ペチュニアは春から秋まで花が咲き、丈夫で育てやすいので花壇やコンテナで人気の草花です。何度も開花させるために切り戻しをする必要がありますが、大きく切り戻した茎葉を使って挿し芽で増やすことができます。
挿し芽は、土だけでなく水挿しでも行えます。ここではペチュニアの水耕栽培での挿し芽の方法や成功率を上げるポイント、鉢上げの方法など初心者の人でもわかりやすく説明します。
ペチュニアの挿し芽について
ペチュニアの基本情報
ペチュニアは、ナス科ツクバネアサガオ属(ペチュニア属)の植物で、南アフリカに自生していたペチュニアがヨーロッパやアメリカで品種改良され、多くの品種が作られました。花色は赤色、ピンク色、青色、紫色、白色、黄色、複色と多彩で、八重咲タイプなど花姿も多様です。
品種改良されたペチュニアは寒さには少し弱いですが、日本の環境にあったものもあり生長も早く、育てやすい品種です。通常は寒さに弱いことと、ウイルスに侵されやすいので一年草として育てます。秋に挿し芽をして、小さな苗を冬越しさせて来年の苗とすることもできます。
水挿しの時期
ペチュニアの挿し芽の適期は、3月~7月、9月~10月です。翌年のための苗を作る場合は9月~10月に行いますが、冬越しする苗は、土に植え替える必要があります。さし芽を水栽培で行うと、発根する根は水耕栽培用の根で土に上手く順応できないことがあります。できれば土に植え替えるのであれば、赤玉土などで発根させるのがおすすめです。
水挿しで行う挿し芽の適期は、4月~7月。梅雨前に剪定した茎を使うのがよいでしょう。
さし芽の準備
切り戻しした茎を使う場合は、切り戻しは根元から10㎝程度、根本から1/2ぐらいを目安に切りましょう。
- カットした茎は、花がついている場合は切り落とし、先端や蕾はカットします。
- 上葉を2~3枚ほど残し、下葉はすべて取り除きます
- 残したが大きい場合は、蒸散を防ぐため半分にカットします。
- 下の茎の切り口はハサミやカッターなどで斜めにスパッと切り落として、断面を広げます。
ペチュニアの挿し芽の手順(水挿し)
上記の挿し穂が準備できたら、挿し芽を始めましょう。手軽に家にあるものでできます。発根促進剤は絶対必要ではないですが、あると格段に成功率があがります。
準備するもの
- ペチュニアの挿し穂
- 花瓶やコップ(ペットボトルを切ったものなどでも可能。透明な方が根が見えてよい)
- 水道水
- メネデール(発根促進剤)
手順
- コップやガラスの器に、メネデールを100倍に希釈した水を入れます
- 5cm~10㎝ほどに揃えた、挿し芽を入れます。
- 置き場所は、室内の明るい日陰で管理します。
- 水は2日に1度かえましょう。発根するまでメネデールを100倍~200倍に希釈した水を使います。茎の部分が腐りやすいので、水をいれすぎないようにしましょう。水替えのときには、軽く茎のぬめりを取るように水で流します。
- 1カ月程度で発根します。根がしっかり伸びてきたら鉢上げします。
発根促進剤について
生育期であれば水だけでも発根しますが、発根を早くしたり太く元気な根を促進させるために、発根促進剤も有効です。
植物活力素 メネデールは、発根だけでなく発根時以外の水栽培で元気がなくなったときなどにも使えます。液肥でも農薬でもないためいつでも使うことができます。
最初の水挿しのときにメネデールをいれる。また水を交換するときには、発根まで2~3日に一度メネデールを薄めた水を使うとよいでしょう。
水耕栽培の手順
挿し芽が成功したら、そのまま水耕栽培で育てるか土に植え替えします。株を大きくしたい場合は土に植え替えましょう。コンパクトに育ててその年に花を楽しむのであれば、水耕栽培でも育てることができます。
