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カリウム肥料

肥料としての塩化カリウムの特徴と効果、使用方法について

カリウム肥料

この記事では、塩化カリウム肥料として活用する場合の基本と特徴、効果、使用方法について詳しく解説します。

塩化カリウム肥料とは

塩化カリウム(塩化カリ、塩化加里、KCl)は、大半が天然のカリ鉱石を原料とする肥料です。塩化カリの公定規格は、水溶性カリ(K2O)成分が50%以上とされていますが、実際に販売されているものは60%のものが多いです。また、水溶性ホウ素0.1%を保証成分としている塩化カリウム肥料もあります。

塩化カリウムの成分は、水溶性のカリウムで水に溶けやすく速効性があります。溶け出すカリウムイオンは、作物に吸収されるほか、土壌(土壌コロイド)にもよく吸着、保持されるため、流亡の心配は少ないです。

編集さん
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速効性と聞くと、土壌から流れ出たりすることで、効果がすぐなくなるイメージがあると思います。窒素質肥料については気にする必要がありますが、加里質肥料の場合は異なります。「カリウムイオンは土壌に吸着しやすい」ことを覚えておきましょう。

副成分には、塩素イオンが含まれています。塩素イオンは、他の塩基成分と溶解性の高い塩を作るため、多量に施用すると土壌中のEC(電気電解度)が高くなります。これが原因で、以下の現象を引き起こすこともありますので、注意が必要です。

  • 濃度障害が発生する
  • 石灰・苦土(マグネシウム)などが土壌から流亡する

塩化カリウムは、大部分の作物に対して施用されます。施用時期も選ばず、基肥(元肥)、追肥のどちらでも使用可能です。

塩化カリウム肥料の特徴・効果

塩化カリウムには、以下の特徴・効果があります。

  • 水溶性で溶解性が高く、土壌施用後によく溶け出し作物に吸収されます。速効性の加里質肥料です。速効性ではありますが、カリウムイオンが土壌によく吸着されるため、流亡は少ないです。
  • 化学的中性であるため、他成分との反応が乏しく、尿素硫安、塩安などを混合してもアルカリ反応によるアンモニアガスが発生しません。
  • リン酸石灰や重過リン酸石灰、燐安などと混合してもリン酸が溶けづらくならないです(難溶化しない)。
  • 副成分として、塩素イオンを含んでいるので施用の時期や作物、施用量には十分注意が必要です。
編集さん
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加里質肥料は、それぞれ一長一短あります。経済性やその土壌の特性に合わせて選択する事が重要でしょう。塩化カリウム肥料を使うときには、その特性に注意が必要です。

塩化カリウム肥料の使用方法、活用方法

水田や畑など、どの環境や作物にも施用することができます。

水稲の場合

塩化カリウムは、硫酸カリウムとは異なり、無硫酸根肥料なので、老朽化水田や湿田に適した肥料です。水田に対して、加里質肥料を施したいときには、基本的には塩化カリウム肥料もしくはケイ酸カリウム肥料を使うことになるでしょう。

塩化カリウム肥料は、主に基肥(元肥)、中間追肥として施用されます。

基肥(元肥)施用の場合は、耕起前に全面的に散布します。

中間追肥施用の場合にも、全面的に散布します。特に下記の水田には、カリウムの補給をすると良いとされています。

  • 倒伏を回避するため、基肥の施用量を控えた水田
  • 一発肥料のみの施用で穂肥分のカリウムが不足している水田
  • 水田から稲わらを持ち出したり、堆肥を入れなかった水田
  • 土壌に含まれるカリウムが流亡していると思われる水田(砂質の水田)
編集さん
編集さん

水稲の放射性セシウム対策として、加里の施用を促進する場合もあります。

カリウムを効かせておくと、植物は放射性物質セシウムに先立ってカリウムを吸収し、結果的にセシウムの吸収を抑えます。水稲でも同様の効果があるようです。→水稲の放射性セシウム対策としてのカリ施用

畑の場合

畑でも使用することができますが、副産物のイオンを含むため作物を選びます。下記の作物を栽培する場合には、品質保持のため、塩化カリウムなど塩素イオンを含む肥料を使わないほうが良いでしょう。

モモに塩化カリウムは使えるか?

モモやブドウなど果樹栽培では、カリウム肥料として硫酸カリウムを用いることが主流でした。しかし、近年では、肥料価格が高騰しているため、硫酸カリウムから塩化カリウムへの置き換えも検討されています。

塩化カリウムは、塩素を含むため果樹には適合しないのではと考えられている節もありましたが、農研機構の研究によると塩化カリウムをモモ栽培で使用しても特に大きな問題は出なかったようです(モモ栽培では硫酸カリウムと同様に塩化カリウムを肥料として利用できる – 農研機構)。

生育期の短い作物では、元肥として施用すれば加里欠乏は起きづらいです。生育期の長い作物では追肥の必要性が出てきますが、カリウムが土壌に保持されているため、追肥の回数を削減できたりします。

また、追肥として使用してカリウム成分を補うこともできます。

ただし、カリウムは植物に吸収されますが、塩素は土壌中に残ります。雨水や灌漑水などが土壌中に流れ込むことで、塩素は流亡するため、そこまで気にする必要はないかもしれません。

しかし、雨が振らない地域(乾燥地域)や施設栽培では、以下に注意が必要です。

  • 塩類集積
  • カルシウムイオンとマグネシウムイオンなどの流亡
  • 土壌の酸性化

特に施設栽培などハウス内で作物を栽培する場合には、濃度障害の点からみて施用は望ましくないと考えられます。

塩化カリウム肥料の主な注意点

塩化カリウムの主な注意点を以下にまとめました。

  • 基肥(元肥)として使用する場合は、塩素イオンを流亡させるため、2週間前に施用するなど早めに施用することが必要です。
  • 副成分として塩素イオンを含んでいるため、多量施用しないように注意が必要です。
  • 塩素に敏感な作物(タバコ、ジャガイモやサツマイモのイモ類、イチゴ、レタスなど)に施用しないように注意が必要です。
  • 高濃度のカリウムと塩素を含むため、葉面散布には適しません。葉が肥料やけするリスクがあります。同様に育苗期の施肥にも適しません。

塩化カリウム肥料の購入場所

家庭菜園等で使用する肥料は、ホームセンター、インターネットなどで購入可能です。肥料を購入できる主な場所・方法は以下のとおりです。プロ農家の方は、JAや資材店等に相談すると良いでしょう。

肥料を購入できる場所
  • JAなどの農業資材店
  • ホームセンター
    • コメリ
    • カインズ
    • コーナン
    • etc
  • インターネット
    • Amazon
    • 楽天市場
    • ヤフーショッピング
    • etc
執筆者・監修者情報
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農家web編集部のメンバーが「農業者による農業者のための情報サイト」をコンセプトに、農業に関するあらゆる情報を丁寧にまとめてお届けしていきます。
編集部のメンバーは皆、実際に農業に携わりながら情報をまとめています。農学を極め樹木医の資格を持つ者、法人の経営・財務管理に長けている者、大規模農場の営農経験者などバラエティに富んだメンバーで構成されています。他にも農機具やスマート農業機器、ITなどのスキルも兼ね備えています。

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