キウイフルーツは、甘味と爽やかな酸味が特徴的で、フルーツの王様といわれるほど、栄養価が高い果物です。暑さや病害虫に強いので、他の果樹に比べると栽培しやすく庭植えだけでなくプランターや鉢植えでも育てることができます。
甘いキウイフルーツを収穫するためにはどのようにしたらよいのでしょうか。この記事では、甘いキウイフルーツを収穫するための肥料の種類や、与え方のポイントなどをわかりやすく説明します。
キウイフルーツの甘さの鍵は品種選びと肥料
キウイフルーツの甘さを決める鍵は、「品種選び」と「肥料」、そして追熟です。
キウイフルーツの果実の色は、緑色が一般的ですが最近では黄色や中心の部分が赤色の品種も出回っています。酸味と甘味のバランスの違いによって、甘く感じるか、酸味を強く感じるか異なってきます。
また、肥料のやり方や種類によっても食味は異なるといわれます。またキウイフルーツは、樹上では熟さないため収穫してから追熟する必要があります。
甘みの強いキウイフルーツの品種
一般的に出回っている果肉が緑色の品種は、適度な甘みと酸味が特徴で日持ちがします。甘みが強く酸味が少ないのは、赤色系品種と黄色系品種で、収穫時期が早いのが特徴ですが、日持ちがしません。
赤色系品種は家庭で栽培できる品種は少ないので、黄色系品種を選ぶとよいでしょう。雌雄異株のため、果実を収穫するためには、雌木と雄木の両方を栽培する必要があります。栽培する雌木の品種に合わせて、開花時期が雌木の適期にあたる雄木を選びましょう。
果肉の色 | 特徴 | 主な品種 | 一緒に育てる雄木 |
---|---|---|---|
赤色系品種 | 甘みが強い 極早生 | 紅妃 レインボーレッド | 早雄 |
黄色系品種 | 甘みが強い 早生 | 東京ゴールド ゴールデンキウイ センセーション・アップル | 孫悟空 マック |
緑色系品種 | 適度な甘みと酸味 日持ちがする | ヘイワード エルムウッド 香緑(こうりょく) | トムリ アツア |
キウイフルーツを甘くするの肥料について
キウイフルーツを甘く育てるためには、品種だけではなく肥料の種類ややり方も重要です。
キウイフルーツに必要な肥料成分
キウイフルーツは、肥料の三要素である窒素、りん酸、カリウムは同じ比率で必要です。窒素を与えすぎると糖度が下がるだけでなく、病気が発生しやすくなるため窒素の量が多い肥料は避けた方がよいでしょう。さらに三要素以外の微量要素も必要なため、元肥(春肥)には有機質肥料を使うとよいでしょう。有機質肥料は土壌を改善する効果もあります。
肥料は、春肥(元肥)、夏肥(追肥)、礼肥(追肥)の年3回を標準とするとよいでしょう。春肥(元肥)とは、葉芽の芽生え(新芽)前の春に肥料を施すことで、2月が適期です。夏肥(追肥)は、春肥が吸収され土中の養分が不足したタイミング、具体的には6月が適期です。礼肥(追肥)とは、果実の収穫が済んだ後に肥料を施すことで、11月頃が目安になります。
基本的な考え方としては、元肥には有機肥料、追肥には固形化成肥料を施すと良いでしょう。
キウイフルーツの肥料 時期と与え方
それではキウイフルーツの肥料はいつどのように与えればよいのでしょうか。関東地方以西を基準とした毎月の管理について、説明していきます。
春肥(元肥)
1年間の生育のために必要な養分の大半を施す大切な肥料です。適期は2月です。3月に入ると根が活発に動き出す時期になりますので、その前の2月に行いましょう。
元肥には有機肥料がおすすめです。有機肥料は油粕や鶏ふん、米ぬかなどがありますがいずれも発酵済のものを使いましょう。完熟したものは臭いがあまりありませんが、臭いが気になるという人は有機入りの肥料を使いましょう。
夏肥(追肥)
春に施した肥料が吸収されて、肥料の成分が弱まる時期に夏肥(追肥)を行いましょう。果実の肥大が大きくなる頃に施します。適期は6月です。
追肥には効果が早く効く化成肥料がよいでしょう。窒素、りん酸、カリウムが同等に含まれている肥料などがよいでしょう。
礼肥(追肥)
果実をつけて弱っている木に、収穫の後のお礼として礼肥(追肥)を施します。落葉後に肥料を与えても吸収力が弱るため、収穫の遅い品種の場合は、収穫がおわっていなくとも肥料を与えましょう。適期は11月です。
肥料は、夏肥と同様に効果が早い化成肥料を与えましょう。窒素、りん酸、カリウムが同等に含まれている肥料などがよいでしょう。
キウイフルーツにおすすめの肥料
有機肥料
油かす