観賞植物などと違い、花が咲くペチュニアはしっかり肥料を与えて育てる必要があります。野菜やハーブなどの水耕栽培でもよく使われるペットボトルとスポンジを使った栽培の手順を紹介します。
準備するもの
- 水挿しで発根したペチュニアの挿し穂
- ペットボトル500ml以上
- スポンジ
- 水耕栽培用肥料
手順
- 手順1ペットボトルの準備
ペットボトルの上部を7㎝~8㎝のところでカットします。キャップは不要です。ペットボトルの下部に水をいれておきます。
- 手順2ペットボトルに苗をセットする
3cm角に切ったスポンジは、中央に切れ目を入れます。苗の根元にスポンジを挟み、切り取ったペットボトルの上部を飲み口を下にして、飲み口から根がでるように苗をセットします。
この時の水位は根が全部浸からない程度。3分の2が水に浸かっているぐらいがよいでしょう。せめて3㎝程度は空気に当ててください
- 手順3肥料を与えて育てる
水耕栽培用の肥料を水にいれて育てます。明るい窓辺などでに日当てて育てます。日光に当たると藻が発生するのでアルミホイルなどで、ペットボトルをカバーをします。
培養液(肥料を入れた水)は、継ぎ足しながら育て、2週間~3週間に1度はすべて入れ替えましょうこの時、ペットボトルが汚れていたら洗い流します。
鉢上げ(土への植え替え)
根がしっかり伸びてきたら、鉢上げして土で育てることもできます。
根は水や栄養を取るために伸びて生長します。しかし水栽培の場合は根が水に直接ついているため水や栄養を取りやすいため根が発達しにくいので、土に植え替えると上手く水を吸収できないことがあるため根付くまでは水は多めにし、葉水などを与えるのもよいでしょう。
準備するもの
- 発根したペチュニアの苗
- ポットや鉢(3号鉢程度のもの)
- 草花用の培養土
- 鉢底石
手順
- 鉢の底に鉢底石を入れ、培養土を鉢の3分の1程度入れます。
- ペチュニアの苗をいれ、根を広げます
- 3の上から用土を入れて、最後に鉢底をトントンと打ち付けてならしましょう。
- 水を鉢底から出るまで与えます。
- 肥料は根付くまで与えません。
ペチュニアの用土について
ペチュニアの用土は、水はけのよい用土を選びます。市販の鉢植え用の草花用の土が便利です。自分で配合する場合は赤玉土小粒5、腐葉土3、酸度調整済みピートモス2の配合土などの配合がよいでしょう。
ペチュニアの肥料について
さし木で増やすことができたら、肥料を与えて美しい花を咲かせましょう。土耕栽培の場合は、肥料は生育期の春と秋に、緩効性肥料や液体肥料(液肥)を与えます。おすすめの肥料や与え方については詳しい記事がありますのでそちらも参考にしてください。
水耕栽培と土耕栽培の肥料は異なります。水耕栽培で育てる時は、肥料はかならず水耕栽培用の肥料を使いましょう。水栽培やハイドロカルチャーに使える肥料は、ハイポネックス微粉やハイポニカ液体肥料などがあります。
まとめ
ペチュニアは種まきか苗を買ってから栽培を始めますが、切り戻した茎を使って手軽にさし芽ができます。大きく育てたいのであれば土耕栽培に、室内の窓際などでコンパクトに育てたい場合は水耕栽培で育てることができます。
ペチュニアは乾燥を好むため、水やりを間違えると根腐れしやすい植物です。しかし水耕栽培なら水位さえ間違えなければ、失敗しにくいので何個か挿し芽が成功したら、1苗からでも初めてみてください。
水耕栽培は、100均などで買える植物やグッズをつかっていろいろな植物や野菜を育てることができます。
『農家web』にはこのほかにも、水耕栽培のコンテンツが豊富です。観葉植物だけでなく、多肉植物や花を楽しむ球根、野菜やハーブなどは収穫も楽しめます。
品種名から栽培方法を探すことができます。