ポリシャスは多くの種類があり、丸みのある葉や鋭い切れ込みが入るものなど形もさまざまです。耐陰性があるので室内の鉢植えでも育てやすく、土だけでなくハイドロカルチャーなどの水耕栽培でも育てることができます。
ここではポリシャスの水耕栽培について、挿し木(水挿し)や苗木から始める水耕栽培の手順、ハイドロカルチャーへの植え替えや育て方についてわかりやすく説明します。
ポリシャスの水耕栽培について
ポリシャスの基本情報
栽培を始める前に、ポリシャスのことを知っておきましょう。植物を育てるときに、植物のルーツや自生する環境などを知ると、植物がどんな環境を好むか知ることができ栽培しやすくなります。
ポリシャスはウコギ科の常緑低木で、約100種類以上あります。日本ではタイワンモミジとも呼ばれています。葉の形は品種によってさまざまで、丸みのある葉や、タイワンモミジの名のとおり、葉に細かい切れ込みがある品種や斑入り品種などさまざまな姿の品種があります。
暑さには強いですが、耐寒性が弱いので室内で育てるのが一般的です。耐陰性もあるので弱い光でも育ち、室内であれば初心者の人でも育てやすい植物です。
学名 | Polyscias |
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属名 | ウコギ科タイワンモミジ属 |
原産地 | 東南アジア |
樹高 | 10cm~2m |
生育適温 | 20~30℃ |
耐寒性等 | 耐寒性 弱い 耐暑性 強い |
花言葉 | 「大切な思い出」 |
品種
人気の品種についていくつか紹介します
品種名 | ポリシャス マルギナータ | ポリシャス フィリシフォリア | ポリシャス スノープリンセス | ポリシャス ファビアン | ポリシャス フルチコーサ |
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概要 | |||||
特徴 | バルフォリアナの園芸種 葉は丸く白色の葉が入る。コンパクトで育てやすい | 深い切込みのある、細く尖った葉が特徴 | 切込みのある葉のふちに白い斑が入る。 小型で美しい葉が特徴 | バルフォリアナの園芸種 葉は丸く、赤黒く光沢のある葉が特徴 | 一般的にポリシャスの名で売られているのは、この品種のことが多い 葉が細かく分かれ、ふわっとしたやわらかい雰囲気を持つ |
ポリシャスの水耕栽培のポイント
水耕栽培とは、土を使わず培養液(肥料分を含んだ水)で、野菜や草木を栽培する方法です。土の変わりにハイドロボールやゼオライトなどの培土を使った栽培も水耕栽培の一種でハイドロカルチャーと呼ばれます。水耕栽培で育てる場合には、土から栄養をとれないため水耕栽培で使える液体肥料を使って育てる必要があります。
ポリシャスは水耕栽培でも育ちます。植物を支えるためハイドロカルチャーなど土の代わりとなる培土を使って育てるのがおすすめです。また挿し木で増やせるので、水挿しで発根した後に、土に植え替えることもできます。
ポリシャスは挿し木や取り木で増やすことができますが、挿し木が簡単です。ポリシャスの水耕栽培を始めたい人は、挿し木から始めるか、ハイドロカルチャーですでに育てられている苗を買うのがよいでしょう。小さな苗であれば、土耕栽培から水耕栽培に移行することも可能です。
ポリシャスの水耕栽培の始め方
水耕栽培を始める時期
水栽培を始めるには植物の生育期がおすすめです。ポリシャスの生育期は5月〜9月の春から秋です。この時期であればいつでも行えますが、できれば真夏を避けた、生育初期の5月~6月が最適です。冬は剪定された親株も成長が止まるため、ダメージがおおきいので避けましょう。
挿し木から始める(水挿し)
剪定した枝をつかった、挿し木の水栽培(水挿し)で発根させる方法について説明します。花束やアレンジにもポリシャスは使われることがあるので、その枝を使っても挿し木することが可能です。
さし木の準備
挿し木にする枝は、若くて元気な枝を選びましょう。すべて発根するとは限らないのでできれば複数用意します。挿し木は、葉が付いている茎ざしでも、葉の付いていない部分の幹ざしも可能です。枝を10㎝程度に切り分けて使います。上下をまちがわないようにしましょう。
葉がついている場合は、葉は上葉2枚~3枚を残して下葉は取り除きます。上葉が大きい場合には、蒸散を防ぐために葉が2分の1にカットしておきましょう。水に浸ける部分の切り口はカッターやナイフなどで、斜めにスパッと切り落とします。反対側からも切り返しておきます。
準備するもの
- ポリシャスの挿し穂
- 透明な容器(枝が倒れない高さのもの。花瓶やペットボトルなどでも可)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤なくても可・あると発根の成功率が上がります)
発根促進剤について