有機肥料として、油かす(油粕)は臭いもすくなく、手に入れやすいのでキウイフルーツ栽培でもよく使われます。油かす(油粕)肥料は、ナタネやダイズから油を搾る工程の残りかすを原料として使用する、植物に由来する有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)を主な成分として含有しており、リン酸やカリウムも多少含んでいます。春肥のタイミングで、施肥するようにしましょう。
油かすは、リン酸が少ないのでリン酸を多く含む骨粉などが配合されているものがよいでしょう。
鶏ふん
鶏糞は、ニワトリの糞を乾燥させた有機(有機物)肥料です。窒素(チッソ)、リン酸、カリの各成分が豊富に含まれています。効果が比較的早く出やすいので、苗木などには注意が必要です。鶏ふんは発酵したものを使いましょう。乾燥鶏ふんは、発酵させてから使うものでそのまま土にばら撒くと、悪臭やガスが出ることもあります。
米ぬか
米ぬかは、精米の際に削り取られる外皮の部分を有機(有機物)肥料として利用するものです。リン酸が多く含まれている、緩効性のリン酸肥料です。窒素やカリウムも適度に含まれています。糖分やタンパク質も含まれているため、有用な土壌微生物の働きを活性化させる効果もあります。
肥料として使うのであれば、脱脂米ぬかが使いやすいでしょう。生の米ぬかはそのまま使うと、分解が遅く害虫や雑菌の巣になってしまうこともあるため、ぼかし肥料の発酵促進剤として使われます。
果樹の肥料
有機肥料は肥料成分が製品によってまちまちで、使い方が難しいと思われる人は、市販の有機肥料がおすすめです。肥料成分や使い方、量などが書いてあるので安心して使えます。花ごごろが販売する「果樹・花木の肥料」や大和「 甘いフルーツの肥料」などがあります。
化成肥料
庭植えの追肥や鉢植えには、化成肥料がおすすめ。化成肥料は早く効く速効性とゆっくり効く両方の成分を持っているものが多いです。有機肥料は、臭いや虫などが気になるためベランダなどで鉢植えで育てる場合は、有機入りの化成肥料もおすすめです。
化成肥料8-8-8
化成肥料「8-8-8」は、最も一般的な化成肥料で、野菜や果樹など様々な肥料に使われます。窒素、リン酸、カリウムがバランス良く含まれているため、適用できる作物の範囲が広く、成分量が少ないため、安心して使用することができます。
マイガーデンベジフル
マイガーデンは、住友化学園芸の登録商標で、粒状の様々な草花・庭木・果樹の元肥や追肥に使うことができる肥料です。栄養分を効率よく吸収させるすぐれた腐植酸入り緩効性肥料として特許を取得しています。土に活力を与える作用がある腐植酸をブレンドしていることや、肥料成分は樹脂コーディングされていて、土壌の温度変化や植物の生育にあわせて溶出する量が調節され、効き目が持続するのが本製品の特長です(リリースコントロールテクノロジー)。
錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用
ハイポネックスジャパンが製造販売する「錠剤肥料シリーズ かんきつ・果樹用」という肥料もあります。追肥に利用する錠剤タイプで、置くだけでOKという簡便な肥料です。窒素:リン酸:カリ=8:10:9で配合されているほか、マグネシウム、マンガン、ホウ素、カルシウムも加えられています。
また、ハイポネックスには「ハイポネックス原液」などの液体肥料(液肥)もあり、樹勢が弱っているときに与えると良いでしょう。
収穫と追熟について
キウイフルーツは、樹上では熟さないため収穫のタイミングが難しい果実です。農家などでは、糖濃度計を使い収穫しますが、品種による収穫期を目安に収穫しましょう。収穫を少し遅めにすると、日持ちはしませんが食味はよくなるため、甘いキウイフルーツを収穫したい場合は少し遅めに収穫しましょう。
追熟にはエチレンという植物ホルモンが必要です。エチレンはリンゴ(特に王林・つるががエチレンの発生が多い)から発生するので、リンゴと一緒にポリ袋に入れておきましょう。適温は15℃~20℃、りんご1個につきキウイフルーツ10個程度です。追熟剤を使えば、多くのキウイフルーツを均一に追熟させることもできます
まとめ
ここまで甘いキウイフルーツを収穫する肥料について説明してきました。庭植えの場合は特に、肥料だけでなく土壌が大切です。できるだけ有機肥料を使い、休眠時の剪定も重要です。もちろん摘果を適切にしないと小さな果実しか収穫できません。
キウイフルーツの木の寿命は30年ほどといわれます。ぜひ大切に育てて、おいしいキウイフルーツを味わってください。
キウイフルーツの鉢植えの育て方の記事あります。剪定や人工受粉、摘果などの手順も載っています。