「防除」とは何か
「防除」の意味
農業でよく使われる、「防除」とは、「農業害虫や病害の予防および駆除」を意味します。具体的には、農作物の栽培時に発生する、害虫や病気を事前に予防したり、既に発生している場合、それを駆除、排除すること、を指すと言えるでしょう。「防除」はこのように、「予防」という観点が入っていることから、「防除」と「駆除」は意味が異なってきます。
また、防除は別名で、ペストコントロールとも呼ばれます。
「防除」の種類
「防除」には、その方法によって、下記のように種類、手法が分かれます。
物理的防除
物理的に、害虫や病害を防ぐ手段を取ることで、防除を行います。具体的には、粘着シートや防虫ネットで物理的に害虫を寄せ付けないようにしたり、捕獲すること、また光や超音波などの音、電流を使って、害虫を忌避させることが物理的防除の代表例と言えるでしょう。
化学的防除
農薬などの化学薬剤を使用することで、防除を行います。殺虫剤や殺菌剤、殺鼠剤、忌避剤、誘引剤といった薬剤が代表例です。
耕種的防除
主に生物が生息、繁殖、侵入出来ないような状態を保つなど、栽培法,品種、圃場の環境条件等を整え、病害虫の発生を減らすことで防除を行います。具体的には、除草を行い、害虫が発生、繁殖しにくくする、センチュウに対するマリーゴールドのように、対抗植物を植えることで防除する、といったことを指します。
生物的防除
病害虫の天敵に当たる昆虫や病原菌にあたる生物を用いることで防除を行います。別名、生物農薬とも呼ばれます。具体的には、アブラムシにおけるテントウムシや、ハダニ類におけるチリカブリダニ、ミヤコカブリダニなどが有名です。
防除暦とは?
「防除暦」とは、栽培する作物ごとに、病虫害防除のために使用する農薬名や散布時間、使用方法などが記載された表、スケジュールのことを言います。
主に各地域のJAや代理店などが任意で作成し、農業者に紙で配布を行なっていたり、web上で閲覧することができます。
防除暦は下記のような、作物と地域を選べば、簡単に防除暦を見ることができるアプリもあります。
また作物ごとに詳しく知りたい方は、下記を参考にしてみてください。
https://www.noukaweb.com/strawberry-pcc/
https://www.noukaweb.com/asparagus-pcc/
近年、問題になっている抵抗性病害虫について
近年、農薬の発達、普及にともない、同系統の農薬を連用することで、その成分が効かない病害虫が生き残り繁殖し、結果、その農薬に抵抗性を持つ病害虫がどんどん残っていく現象、、抵抗性病害虫が大きな問題になっています。
抵抗性病害虫を増やさないために、作用系統(RACコード)が異なる農薬をローテーション散布する、また農薬といった化学的防除だけに頼らず、他の防除方法も取り入れ、総合的に病害虫を防除するIPMを取り入れることが重要です。