生命力の強いポリシャスは、生育期であれば水だけでも発根しますが、時間がかかるので、できれば発根促進剤を使いましょう。植物活力素 メネデールは、発根だけでなく肥料でも農薬でもないので、発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。水替えのときに発根するまで入れると効果的です。水替えの都度でなくとも、1週間に一度でも入れてあげる、また希釈率を200倍にしても効果はあります。
手順
- 容器に水(水道水)を入れます。メネデールを使う場合は100倍に希釈した水を使います。
- 準備したポリシャスの挿し穂を入れます。
- 発芽するまで2~3日に1回に水は変えましょう。
- 明るい日陰で室内で管理しましょう。1か月程度で新しい根っこが生えてきます。
- 新芽がでて根が十分に発根したら、そのまま水耕栽培に移行するか、ハイドロカルチャーや土に植え替えて育てることもできます。
ポット苗から始める場合
ホームセンターや100均などで、ポリシャスの苗は手に入れることができます。ポット苗と呼ばれる小さなものから、水栽培を始めましょう。あまり大きなものは、水栽培にすると根からうまく水を取り込めずに枯れてしまう場合がありますので、その場合は挿し木から発根させて水栽培を始めましょう。
手順
- ポリシャスのポット苗は、事前にしばらく水やりをせず乾いた土の状態で始めます。
- ポットから苗を取り出し、根から土をほぐして落とします。
- 根を水でよく洗い土を落とします。園芸用のシャワーノズルなどがあればより根元の土を落とすことができます。
- 傷んだ根や、長すぎる根は清潔なハサミで切ります。日陰で切った根を乾かしておくと雑菌が入りにくくなります。
水耕栽培の手順
準備するもの
- 水挿しで発根したポリシャス or根を洗いしたポリシャスの苗
- 容器(透明なガラスのほうが根の成長も見え水量も調整しやすい)
- 根腐れ防止剤(ミリオンA・ゼオライトなど)
手順
- 器の底に根腐れ防止剤をいれます。鉢底が隠れる程度OK
- 苗を入れます。
- 器に水道水を入れます。この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 水替えは1週間に一度程度行います。根腐れ防止剤を使わない場合は2~3日に一度は替えます。
ハイドロカルチャーへ植え替え
土を使わないで植物を育てる栽培方法を水耕栽培と言いますが、水耕栽培の中でも土の代わりに用土(培土)として、ハイドロコーン、ハイドロボール(レカトン)という丸い発泡煉石を使用したり、セラミス、ゼオライト等を使用して栽培する方法をハイドロカルチャーと呼びます。水だけの栽培とは異なり、植物を固定することもでき、根域の水分量の維持をすることもでき、またインテリアとしてもハイドロカルチャーでの栽培は人気があります。
培地を使わず水だけで育てることもある程度までは可能ですが、寒さに弱いポリシャスは水温管理が難しいので、できれば植物を固定できるハイドロカルチャーでの栽培がおすすめです。水耕栽培にこだわらないのであれば、土に植え替えたほうが大きく成長します。
小さな苗を直接ハイドロカルチャーへ植え替える方法もありますが、土で育った根は水耕栽培にうまく移行できないことがあるため、できれば上記の水栽培で水耕栽培用の根を発根させてから移行させましょう。
準備するもの
- 水挿し、水栽培で発根したポリシャスの苗
- ハイドロボールなどの人工石(ハイドロボールは事前に水洗いしておく)
- ミリオンA・ゼオライトなどの根腐れ防止剤
- 底に穴がない鉢(透明な容器であれば水位がわかりやすくなります)
- 土入れ(小さな容器に植え付けるときはスプーンなどで代用可)
- 割り箸等の棒状のもの
- この他、水やりをするじょうろなどがあると便利です。水やりの失敗が少ない水位計もおすすめ
手順
- 底穴のない鉢に、根腐れ防止剤としてゼオライトを底が見えなくなる程度入れる
- ハイドロボールをゼオライトの上にいれます。
- 苗をハイドロボールの上に置き、根を広げます。
- 根と容器の間にハイドロボールを入れて固定します。
- 最後にじょうろで水やりを。水の量は容器の5分の1程度与えます。水位計を使っている場合は、最適水位(OPT)まで入れましょう。
ポリシャスの育て方
容器
水栽培は、透明な容器であれば根も観察できます。コップや空き瓶、花瓶などを使って育てるのがおすすめです。ただし、肥料を与えると藻が発生しやすいので注意しましょう。
ハイドロカルチャーでは、穴が開いていない容器なら水位計を使えばどんな器にも植え付けが可能です。内鉢にハイドロカルチャー専用の栽培ポットに植え付けしてから、お気に入りの外鉢に植え付けると水位計がセットする場所もあり、植え替え時も簡単です。水やりが心配な人は、自動給水鉢などもあります。
栽培環境
ポリシャスは、耐陰性があるので日陰でも育ちますが、あまり日に当たらないと株が軟弱になります。明るい日陰で管理するか、日陰で育てる場合は時々日に当ててあげましょう。日陰で育てている場合、急に日向に出すと葉焼けして枯れてしまうことがあるので、明るい日陰から慣らしてから日向に出しましょう。
