通 | 高い |
タイル敷き | 普通 | 高い |
グランドカバープランツ | 易しい | 安い |
業者に頼んで芝生をやめる方法
業者に頼む場合は、園芸・ガーデニングの専門店・施工店やリフォーム店などに依頼することになります。まずは依頼を申し込んで、見積を出してもらいましょう。見積から完成までの一連の流れは下記のようになると思います(当てはまらないケースもあります)。
- 手順1現地調査
まずは、施工現場の現地調査が必要です。どの程度手入れされている芝生なのか、施工箇所の広さや撤去するものがどのくらいあるかなどをチェックされます。
そのときに施主の意向などのヒアリングもされるでしょう。そのときに「人工芝を張りたい」「砂利を敷きたい」「レンガを敷きたい」「違う植物を植えたい」などの要望を伝えましょう。
- 手順2見積もりの確認と比較
業者から見積が提出されるので確認しましょう。見積は、複数の業者から提出してもらうと比較もできて良いです。価格ばかりに目が行きがちですが、施工内容などをしっかりと確認するようにしてください。
材料費だけではなく、芝生や庭木の処理費用なども含まれているかも確認してください。
- 手順3着工・施工開始
発注をかけたら、施工が開始されます。
- 手順4完成
完成したら施主が確認・検収して施工が完了します。業者によって異なりますが、大きい金額の施工の場合は着工前に前金を半分入金し、完成後に残りを払うことが多いです。金額が少ない場合は全額一括で後払いになることがほとんどです。
DIY(自分)で芝生をやめる方法
もちろん、DIYで芝生をやめることもできます。まずは、芝生を剥がすもしくは枯らす必要が出てきます。ここでは芝生を撤去するための方法をいくつか紹介します。
芝生をはがす、枯らす方法と手順
芝生をはがす、枯らす方法は大きく3つあります。
- スコップ(シャベル)を使って、根こそぎ剥がす
- 除草剤を使って枯らす
- ビニールシートや防草シートを張って枯らす
スコップ(シャベル)を使って、根こそぎ剥がす
最も一般的で簡単な方法は、スコップ(シャベル)を使って根こそぎ剥がす方法です。体力的にはかなりの重労働となりますが、安全に素早く芝生を撤去することができます。下記に簡単に手順をまとめましたので参考にしてください。
- 剥がしたい芝生の部分に四角く切り込みを入れます。10cm四方など掘り起こしやすいくらいの範囲で切り込みを入れます。
- 切り込みを入れたら、切り込みに沿ってスコップを深く挿し込み、テコの原理を使って掘り起こします。
- 1〜2を繰り返します。
- 掘り起こした芝生は別の場所へ移動させて適切に処分します。
芝生の処分方法は、各自治体によって異なる場合がありますので担当窓口に確認してみてください。芝生を処分する前に下記のことを行なっておくと、処分がしやすくなります。
- 芝生を剥がしたら、日の当たる場所にしばらく放置して乾燥させます。
- 芝生に付いた土が乾いたら、叩いて土を落とします。
- 土や石が落ちたら、ゴミ袋など処分するための袋に入れます。
除草剤を使って枯らす
体力を使わずに芝生を枯らす方法として、除草剤を使う方法があります。普段、芝生に散布する芝生用の除草剤ではなく、芝生も枯れる除草剤を使います。除草剤には「芝生を枯らさずに特定の雑草のみを枯らす」選択性除草剤と「その場所に生育するあらゆる雑草をすべて枯らす」非選択性除草剤がありますが、芝生を枯らすときには非選択性除草剤を使います。
注意しておきたいのは、非選択性除草剤を散布したあともしばらくの間は薬剤の成分が残留するのですぐに植物を植えたりすることはできない点です。芝生を栽培していた土地で植物を育てたい場合には選択しないほうが良い方法です。
ビニールシートや防草シートを張って枯らす
除草剤は使いたくないけどラクに芝生を枯らしたいという方は、防草シートやビニールシートを張ってみてはいかがでしょうか?
芝生も植物なので、太陽光による陽の光と水分、空気がなければ生きられません。それらをビニールシートや防草シートを使って強制的に遮断することで枯らすという手法になります。
ただし、完全に枯らすということも難しく時間もかかるというデメリットがあります。
芝生をはがしたあとのDIY
芝生を剥がしたり枯らしたあとは、防草シートを張って砂利を敷いたり、レンガを敷き詰めたり、異なる植物を植えたり、さまざまな施工方法があります。
ご自身が目指す庭をイメージしながら、材料費・労力を考えてDIYを楽しんでください。