この記事では、硝酸カリウムを肥料として活用する場合の基本と特徴、効果、使用方法について詳しく解説します。
硝酸カリウム肥料とは
硝酸カリウム(硝酸加里、硝酸カリ、KNO3)は、硝酸性窒素とカリウムを含み、複合肥料に分類されます。硝酸加里の公定規格は、硝酸性窒素が9.7%以上、水溶性加里(K2O)が32.5%以上とされています。実際に肥料として販売されているものは、硝酸性窒素が12.5〜13.5%、水溶性加里が43〜46%程度のものが多いです。
分類上、厳密には加里質肥料とは異なりますが、カリウム分を補給するために施用されることが多いことから、農家webでもカリウムに着目して説明します。
硝酸カリウムの成分は、水溶性のカリウムで水に溶けやすく速効性があります。溶け出すカリウムイオンは、作物に吸収されるほか、土壌(土壌コロイド)にもよく吸着、保持されるため、流亡の心配は少ないです。
速効性と聞くと、土壌から流れ出たりすることで、効果がすぐなくなるイメージがあると思います。窒素質肥料については気にする必要がありますが、加里質肥料の場合は異なります。「カリウムイオンは土壌に吸着しやすい」ことを覚えておきましょう。
硝酸カリウムの最大の特長ですが、塩化カリウムや硫酸カリウムなどのように副成分が含まれず、土壌に残留しないことにあります。作物がカリウム、窒素を吸収したあと、土壌に残留成分は残りませんので、生理的中性肥料として分類されます(化学的中性肥料でもあります)。
硝酸カリウム肥料の特徴・効果
硝酸カリウムには、以下の特徴・効果があります。
- 水溶性で溶解性が高く、土壌施用後によく溶け出し作物に吸収されます。速効性の肥料です。速効性ではありますが、カリウムイオンが土壌によく吸着されるため、流亡は少ないです。
- 塩化カリウムや硫酸カリウムなどのように副成分が含まれず、土壌に残留しないことが硝酸カリウムの最大の特長です。土壌pHを下げる(酸性化させる)恐れなどもありません。
- 水に溶けやすいため、主に水耕栽培によく施用されます。葉面散布も可能です。ただし、成分量が高いため、濃度障害には注意が必要です。
硝酸カリウム肥料の使用方法
硝酸カリウムは、畑で施用されることが多いかと思います。水に溶けやすいため、主に水耕栽培(養液栽培)や養液土耕栽培で施用されることが多いです。また、硫酸根など副成分が残留しないので、施設栽培(ハウス栽培)での施用も効果的です。
具体的な施用方法は、下記のとおりです。
- 硝酸カリウムを水に溶かし、養液栽培の溶液として使用する。
- 硝酸カリウムを水に溶かし、培養液(液体肥料)を作成し、水で濃度を薄めながら点滴チューブ、灌水チューブを通して施用する。
- 硝酸カリウムを水に溶かし、葉面散布として使用する。
硝酸カリウム肥料の主な注意点
硝酸カリウムの主な注意点を以下にまとめました。
- 輸送や保管など取り扱いには注意が必要です。
- 肥料やけする可能性があるため、養液栽培、葉面散布の用途で使用する場合には、濃度に注意が必要です。高濃度、過剰施用は避けましょう。
硝酸カリウム肥料の購入場所
家庭菜園等で使用する肥料は、ホームセンター、インターネットなどで購入可能です(但し、購入するハードルはかなり高いです)。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。プロ農家の方は、JAや資材店等に相談すると良いでしょう。