耐暑性もありますが、水耕栽培の場合真夏の直射日光は、容器の水の温度が上がりすぎる可能性もあります。真夏は半日陰かレース越しの光で育てるとよいでしょう。
生育適温は20℃~230℃と暖かい気候を好みます。寒さにはあまり強くないので、冬は暖房の風が当たらない室内で管理しましょう。8℃以上で管理すれば、葉を落とさずに冬越しが可能です。冬は窓際に置いておくと、夜は急激に冷えることもあるので注意してください。
水やり・水の交換
植物は葉や茎そして根からも酸素を吸収しています。水栽培で育てている場合は土やハイドロカルチャーに比べて、酸素が吸収しにくくなります。水の温度が上がると酸素の溶け込む量がすくなくなるため、弱って枯れてしまう可能性もあります。特に夏場は注意が必要です。
理想的な水栽培の水位は、根の半分から3分の2が浸かる程度。少なくとも根元3㎝は空気に触れるようにします。水は週に1回程度、ただし気温が高くなると水が濁るので濁ったら水を交換します。容器に苔がつくことがあります。水替えの時に容器も洗ってあげましょう。
生育期は枝葉が良く伸びるため水切れには注意し、葉水も回数を多く与えましょう。葉水はハダニなどの害虫予防にもなります。冬は乾かし気味で育てると寒さに強くなります。室内で暖かい環境で育てられる場合は生育期と同様の管理を行います。
ハイドロカルチャーの水やり
植物は、生育期と休眠期で水やりの量を変える必要があります。ハイドロカルチャーでもそれは同じです。生育期は春から秋で、冬は休眠期です。
ハイドロカルチャーは、水を鉢の中に溜めて育てます。ハイドロボールなどは外から乾いているように見えても、鉢の中側は湿っていることも多いので、水やりは水がなくなってから2日~3日ほど待ってから与えましょう。水位計を使っている場合も同様に、水位計の針がmin(水切れ)まで下がってから2~3日ほど待ってから水をopt(適正水位)まで入れます。
水の量は生育期は鉢の5分の1まで、冬の休眠期は鉢底1cm程度、ハイドロボールを湿らせる程度でもOKです。葉水は1年を通して行いましょう。冬は暖かい時間に葉水を生育期より少なめに、与えましょう。
もし水を入れすぎてしまったら、鉢の上からタオルなどで押さえて、鉢を傾けて水を出しましょう。水耕栽培は新鮮な水を与えることが大切です。水をいれすぎると、根腐れのほかにも、水が腐る可能性もあります。
肥料
水耕栽培で育てるときには土から栄養をとれないため正しく肥料を与える必要があります。肥料は、粒上肥料や液体肥料(液肥)などがありますが、水耕栽培では水耕栽培用の肥料を使いましょう。
春から秋の生育期は、水やりの代わりに1か月に1度程度、液体肥料を与えます。ハイドロカルチャーでは、容器に書いてある希釈量で薄め、さらに2倍の量で薄めたものを与えます。(あくまで目安)。肥料の上げすぎは枯れる原因にもなりますので、必ず希釈量を守りましょう。
野菜などの水耕栽培にもよく使われるのは、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
肥料は藻が発生しやすくなるので、観葉植物の場合は葉面散布することで葉や茎から栄養を補給する葉面散布用の肥料もおすすめ。住友化学園芸の「 MY PLANTS すばやく元気を届けるミスト」などがあります。ハイドロカルチャーには、肥料ではないですが、根腐れを防止し栄養剤としての効果がある「イオン交換樹脂栄養剤」や、薄めず使える活力剤なども使えます。
ハイドロカルチャーの肥料についての記事がありますので、肥料について興味のある方はお読みください。
剪定
鉢植えの場合は、コンパクトに育てるのであれば剪定を行いましょう。時期は5月~6月頃が適期です。剪定する場所は、特に決まりはありませんが、伸びすぎた枝や不要な枝もカットし風通し良くすることで害虫予防になります。
雨の日などは湿度が高くなるので、切った場所が乾きにくいため避けた方がよいでしょう。
植え替え
ハイドロカルチャーは、育てていると周りにカビや藻などが生えてきます。また根が張って根詰まりを起こしているようなら、一回り大きな鉢に植え替えをしましょう。
ハイドロボールなどの資材は、洗って再利用することができます。再利用する場合はよく洗って日に当て乾かしてから使用します。
まとめ
ポリシャスは、多くの種類があり小さな苗であればダイソーなどの100均などでも見かけるので、手軽に栽培が始められます。水耕栽培は、土で部屋が汚れる心配もなく、害虫も発生しにくくなるので室内での栽培におすすめです。
ポリシャスは、耐陰性も強く樹高が高くなりすぎない品種もあるため、ハイドロカルチャー用の苗もよく見かけます。すでにハイドロボールに植え付けられて、水やりしやすい鉢や水位計などがセットされているものもあります。苗から育てたいのであればこちらもおすすめです。
多肉植物
球根
観葉植物
野菜